門田博光

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

門田 博光（かどた ひろみつ、1948年2月26日 - ）は、山口県小野田市生まれ、奈良県五條市育ちのプロ野球選手（外野手、指名打者）。左投げ左打ち。現役時代は南海・ダイエー、オリックスで活躍した。40歳を超えても活躍した数少ない選手。

目次 1 来歴・人物 2 エピソード 3 背番号 4 打撃成績 5 タイトル・記録・表彰 6 関連項目 7 脚注

[編集] 来歴・人物

天理高校から社会人野球チームクラレ岡山を経て、1969年のドラフト2位で南海から指名され、1970年入団（前年のドラフトでは阪急ブレーブスから12位で指名を受けていたが、入団を拒否している）。

1年目から頭角を現し2年目の1971年にレギュラー定着。打率3割、31本塁打、120打点を記録して打点王。同年に打撃フォームを、王貞治を参考にした一本足打法に改造。俊足・強肩・好打の中距離打者として中軸を打っていたが、1979年2月のキャンプで右足のアキレス腱を断裂。ほぼ1シーズンを棒に振るがその年9月に代打で登場しファンを喜ばせた。1980年に復活。同年41本塁打を放つと翌1981年は44本塁打で初の本塁打王に輝く。アキレス腱断裂後の脚の遅さを補うため、全打席本塁打狙いに近いほど徹底的に長打にこだわった打撃が花開いた（「ホームランの当たり損ねがヒット」と述べた。また「ホームラン狙いをやめれば4割打てる」とも述べている）。

怪我からの復帰後は脚力は大きく衰え数回「ライトゴロ」を記録するほどであった。また基本的に指名打者として出場することがほとんどになった^[1]。1983年も40本塁打で本塁打王。1988年は40歳にして打率.311、44本塁打、125打点で本塁打王、打点王にMVP。^[2]この年限りで消滅の南海での選手生活に花を添えた。40歳を意味する「不惑」という言葉はこの年の流行語にもなった。

1989年に南海はダイエー本社に買収され福岡に移転することになったが、子供のためにこの時点での単身赴任を避けたく、また平和台球場は内外野とも人工芝であったため足腰の負担を考慮して「福岡は遠い。何とか関西に残れないだろうか?」と球団に打診しオリックスに移籍。移籍後も変わらぬ活躍で、ブルーサンダー打線の中核を担った。1991年、子供の進学で単身赴任が可能となる等の家庭環境の変化と、古巣への愛着から福岡に移転していた古巣のダイエーに復帰。二桁に乗せる本塁打数を記録するが年齢による衰えは隠せず1992年夏、記者に「オレは老衰」ともらし、同年現役を引退。引退試合は平和台球場での最終戦、近鉄の野茂英雄投手との対戦で、全て速球をフルスイングで空振りし三球三振だった。

[編集] エピソード

• 趣味は陶芸、油絵など。炭酸飲料が好物。
• 南海時代、野村克也とソリが合わなかったといわれる。選手兼任監督として君臨していた頃の野村が、選手の前で「俺に文句のある奴は手を上げてみろ」と言ったところ、門田一人がするすると手を上げた、との逸話が残っている。しかし、これは不仲を示すエピソードというより、門田の持ち味というべき頑固ぶりがよく現れたエピソードととらえるべきだろう。内心では野村は門田の実力を大いに認め（最初に門田を見出したのも野村である）、門田も従うべきところでは従っていたようだ。
• 大阪球場にはベンチに水道と鏡があり、左打者の門田は「鏡の中の左打者」野村克也の打撃フォームを熱心に観察・研究していたという。
• 現役時代はマスコミとの接触をあまり好まなかった。特に、普段は見向きもしないのに記録がかかると大挙して押し寄せて来る東京のマスコミを嫌っていた。
• 無理にパワーをつけようとして過度の食事を摂った事で、現役時代から門田は体調不良に悩まされた。ある日自宅で休養していたところ、突然脈拍が乱れ、体温が急速に下がっていくのを感じた。はいつくばりながら門田は外に出て、太陽を浴びると何とか持ち直した。「あの時晴れていなければ、自分は死んでいただろう」と門田は述懐している。2006年現在も糖尿病のため療養中である。
• 来歴・人物欄にあるアキレス腱断裂の際、チームに担架が用意されておらず、門田は戸板に乗せられて搬送された。南海の貧乏ぶりを示す悲しい逸話である。
• オリックス時代に平和台球場での試合で、福岡のファンからオリックスに移籍し福岡に来なかったことに対して、博多弁で「なんばしょっか」と野次られたが、本人は「難波のショッカー」に聞こえ、また「帰れ！」コールにはホークスに帰ってこいの意味と思い込み、福岡のファンは自分を応援してくれてるんだと感動したという。
• オリックス移籍1年目の1989年、本塁打を打ち、出迎えを受けた際、ブーマーから怪力のハイタッチを浴びて腕を脱臼、シーズン終盤であったために残りの半月を棒に振る、というアクシデントに見舞われる。この年は近鉄・西武とオリックスが最後まで競り合った末、近鉄が優勝したが、このハプニングがなければ違った結果が出ていたかもしれない、と評する者も多い。
• 現役引退後の1993年1月26日放送のテレビドラマ「ホテルドクター」（ABC制作、テレビ朝日系）の第3話にラーメン屋台の主人役でゲスト出演した。
• 広島市のお好み村に、広島風お好み焼き店を出していたことがある。
• 野球用語の使い方に強いこだわりを持っている人物である。打点は「RBI」、犠牲バントは「サクリファイスバント」…等々、原語の野球用語を使うことを心がけていた。しかし、ドーム球場に対して屋根の付いていない球場のことを「ナチュラル球場」と呼ぶなど、長嶋英語に匹敵する単語も解説の際しばしば飛び出した。
• 2005年まで朝日放送(ABC)の野球解説者を務めた。2006年、野球殿堂入り。7月21日に神宮球場でのオールスターゲーム第1戦で行われた野球殿堂入り表彰式に、病気療養中ながら姿を見せている。
• グレープフルーツと共にゆで卵を摂取するデンマーク式ダイエットをオリックス時代に用いた事（平成時代の初期）があった。

