鋼の錬金術師 (アニメ)
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鋼の錬金術師 | |
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ジャンル | アクション、 |
テレビアニメ | |
監督 | 水島精二 |
アニメーション制作 | ボンズ |
製作 | 毎日放送 アニプレックス ボンズ |
放送局 | 東京放送(TBS) アニマックス (Animax) |
放送期間 | 2003年10月4日 - 2004年10月2日 |
話数 | 全51話 |
鋼の錬金術師 (アニメ)では、漫画「鋼の錬金術師」を原作とした、テレビアニメ版について詳細に解説する。
目次 |
[編集] 概要
2003年10月4日- 2004年10月2日、毎日放送(MBS)ボンズ などが制作、東京放送(TBS)系列(JNN)で毎週土曜日夕方6:00~放送(全51話)。いわゆる土6アニメの第2弾と位置づけられる。最終回後、物語は劇場版『シャンバラを征く者』へと続いた。2005年4月からは一部地域で深夜に再放送がスタートした。ただ、最終話までは放送せず、第25話で終了している(2006年1月現在では、静岡放送・中部日本放送で放送されている)。CS放送局アニマックスでも定期的に放送されている。
また、完全にオリジナルとして作られた劇場版の観客動員人数が100 万人とアニメでは異例とも言える好成績を残し、近年のアニメとは比較にならない程の受賞歴等の多さから「原作から独立したアニメ」として近年稀に見る高い人気を博した事は確かである。
[編集] 評価
通常放送中の最高視聴率は16%を超えるなど、近年のアニメ番組としては高い視聴率を獲得した。2004年東京国際アニメフェアで、テレビ部門の優秀作品賞受賞。他にも脚本賞と声優賞を受賞している。更に歴代OP曲とED曲を網羅したアルバムが、第19回ゴールドディスク賞アニメーションオブ・ザ・イヤーを受賞。
2004年10月よりアメリカ合衆国のCARTOON NETWORKにおいて『FULLMETAL ALCHEMIST』のタイトルで放送。平成17年度文化庁メディア芸術祭において311作品中13作品にしか選ばれない「審査委員推薦賞」を受賞。他にも第9回アニメーション神戸で「テレビ部門作品賞」を受賞。漫画は手塚治虫漫画大賞にノミネートされた。
2005年にテレビ朝日で放送された『日本全国徹底調査!好きなアニメランキング100』で、総合ランキング20位、インターネット投票のみでは、2位のガンダムを1000票以上離して1位を獲得した。
[編集] ストーリー
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
舞台は錬金術が科学として発達した世界にある軍事国家「アメストリス」。鋼の右腕と左脚を持つ天才錬金術師のエドワード・エルリック(通称エド)と、全身鎧を纏うその弟のアルフォンス・エルリック(通称アル)の二人は強大な力をもつという伝説上の品「賢者の石」を探して旅を続けていた。
幼い頃から共に卓越した錬金術の才能を持っていたエドとアルは、幼少期に亡くなった母を錬金術で禁忌とされている人体錬成によって蘇らせようと試み、失敗した。兄エドワードはその代償として自身の左脚を失い、そして弟アルフォンスは身体全てを奪われ、死の淵へ誘われようとしていた。その間際、エドは自らの右腕を代償にしてアルの魂をその場にあった鎧に定着させ、なんとか彼を死から救うが、二人が失ったものはあまりにも大きかった。
