電報
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電報(でんぽう)とは、電信を用いた文書(「電文」という情報)の配達サービスである。郵便による信書より高速に通報出来る。
一般に電話が普及するまでは、肉親の危篤などの緊急連絡手段に用いられていたが(古い邦画に危篤などの緊急連絡を知らせる電報が配達されるシーンがあることが多い)、1960年代の電話・1980年代後半のファクシミリ・1990年代後半より携帯電話やインターネットの電子メール(Eメール)の普及により、緊急連絡に用いられることは少なくなり、多くは冠婚葬祭での祝電や弔電用に使われている。
また、電文の伝達手法も、モールス信号で多くの電報局を人手による解読で中継する方式から、テレタイプ端末と交換機による電報局間自動中継を経て、ISDNパケット通信による配達委託先への直接伝送・印刷が使用されるようになり、人員の合理化も進んだ。
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[編集] 日本の電報サービス
日本では電気通信事業法附則第五条で、当分の間、電報の事業(配達の業務を含む)を電気通信役務とみなし、これに係る業務のうち受付及び配達の業務については、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)、西日本電信電話株式会社(NTT西日本)及び国際電電(旧KDD)承継人であるKDDI株式会社のみがこれを行うことができることとなっている。
1980年代までは、電話局や郵便局・農業協同組合・漁業協同組合・国鉄の主要駅で電報の受付を行っており、地域によっては郵便局から電報が配達されることもあったが、緊急連絡手段としての用途が薄れたことや、郵便局などの電報業務の撤退やNTT電話局窓口の削減などにより、下記のような申し込み方法を取るようになり、電報の配達自体はNTT直接のほかに民間に委託している場合もある。
[編集] 申込方法・受付時間
2004年現在、NTT東西のサービスでは次の方法がある。
- パソコンからインターネット: 24時間受付でクレジットカードで支払。企業会員用の電話料金と合わせての月締払いもある。
- iモード: 24時間受付で月5通以下ならば携帯電話料金と併せて請求。月5通を超える場合はクレジットカードで支払。
- 固定の加入電話から115番: 午前8時から午後10時まで受付で電話料金と併せて請求。昔は電報の申込は、電話で115番へ申し込むこと(「託送(たくそう)」という)が殆どで、24時間受け付けていたが、合理化によって営業時間が短縮された。
- NTTドコモグループ各社の携帯電話から115番: 午前8時から午後10時まで受付で月5通以下ならば携帯電話料金と併せて請求。月5通を超える場合はクレジットカードで支払。
- 提携コンビニエンスストアからファクシミリ: ぬいぐるみ電報のみ申込が可能で、午前8時から午後9時30分まで受付の現金支払。
[編集] NTTの慶弔電報
冠婚葬祭などでのメッセージを伝達する手段(祝電・弔電)として1936年に日本電信電話公社によって開始された。 1936年には、公社はなく、逓信省がしていた。運輸通信省・電気通信省などと変遷がある。
配達日の1ヶ月前から予約可能で、翌日以降の日の午前・午後の指定での配達ができる。急ぎの場合(特に弔電)は、午前8時~午後7時受付分が当日中、午後7時~午後10時受付分が翌日午前8時以降に配達となる。
また、メロディ電報・メロディボイス電報、同時に物品を配達できることを生かしたフラワー電報・おし花電報・刺しゅう電報・うるし電報・ぬいぐるみ電報などで付加価値をつけている。
[編集] NTTの緊急定文電報
緊急定文例を用いた緊急連絡用の電報であり、夜間配達も割増料金で可能である。
- 午後7時~午後10時受付分は、当日中に配達。
- 午後10時~午前6時受付分は、午前6時~午前8時に配達。
[編集] NTTの無線電報
事前に登録された日本船籍の船舶向けに、24時間受付・伝送が行われている。
[編集] KDDIの国際電報
- 国際電報
- 海外宛の電報は上述1-1-1「申込方法・受付時間」にあるとおり、NTT国内電報と同様に、固定の加入電話から託送することができる。ただし毎日午前9時から午後5時までの受付であって、また番号は(0053)-519番である。
- 国際無線電報
- 主に外国船籍の船舶向けに、24時間受付・伝送が行われている。なお、日本国内の海岸局が廃止されているため、船舶向け通信業務は外国の電気通信事業者に委託している。そのため、通信主権の面で問題があるという意見もある。
