アルミニウム
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一般特性 | |||||||||||||||||||
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名称, 記号, 番号 | アルミニウム, Al, 13 | ||||||||||||||||||
分類 | 金属 | ||||||||||||||||||
族, 周期, ブロック | 13 (IIIB), 3 , p | ||||||||||||||||||
密度, 硬度 | 2700 kg/m3, 2.75 | ||||||||||||||||||
色 | 銀色 |
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原子特性 | |||||||||||||||||||
原子量 | 26.9815386 amu | ||||||||||||||||||
原子半径 (計測値) | 125 (118) pm | ||||||||||||||||||
共有結合半径 | 118 pm | ||||||||||||||||||
VDW半径 | データなし | ||||||||||||||||||
電子配置 | [Ne]3s2 3p1 | ||||||||||||||||||
電子殻 | 2, 8, 3 | ||||||||||||||||||
酸化数(酸化物) | 3 (両性酸化物) | ||||||||||||||||||
結晶構造 | 面心立方構造 | ||||||||||||||||||
物理特性 | |||||||||||||||||||
相 | 固体 | ||||||||||||||||||
融点 | 933.47 K (660.2 ℃) | ||||||||||||||||||
沸点 | 2792 K (2060 ℃) | ||||||||||||||||||
モル体積 | 10.00 ×10-3 m3/mol | ||||||||||||||||||
気化熱 | 293.4 kJ/mol | ||||||||||||||||||
融解熱 | 10.79 kJ/mol | ||||||||||||||||||
蒸気圧 | 2.42 E-06 Pa (__ K) | ||||||||||||||||||
音の伝わる速さ | 5100 m/s (933 K) | ||||||||||||||||||
その他 | |||||||||||||||||||
クラーク数 | 7.56 % | ||||||||||||||||||
電気陰性度 | 1.61 (ポーリング) | ||||||||||||||||||
比熱容量 | 900 J/(kg*K) | ||||||||||||||||||
導電率 | 37.7 106/m Ω | ||||||||||||||||||
熱伝導率 | 237 W/(m*K) | ||||||||||||||||||
第1イオン化エネルギー | 577.5 kJ/mol | ||||||||||||||||||
第2イオン化エネルギー | 1816.7 kJ/mol | ||||||||||||||||||
第3イオン化エネルギー | 2744.8 kJ/mol | ||||||||||||||||||
第4イオン化エネルギー | 11577 kJ/mol | ||||||||||||||||||
第5イオン化エネルギー | 14842 kJ/mol | ||||||||||||||||||
第6イオン化エネルギー | 18379 kJ/mol | ||||||||||||||||||
第7イオン化エネルギー | 23326 kJ/mol | ||||||||||||||||||
第8イオン化エネルギー | 27465 kJ/mol | ||||||||||||||||||
第9イオン化エネルギー | 31853 kJ/mol | ||||||||||||||||||
第10イオン化エネルギー | 38473 kJ/mol | ||||||||||||||||||
(比較的)安定同位体 | |||||||||||||||||||
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注記がない限り国際単位系使用及び標準状態下。 |
アルミニウム(英 Aluminium, 米 Aluminum, 鋁)は原子番号13の元素である。元素記号はAl。略してアルミと言うこともある。
単体は常温常圧では良い熱伝導性・電気伝導性を持つ金属。融点 660.2 ℃、沸点 2060 ℃(2467 ℃、2400 ℃という実験値あり)。比重は 2.7 g/cm3 で、金属としては軽量である。常温では面心立方格子構造が最安定となる。酸やアルカリに侵されやすいが、空気中では表面に酸化膜(アルマイト)ができ、内部は侵されにくくなる(不動態)。
目次 |
[編集] 単体の性質
アルミニウムは両性金属で、酸にもアルカリにも溶解する。アルカリ性の水溶液では、以下の反応によって水が還元されて水素を発生する。
- 6 OH− + 2 Al + 6 H2O → 6 OH− + 2 Al(OH)3 + 3 H2
ただし、生成する水酸化アルミニウムの溶解度積 ([Al3+][OH−]3) は 1.92 × 10−32 であり、ほとんど水に溶解しない。したがって、薄いアルカリでは皮膜が発生して反応が止まる。しかし、強アルカリ条件では水酸化アルミニウムが次式によって水溶性のアルミン酸を形成するため、反応は表面のみでなく内部まで進行する。