その後、国家錬金術師になれば失われた身体を取り戻す方法を見つけられるかもしれない…そんな話を聞いたエドは、オートメイル(機械鎧)の義手と義足を幼馴染みで現在機械鎧技師であるウィンリィ・ロックベルと、エルリック兄弟の母親が死んでから2人の面倒を見てくれていた同じく機械鎧技師でウィンリィの祖母であるピナコ・ロックベルに身に着けてもらい、国家錬金術師の試験を受けに行く。錬成陣を描かずに錬金術を行えるという能力を得ていた(これは、人体錬成をした時に現れる「門」の向こうを見たものだけが成せる技。後に2人の師匠となるイズミ・カーティスも、エドと同様の出来事を体験しており、錬成陣なしで錬成する事が出来る)。エドは国家錬金術師の資格を見事に最年少記録にて取得する。軍属となり、大総統キング・ブラッドレイの命により、称号「鋼」を手にしたエドは、故郷を捨てアルを伴って身体を取り戻す手段を探すための長い旅へと出た。
そしてエドとアルは、錬金術の法則を超える力を発揮するという「賢者の石」の噂を聞く。賢者の石とは、それを使えば錬金術師は等価交換の法則にとらわれる事は無く、何かを得るために同等の代価を支払う必要が無くなる、錬金術の常識を覆す物質である。エドとアルは、その石を使って自分たちの本当の体を取り戻そうとする。皮肉な事に、それも理論的には人体錬成という事になるはずなのに…。しかし、賢者の石の研究を進めていくにつれて驚くべき事が発覚する。それは、「賢者の石の精製には、大量の人間の命が必要」という事であった。絶望にくれる2人であったがエドは、人間が人体錬成をした時に作られる不死の体をもったホムンクルス(ホムンクルスは、成長の過程で人間の命が何百と詰まった「赤い石」を食べ、食べた分だけの命を手に入れる)の作戦で、賢者の石の精製に挑戦しようとするが、アルの言葉を聞いて諦める。
人命を使わずに賢者の石を精製する方法を探すうちに、ホムンクルスの策略でアルの鎧の中、つまりアルそのものが賢者の石として錬成されてしまう。エドとアルと同じく賢者の石を求めるホムンクルス、ラスト。顔や体を自在に変えることが出来、エドとアルの父親、光のホーエンハイムに造られたホムンクルス、エンヴィー。何でも食べてしまう口と万人ならぬ巨体の持ち主、グラトニー。130年もの間封印され人間から錬成された合成獣(キメラ)4体を味方につけたホムンクルス、グリード。軍の最高司令者であるホムンクルス、大総統キング・ブラッドレイ。エドとアルの師匠、イズミが造り、エドが代償として失ったはずの右腕と左脚を身につけているホムンクルス、ラース。そして…、エドとアルが造った、体を液体状に変えることが出来るホムンクルス、スロウス。 たくさんの苦難を乗り越え、エドとアルは本当の体を取り戻す事が出来るのか…。
なお、作中で用いられる錬金術は(エルリック兄弟曰く)「等価交換」の原則に従っており、何かを得るためにはそれと同等の代価を必要とする。1の質量のものからは1のものしか生み出せないという事である。錬金術とは物質の内なる法則、流れを理解し、分解し、再構築する科学技術ということで成り立っている。 この「等価交換」の思想は作中の重要なテーマでもあり、実際には過程に生じる熱量や摩擦力等については、物語の結末近くで並行世界からのエネルギーであると明かされる。
[編集] 原作との主な相違点
登場人物の設定などの相違点については鋼の錬金術師の登場人物一覧を参照。
- 鉄道ジャック事件、タッカーのキメラ事件、ユースウェル炭鉱のエピソードの時代設定が3年前に変更。
- リオールの町の住民がイシュヴァール系となっている。
- エルリック兄弟の修行時代や国家錬金術師試験、イシュヴァールの内乱など企画段階に原作でまだ描かれていなかった部分のエピソードはストーリーが大きく異なるか、もしくは完全オリジナル。
- エドの誕生日がヒューズの娘エリシアと同日となっている。またそのためエドは物語中誕生日を迎え16歳になっている。
- 賢者の石について「特定の形状はない」と解釈されスカーの右腕や終盤のアルの鎧なども賢者の石とされた。原作登場のものは「紅い石」とよばれる。
- 本作の「等価交換」の矛盾点とされてきたエネルギー保存則の問題を並行世界の概念を用いて説明している。二つの世界の間には並行世界で死んだ人間の生命エネルギーが蓄積されており、アニメ版の錬金術はそれを利用する術となっている。この「錬金術のエネルギー=命」は原作の「賢者の石の材料は生きた人間」という設定を踏まえたものでもある。またこの世の摂理としての「等価交換」も明確に否定されている。
