収入
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収入（しゅうにゅう）とは、ある期間に得たお金の合計額のこと。
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[編集] 概要
「得たお金」の概念が、自営業と雇用者（他人に雇われて、給料をもらっている人。サラリーマンなど）では異なる。
期間については、1ヶ月、1年を基本とすることが多く、それぞれ月収（げっしゅう）、年収（ねんしゅう）と言う。
なお、収入から元手や必要経費を差し引いたものを所得（しょとく）といい、手取額とは異なる。
[編集] 給与所得
収入と所得とは日常ではほぼ同義語として使われるが、所得税法などでは上記のように明確に区別されているが、この区別は必ずしも厳密なものではない。
給与所得者（いわゆるサラリーマン）について見ると、給与、俸給、賞与などから、給与所得額に応じて決まる給与所得控除額を差し引いたものが給与所得とされている。給与所得控除は、給与所得者の必要経費と考えることもできるが、実際に給与所得者が給与を得るのに必要となる背広や靴などの経費に比べ、はるかに控除額が大きいとされている。また、退職金については、退職手当などから勤続年数や手当て額に応じて決まる退職所得控除を差し引き、その残額の二分の一が退職所得とされるなど、収入から必要経費を差し引いたものが所得になっていないものもある。
給与などの収入から、所得税などの税、厚生年金保険料や健康保険などの社会保険料を差し引いたものが可処分所得である。給与所得者の可処分所得の計算では、必要経費にあたる給与所得控除を差し引くことは行われていない。
[編集] 所得（収入）格差
[編集] 雇用形態の変化
近年の日本では、若者のフリーター化、企業の雇用姿勢の変化（正社員の減少、派遣・契約社員、パート労働者など非正社員の増加）、賃金制度の変化（年功序列賃金制から成果主義へ）などの理由によって、所得（収入）格差が広がっているといわれる。社会主義国以上に平等な、世界まれに見る平等国家と言われた日本も、もはや平等ではないのである。OECDの統計[1]によれば1985年から2000年にかけて貧困率が11.9%から15.3%に上昇した。（この貧困率とは、全世帯の年収の中央値の50%に満たない貧困層の割合を指す。）また、厚生労働省の所得再分配調査（2002年調査）によれば、社会保障制度による所得再分配が行われる以前の収入に対象を限ればジニ係数が上昇[2]している。
格差の是正については、正社員のさらなる雇用増や、正社員賃金の抑制・賃下げと非正社員の賃金上昇などが言われている。その一方で、正社員と非正社員では労働時間や責任の重さなどがまったく異なることから、賃金に格差が生じることは資本主義の社会では当然のことであり、その格差を無理に是正しようとするのは不公平だとする見方もある。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングで2004年に生涯賃金について調査した結果、正社員は平均1億6000万円非正社員は平均5250万円となっている。
[編集] その他
他には、性別間での所得格差、地域間での所得格差、世代間での所得格差などがある。
- 世代間での所得格差、しばしばジニ係数の拡大の要因としてすでに退職した者の割合が高い高齢者の世帯の増加が挙げられることがある。しかし、厚生労働省の所得再分配調査によれば、高齢者の場合は年金の給付によって改善が見られたものの、所得格差の指標となるジニ係数は、30代 - 40代の男女では2002年までの15年間で最大約30%上昇し、社会保障などでの改善は見られなかったという。
- 情報格差（デジタル・デバイド）、高度な情報通信技術が発達し、インフラが整備されたIT社会では、パソコンやネットワーク関連の機器の操作が不慣れ、若しくはできない、あるいは機器を購入できない層は経済的に不利な立場に立たされる。これが狭い意味での情報格差だ。もちろん、上記の年齢による世代間格差やインフラの整備具合による地域間格差も、この情報格差をさらに拡大する要因になっている。また、この情報格差は、新たに劇的な収入の二極化を生むことになる。具体的には、インターネットの普及で圧倒的な金額を稼ぐ情報起業家が現れている。また、自社の成功ノウハウを情報商材として販売し、巨額な利益を収めている事業家もいる。
[編集] 収入と結婚
国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、男性の場合、年収が高ければ高いほど既婚率は高く、年収が低ければ低いほど既婚率は低くなる。一方で、女性の場合は年収と既婚率に相関関係はみられない。
女性は結婚相手の条件として「年収」、「学歴」、「職業」、「社会的地位」などを重視する傾向があり、女性のほうが男性よりも経済重視で現実的であるといえる。女性の場合、自分の家庭（両親、とくに父親）の収入が高ければ高いほど、収入の高い男性を求めるという調査結果もあり、多くの女性は、男性への経済的依存傾向がある。
この傾向は、性差別による女性の就労機会の逸失が原因とは断言できず、結婚後の日本の女性の就労に関しては、大都市圏に比べ、仕事も限られている地方のほうが女性の就労率が高いことからすると、女性における就労率の低さは、社会的な機会などの外的要因より、内面的な自立心の弱さ、依存心の強さに由来する可能性もある。
一方で以上の主張は、日本では正社員の長期休業や再就職が困難であるため、女性は結婚・出産などに伴い退職や収入の低い非正規雇用への切り替えを強要されている実態を全く無視したものであるとの指摘もある。
また、内面的な動機と外面的原因が絡んでいるとする意見もあり、子育てと就労の両立には苦労が多いということが、日本女性に男性への依存意識を育てている面もある。男女共同参画政策は、こうした現状を変え、女性も子育てと就労の両立により自己実現と収入の確保を目指せるようにし、あわせて女性も賃労働を通じて社会に参画させようとするものである。
なお、独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査でも、男性の収入が低いと結婚率が低いことを指摘している（参考：労働政策研究報告書No.35「若者就業支援の現状と課題―イギリスにおける支援の展開と日本の若者の実態分析から―）」。
