佐世保市
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佐世保市(させぼし)は、長崎県北部地方にある市。長崎県では長崎市についで2番目の人口を擁する自治体である。造船および国防の町として知られる。九州最大級のテーマパークであるハウステンボスに代表される観光都市であり、保健所政令市の指定を受けている。
また、中心街をシャッター街化させないよう、様々な取り組みを行っている地方都市としても知られているが、その具体例は商業の項目を参照。
目次 |
[編集] 地理
九州地方の北西端にして長崎県の北部、北松浦半島の付け根から同半島の中南部までの地域を主な市域とする。位置的には長崎市の北北西約50km(陸路における最短距離は約60km)、福岡市から南西へ約100kmの場所である。市域西側から南西部~南部で海に面しており、市域東側では佐賀県と県境を成している。
北松浦半島中央部に広がる山地が市域中央部の中心市街地まで迫っているため、坂の多い町並みが特徴である。市域中西部の相浦地区や南部の早岐地区にも市街地がある。
[編集] 島嶼
- 針尾島
- 九十九島 北松浦半島の西側沖合いに多数の小さな無人島が点在しており、国立公園となっている(ただし、佐世保市に含まれない島もある)。
- 高島 九十九島に含まれる有人島。ちくわが名産。
- 黒島 九十九島に含まれる有人島だが九十九島の他の島からはやや離れている。カトリック信者が多く、島内の黒島天主堂(1902年竣工)は国の重要文化財に指定されている。
- 宇久島(旧宇久町) 五島列島北東端にあり、本土から50km以上離れているが2006年に宇久町が編入合併されたことにより市域に含まれるようになった。属島に有人島の寺島がある。
[編集] 気候
一年を通して気温は概して高く、冬も対馬海流の影響で0度以下になる事は少なく曇天の日が多い。太平洋型と日本海型の中間の気候型である。 梅雨の期間が長く、高温多湿で降水量も多い。梅雨から秋への大雨で、水害が繰り返し起きている。年間を通じて快晴の日数が九州でも最も少ないほうで、1年の三分の一は1mm以上の雨が降り、半分が雨か曇りの日である。台風の通り道になることも多く、平成3年(1991年)9月の台風19号、平成18年(2006年)9月の台風13号と2回、台風が上陸している。
[編集] 隣接している自治体
[編集] 歴史
各時代についての詳説及び年表については佐世保市の歴史を参照のこと。
現在の市中心部は江戸時代までは一農漁村であったが、明治時代に入り海軍の鎮守府が設置され、それ以降は海上防衛の重要地域として発展していった。戦後は旧軍港市転換法の適用を受け、新たな方向での街づくりが進められているがなお軍港としても重要な地位を占めており、軍民間の棲み分けが課題となっている。
[編集] 行政区域の変遷
- 1871年:廃藩置県の際、平戸藩(松浦藩)に代わる平戸県に属した。
- 1878年:村制施行。佐世保村は東彼杵郡の管轄下となる。
- 1889年4月1日:町村制度施行により、現在の市域にあたる以下の村が発足。
- 1902年4月1日:佐世保村が市制施行し、佐世保市となる(当時の人口45,766人)。市制反対の意思を示していた一部の地域を分離し、東彼杵郡佐世村が発足。
- 1923年4月1日:早岐村が町制施行し、早岐町となる。
- 1927年4月1日:東彼杵郡佐世村、日宇村を佐世保市に編入。広田村を早岐町に編入。
- 1930年4月3日:山口村が町制施行し、相浦町となる。
- 1938年4月1日:相浦町を佐世保市に編入。
- 1940年4月17日:大野村が町制施行。大野町となる。
- 1940年11月3日:世知原村が町制施行。世知原町となる。
- 1942年5月27日:早岐町、大野町、中里村、皆瀬村を佐世保市に編入。
- 1949年8月1日:平村が町制施行し、平町となる。
- 1950年5月3日:小佐々村が町制施行し、小佐々町となる。
- 1951年12月1日:吉井村が町制施行し、吉井町となる。
- 1954年4月1日:北松浦郡柚木村、黒島村を佐世保市に編入。
- 1955年4月1日:東彼杵郡折尾瀬村、江上村、崎針尾村を佐世保市に編入。