- 上記の設定を受けて「真理の扉」も平行世界の狭間が開かれたものとされており、「真理」とはその中に蓄積された二つの世界の現在・過去・未来の情報(イズミいわく「手品のタネ」)。
[編集] スタッフ
- 原作:荒川弘
- 企画:竹田菁滋(毎日放送)、田口浩司(スクウェア・エニックス)、勝股英夫(アニプレックス)、高橋俊博(毎日放送・14話より)
- ストーリーエディター:會川昇
- 脚本:會川昇、高山カツヒコ、高橋ナツコ、大和屋暁、井上敏樹、石川学、吉永亜矢
- 音楽:大島ミチル
- キャラクターデザイン:伊藤嘉之
- メインアニメーター:杉浦幸次→富岡隆司
- プロダクションデザイン:荒牧伸志
- 美術デザイン:成田偉保
- キメラデザイン:石垣純哉
- 美術監督:橋本和幸
- 色彩設計:中山しほ子
- 撮影監督:福士享
- 音響監督:三間雅文
- 音楽製作:アニプレックス
- プロデューサー:南雅彦(ボンズ)、丸山博雄(毎日放送)、大山良(アニプレックス)
- 監督:水島精二
- 製作:毎日放送、アニプレックス、ボンズ
[編集] 声の出演
- エドワード・エルリック/アームストロングの母:朴璐美
- アルフォンス・エルリック/キャスリン・エル・アームストロング:釘宮理恵
- ウィンリィ・ロックベル:豊口めぐみ
- ロイ・マスタング/ビドー:大川透
- マース・ヒューズ:藤原啓治
- アレックス・ルイ・アームストロング:内海賢二
- リザ・ホークアイ:根谷美智子
- ジャン・ハボック/ドルチェット:松本保典
- ヴァトー・ファルマン:室園丈裕
- ハイマンス・ブレダ:志村知幸
- ケイン・フュリー:白鳥哲
- マリア・ロス:斎賀みつき
- デニー・ブロッシュ:原田正夫
- ラスト:佐藤ゆうこ
- グラトニー:高戸靖広
- エンヴィー:山口眞弓
- ラース:水樹奈々
- グリード:諏訪部順一
- スロウス/トリシャ・エルリック:鷹森淑乃
- キング・ブラッドレイ(プライド):柴田秀勝
- スカー:置鮎龍太郎
- ダンテ:杉山佳寿子
- ヴァン・ホーエンハイム:江原正士
- ピナコ・ロックベル:麻生美代子
- イズミ・カーティス:津田匠子
- シグ・カーティス:佐々木誠二
- メイスン:園部啓一
- フランク・アーチャー:速水奨
- ゾルフ・J・キンブリー/ロア:うえだゆうじ
- バスク・グラン:青森伸
- ハクロ:堀川仁
- ヨキ:矢尾一樹
- ライラ/ダンテ:かかずゆみ
- ロゼ・トーマス:桑島法子
- グレイシア・ヒューズ:三石琴乃
- エリシア・ヒューズ:吉田真弓
- シェスカ:若林直美
- コーネロ:有本欽隆
- バルド:石井康嗣
- ショウ・タッカー:永井誠
- ニーナ・タッカー:こおろぎさとみ
- ホーリング:中田譲治
- カヤル:川上とも子
- ナッシュ・トリンガム:田中秀幸
- ラッセル・トリンガム:岡野浩介
- フレッチャー・トリンガム:荒川美奈子
- ティム・マルコー:戸谷公次
- ナンバー66(バリー・ザ・チョッパー):伊藤健太郎
- ナンバー48(スライサー兄):大滝進矢
- ナンバー48(スライサー弟):坂口候一
- 傷の男の兄:水島裕
- リック:川崎恵理子
- 長老:丸山詠二
- 傷の男の師父:藤本譲
- パニーニャ:氷上恭子
- ドミニク・レコルト:郷里大輔
- マーテル:笠原留美
- セリム・ブラッドレイ:津村まこと
[編集] 主題歌
- オープニングテーマ
- エンディングテーマ
- 『消せない罪』/北出菜奈
- 『扉の向こうへ』/YeLLOW Generation
- 『Motherland』/Crystal Kay
- 『I Will』/Sowelu
- 挿入歌
・『別れの曲』/フレデリック・ショパン 最終話でのみ流れた。
