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新日本プロレス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

新日本プロレスしんにほんぷろれす)は、日本プロレス興行団体。略して新日(しんにち)とも呼ばれる。「KING of SPORTS」を標榜している。1972年1月、日本プロレス選手会を除名されたアントニオ猪木が設立。同年9月に設立されたジャイアント馬場率いる全日本プロレス(全日)と、男子プロレス界の二大老舗団体として君臨。「ストロングスタイル」と呼ばれるファイトスタイルを掲げている。2005年11月14日、ユークスが株式の過半数取得を発表、同社の子会社となる。

目次

[編集] 概要

[編集] 歴史

大別し、以下の通りである。アントニオ猪木を絶対的エースとした時期と、それ以降の現在まで続いている複数エース制の二期に大きく大別することが出来る。所属選手および職員の離脱と復帰と内情暴露が多いことが特徴。また、新日本出身者は、新日本以外の場でも絶縁と復縁を繰り返すことも特徴のひとつである。マルチ(厳密にはネズミ講ではない)や新興宗教絡みなどのスポンサー筋が表に出てくる点も特徴と言える。

[編集] 旗揚げ

旗揚げ戦は、1972年3月6日東京大田区体育館で行われた。

日本プロレスを「クーデター疑惑」で追放された、という経緯があったため、旗揚げ当時の所属レスラーはアントニオ猪木山本小鉄藤波辰巳木戸修 等、猪木腹心の他、東京プロレスで猪木と因縁のある豊登が「テレビが付くまでは」と参戦。しかし、日本陣営が手薄な厳しい状況での旗揚げであった。

外国人招聘ルートも、主要なものは日本プロレスに抑えられており、有名な選手は呼べなかった。猪木の師匠であり、唯一の外国人招聘窓口を務めたカール・ゴッチアントニオ猪木の対決が唯一の目玉だったと言える(ゴッチ以外の外国人レスラーに関しても、日本プロレスからの圧力を避ける為、すべて偽名で招聘している)。TV放送がなく観客動員に苦しみ倒産も時間の問題と言われた。

[編集] 猪木・坂口の黄金コンビの時代

日本プロレスのエースであった坂口征二が猪木と全く対等の条件と言う約束で新日に入社。NET(現在のテレビ朝日)は坂口合流を条件にTV中継を開始。ゴールデンタイムで放送され、ようやく団体として軌道にのる。しかし当初提示された条件は満たされず、坂口は猪木をサポートする立場となる。

外国人招聘は全日本プロレスに抑えられ、やはり著名な外国人レスラーは参加していない。NWAにようやく加盟を果たすも、全日本プロレスの圧力で「NWAのヘビー級王者は新日本プロレスに参加しない」という屈辱的な形であった。

全日本プロレスとの対抗上、それまでプロレス業界では禁制に近かった「日本人対決=日本人トップクラスレスラーによる一騎打ち」を打ち出す。国際プロレスから引き抜きに近い形でストロング小林を呼び込んだほか、大木金太郎とも対戦している。この路線は成功し、ライバル全日本プロレスと肩を並べるほどの勢いを得た。

NWAにおいて、新日と同じく反主流派であったWWF(現:WWE)と提携を結び、NWAの中心レスラーは呼べなかった代りに、WWFのスター選手を招聘する事に成功(ただし、ブルーノ・サンマルチノを始めとする、ジャイアント馬場と親交が深かったレスラーは招聘出来なかった)。その後、ジュニアヘビー級やインターナショナル王座の設立等、一時期友好関係を築く。

[編集] 異種格闘技時代

アントニオ猪木は、「プロレス最強」謳い文句に、他の格闘技との試合を行うようになる。「少年マガジン」連載の梶原一騎原作『四角いジャングル』と連携した異種格闘技戦の始まりである。以下はその代表例。

特にモハメド・アリ戦は、アメリカで放送され、大きな話題となるも、アリへの支払いにより、新日は莫大な借金を背負う。試合内容は膠着状態が大半を占め、後に同様の膠着状態の代名詞として「猪木アリ状態」と呼ばれるようになった。内容は賛否両論であり、「世紀の凡戦」「大茶番」とも表現された。アリ戦は猪木が行った2試合の真剣勝負の内のひとつ(もう一戦はアクラム・ペールワン戦)とレフェリーのミスター高橋は著書で述べている。この借金返済のため、異種格闘技戦が乱発されることとなり、次第にその質は低下していった。

