源泉徴収
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源泉徴収(げんせんちょうしゅう)とは、給与・報酬などの支払者が、給与・報酬などを支払う際にそれから所得税などを差し引いて国などに納付する制度である。
源泉徴収は、広い意味では給与・報酬などの支払の際に所得税や住民税・社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料など)等を差し引いて国などに収めることを言うが、源泉徴収と言えば、通常所得税の源泉徴収のことを指すことが多い。
源泉徴収された所得税の調整については、サラリーマンや公務員などの給与所得者は年末調整、自営業者などは確定申告などの制度がある。
日本では、戦費を効率的に集める目的で、ナチス・ドイツの制度に倣い1940年に給与への源泉徴収が始まった。その徴税効率の高さから、戦後も多くの国で行われている。CBSニュースによれば、アメリカ合衆国でも第二次世界大戦中に導入されたということである。
[編集] 源泉徴収制度の目的
源泉徴収制度の合憲性が争われた事件において、日本の最高裁判所は以下の通り判示した(最大判昭37.2.28刑16.2.212)。
「源泉徴収制度は、これによつて国は税収を確保し、徴税手続を簡便にしてその費用と労力とを節約し得るのみならず、担税者の側においても、申告、納付等に関する煩雑な事務から免がれることができる。また徴収義務者にしても、給与の支払をなす際所得税を天引しその翌月一〇日までにこれを国に納付すればよいのであるから、利するところは全くなしとはいえない。されば源泉徴収制度は、給与所得者に対する所得税の徴収方法として能率的であり、合理的であつて、公共の福祉の要請にこたえるものといわなければならない」
以上の判示から分かるように、源泉徴収制度の目的は、効果的かつ効率的な徴税手続の実現にあるといえる。