- OH− + Al(OH)3 + 2 H2O → [Al(OH)4(H2O)2]−
[編集] 生産
アルミニウムはボーキサイトを原料としてホール・エルー法で生産されるのが一般的である。ボーキサイトを水酸化ナトリウムで処理し、アルミナ(酸化アルミニウム)を取り出した後、溶融し電気分解を行う。したがって、アルミニウムを作るには大量の電力が消費されることから「電気の缶詰」と呼ばれることもある。
電力価格が高いためコスト競争に弱い日本国内のアルミニウム精錬事業は、オイルショック後採算困難になり、大部分は国外に拠点が移った。現在、日本国内で原石(ボーキサイト)から製品まで一貫生産を行っているのは、自前の水力発電所により自家発電を行っているため低価格の電力が入手可能な日本軽金属のみである。
ボーキサイトからアルミニウムを精練するのに比し、アルミニウム屑からリサイクルして地金を作る方がコストやエネルギーが少なく済む。そのため、回収された空き缶等をリサイクル原料とし、電気炉等を用いる形態で再生するケースは徐々に増えている。アルミニウム屑を溶解するにあたっても融点が約660℃と銅や鉄などの主要金属の中では低い方なので少ないエネルギーで行うことができる。この利点をとらえて、アルミニウムはしばしば「リサイクルの優等生」や「リサイクルの王様」と表現される。
アルミニウムの生産量は2002年時点で2574万トンに及ぶ。中国が約 1/6 を生産し、これにロシア、カナダ、アメリカを加えた4カ国で生産量の過半数を占める。中国、ロシア、アメリカはボーキサイト原産国でもある。他のボーキサイト原産国であるオーストラリア、ブラジル、インドも世界生産量のシェア10位以内に含まれる。
[編集] 用途
アルミニウムは軽く、加工が楽であり、さらに表面にできる酸化皮膜のため耐食性にも優れていることから、一円硬貨やアルミホイル、缶(アルミ缶)、鍋、窓枠(アルミサッシ)、エクステリア、建築物の外壁、道路標識、鉄道車両や自動車の車体、自転車のフレーム、パソコンや家電製品の筐体(iPod nanoほか多数)など、様々な用途に使用されている。大抵はアルミニウム合金であり、1円硬貨のようなアルミニウム 100% のものはむしろ稀な存在である。主な合金にジュラルミンがある。ジュラルミンは航空機材料などに用いられているが、金属疲労に弱い欠点を持つため、航空機などでは十分な点検体制を取っている。一時期自動車も航空機材料にならうかたちで、アルミ化が進んだがJR西日本の福知山線の脱線事故などの反省から車体強度と安全性を両立させるためハイテン材料(高張力鋼)の適用が進みつつある。
高圧送電線にもアルミニウム線が使用される。銅に比べ電気伝導度は劣るが、密度が低いため断面積を大きく取る(太くする)ことができるので、総体の電気抵抗値は同等となる。材料費もほぼ拮抗する。
真性半導体であるケイ素に微量のアルミニウムを添加することにより、P型半導体が得られる。
[編集] 化合物
合金についてはアルミニウム合金を参照。
- 酸化アルミニウム - 通称アルミナ。モース硬度が 9 と高く、研磨剤として利用される。サファイアやルビーもほぼ同じ組成である。なお、その軽さから航空機の機体素材などにも多く用いられたが、強度の問題により近年はこれらの用途は炭素繊維にとってかわられつつある。
- 塩化アルミニウム
- ミョウバン
- 窒化アルミニウム
- 硫酸アルミニウム
- 水素化アルミニウム
- 水酸化アルミニウム
[編集] 歴史
- 1807年 - イギリスのハンフリー・デービーは水素気流中で融解アルミナを電気分解する手法でアルミニウムと鉄の合金を得た。鉄はアルミナの不純物によるものであった。合金からアルミナを生成できたため、何らかの未知の元素の存在が確認できたことになる。デービーはアルミニウムの硫酸塩であるミョウバンを表すラテン語の単語 Alumen から、未知の新元素を Alumium と名付けた。
- 1825年 - デンマーク物理学者エルステッドが、塩化アルミニウムをカリウムアマルガムにより還元し、世界で初めてアルミニウムの単離に成功した。ただし水銀などの不純物が多かったとされる。カリウムを還元剤としたため生産性は極端に低く、貴金属としての扱いを受けた。
- 1827年 - ヴェーラーが塩化アルミニウムをカリウムで還元して純粋なアルミニウムを得たため、ヴェーラーをアルミニウムの発見者とすることもある。
- 1846年 - フランスの科学者ドビーユがエルステッドの手法を改良し、カリウムの代わりにナトリウムを用いる還元法を開発した。生産コストを下げることに成功し、電解法も開発した。
- 1855年 - ドビーユは粘土から電解法で生産したアルミニウムをパリの万国博覧会に展示した。出品タイトルは「粘土からの銀」であった。展示を見たナポレオン3世はドビーユに援助を始める。目的は甲騎兵の防具を改良するためであった。また、皇帝夫妻専用にアルミ製食器を作らせ、晩餐会では銀製食器を使う来賓の前でこのアルミ食器を自慢して食事をした。
- 1886年 - フランスのエルーとホールがアルミナと氷晶石を用いた融解塩電解法を発明した。これは今日利用されている手法である。
- 19世紀後半 - 電気精錬の手法が進歩するが、肝心の発電、送電技術が未熟であり、生産性は依然として低いままであった。
- 20世紀中~後半 - 大規模で効率的な発電所の建設が可能になるとともに、送電システムが確立された。大規模な電気精錬が行えるようになり、大量生産が可能となった。
[編集] 関連項目
- アルツハイマー性痴呆 - アルミニウムの過剰摂取が原因であると疫学的には警鐘を鳴らされているが、医学的メカニズムは検証の途上にある。
- 非鉄金属
- テルミット反応
- アルミニウム合金