[編集] 若手の台頭

藤波辰巳(現:藤波辰爾)と木村健悟のジュニアヘビー級の試合が人気を呼ぶ。二人のギリシャ彫刻と表現された肉体と空中戦は新風を巻き起こす。

[編集] タイガーマスクとIWGPの時代

梶原一騎原作の漫画『タイガーマスク』のアニメ版をテレビ朝日で放送することになり、業務提携として実際のレスラーとしてもタイガーマスクを登場させた。覆面を着用する最有力候補は当初、ジョージ高野だったが、最終的に当時海外遠征中の佐山聡が選ばれる。佐山の飛び技を中心とするスタイルは人気を博し、会場に少年ファンを数多く動員した。

この頃には新日本の人気は、全日本を超えていた。そして、「プロレス界の最強を決める」コンセプトでIWGPを開催する。実際は、海外団体からのベルト提供が受けられないため、内製で王座を設定せざるを得ない状況のためである(当時、猪木が保持していたNWF王座も、アメリカでは団体自体が消滅していた)。

これにあたり、1981年に、全日本から人気レスラーアブドーラ・ザ・ブッチャーを引き抜いた。これを機に引き抜き合戦に発展し、結果としてブッチャー、タイガー戸口、ディック・マードックが新日本へ、タイガー・ジェット・シンチャボ・ゲレロスタン・ハンセンが全日本へ移った。両団体の関係は悪化し、外国人レスラーの報酬の高騰化を招くことになった。

初代IWGP王者決定戦における、アントニオ猪木vsハルク・ホーガン戦での劇的な幕切れ(猪木舌出し失神事件)によって新日本の人気はピークに達する。しかし、猪木のホーガンへの雪辱戦たる第二回IWGP決勝戦では、不可解な裁定に怒ったファンが蔵前国技館で放火事件を起こすなどして人気のピークは過ぎることとなる。詳細は、IWGPリーグ戦を参照。

[編集] 離脱者続出の時代

ヘビー級に転向していた藤波辰巳とミュンヘン五輪アマレス代表選手だった長州力の戦いを中心とする時代。海外遠征後、王者として帰国した藤波と会社に対して、長州が反旗を翻したことが起点。 藤波と長州の「名勝負数え歌」と呼ばれる連戦の後、長州は他の選手数名と共に新日本を離脱。ジャパンプロレスを設立し、全日本に戦いの場を移す。

猪木のワンマン経営と、ブラジルでの事業「アントン・ハイセル」の莫大な負債への新日本からの資金流用疑惑に対し、不満を訴えた者が新会社「新日本興行」(後のジャパンプロレス)設立し、それに賛同した長州らが移籍したものと言われる。長州や、長州に従う若手レスラーたちは、アナウンサーの古舘伊知郎によって「維新軍団」と呼ばれた。この騒動により、長州を初めとする多数のレスラー達が離脱したため、団体運営が危ぶまれた。

ほぼ同時期に新日本は分裂の危機を迎える。前田日明藤原喜明などの選手がUWF(ユニバーサルプロレス:第一次)へと移籍した。彼らに次いで猪木も移籍する予定であったがこれは実現せず、やがて独り立ちし、ロープワークや空中戦、場外乱闘などプロレスが持つ、エンターテインメント要素を排除し、格闘技性・競技性の高いスタイルを前面に押し出す独自のスタイルを確立し、新日本のスローガンである「ストロングスタイル」を脅かすことになる(ファイトスタイルなどについての詳細はUWFの項を参照)。しかし、しばらくの後団体運営に行き詰まり、ほとんどのレスラーが外敵という形で新日本に戻ることとなる。そして、前田を初めとした数名が、新生UWFを設立するため再離脱する。

[編集] 闘魂三銃士と対抗戦の時代

猪木が参議院議員となり、スポット参戦のみとなる。また、この時期から複数レスラーがトップ(エース)を持ち回りで交代する「複数エース制」が敷かれたことが最大の特徴である。

