郵便振替
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郵便振替とは、郵便振替法に基き日本郵政公社が取扱う、郵便振替口座による送金決済サービスである。
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[編集] 概要
- 郵便振替業務は通常、全国すべての郵便局及び貯金事務センターで取り扱っているものであるが、特に取扱いを行わない一部の普通郵便局(区分専門局等)や特定郵便局(簡易郵便局については後述)については、その旨が公社により公示され、当該局局頭に掲出される。
- 簡易郵便局では、全部又は一部の郵便振替業務の取扱を行わない場合がある(農協に併設される場合など)。
- 郵便振替において「加入」は口座の開設を、「脱退」は口座の廃止を、「除名」は法令規則に基づき公社が行う口座の廃止をそれぞれ指す。
- 郵便振替の預り金は、政府により保証される。
- 郵便貯金同様、郵便振替法第5条により郵便振替に関する書類には印紙税が課されない。
- 利子はつかず、預り金の上限額はない。
- 口座の名称は加入者の氏名、商号、屋号、法人名を使用する。ただし、公社の承認を受けて別名を使用することができる。
- 3年間、口座に受払がないときは除名されることがある。
口座の種類によって大きく2種類に分けられ、口座番号が0から始まるのが一般振替口座で、1から始まるのがぱ・る・る(新総合通帳)であり、この2種類は取扱いが異なる。
[編集] 一般振替口座
一般振替口座とは、新総合通帳による取り扱いではない従来からの郵便振替口座を指す。概ね、民間金融機関の当座預貯金に相当し、個人や企業の他、任意団体・サークルなどでも加入できる。加入は郵便局窓口および貯金事務センターで受け付けている。簡易郵便局を除き、オンラインによる郵便振替業務を行える郵便局では口座番号が即時に配番されるが、口座開設の手続きは貯金事務センターへの帳票送付(印鑑票配置)により行われるので、窓口では受付票が交付され、約2週間後に完了通知が郵送される。
[編集] 特徴
- 口座番号は0(零)で始まる。
- 通帳は発行されない。口座に受払いがあった場合、その都度貯金事務センターから届出住所へ受払通知書が郵送される。
- 特に大量の取扱に向いている。
[編集] 口座番号
かつては「東京1-1044」のような形式の付番であり、オンライン処理には「東京」のような口座所管庁名を2桁の数字に置き換え、郵便振替を表す「0」の次に配しさらに「0」を置いた「00110-1044」のような形で用いていた。しかし帳票を電送処理する新システムの導入(1996年より)にあたり、番号の誤読をより起こりにくくするため、漢字名を廃しチェックディジットを1桁加えた「00110-1-1044」のような付番に改められ現在に至る(APM扱いでなければ、「東京1-1044」だったものを、「00110- -1044」と読替た上で、チェックディジットを省略した形でも受け付けることは現在でも可能である)。
- 「東京」のような口座所管庁(貯金事務センター名)を表す2桁の数字について、詳しくは「貯金事務センター#一般振替口座で用いられるマルチ」の項を参照。
[編集] 加入者の手続き
[編集] 本人払込み・本人払出し
郵便振替口座を開設した加入者本人(および、予め指定した代理人)が、自分の郵便振替口座へ現金等を払込むことを「本人払込み」といい、自分の同口座から現金を払出すことを「本人払」という。
[編集] 加入者払込・払出局の指定(一般振替口座)
一般振替口座においては、予め加入(口座開設)の申込み時に、
- 加入者が本人払込みを行う「加入者払込局」
- 印鑑票を配置し、電信による払出し・振替を請求する「加入者払出局」(または「小切手払局」)