- 1955年4月1日:平町と神浦村が対等合併し、宇久町となる。
- 1958年8月1日:東彼杵郡宮村を佐世保市に編入。人口は約26万5千人、面積は約248平方kmとなる。
- 2001年4月1日:特例市に移行。
- 2005年4月1日:北松浦郡吉井町、世知原町を佐世保市に編入し、人口約24万8千人・面積約307平方kmとなる。
- 2006年3月31日:北松浦郡小佐々町、宇久町を佐世保市に編入し、人口約25万8千人・面積約364平方kmとなる。
[編集] 行政
[編集] 市長
公選による市長
- 中田正輔(なかたまさすけ、1947年4月8日~1955年4月2日、2期※) 名誉市民
- 山中辰四郎(やまなかたつしろう、1955年4月30日~1963年4月29日、2期) 名誉市民
- 辻一三(つじいちぞう、1963年4月30日~1979年4月29日、4期) 名誉市民
- 桟熊獅(かけはしくまし、1979年4月30日~1995年4月29日、4期)
- 光武顕(みつたけあきら、1995年4月30日就任、3期目)
※1946年8月~47年4月まで非公選で1期務めている。
[編集] 警察
- 佐世保警察署
- 相浦警察署
- 早岐警察署
- 新上五島警察署(宇久町を管轄)
[編集] 消防
- 中央消防署
- 東消防署
- 西消防署
[編集] 産業
[編集] 工業
SSKの名で知られる佐世保重工業(SSKは設立当初の「佐世保船舶工業」の略称である)に代表される造船業を主幹産業とする。食品においては佐世保弘乳舎の本社がある。旧小佐々町町域には食品エキス製造で国内最大手のアリアケジャパンの工場がある。
[編集] 商業
直線では日本最長となる四ヶ町・三ヶ町アーケードは古くからある商店街では珍しく、現在でも市の中心地として栄えている。平日祝日を問わず沢山の人で賑わっており、25万人都市の中でも「日本一元気な商店街」と評され全国から商店街組合が視察に訪れているほど。しかし、必ずしも楽観視できるほど潤っているわけではなく、地域を活性化させようとYOSAKOIさせぼ祭りやきらきらフェスティバルを開催するなど、その動きは各所にみうけられる。
近年、佐世保駅が高架駅として新しくなり、駅及び港(鯨瀬埠頭)周辺もフレスタSASEBOのような駅ビルやアルカスSASEBO(多目的ホール)ができるなど再開発が進んでいる。
大手通販会社、ジャパネットたかたの本社所在地である。
[編集] 金融機関
市内に本店を置く銀行として、地方銀行の親和銀行と第二地方銀行の九州銀行があったが、2002年4月に共同で持株会社の九州親和ホールディングスを設立して経営統合し(グループ名は九州親和フィナンシャルグループ)、1年後の2003年4月に両行は合併した。この他、西九州信用金庫と長崎県民信用組合がそれぞれ本店を置いている。
[編集] 観光業
佐世保市の観光産業の中枢であったハウステンボスはバブル崩壊による観光客の減少の影響を大きく受け、更に初期の設備投資が莫大であったために借金の完済が困難となり、2003年に会社更生法を申請せざるを得なかったが、その後、新たなコンセプトをもとに復活の兆しが見えている。ほかに西海国立公園の九十九島なども重要な観光資源である。
[編集] 名産品
- 農産品・海産品
- 加工品
[編集] 姉妹都市・提携都市
[編集] 国内
大分県南西部の九重連峰の北部に位置する、人口約1万2千人の地熱と温泉と高原の町 昭和30年ごろから、佐世保市へ野菜や果物を供給していることが契機となり、国内姉妹都市締結となった。
[編集] 国外
- アルバカーキ市(アメリカ合衆国 ニューメキシコ州)
- コフスハーバー市(オーストラリア連邦 ニューサウスウェールズ州)
- 厦門市(中華人民共和国 福建省)
- サンディエゴ港(アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サンディエゴ市)
[編集] 地域
[編集] 教育
[編集] 大学
- 公立
- 私立
[編集] 短期大学
- 私立
- 長崎短期大学
[編集] 高等専門学校
- 国立
[編集] 養護学校など
- 長崎県立佐世保ろう学校
[編集] 県立高等学校・中学校