前述の大量離脱により選手数が激減し、当時デビューしていた武藤敬司橋本真也(故人)・蝶野正洋ら三人のことを猪木がこう呼んだことから始まる。"天才 武藤"、"破壊王 橋本"、"黒のカリスマ 蝶野"と三人の個性は全く異なっていたため、マッチメイクに幅が出来、お互いに伸ばし合う効果もあった。武藤と橋本は後に新日本を離脱するが、この三人は以降しばらくの間、メインイベンターとして活躍する。詳細は各々の項を参照。

また、他団体との対抗・交流をストーリーラインに組み込む様になった。その先駆けは青柳政司率いる誠心会館との抗争。闘魂三銃士らの陰に隠れていた中堅層に注目を浴びさせることに繋がった。

1995年10月9日には東京ドームで高田延彦らUWFインターナショナル勢と全面対抗戦を行う。メインイベントは武藤敬司vs高田延彦だった。この大会は大満員となり、翌日のスポーツ新聞でも一面トップで報じられる等、久々にプロレス界に活況を取り戻すことに成功した。また、ドーム以外での会場でも対抗戦は非常に強い集客力を見せた。

ジュニアヘビー級戦線でも、獣神サンダーライガーを中心とした日本人選手、ワイルド・ペガサス二代目ブラック・タイガーらにより、盛り上がりを見せた。このジュニアヘビーでもみちのくプロレスなどの他団体からの参戦が増えた。

また、異種格闘技戦も藤波vsリチャード・バーン、橋本vsトニー・ホームなどが行われた。

この時期、猪木は1995年北朝鮮ピョンヤン興行や、自身の引退ロード「ファイナルカウントダウン」などでスポット参戦した。

この当時、テレビ放送は既にゴールデンタイムから外されており、土曜日夕方、日曜日深夜と移動するが、それでも上記の対抗戦などで観客動員数は安定していた。こうした観客動員数の安定もあって大阪ドームや福岡ドームなどの大型会場での興行も定期的に開催された。

[編集] 第三世代の活躍と武藤・橋本の離脱

第三世代とは中西学永田裕志天山広吉小島聡らを指す。新日本の場合、ここを境に「平成のレスラー」とも言われ、いずれも道場で馳浩の教えを受けている。TV放送が深夜に移動していたため、知名度はそれほど高くない。中西学がG1(G1 クライマックス。新日本のその時点でのナンバーワンを決定するトーナメント、あるいはリーグ戦)決勝で武藤敬司に勝利したことが契機である。

武藤や、それに追随する小島、経営陣らとの確執で橋本がそれぞれ退団し、残った第三世代が新日本の中核となった。しかし、中核が闘魂三銃士であった時期と比較し、観客動員数と営業利益は下降していく。そのため、第三世代とフリーランスレスラーの戦いで観客動員数の減少を止めようとする方針に向かうこととなる。

また、同時期には初の試みである「IWGPランキング」査定試合を数戦行ったが、明確なランキングを制定するには至らず、最初の1シリーズで終わることになる。WWEでチャイナのリングネームで活動していた女子プロレスラー、ジョーニー・ローラーがシリーズ参戦し、蝶野と東京ドーム興行においてシングルマッチを行った。

この男女対決に代表される様に、まずい出来事は無かったことにする体質が強まり、現在に至るまでの低迷・迷走期の始まりとなった。

[編集] 総合進出とドーム大会衰退

近年はプロレスではなく、他の格闘技団体に選手が参加することが増えた。K-1、PRIDE、パンクラスなど立ち技・総合格闘技問わず選手が参加し成瀬、安田、中邑など結果をだした選手もいたものの、大晦日の格闘技興行で、エースの永田裕志ミルコ・クロコップエメリヤーエンコ・ヒョードルに2年続けて短時間で惨敗する。にもかかわらず、永田はIWGP王座を10回も防衛してしまったため、プロレスが相対的に総合格闘技より下に見られるようになってしまった。

総合格闘技を興行に組み入れるため、2003年5月には「アルティメット・クラッシュ」という独自ルールを定める。2005年1月4日の東京ドーム大会では同ルールを適用したバトルロイヤル「第1回アルティメット・ロワイヤル」が開催された。しかし、対戦相手の指名制などルールが整備されておらず、選手を含めてルールの理解が乏しく凡戦で終わった。