[編集] その他民間事業者のメッセージ伝送サービス
電気通信事業者でない民間事業者(具体例は後述)が、インターネットを利用した受付で同様のサービスを行っている。信書便法での認可を受けているのはHUMONYのネット電報Verycardだけでありこれは自社の配達網で全国即日配達を行っている。認可を受けていないものは日本郵政公社の翌朝十時郵便などを利用している。
[編集] 社会への影響
[編集] 電報文体
電報料金は、電文の空白・句読点を含めた文字数により課金されるシステムであり、かつては電文にはカタカナのみが使用可能であったため、カナのみでなるべく少ない文字数で伝える独特の文体が使用されていた(例:“アトフミ”―詳細は後程手紙で “ヨロオネ”―宜しくお願いします “ウナ”―至急)また、その文体が緊急連絡を表すものとして文学に取り入れられた。
[編集] ウナ電
ウナ電とは至急電報の事を指す。語源はURGENTから。ウの字がU、ナの字がRのモールス符号に割り当てられていた為である。1976年に廃止されたが今でもそこそこ有名な言葉である。
[編集] 090金融の取立て
闇金融、その中でも090金融の取立てに、慶弔電報(その中でも漆電報)が利用され社会問題となった。そのため、電報の受け取り拒否が可能となった。
また、借金のカタに取り上げた携帯電話から電報の申し込みを行って多額の料金の踏み倒しを行う行為が多発したため、携帯電話料金とあわせての請求は月5通までとなった。
[編集] テレビ番組での使用
「笑っていいとも!」(フジテレビ) では慣例としてゲスト出演者に祝電が届くことがあり、キティちゃん電報などのキャラクター電報は同番組より全国的に知れ渡った。
[編集] 日本での歴史
- 1869年12月25日 : 東京・横浜間で初めてのサービス開始
- 1908年 : 無線電報サービス開始
- 1930年 : 写真電報サービス開始
- 1934年 : 年賀電報サービス開始
- 1936年 : 慶弔電報サービス開始
- 1946年 : 模写電報サービス開始
- 1976年 : 至急電報(ウナ電)サービス終了
- 1985年 : 夜間配達を午後7時から翌朝午前8時に受け付けた緊急定文電報のみに変更。
- 1988年 : ひらがな電報サービス開始
- 1991年3月31日 : 受付時間を午前8時から午後10時までに変更。
- 1994年 : 漢字電報サービス開始
- 2004年4月1日 : 千代田電報配達所と中央電報配達所合併。日本一のマンモス配達所になる。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
[編集] インターネットから申し込みのNTT・KDDI以外のメッセージ配達サービスの例
- 毎日14時までの申込で当日配達、18時までの申込で翌朝10時以降配達(一部過疎、離島など地域除く)。個人1260円(税込)、法人会員1008円均一で文字数も300文字まで利用出来、慶弔時は勿論、誕生日・母の日・出産・お見舞い等々カジュアルな場面で利用出来るお洒落な台紙も準備されている。生花やギフトカタログなどと一緒に届けたり、キャラクターぬいぐるみなども行っている。
総務省からの特定信書便事業認可を受けておりNTT・KDDI・郵政以外の民間で即日配達が出来るのはこの会社だけであり年間100万通前後の配達を行っている。
- 最大400文字まで一律1,000円(税込)、会員登録でポイント利用すると実質1通当たり909円(10通ご利用時)と格安に送れる。会員でなくてもすぐ申し込みができ、受付から配達終了まで無料で配送状況が確認できる。海外からも日本へ電報がほぼUS$9で届けられる。郵便局が配達を行い翌朝10時までに配達できる便もある。
- 翌日便と即日便の2種類のサービスが有る。
- 翌日便は、840円~と格安の電報で、翌日の10時までに配達される。(締切時間は配達地域により異なる。)
- 即日便は、945円~ 毎日15時締切で当日の19時頃までに配達・15時~翌7時受付分は、翌午前中の配達される特急便。これは郵政公社のレタックスに代行手数料を計上して販売している。
- Ynot ぬいぐるみカード : 当日の午後3時までで翌日以降配達可能。宅配便で発送。
- ハート電報
- ピーターラビット、パディントンベアや桂由美などのキャラクター電報。刺繍電報、お悔やみ電報もある。
- web上での編集機能やプレビュー画面等、web注文に特化したサービスを行っている。
- 到着日もweb上で検索でき、配送時間を指定できるオプションサービスもある。
- 日本国内配送専用