（"http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%84" より作成）

[編集] 背番号

• 27（1970年～1979年）
• 44（1980年～1982年）
• 60（1983年～1988年）（以上南海ホークス）
• 78（1989年～1990年）（オリックスブレーブス）
• 53（1991年～1992年）（福岡ダイエーホークス）

[編集] 打撃成績

• 通算試合　2571試合　
• 通算打率　.289
• 通算安打　2566本（歴代4位）
• 通算本塁打　567本（歴代3位）
• 通算打点　1678打点（歴代3位）
• 通算盗塁　51盗塁
• 通算犠打　6個
• 通算犠飛　95本（歴代4位）
• 通算四球　1273個（歴代4位）
• 通算死球　62個
• 通算三振　1520個（歴代5位）
• 通算併殺打　164個

[編集] タイトル・記録・表彰

• 本塁打王　3回（1981、1983、1988）
• 打点王　2回（1971、1988）
• 最高出塁率　3回（1981、1987～1988）
• MVP　1回（1988）
• ベストナイン　7回（1971、1976～1977、1981、1983、1988～1989）
• オールスターゲーム選出　14回（1972、1975～1977、1980～1984、1987～1991）
• 正力松太郎賞　1回（1988）

• 月間ホームラン16本(1981年7月・プロ野球記録)

[編集] 関連項目

• 奈良県出身の有名人一覧
• 広瀬叔功
• ドン・ブレイザー
• 穴吹義雄
• 杉浦忠
• 田淵幸一
• 上田利治

[編集] 脚注

1. ↑ 南海時代末期に加藤英司がDHに入ったり、オリックス時代、ブーマーか石嶺がDHに入って門田が守備に付くこともあったが、守備範囲は相当狭いものの捕れる範囲の打球は無難に処理した。
2. ↑ 40歳44本塁打は日本初の快挙。メジャーリーグではバリー・ボンズの45本塁打が最高である。ただしボンズには薬物疑惑がある。

年度	年齢	チーム	背番号	試合	打席	安打	本塁打	打点	盗塁	三振	四死球	打率
1970年	22	南海	27	79	232	58	8	31	2	39	12	.250
1971年	23	南海	27	129	506	152	31	120	5	58	45	.300
1972年	24	南海	27	125	475	147	14	58	4	37	48	.309
1973年	25	南海	27	127	484	150	18	65	3	43	44	.310
1974年	26	南海	27	124	432	116	27	76	1	59	48	.269
1975年	27	南海	27	129	485	136	19	85	6	49	59	.280
1976年	28	南海	27	125	456	137	22	77	2	51	56	.300
1977年	29	南海	27	128	479	150	25	91	5	72	56	.313
1978年	30	南海	27	106	360	90	15	44	3	59	44	.250
1979年	31	南海	27	19	54	15	2	17	0	15	8	.278
1980年	32	南海	44	111	377	110	41	84	0	72	51	.292
1981年	33	南海	44	127	438	137	44	105	4	70	94	.313
1982年	34	南海	44	107	333	91	19	45	6	63	55	.273
1983年	35	南海	60	122	396	116	40	96	1	86	89	.293
1984年	36	南海	60	108	362	103	30	78	3	75	77	.285
1985年	37	南海	60	114	383	104	23	62	0	88	79	.272
1986年	38	南海	60	123	416	109	25	77	2	101	62	.262
1987年	39	南海	60	126	379	120	31	69	1	66	76	.317
1988年	40	南海	60	130	447	139	44	125	2	82	100	.311
1989年	41	オリックス	78	116	406	124	33	93	0	103	80	.305
1990年	42	オリックス	78	119	446	125	31	91	0	118	79	.280
1991年	43	ダイエー	53	112	367	97	18	66	1	77	55	.264
1992年	44	ダイエー	53	65	155	40	7	23	0	37	21	.258
				2571	8868	2566	567	1678	51	1520	1335	.289