また、この時期から総合格闘技やK-1での実績を持つ藤田和之ボブ・サップら「外敵」王者路線が敷かれ、新日本プロレスが自ら相対的価値を下げる運営方針を進めた。これらの王者は、他競技を優先するため、タイトルマッチ限定のスポット参戦王者となった。そのため、前哨戦を通じてタイトルマッチまで盛り上げる従来の手法が使用できず、中堅選手同士の小競り合いなど王者以外のストーリー展開の割合を増やすことで対応した。

しかし、王者が他競技で敗北・負傷し、王座の格を保持するための返上が発生した。このため、タイトルマッチまで繋がることを想定し展開したストーリーが無意味となる事態が多発した。その傾向は後のブロック・レスナー王者路線まで続いた。

2002年5月のドーム大会を最後にゴールデンタイムでの特番放送が無くなり、東京ドーム興行でも深夜1時間枠で放送されるに留まった。同年10月「ダッシュ35」と銘打った、創立35周年に向けて自社ビルの建設などを目標としたプロジェクトを発表した。

また、東京ドームなどでのビッグマッチでも、2002年頃までは照明も明るく、会場全体、スタンド席まで見渡せるほどであったが、2003年に入り観客動員が公式発表で5万人を割る。この頃より空席を目立たなくするかの如く極端に照明が暗くなり、アリーナ席を潰す為に入場セットが段々マット側にせり出すようになった。セット上に特設ビジョンを設置する代わりに、それまでのド派手演出のキーであったカクテルライトの数も減っていった。2004年11月に行われた最後の大阪ドーム大会も、直前に当時オーナーのアントニオ猪木が勝手にカードを変更するなどのトラブルもあったものの、公式発表28000人と過去最低の入り。この頃からドーム大会の必要性がファンからも疑問視されるようになっていった。また、2005年1月のドーム大会からは、外野封鎖は勿論、内野スタンド席の半分を暗幕で隠すなど、観客減少は死活問題となっていった。

人気回復と話題提供を目的に、大相撲横綱審議委員会を真似た「IWGP実行委員会」を2005年5月に発足させた。委員長・コミッショナーには衆議院議員古賀誠が就き、委員会には力道山の元夫人である田中敬子や日本レスリング協会の福田富昭会長らがメンバーとして加入することを発表したものの、活動は発足発表のみであり、かつての「IWGPランキング制度」同様、無かったことになっている。

[編集] ドーム騒動

また、興行に関してMLM(マルチ商法)の関与が報道され、御徒町秋葉原で無料招待券がばら撒かれているのが目撃されている。インターネットオークションサイトで出品されていた同大会の入場券は、価格表記が日本円ではなく、MLM企業であるL&Gのみで用いられるクローズドな通貨単位(円天)で記されていたことがこの疑惑の発端となった。

当初は「故郷」をテーマに、過去に所属歴のあるレスラーを呼び、同窓会的な興行を行うはずであったが、長州力のマッチメイカー就任により、興行コンセプト自体が白紙に戻る。その結果、悪しき習慣を断つと言う目的で、珍しく興行数週間前に発表されたドーム大会のマッチメークのコンセプトは「新日本対インディー」と、スケールダウンしてしまった。だが、一方的に他団体をインディーと定義、侮蔑した発言に対して、新日退社後ビッグマウス代表となった上井文彦ビッグマウス・ラウド社長の村上和成からは批判を受けた。また、BML総裁に就任した星野勘太郎は「メジャー対メジャー」と発言。当時スーパーバイザーだった前田日明は「ちょっと弱いものイジメをしてやろうかなって」などとコメントした。もともと「新日本対外敵」といった構造は、新日本プロレスの歴史そのものと言ってもいい興行形態のはずであったが、結果的には「インディーと呼ばれる選手しか呼べない(契約できない)」という新日本プロレスの経済状況の厳しさと緊縮財政が露呈しただけとなってしまった。更に、メインイベントとして発表されていたブロック・レスナー対藤田和之のIWGPヘビー級選手権は、猪木事務所の子会社化(下記参照)に伴い、急遽キャンセルされた。猪木事務所と新日の蜜月関係は既に終わっており、逆に悪化している(このことは後に猪木の口からも明言された)。マッチメークは二転三転を繰り返し、この団体ならではの悪しき習慣は何ら変わっていないことを再認識させてしまう結果となった。