として、希望する郵便局を一つ指定する。どちらか一方のみ、または両方を指定できるが、両方を指定する場合は同一の一局となり、指定した郵便局以外では電信払出しの請求および加入者本人による即時の預り金払出し(加入者即時払)ができず、同じく払込みを行う場合は払込手数料が無料とならない。
新総合通帳の場合、このような指定や制限はない。
[編集] 本人払込み(一般振替口座)
一般振替口座の本人払込みは、加入者払込局の窓口において行う(無料)。
- 通常・電信扱どちらも利用できる。用紙は窓口配布のものでよい。
- 払込書の依頼人欄には単に「本人払込」「本人払込み」などと記入する。
[編集] 本人払出し(一般振替口座)
一般振替口座からの加入者即時払は、加入者払出局に限られる(無料)。
- 用紙は窓口にて配布される。受取人住所の枠に斜線を引き、同氏名欄に単に「本人払」と記入する。
加入者自身が払出証書の交付を受ける本人払は、通常現金払の例により請求する(無料)。
- 用紙は貯金事務センターから郵送交付を受けた払出書を用いる。受取人住所氏名欄に単に「本人払」と記入する。
[編集] 用紙の交付
郵便振替の送金用紙のうち、通常払出書・料金加入者(受入加入者)負担による用紙や、加入者から払込人に配布する払込書用紙は、あらかじめ所定の申込書に記名押印して郵便局に請求し、貯金事務センターから郵送交付を受ける。用紙は無料である。
請求可能なものは、
- 郵便振替払込書(払込人が料金を負担するもの)…1冊50枚単位
- 郵便振替払込書(加入者が料金を負担するもの)…1冊50枚単位
- 郵便振替電信振込請求書(加入者が料金を負担するもの)…1冊50枚単位
- 郵便振替払出書(送金加入者が払出料金を負担するもの)…請求できるのは送金加入者のみ…1冊20枚単位
- 郵便振替払出書(受入加入者が振替料金を負担するもの)…請求できるのは受入加入者のみ…1冊20枚単位
の5点である。
- 本請求書では、「郵便振替電信振込請求書(払込人が料金を負担するもの)」と、「郵便振替電信振込依頼書兼電信振替払出書(民間金融機関あて)」(相互送金用)は請求できないが、郵便窓口に常備されている(ただし、加入者が依頼を行った場合、当該郵便局の独自の判断で冊単位を請求することはあり、そのような場合の請求書の定めはない)。
- このうち、通常払出しと振替に用いる「通常払出書」は、口座番号と加入者があらかじめ印字された専用のものとなる。
- このほか、払込人が自ら記入して用いる払込書(青色=料金払込人負担)などは通常、窓口(および払込機コーナー)に用意され、配布されている。
- 加入者から多数の払込人に対して配布する利便のため、請求を行った加入者の口座番号・加入者名(単一の)がまとめて印字された通常払込書用紙を作成するサービスがある(有料。料金は申込人の口座から引き落とされる)。
- また、貯金事務センターの承認を受け、所定の書式に従い払込書や払出書を私製することができる。予め送金先加入者の刷り込まれたものや、感熱紙を用いて検針員の携帯端末機から印字されるもの、コンビニ払用のバーコードを入れたもの、銀行振込両用のもの、および通知書・報告書片がついた4連式・5連式のものなどが発行されている。
[編集] 新総合通帳
通常郵便貯金または通常貯蓄貯金とともに郵便振替口座を開設した通帳を新総合通帳「ぱ・る・る」と呼ぶ。通常郵便貯金の記号番号と同一の口座番号の郵便振替口座であり、概ね小切手払を除く電信扱いの受払いに限った利用となる。
[編集] 新総合通帳への本人払込み
- 通帳の郵便振替口座へ本人払込みを行うことで「自動移替」が行われ、通常・貯蓄貯金へ預入となる。本人払込みは備え付けの依頼書に通帳またはキャッシュカードを添え、窓口にて行う。料金は無料で、払込金額は1円以上1円単位となる。
