光
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光(ひかり)は、電磁波の一種。おもに可視光線のことだが、赤外線・紫外線を含めていうことも多い。 光は波動と粒子の二重性をもち、波動であることを強調する場合は光波、粒子であることを強調する場合は光子と呼ばれる。 光源や観測者の速度にかかわらず「相対速度が変化しない」という特徴を持つ。
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[編集] 光の波動性
波動としての光を光波と呼び、反射・屈折・回折などの現象を起こす。ヤングの干渉実験により光の波動説として証明され、その後マクスウェルらにより光は電磁波であることが示された。厳密にはマクスウェルの方程式で記述されるベクトル波であり偏光を持つが、波動光学では簡略化のためにスカラー波として扱うことが多い。
(光のエネルギーは電場の強度の2乗に比例する) (光の運動量はポインティングベクトルに比例する)
[編集] 光の粒子性
粒子(量子)としての光を光子(光量子)という。光子は電磁場の量子化によって現れる量子の1つで、電磁相互作用を媒介する。ニュートンの光の粒子説によって唱えられた。現在の光子の概念はアインシュタインによって提唱された。
[編集] 粒子説と波動説
「光は粒子か波か?」
これはかつて良く議論された問題である。 なぜならば、光を波として捉えなければ説明のつかない現象(たとえば光の干渉、分光など)が知られていた、と同時に、 光を粒子として捉えなければ説明のつかない現象(光電効果など)も知られていたためである。
この問題に対しては数多くの議論が重ねられてきたが、20世紀前半から後半にかけて「量子力学」という学問分野が確立していく中で、 「光は(粒子)でも(波)でもなく、その両方の性質をあわせ持つ(量子)というものである」という事が確かめられた。 この量子のもつ特異な性質のことを指して、「光は〈粒子性〉と〈波動性〉をあわせ持つ」などと表現することがある。 (量子の詳しい性質については記事:量子を参照) 現在では呼び方として、光の粒子性に重点を置く場合は「光子」、波動性に重点を置く場合には「光波」、 光が粒子と波の二面性を持った量子である、という点に重点をおく場合は光量子と言う。
[編集] 光の性質
性質としては上記の通り粒子性と波動性があり屈折・(全)反射・干渉(ホログラフィ)・回折・偏光(LPL・CPL)などの
- 光は、通常、直進する。 (エウクレイデスの光の直進の法則)
- 凸凹の無い平面鏡に当たった光は、鏡に当たったときと同じ角度で反射する。 (エウクレイデスの光の反射の法則)
- 屈折率の異なる物質の境界面で光の速度が変化する。その結果、境界面への入射角が直角でない場合には、光の進路が変化する。 (屈折)
- 光の屈折の際は、スネルの法則が成立する。
- 光の強さは、光源からの距離に逆2乗する。 (ケプラーの光の逆2乗の法則)
主な物質との関係ではフォトニクスと呼ばれ大別してPhoto(光化学、光物理などの分子場理論)とOpto(光学などの放射場理論)と呼び方が異なり、光物理機能としては励起エネルギー移動や化学発光、電界発光(EL)等、光化学機能としてはフォトレジストや光触媒、光エネルギー変換等、光波機能としては、光ファイバーや近接場光学、コヒーレント分光などがある。
[編集] 光の種類
[編集] 光の理論のタイム・テーブル
- 紀元前4世紀 エウクレイデス(ユークリッド)、光の直進の法則、光の反射の法則を発見。
- 1611年 ヨハネス・ケプラー、光の逆2乗の法則を発見。
- 1637年 デカルトが『屈折光学』で光の屈折反射を論じる。
- ニュートンによる光の分散の実験1704年『光学』出版
- 1690年 ホイヘンス『光についての論考』-ホイヘンスの原理
- レーマーによる光速度の測定
- 1800年頃、トーマス・ヤングの干渉実験
- 1847年 マイケル・ファラデーによる偏光の実験
- 1850年頃、レオン・フーコーやアルマン・フィゾーの光速度の測定
- ウェーバによる電磁波の速度の測定
- マクスウェルの方程式
- 1881年 マイケルソン=モーリーの実験
- 1905年 アインシュタインの「特殊相対性理論」光量子説
- 1958年 チャールズ・タウンズによるレーザーの発明
[編集] 関連項目
- 粒子説
- 波動説
- 光速度 - 光速度不変の原理
- 光学 - 幾何光学 - 量子光学 - 波動光学 - 電磁光学
- 光化学
- 光電効果 - 光量子仮説
- レーザー光
- ルミネセンス(蛍光、燐光)
- コヒーレンス
- 色 - 光の三原色 - スペクトル
- 照明 - 光源
- 光ファイバー - FTTH
- 光 (音楽作品)
- 闇
- 影
[編集] 外部リンク
- AnfoWorld 光と光の記録
- 財団法人 光産業技術振興協会
- 日本光学会
- 光化学協会