・『運命』/ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン第50話「死」で流された。
オープニング・エンディング曲は全てソニーミュージック所属のアーティストであり、全曲オリコントップ10入りを果たしている。中でも『メリッサ』と『READY STEADY GO』はそれぞれオリコン初登場1位で50万枚以上のセールスを記録した。また、2004年9月にANIPLEXから発売された『鋼の錬金術師 THE COMPLETE BEST』はオリコンチャートアルバム部門で初登場で1位となった。スポンサーであるソニーミュージックと子会社・ANIPLEXの商売魂が生かされているといえる。
[編集] サブタイトル
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[編集] 放送当時のネット局
- 同時ネット
HBC、ATV(2004年4月以降)、IBC、TBC、TUY、TUF、TBS、UTY、BSN、TUT、MBS(製作局)、BSS、TYS、 ITV、KUTV、RKB、NBC、RKK、 OBS、MRT、RBC
- 遅れネット(CBCのみ17:00-17:30、それ以外の局は17:30-18:00に放送)
ATV(2004年3月まで)、SBC、MRO、SBS、CBC、RSK、RCC、MBC
- なお、CBCとRSKは後番組である機動戦士ガンダムSEED DESTINYの途中から同時ネットに移行している(前者は2005年4月2日、後者は2005年3月26日にそれぞれ移行。両局とも移行した日は1週遅れの回と同時ネットの回の2話連続放送だった)。
[編集] ソフト展開
アニメを収録したDVDは全13巻で発売中。2006 年1月25日『劇場版鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』が発売。劇場版DVDは「完全生産限定版」「通常版」「UMD版」の3種類が発売された。「完全生産限定版」は本編ディスクの他、メイキング等を含む映像特典ディスクが付いた3枚組。特典はブックレット1種、カードイラスト10枚、書き下ろしイラストBOX、英語字幕(本編Disk)、メイキング(Disk2)、キャスト座談会(Disk2)、オーディオ・コメンタリー(スタッフ編、キャスト &監督編/Disk3)、TV&劇場用トレーラー(Disk3)。価格は8,925円。品番はANZB 2001。
通常版とUMD版は本編ディスクのみで、価格はどちらも3990円。品番はそれぞれANSB 2001、ANSU 2166。
[編集] OVA
- 鋼の錬金術師 PREMIUM COLLECTION
USJでの「鋼の錬金術師 プレミア・ツアー」で上映されたオリジナル・アニメーションに未公開シーンを加えた完全版とショートストーリー新作3本を含む4本立のDVD。
- 七大ホムンクルスVS国家錬金術師軍団
- 人質(エド・アル・ウィンリィ)をとったホムンクルスと国家錬金術師の戦闘。一部のキャラクターが復活しているなど外伝的な内容。新米の国家錬金術師の目線から描かれている。
SHORT COLLECTION
- 実写篇
- 鋼の錬金術師の実写版。エドを探すアルが東京某所に迷い込んだという内容。
- 宴会篇
- 登場キャラが全員2等身。劇場版の収録後の宴会という設定で、一部のキャラ(エンヴィー、ホークアイ他)の性格が違う。劇場版に登場していないキャラクターも登場している。
- 子供篇
- 幼少期のエド・アル・ウィンリィを思わせる子供たちが、ある大事な人に会いに東京に来たという内容。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
MBS・TBS系 土曜18:00枠(通称“土6”) | ||
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