- 貯金は扱わないが振替は扱う簡易郵便局において、「ぱ・る・る」郵便振替口座への本人払込み、本人払出しを振替業務として取扱うことがあり、その際、監督局(管轄集配局であることが多い)に電話して入力処理を代行してもらう必要がある。監督局の貯金職員がこの処理を知らないことも多く、事前に監督局への連絡が賢明な場合もある。通帳には代行局ではなく当該簡易局の郵便局番号(為替局番号)が印字されるため、局番号収集(旅行貯金)のため依頼するマニアも存在する。
[編集] 送金・決済手段
[編集] 通常扱
[編集] 通常払込み
払込書を利用して相手口座に送金すること。かつては処理を払込書の現物郵送によっていたことから数日とされているが、現在は蓄積オンライン送信により処理を行うことから、実際には2日程で送金先の口座に反映し、当日中に届く場合もある。相手の口座は、一般振替口座のみとなる。概ね、小額送金の手数料が民間金融機関における振込より安く、特に通信販売の決済によく用いられている。
郵便貯金の窓口の他、APMと、払込書の受付機能つきのATMでも取扱可能であり、現金による払込みの他に、通常貯金や貯蓄貯金の通帳、キャッシュカードを利用して払込む事も可能である。但し、処理は挿入された帳票の現物により行うため、特殊な様式の払込書は窓口のみの扱いとなる。
料金を受取人が負担するもの(加入者負担・赤色用紙)と、払込人が負担するもの(払込人負担・青色用紙など)がある。これは一般振替口座加入者各々が用途に合わせて指定することが出来る。
[編集] 通常振替
一般振替口座のみの取扱いで、自分の一般振替口座から送金先の一般振替口座に預り金を振替える。振替口座を持たない払込人の通常払込み料金に比べ、通常振替料金は一件15円と非常に割安である。
[編集] 通常現金払
一般振替口座のみの取扱いで、振替口座の預り金を払出し、相手方に払出証書を郵送する。相手先は配達された証書と引換えに、全国の郵便局(貯金窓口)で支払いが受けられる。なお加入者自身が無料で証書を受け取る事もできる(本人払)。
[編集] 簡易払
一般振替口座のみの取扱いで、配当金等を、一時に多数の相手方へ「支払通知書」(引換証書に相当)を送付して行う払出し。
- 簡易払を利用する加入者は、払出請求に先立ち「簡易払利用申込書」を提出し、予め郵便局長の承認を受ける必要がある。
- 料金が割安であるほか、支払通知書への印紙貼付は不要であることから、株式・共済等の配当・割戻し金支払いに頻用される。
[編集] 電信扱
[編集] 電信払込み
送金先加入者の振替口座に、現金を瞬時に払込む。払込み先の口座は「ぱ・る・る」、一般振替口座のどちらも取扱う。払込人が郵便振替に加入していない(口座を持っていない)ときに利用する。
なお、郵便局の自動機での取扱いはなく、料金は通常払込みや民間金融機関(本支店宛)の自動機振込に比べ割高である。
[編集] 電信振替
新総合通帳、一般振替口座の両方で可能であり、自分の振替口座から送金先の振替口座に瞬時に預り金を振替える。APM・ATM(ぱ・る・る口座のみ)でも利用でき、料金は送金額にかかわらず窓口が140円、自動機による取扱いが120円、ホームサービスによる取扱いは110円である。
- 「ひとっとび送金」とは、ぱ・る・るによる電信振替の愛称である。
[編集] 電信現金払
ぱ・る・る、一般振替口座から送金額を払出し、相手先の居住地の郵便局へオンラインシステムを利用して送金する方法。相手先が振替口座を持たない場合で、至急送金したい場合などに使われる。利用者のニーズ、手数料によって以下の手段がある。
- 証書(送達)払―郵貯オンラインシステムを利用し、即座に相手先居住地の普通(集配)郵便局で郵便振替払出証書を発行し、速達で送付する方法。相手先は受領した払出証書を、最寄りの振替(貯金)窓口で現金と引き換えられる。
