阪急6300系電車
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阪急6300系電車(はんきゅう6300けいでんしゃ)は、阪急電鉄の通勤形電車(特急車)である。
京都線の特急運用に充当するために設計・建造した車両である。派生番台である6330形とあわせて8両編成9本計72両が在籍している。
阪急6300系電車 | |
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阪急6300系(南茨木駅付近で撮影) | |
起動加速度 | 2.8km/h/s |
営業最高速度 | 110km/h |
設計最高速度 | |
減速度 | 3.7km/h/s(通常) 4.2km/h/s(非常) |
車両定員 | |
編成定員 | 728(立席)+432(座席)=1160 |
全長 | 19,000mm |
全幅 | 2,800mm |
全高 | 3,630mm |
車両重量 | |
編成重量 | 253.4 |
軌間 | 1,435mm |
電気方式 | 直流1,500V(架空電車線方式) |
駆動装置 | |
モーター出力 | |
編成出力 | 140kW×16=2240KW |
歯車比 | |
制御装置 | 直並列抵抗制御 界磁チョッパ制御(6330F) |
ブレーキ方式 | |
保安装置 | |
備考 |
目次 |
[編集] 概要
2800系の置き換えに伴い、当時の標準的な車両であった5300系の足回りを元に1975年(昭和50年)から1978年までに8両編成8本64両が建造された。
車体は2扉としたが2800系と異なり扉を両端に寄せ、側窓は2800系同様の2連式の一段下降窓として特急車としての風格を持たせた。運転台の直後にはHのイニシャルマークが取り付けられた。また、車体の塗装は、マルーン1色から屋根に近い部分にアイボリーを入れて差別化を図った(のちに8000系にも採用され、その他の更新車なども同様の塗装となった)。前面は貫通扉~前照灯や標識灯回りを飾り付きとして同様に区別した。また、方向幕装置も取り付けられている。運転台はマスコンとブレーキハンドルを一体化したワンハンドル式が採用された。
1984年(昭和59年)には高槻市駅・茨木市駅付近の高架工事による徐行運転のために所要時間が延び、運用本数が1本多く必要になったことから、さらに8両編成1本(6330F)を建造している。
1980年代前半まで大宮駅、西院駅のホーム有効長が7両分しかなかったため、ドアカットスイッチが設けられていた。このドアカットは梅田寄り先頭車のみで、ホーム延伸の際に装置は撤去されている。ドアカットを実施していた頃は、梅田寄り先頭車の扉の戸袋部分にドアカットする旨を表示したステッカーが貼られていた。これは2006年現行の「携帯電話電源オフ車両」のステッカーより一回り大きいサイズである。
2002年(平成14年)には国土交通省によるモデル調査を受け入れる形で、梅田方から5両目の車両(5号車)を女性専用車両として設定。以降、阪急電鉄では本系列のみに女性専用車両を設定して運行している。
初期車の登場から2006年時点で既に30年以上が経過しており、特急に優先的に使用しているため陳腐化が目立ってきている。またこの30年で京都線を取り巻く環境も変化しており、京阪間ノンストップ運用をしていた時代と比べて停車駅が倍増しているが、2扉車のため乗降に時間がかかり、しばしば遅延の原因となっている。このような理由で2003年(平成15年)10月に登場した9300系では、扉間にクロスシートを採用したが3扉となっている。
[編集] 内装
主に特急で使用されることから、運転室直後の2人掛けロングシート以外は全席クロスシートとしている。クロスシートは扉に接する部分以外は全て転換式で、終点での折返しの際には運転室のスイッチ操作で一斉転換が可能である。このため駅に掲示されている時刻表やポケット時刻表には2扉車である旨(◆印)の記載がある。また、ラッシュ時以外は扉部分に設けられた補助席を使用できるようになっている。 座席表地は一般車と同じゴールデンオリーブ(緑)色であるが、段織モケットとして差別化を図った。クロスシートにはレザーのカバーが掛かる。シートの袖はデコラ張りとしたが、6330系はモケット張りに変更した。
登場当時は車内に吊り広告がなかったが、現在は他の車両同様にある。 1987年(昭和62年)に河原町寄り先頭車(8号車・6450形、6430形)にカード式の公衆電話が設けられた。特別料金不要の列車に使用される車両としては日本初である。
[編集] 足回り
電動機出力140kw、抵抗制御・電気指令式ブレーキは5300系と共通で、車体は普通鋼製。6330形のみ7300系と同一の界磁チョッパ制御を採用し、電動機出力も150kWとなっている。いずれも東洋電機製造製。6300系と6330形では車両間貫通扉窓の大型化、冷房吹き出しグリルの連続化そしてパンタグラフが先頭車にもついているなどの違いがある。 余談だが6356Fと6357Fに組み込まれるC#6816とC#6817は搭載しているパンタグラフのシューが3000系と似たもの(シューの先端がくっついて1本となる形態)となっている(それ以外の6300系のパンタシューはすべて通常の形態である)。
[編集] 内外装
- 車体寸法は19000mm×2800mmで阪急最大の車両。神宝線と堺筋線には乗り入れできない。
- 電動機出力140kw、抵抗制御・電気指令式ブレーキは5300系と共通である。
- 前面は同時期に建造した2200系と同一形状に尾灯・標識灯部にステンレス製飾り帯を配している。
- 運転台にワンハンドルマスコンを採用しているのも2200系と同様である。
- 車体塗装はマルーンに、屋根部分をクリーム色にしたツートンである。これは8000・8300系にも採用され、後に6000系、7000・7300系もこの塗装に変更した。
[編集] 運用
京都本線専用車両で昼間時は特急の運用に運用され朝夕は快速特急(平日は夕方のみ)平日朝は通勤特急に運用される。ラッシュ前後や早朝・深夜には快速急行・普通に運用される。
[編集] 今後の動向
本系列は特急専用として長年走り続けたため、ほぼ同時期に登場した5300系よりも傷みが激しいと言われており、21世紀初頭になると故障による他系列編成での代走もしばしば見受けられるようになった。また、登場時から更新工事が一度も行われていないことなどから、本来なら新型車両による置き換え時期が迫っていると言える(9300系は通勤電車としての性格も兼ね備えたコンセプトで設計されているため、6300系の置き換えには不向きとも言われている)。
しかし、阪急の経営事情の厳しさから、他の同世代の車両同様に更新工事で暫く乗り切るという見方もあり(6300系より高齢で一編成のみ残存の京阪3000系は既にその工事を受けている)、その去就が注目されている。
[編集] 関連商品
KATOからNゲージ鉄道模型として製品化されている。阪急のNゲージ鉄道模型で、2006年現在市販されている製品では唯一の完成品である。但しこの模型には現在の形態-運転席後部小窓はない。
その他、スルッとKANSAIの企画で多くの製品がグッズとして発売されているが、ほとんどの製品が完売している。2006年8月26日にはBトレインショーティーが発売された。
阪急電鉄の車両 |
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現用車両 |
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過去の車両 |
神戸線・宝塚線:5200系・2200系・2100系・2021系・1200系・1100系・1010系・1000形・810系・800系・610系 550形・920系・900形・600形・500形・380形・320形・300形・98形・96形・90形・51形・34形・1形 京都線:2800系・1300系・1600系・710系・210系・700系・200形・100形(P-6)・10形(P-4・P-5) |
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