ビッグマウスからは業務提携の終了を示唆され、結果とは3月国技館の柴田棚橋戦でもめたことで関係が悪化、交流は断絶した。ZERO1-MAXとは中西が乗り込んだり崔領二ら若手が新日本に乗り込むなど対抗戦の様相を示していたがいつしかそのことすら忘れ去られていった。

[編集] ユークスの子会社化

2005年11月14日株式会社ユークスは、アントニオ猪木から全株式の51.5%に相当する株を購入し、新日本プロレスを子会社化したことを発表した。アントニオ猪木が管理する株が放出されたことから、今後の影響力は少なからず低下すると思われる。ユークスはヘラクレスに株式を上場しており、経営の透明性確保などのために、新日本プロレスの運営体制に何らかの働きかけを行う可能性を持っている。その最初の段階として、アントニオ猪木に関する全ての商標をユークスが買い取っている。

上場会社であるために連結決算の発表で経営にごまかしが効かないことから、現状の新日本プロレスの経営発表が定期的に行われている。会場に観客がいるように見えても、実券や割引券、招待券や見栄えを良くする為のタダ券など券にもさまざまな種類がある為に、この経営発表が一番シビアな数字である。2006年10月発表では半期で2億の赤字を新日単体で生み出し続けていた事が分かった。

様々な批判や噂が飛び交う新日本であるが、2006年後期より徐々に会場の雰囲気がかつての状態に戻ってきたと各プロレス専門誌が報じている(但し、その殆どが御用マスコミ・大本営発表である点に一応の留意が必要である)。このことを考慮してか、2007年1月4日に「撤退」と公言した東京ドーム大会を再び開催することが決定した。

[編集] 2006年大量離脱

近年は経営事情の悪化が年俸に反映されるようになった。従来の契約更改は、大半の選手が一発更改は無くとも、数度の交渉後に更改されていた。しかし、2006年1月の契約更改は保留者の数が例年より多く、契約更新の意志を持たずに退団する選手も現れた。

選手以外にも山口秀幸リングアナが1月下旬、田中秀和リングアナが2月19日の両国大会を最後に退社し、急遽2月中旬に新リングアナをデビューさせている。最終的に11人が退団し、1984年の第1次UWF旗揚げ時の退団者数9人を上回った。この結果、所属選手数はNOAHDRAGON GATEに次ぐプロレス業界第3位となった。

3月には木村健悟スカウト部長が、4月には山中秀明代表取締役専務が退社した。6月には藤波が退団し、既に退団していた西村らと無我ワールド・プロレスリングを旗揚げすることを発表した。

7月には、サイモン猪木の掲げる「世界戦略」の中心であるブロック・レスナーが「契約上のトラブル」で来日せず、IWGP王座を剥奪された。菅林副社長はレスナーに対する法的措置を示唆するも、レスナーは新日本が必要な書類を用意せず就労ビザが取れなかったために来日できなかった、ギャラを払えないからビザを取らなかったのではないか、と主張し両者の見解に相違があることを見せた。その後レスナーはFEG主催興行へ参加することとなった。

[編集] 今後の展開とその課題

[編集] アングル

ブロック・レスナー王者路線を敷くも、総合進出から始まったスポット参戦王者であるため、ストーリーは挑戦者決定および挑戦への過程を中心に展開している。レスナーと棚橋のIWGP戦を時間をかけて煽ってきたが、対戦はキャンセルという形で収束した。

その結果、蝶野&天山のコンビネーション技披露、永田のサンダーデスキック、中西のマナバウアーなど技アングルで話題を繋ぎ、間に若手の格上げを目的としたストーリーを挿入している。

[編集] カードの消尽・価値低下

「春のG1」と掲げられたNEW JAPAN CUPでもレスラー不足から、その日トーナメントに出場しない者・すでに敗れた者同士で試合を行わせて、通常の試合を「NEW JAPAN CUPスペシャルマッチ」と半ば無意味な副題を付けてプレミア感を演出するなどの苦肉の策に追われている。また、同トーナメント優勝者がレスナーへの挑戦権を得るため、「春の時点での最強者を決める」トーナメントが単なる挑戦者決定トーナメントになってしまった。