- 証書(留置)払―送達払いと同じ方法で、相手先に証書を送付せずに指定局で証書を留置(とめおき)する方法。相手先には留置している旨の通知文が配達される。
- 窓口払―郵貯オンラインシステムを利用し、払出加入者の口座から指定の郵便局へ支払指示を電送し、受取人がその指定局で証書ではなく現金を貯金窓口で受け取るもの。相手先にはその旨通知文が配達される。
- 居宅払―払出加入者の申込みにより、即座に相手先居住地の集配局へ送金指図を電送し、その集配局から相手先へ速達現金書留を用いて現金を届ける方法。1回につき100万円まで利用でき、遠隔地間において送金人自身が現金書留により差し出すのに比べ早く送達する。
[編集] 小切手払
加入者の一般振替口座において、小切手(「振替小切手」と呼ぶ)を振出して行う払出し。
小切手払を利用するには原則保証人2名を伴う申込書を提出し、郵便局長の承認を受ける必要がある。
なお、郵便貯金や簡易保険の払戻し、支払い金などについて、現金に代え、郵便局を支払人として振り出す「貯金小切手」があるが、これは民間金融機関の「自己宛小切手」と同等の小切手 である。
[編集] 自動払出預入
自動払出預入(じどうはらいだしよにゅう)は、送金人の郵便振替口座から、受取人の通常郵便貯金(新総合通帳でないものでもよい)へ送金する取扱い。「払出し金を自動的に受取人の貯金へ預入する」意の呼称である。
自動払出預入には文書・磁気媒体による「通常扱」(自動払出預入に係る通常現金払)および電信による「電信扱」(同電信現金払)の2種類があるが、現在、通常扱は一般振替口座から一度に100件以上の送金件数で利用するサービスであり、電信扱は新総合通帳(ぱ・る・る)から通常貯金1件を指定して送金するサービスとなっている。なお、「電信扱」の料金は電信振替の料金より割高である。
自動払出預入は郵便振替口座からの払出し(ぱ・る・る、一般振替口座とも)によるサービスであり、振替口座を持たない送金人が現金を払い込んで利用するサービスではない。また、新総合通帳でない通常貯金へ、他の者が現金を直接払い込む制度はない。
[編集] 加入者指定金融機関預貯金口座振替(相互送金)
相互送金を参照の事。
[編集] その他の取扱い
[編集] 自動払込み
通常郵便貯金の預金者が支払人として利用できる制度で、各種公共料金、保険料、会費などを定められた日に通常貯金から自動的に払戻して、収納者側の一般振替口座に支払われる。自動払込みの料金は公共料金が1件10円、それ以外が1件25円と非常に廉価で、民間金融機関の自動振替に比べ簡易に(例えば学校の授業料やサークル等の会費、小売店の割賦代金などの収納)利用できる事が利点である。
- なお、収納する団体・会社の形態によって、摘要欄が「自払」「会費」「割賦」などと印字される。
[編集] 特殊払出し
加入者の口座から電波利用料、郵便料金、簡易保険料、国民年金保険料を相手歳入庁に払出すもの。
[編集] 定期継続振替
定期に継続して電気、ガス、水道その他の料金を加入者の口座から収納加入者の口座に振替えるもの。
[編集] 定期払出
自己を受取人として定期に払い出すもの。
[編集] 自動払出し
[編集] 連動振替決済
インターネットによる通信販売で申込みと決済を同時に行うもの。
[編集] デビットカード
デビットカードを参照の事
[編集] ゆうちょペイジーサービス
[編集] 特定保留
共用カード(チェックカード)の利用に関するもの。
[編集] 国際送金
国際送金は指定された郵便局のみが取り扱うもので、日本と同じ郵便貯金業務を取り扱う国の郵便貯金振替口座宛に送金するか、為替を発行する事が可能である。
他に海外20カ国2地域の銀行宛への送金も取り扱っており、高額でなければ手数料は銀行の外国送金より廉価である。