相
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相は、元々仏教用語であり、認識されるもの(境)が「認識されたすがた」を指す。
- 相(そう Phase)とは、物質の状態のこと。但し、物質以外の概念(もの)の状態を表現する場合にも、”相”を使う場合がある(例:モデル計算でのモデルの状態を表現する場合)。 →本項で解説。
- 相(しょう Minister, Secretary)とは、各政府省庁内における、最上位の行政官のこと。現在では、「~大臣」の意味で用いられる。例: 首相、外相など。→国務大臣
- 相 (夏):相(しょう)は、夏の5代目の帝。
- 考古学における時期区分概念、フェーズ(Phase,fase)→相 (考古学)
- 言語学における動詞のアスペクト(aspect)の日本語訳→相 (言語学)
ある系からnm3オーダーの2つの部分を取り出したときに、この2つの部分が同一の組成、物性を示す場合、同一の相(そう)であるという。
例えば完全に溶解した食塩水はどの部分を取り出しても同一の組成、物性を示すので1つの相だけからなる。 氷水はどの部分を取り出しても水だけからなる同一の組成であるが、固体と液体という異なる物性を示す2つの部分があるので2つの相からなる。 牛乳のようなコロイド溶液は肉眼ではどの部分も同じように見えるが、限外顕微鏡でみると乳脂肪からなる油滴の部分と水の部分に分かれているので2つの相からなる。
飽和した砂糖水を冷却すると、溶けきれなくなった砂糖が固体として析出する。 このように1つの相が複数の相に分離することを相分離という。
液体の水を冷却すると1気圧下では0℃で氷(固体の水)となり、加熱すると100℃で水蒸気(気体の水)となる。 このように1つの相の温度や圧力を変化させた場合、2つの相の共存状態を経て別の1つの相へと変化することがある。 これを相転移という。
多くの純物質は温度や圧力を変化させた場合、固体、液体、気体の3つの状態をとる。 これらそれぞれの状態に対応する相を固相、液相、気相という。 熱に不安定で分解してしまい液相や気相が存在しない物質や、他に液晶など、別の相を持つ物質もある。
ある系の組成や圧力、温度(状態変数)を指定したときに平衡状態でどのような相を取るかを示した図を相図という。 また、平衡状態にある系内の相の数と変化できる状態変数の数(自由度)と成分の数の間には相律という関係が成立する。
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