また、王者であるレスナーとのカードが消尽してしまっている。レスナーvs中邑の選手権試合前にはトップ格の永田と中西がそれぞれシングル戦を行い敗北している。

レスナーのIWGP王座剥奪に伴い、王者決定トーナメントを開催した。シングル総当たりリーグ戦のG1 CLIMAX前に多くのシングル戦を消尽した。

これまでは軍団抗争が主体だったが、長州がこれを解消させた為、現在は蝶野・天山・平田・真壁の4人が反長州を主張しているのみで、ヘビー級のタッグマッチのカードは以前より組み合わせが多くなった。一方、ジュニアヘビー級は従来どおり本隊とC.T.Uの抗争が継続している。

[編集] 人材難

所属外選手の登用
年俸高騰によるコスト増から、生え抜きの所属選手を減らし、短期契約する外部レスラーの占める割合を高めた。大物と言われる外部レスラーとは費用面から単発参戦でしか契約が出来ないため、無名に近いインディー(独立小団体)選手との期間契約を中心に試合カードを編成している。
このことから、従来のファンや生え抜きレスラーからは、「らしさ」や「試合の質」に違和感を感じるという声も少なくない。:しかしこれはPRIDEを主催するDSEK-1を主催するFEG社の様に、全て自社内で調達する伝統的なプロレス団体的経営からの脱却とも考えられる。
レスラー育成
プロレス団体の経営において、選手の大量離脱後に若手や新人を格上げすることは定石である。しかし、格上げのためには、単に興行のメインイベントやセミ試合に出すだけでは成り立たない。プロレスは単なる競技ではなく興行でもあり、観客の満足度が最重要となるため、鑑賞に耐えうる試合手腕、観客が感情移入できるキャラクター付が求められるためである。
育成のため、格上げ対象の選手を繰り返して壁役と試合させ、数多くの敗北の上で面白い試合を行って勝利しなければ観客からの支持が得られないことが大半である。性急に格上げを行うと、格は高いが集客力の乏しいレスラーとなってしまう。その代表例が前述の中邑と棚橋である。若手の育成には壁となる中堅ベテラン選手の大半が必要となるが、前述の大量離脱で退団しているためトップクラスのレスラーが持ち回りで壁役を務めている。しかし、トップクラスゆえに安易に負けさせられないため、クイック勝利に留まっている。また、壁役の中心である第三世代レスラーが、前述の通り闘魂三銃士ほどの集客力を持たないため、若手の壁越え自体に注目が集まりにくい。90年代のプロレスの中心だった新日本の闘魂三銃士や全日本の四天王といわれた選手は、壁となる先輩レスラーの離脱で若くして主役級に切り替えられており当時も同様の「顔ではない」という指摘は強くあったが、結果的に大成している。しかしその当時を観客動員という観点から見れば現在の状況を同様に見るのは難しい。
フロント
2005~2006年の大量離脱は、レスラーのみならず経営陣にも発生した。プロレスは暗黙知の部分が大半を占めるジャンルであるため、業務引継や知識継承が不完全となった。その一例が急遽交代した塩脇利昌リング・アナウンサーである。身長・体重を述べたのち、ニックネーム(キャッチコピー)に続けてレスラー名を挙げ、選手名紹介に自己流のアレンジを加えていた時期がある(例:身長・体重・「黄金の虎」・タイガーマスク)。退社した人間が、元新日本の人間の関わる他団体の興行で見られることは通例であると、あるプロレスライターは述べている。

