ボーキサイト
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ボーキサイト (bauxite) はアルミニウムの原料であり、酸化アルミニウム(Al2O3, アルミナ)を 52%−57% 含む鉱石である。実際にはギブス石 (gibbsite, Al(OH)3)、ベーム石 (boehmite, AlO(OH))、ベーム石と組成は同じながら層状結晶の構造が異なるダイアスポア (diaspore, AlOOH) などの水酸化アルミニウム鉱物の混合物であり、厳密に言えば鉱物ではない。ボーキサイトの名はフランスの都市レ・ボー (Baux)・ド・プロヴァンスに由来する。
色彩は変化に富み、赤灰色を基調とし、白、黒、緑を帯びることがある。形状は豆状である。比重は2.5、硬度は 1–3 と柔らかい。アルミニウムの原料以外に、耐火用混合材、研磨材、アルミナセメントの素材として用いる。比熱が大きいのでソーラーハウスの蓄熱材として用いる人もいる。
アルミニウムは非常にありふれた元素であり、地殻中には3番目に多く存在するが(クラーク数を参照のこと)、そのほとんどがアルミノケイ酸塩として存在する。アルミノケイ酸塩はケイ素との結合が強く精錬が難しいため、ボーキサイト以外の鉱物から取り出すのは経済的に見合わない。
ボーキサイトからアルミニウムを精錬するためには、まず不純物である二酸化ケイ素 (SiO2) と酸化鉄 (Fe2O3) を除く必要がある。ボーキサイトを加圧、加熱下で濃水酸化ナトリウム溶液に浸すと、ケイ酸塩のほか、酸化アルミニウムがアルミン酸ナトリウムとして溶け出す。水酸化鉄は不溶性であるため、赤泥として沈殿するから廃棄する。上澄み水溶液を取り出して冷却し、結晶核として水酸化アルミニウムの結晶を加えて放置すれば、粒状の水酸化アルミニウムが沈殿する。ケイ酸塩は水溶液に残るため、ケイ素も除去できたことになる。最後に、水酸化アルミニウムを焼成することでアルミナ(酸化アルミニウム)を得て(バイヤー法)、これを融解した氷晶石 (Na3AlF6) に 5% 程度融かして炭素電極を用いて融解塩電解することにより(ホール・エルー法)、陰極に単体のアルミニウムが得られる。
酸化アルミニウムは風化に強い抵抗性を示す。そのため、二酸化ケイ素に対して酸化アルミニウムの比率が高い岩石が風化を受けると、熱帯性土壌であるラテライトを経てボーキサイトが生成すると考えられている。また、アルミノケイ酸塩はコロイドになりやすく、河川水によって海まで運ばれるが、酸化アルミニウム、酸化鉄(III)、酸化チタンなどはコロイドになりにくいので残りやすい。熱帯雨林では風化が早く進むため、ボーキサイト鉱床は熱帯雨林地域または過去に熱帯雨林であった地域に多く見つかる。
[編集] 生産量
2002年の産出量は1億4400万トンであり、オーストラリアが 37.5% を占めていた。
- オーストラリア - 5400万トン (37.5%)
- ギニア - 1570万トン (10.9%)
- ブラジル - 1390万トン (9.7%)
- ジャマイカ - 1310万トン (9.1%)
- 中国 - 1200万トン (8.3%)
6位以下は、順にインド、ベネズエラ、スリナム、カザフスタン、ロシアである。日本では産出しないため、全て海外からの輸入でまかなっている。
日本の輸入量は2010万トン。輸入国は以下の通りである。
- オーストラリア - 1130万トン (56%)
- インドネシア - 690万トン (34.5%)
- インド - 135万トン (6.7%)
- 中国 - 32万トン (1.6%)
- ガイアナ - 15万トン (0.7%)
このほか、マレーシアとブラジルからも輸入している。