- 長崎県立佐世保北中学校・高等学校
- 長崎県立佐世保南高等学校
- 長崎県立佐世保西高等学校
- 長崎県立佐世保商業高等学校
- 長崎県立佐世保工業高等学校
- 長崎県立佐世保中央高等学校(夜間部・通信制を併設)
- 長崎県立佐世保東翔高等学校(旧:佐世保東商業高等学校→総合学科の高校として新設)
- 長崎県立宇久高等学校
[編集] 私立高等学校・中学校
- 西海学園高等学校
- 聖和女子学院中学校・高等学校
- 佐世保実業高等学校
- 久田学園佐世保女子高等学校
- 九州文化学園高等学校
[編集] 市立小・中学校
- 市立中学校:25校。校名は長崎県中学校一覧#佐世保市を参照のこと。
- 市立小学校:42校(うち分校3校)。校名は長崎県小学校一覧#佐世保市を参照のこと。
[編集] 国防
1883年に東郷平八郎少佐が訪れ測量、天然の良港として開港して以来、戦時中は軍港として重要な拠点であった。やつでの葉のような形状と佐世保の字から古くは葉港と呼ばれた(サセボのサが草冠、佐世保の世、木という漢字をくずしてホ、三つを組み合わせて葉になることから)。第二次世界大戦後は陸上自衛隊、海上自衛隊の各教育隊や米軍基地が置かれた。現在でも佐世保港には自衛隊の護衛艦、米軍の艦船が見られ、街では外国人及び制服姿の自衛官を多く見かける。
2005年(平成17年)より毎年秋、陸上自衛隊が市内中心部を武器(小銃)を持って行進する。革新政党や地区労などの反対行動が行われる(2006年は、台風接近の為中止)。
[編集] 交通
[編集] 航空
長崎空港へは西肥バスの特急(ハウステンボス・川棚経由)と乗合ジャンボタクシー(9人乗り)が運行されている。佐賀空港へ直通する公共交通機関はない。 この他、福岡空港にはさせぼ号の一部便が停車している。長崎空港への特急バスと所要時間や運賃に大差が無いことから、航空便数や運賃で有利な場合が多い福岡空港を利用する市民や観光客も多い。
[編集] 鉄道
[編集] 列車
戦後、進駐軍専用列車を皮切りとして、東海道本線・山陽本線から佐世保へ直通する急行列車が多数設定された。その後、「さくら」「あかつき」といった寝台特急が東京、大阪から直通していたが、2000年3月に「あかつき」の佐世保発着が廃止されたのを最後に、佐世保と本州を結ぶ定期列車は全廃された。博多までの特急は、「みどり」があり、早岐にて「ハウステンボス」と連結する場合もある。県庁所在地である長崎へは、大村線経由の快速「シーサイドライナー」がある。
[編集] 鉄道路線
[編集] バス
[編集] 高速バス
- 夜行バス(コーラルエクスプレス号)
- 昼行バス
[編集] 一般路線バス
[編集] タクシー
ヱールタクシー、観光タクシー、国際タクシー、城山タクシー、第一タクシー、天満タクシー、みなとタクシー(ブルーキャブ)、元町タクシー、ユニオンタクシー、ラッキータクシーなど
[編集] 道路
[編集] 自動車専用道路
- 西九州自動車道(国道497号)
- 西海パールライン有料道路(新西海橋)
- 建設中の自動車専用道路:西九州自動車道佐々佐世保道路
[編集] 一般国道
[編集] 県道
- 主要地方道
[編集] 港湾
[編集] 名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
[編集] 名所
[編集] 史跡
[編集] ~縄文時代
- 泉福寺洞窟
- 岩下洞穴
- 福井洞穴
[編集] ~弥生持代
- 四反田遺跡
- 宮の本遺跡
[編集] ~古墳時代
- 鬼塚古墳
- テボ神古墳
[編集] ~平安時代
[編集] ~戦国時代
- 井手平城跡
- 大智庵城址
- 直谷城址
- 小鯛城跡
[編集] ~江戸時代
- 平戸往還
- 大潟新田
- 楠本端山旧宅
[編集] ~近代
- 近代化遺産
- 岡本貯水池
- 山の田浄水場
- 旧海軍佐世保鎮守府凱旋記念館
- 針尾送信所(「ニイタカヤマノボレ一二〇八」を送信)
- 平瀬地区・立神地区の煉瓦造建築物 - 米海軍・海上自衛隊・佐世保重工業敷地内に多数現存
- 旧松浦炭坑事務所
- 黒島天主堂
[編集] テーマパーク・博物館
- ハウステンボス
- 西海パールシーリゾート
- 遊覧船パールクイーン、及び海王による九十九島観光