[編集] 経営方針

観客動員数の回復
興行会社の収入基盤である、観客動員数は低迷し続けている。2006年3月、両国国技館において、切り札カードのひとつであるレスナー vs 曙戦を行ったが、観客数は主催者発表ですら7,500人という結果であった。レスナーは新日本の掲げる「世界戦略」の中核に据えられていたが、日本国内では動員に結びついておらず、数名のレスラーを海外団体に出場させる以外の具体的な海外戦略は行われなかった。
数あるプロレス会場の中で、最も客入りが容易とされているのが、プロレスの聖地などと呼ばれる後楽園ホール(客席数は1,600人+立見200人程度)であるが、2004年頃よりこの後楽園ホールでも1,000人を割ったり、満員マークが付けられても空席が目立ったりと、首都圏の興行も苦戦する状況が続いている。
愛知県体育館神戸ワールド記念ホールなどの大会場でもある程度は集客出来ているものの、それ以外の地方の大会場(大阪府立体育会館第一福岡国際センター)などではキャパシティに合った観客数を集めることが出来ておらず、地方巡業では数百人を集めるのも苦しい状況となっており、テレビ中継の行われる会場では空席を暗幕で隠したり、照明が客席に当たらない様にするなど配慮している。2006年の両国国技館におけるG1 CLIMAX決勝は観客席を暗幕で覆って開放客席を減らしていたものの、何故か主催者発表の観客数は11,000人(満員)であった。
会場の熱気を高めるため、業務提携を行っている横浜・F・マリノスのサポーターを招き、異なる応援方法を試みた。廃止されたと思われたもののLOCK UP第1回興行において「(選手名)Come On!」などのサッカー方式に準じたかけ声で応援する観客が見られた。
収入源の偏重化
スポンサーへの働きかけはより強化される方向にある。サイモン猪木社長は会場内で、広告スペースを設置することを発表した。地方興行でアクセサリショップがスペースを設置し、個人情報と交換でアクセサリを進呈するなどの活動が見られている。
試合内容
前述のレスナーvs曙戦は、サイモン猪木社長は「21世紀のハルク・ホーガンvsアンドレ・ザ・ジャイアント」と絶賛し、長州や藤波らも称えたが、マスコミの評価はそれほどでもなく、観客側との乖離が見られる。。
2006年3月末、シンプルな競技性に特化した「LOCK UP」と、エンターテインメント性を強調した「WRESTLE LAND」の2つの単発興行シリーズを開始した。「WRESTLE LAND」は、全日本プロレスから復帰した渡辺秀幸の管轄で行われているが、過去のキャラクターやヒール軍団「魔界倶楽部」の再利用が中心となっている。詳細はWRESTLE LANDの項を参照とのこと。「LOCK UP」はWJプロレス崩壊後の受け皿団体であるリキプロが中心となって開催されており、カードや内容はリキプロの興行を踏襲している(新木場1st.RINGなどの小規模会場で行われており、リング自体は会場備え付けのものを使用するが、リングマットやエプロンコーナーターンバックルはリキプロのものを使用している)。現場監督の長州力がWJ在籍時に作成していたブランド名でもあることから余剰グッズの再利用をはかる意味合いもあったのではと言われる。
いろいろ問題はあるものの、CTU2周年興行(後楽園ホール)は満員の観客を集め、ファンの満足度も高い、盛り上がった興行となった。またユークスの経営指標発表(2006年10月)をきっかけとして、所属選手同士の試合内容そのものが充実してきていると雑誌に書かれるようになってきた。
企業体質
対抗戦や異種格闘技戦などの大ヒット(企画)を狙う体質が維持されている。レスナーIWGP王者路線は、レスナーが他団体(FEG系イベント)への参加表明をしたことと、王座剥奪のため頓挫した。また、レスナーは団体のトップとされる王者であるにも関わらず、グッズが製作・販売されなかった。
2006年7月17日に北海道・月寒グリーンドームにて行われる予定だったIWGPヘビー級選手権試合が、契約上の問題で王者のレスナーのビザが取得できずタイトルマッチが中止された。代替策としてレスナーの王座を剥奪し、新王者決定トーナメントが行われた。カード変更のため、チケットの払い戻しが行われた。興行ビジネスにおいて主催者の不手際で払い戻しが発生する際は、遠隔地からの来場者を想定し、郵送でも受付を行うのが普通であるが現場に来た観客のみ払い戻すという発表を行った。:とりあえず関東地域でのテレビ放送では、テロップによるタイトルマッチ中止の告知がされた。
その後、サイモン猪木社長は一時はレスナーに対し訴訟を起こすことの検討と絶縁をほのめかしたものの、数日後には復縁をほのめかす発言をした。そして、深刻な負債を抱えているにも関わらず、数千万円を投じて新しいベルトを作ることを示唆した。また、永田裕志もレスナーが持ち去ったベルトを(具体的手段は述べずに)取り戻し、現王者の棚橋と統一戦をすると発言した。
定期的にマスコミを通じて「仰天プラン」を発表するが、その後実現されることは稀である。
新日本プロレスの「仰天プラン」を率先して記事にし続けてきた週刊ファイトが2006年に休刊された。