- 佐世保市亜熱帯動植物園(石岳動植物園)
- 海上自衛隊佐世保史料館(セイルタワー)
- 佐世保市博物館島瀬美術センター
- 三川内陶磁器文化センター(三川内支所横)
- 世知原炭鉱資料館(旧松浦炭坑事務所、世知原町)
- 城島健司ベースボール記念館
- 宇久島資料館(宇久町)
[編集] レジャー
[編集] イベント・祭事・催事
- 朝市(月第1・3日曜日を除く毎日)
- 初売り(1月2日早朝)
- 朝市ぜんざい会(1月初旬)
- 愛宕まつり(あたごさん市)(2月下旬)
- 西海橋観潮会(4月上旬)
- 木場浮立(こばふりゅう)(4月第1日曜日)
- 三川内焼「はまぜん祭り」(5月1日~5月5日)
- 早岐茶市(初市5月7日~9日、中市17日~19日、後市27日~29日、梅市6月7日~9日)
- 佐世保チャレンジカッターレース(7月の下旬に毎年開催)
- 西海アメリカンフェスティバル(8月の第一日曜とその前日、同時多発テロ以降中止されている)
- させぼシーサイドフェスティバル(8月上旬)
- 福石観音千日祭(8月8日~10日)
- 精霊流し・万灯籠流し (8月15日)
- くにみ山麓音楽祭(不定期・概ね9月下旬)
- 三川内陶器市(10月上旬)
- 九十九島シーカヤックマラソン大会(10月上旬)
- YOSAKOIさせぼ祭り(10月下旬)
- 佐世保くんち(11月1日~3日)
- きらきらフェスティバル(11月下旬~12月下旬)
[編集] 佐世保市出身の有名人
[編集] 政治・経済
[編集] 文化・芸能
- いしだあゆみ(女優・歌手、大阪府池田市育ち)
- 岩井健浩(東京放送(TBS)アナウンサー)
- 岩崎舞(元SweetS、歌手)
- 岡本麗(女優)
- 神尾正武(作家)
- 久保ミツロウ(漫画家)
- 早霧せいな(宝塚歌劇団)
- 佐藤正午(作家)
- 佐藤利恵(長崎放送アナウンサー)
- 志久弘樹 (長崎文化放送アナウンサー)
- 菅賢治(日本テレビチーフプロデューサー)
- たいらいさお(歌手)[三代目歌のお兄さん(おかあさんといっしょ)]
- 平浩二(歌手)
- TAKAHIRO(EXILE、歌手)
- 竹輪春奈(元SweetS、歌手)
- 田島都(タレント、元テイジンキャンペーンガール)
- 谷隼人(俳優)
- 千北英倫子(長崎国際テレビアナウンサー)
- 椿あす(漫画家)
- 深浦康市(将棋棋士)
- 花田千草(松千、歌手グループ)
- 前川清(歌手)
- 巻来功士(漫画家)
- 松本健太(松千、歌手グループ)
- 椋尾篁(アニメーション美術監督)
- 村上龍(作家)
- 吉田正志(音楽家、音楽プロデューサー)
- よしむらなつき(漫画家)
[編集] スポーツ
[編集] 出身ではないが縁のある有名人
- 石橋政嗣(政治家)台湾出身。佐世保市を含む旧長崎2区選出の元衆議院議員。第9代日本社会党委員長。
- 井上光晴(作家)福岡県出身。青年期を佐世保で過ごし、後に市内に「文学伝習所」を開いた。
- 北村徳太郎(政治家)京都出身。親和銀行頭取から政界入りし芦田内閣で大蔵大臣。名誉市民。
- 白石一郎(作家)釜山出身。佐世保で育ち佐世保北高校卒業。
- 田中穂積(作曲家・海軍軍人)『美しき天然』の作曲者。氏の銅像が市内展海峰にある。
[編集] 佐世保市を舞台とした作品
ロケーションのみが行われた作品も含む。
- 69 sixty nine 上記小説の映画化。
- 釣りバカ日誌16 浜崎は今日もダメだった♪♪
- 笑う大天使 ハウステンボスでロケを敢行。
- ラストサムライ 冒頭に九十九島の遠景が使われた。
- アニメ・コミック
- 機動戦艦ナデシコ 第1話の舞台。登場するネルガル重工は佐世保重工業がモデル。
- ご意見無用 鹿子前町が舞台。
[編集] その他
[編集] 関連項目
- 全国市町村一覧
- 釧路市(佐世保市と同様、20万人規模の地方都市で、シャッター通りに関する記事でよく比較の対象となる地方都市)
- 刈谷市(シャッター通りに関する記事でよく比較の対象となる名古屋近郊の衛星都市)
[編集] 外部リンク
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