[編集] ノアとの絶縁

2005年5月、サイモン猪木が社長就任記者会見で「ノアとの交流は白紙に戻す」と発言。2005年7月を最後に両団体の交流はない。 ノアとの絶縁は親会社のユークスにも影響を与えた。ユークスは自社製品のプロレスゲームにノアの選手を実名登場させているが、PS2用『レッスルキングダム』以降、その登場が無くなる。これはノアが、一方的な提携破棄を行った新日本の親会社への協力は企業倫理上出来ないと発表したためである。

アントニオ猪木の傀儡社長・サイモン
上記のような危機的状況にも関わらず、サイモン猪木社長は、義父アントニオ猪木の傀儡同然であり、悉く猪木の発案に賛意を表明し、その都度、新日本プロレスの財務と信頼性を大きく低下させている。上述したようなノアとの絶縁発言やバングラデシュ興行(ユークス介入により白紙撤回)、LA道場やイノキ・ゲノムがそれである。本人のビジネス能力・経験もさることながら、社内での弱い立場を猪木の威光で補っているという事情も影響している。また、社長という立場でありながら未だにLA在住であり、特別な用事がない限り、日本には滞在していない。蝶野正洋との抗争アングルとして発展させている。

[編集] 人気回復?とドーム大会開催

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  • 2006年前半は低迷が続いていたがG1決勝の両国大会以降は観客数やパンフレットの売れ行きが回復。レッスルランドなども回を重ねるごとに観客動員数の発表数値があがってきている。11月のG1タッグリーグ決勝決定戦の後楽園ホール大会では観客数1800人(超満員札止め)やパンフレット売り切れなど熱気が戻りつつあるとも言われる。毎年行ってきた1・4東京ドーム大会は2006年で最後という噂もあった(事実2006年ドーム興行はラストという事で集客していた)が2007年も開催する予定となった。アントニオ猪木の介入を阻止し、当団体としては珍しくカード編成もスムーズに決まっている点はユークスが乗り出した効果が出たとも判断できる。
  • 1月4日の東京ドームでは大会当日に70分枠の特番が決定。

[編集] タイトルホルダー

新日本プロレスが管轄するチャンピオンベルトの保持者(2006年11月6日現在)


[編集] 新日本管轄外ベルト保持者

[編集] 全所属選手+主要参戦選手

[編集] ヘビー級

正規軍

反正規軍

GBH(グレート・バッシュ・ヒール)

50音順

[編集] ジュニア・ヘビー級

本隊

C.T.U

50音順

[編集] ヤングライオン

入門順

[編集] 闘魂クラブ(アマレス、格闘技部門)

[編集] レフェリー

  • 田山正雄
  • レッドシューズ海野
  • マーティー浅見
インターナショナル・コーディネーター
  • タイガー服部 (現在は新日本所属ではない)

[編集] リングアナウンサー

  • 塩脇利昌

[編集] 他団体・フリー参戦選手

リキプロ

その他フリー、外国人

[編集] 歴代社長

[編集] 引退・退団選手

一部を除き50音順

[編集] 試合中継

テレビ朝日系列を始め、複数の局で放送している。また、インターネットでの試合配信も行っている。

  • ワールドプロレスリング(テレビ朝日)
  • 闘魂スーパーバトル(BS朝日)
  • ワールドプロレスリング 不滅の闘魂伝説(Sky・A)
  • 新日本プロレスS.X.W(J Sports)
  • 新日本プロレス中継(Fighting TV サムライ)

[編集] 1990年代以降の主なマット広告スポンサー

同社は日本のプロレス団体として、格闘技団体としても先駆けてスポンサーを多数付け、その収入で賄う方法をとっていた(後の無理に乱発するドーム大会などは、スポンサーとの契約が原因のひとつに挙げられている)。

その他
  • 佐川急便(前会長が元筆頭株主)
  • プロミス(2005年までG1筆頭スポンサー兼新日本有力スポンサー。現在は撤退)
  • avex group(現在の大会スポンサー)
  • インデックス

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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