結城氏
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結城氏（ゆうきし）は平安時代末期から戦国時代にかけて、主に下総で活動した一族（大身）。
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[編集] 出自
藤原秀郷の末裔・小山朝光（結城朝光）が平安時代後期に源頼朝の挙兵に従い、志田義広滅亡後の鎌倉時代には下総の結城（茨城県結城市）を領した事が結城氏（下総結城氏、本記事中では一部を除き単に｢結城氏｣と記す）の始まりであるとされている。朝光は古くから源頼朝御落胤説があり、北条氏のために親子の名乗りができず、その代わりに身分の上では小山氏の庶子に過ぎなかった朝光にあらゆる優遇を施したという。それ故か、伝統的に源氏を称している。あらゆる名族が起きては滅び、結城氏も翻弄され家運定まらぬ中で、鎌倉以来の名族中の名族としてその家名を後世に伝えた。
[編集] 鎌倉時代・南北朝時代
[編集] 下総結城氏の繁栄とその衰退
朝光とその子結城朝広の時代、幕府の要職を歴任し、鎌倉府の御家人の中心として繁栄期を迎えた。しかし、朝広の子の結城広綱以降は当主の夭折が相次き、衰退することになる。鎌倉幕府の滅亡後は白河結城氏に一時惣領の座を奪われるなどやや勢力は振るわなかったが、結城朝祐・結城直朝は足利氏に接近し、その覇業を助け転戦し、直朝の弟の結城直光の代には安房の守護を務めるなど再興を果たしている。
[編集] 白河結城氏と南北朝の争乱
鎌倉時代末期、朝広の子の一人である結城祐広は白河（福島県白河市）を本拠として白河結城氏（白河氏）となる。1333年に後醍醐天皇が鎌倉幕府に対して挙兵すると結城宗広は新田義貞の鎌倉攻めに参加し、鎌倉幕府滅亡後の建武の新政においては宗広の子の結城親光が三木一草と称される１人となり、親光の兄の結城親朝は奥州府の一員となり陸奥守北畠顕家と北畠親房父子を補佐する。足利尊氏が建武政権から離反し南北朝時代になると、下総結城氏が足利方に従ったに対し、白河結城氏は南朝方に属した。親光は尊氏が九州から入京を果たした際に尊氏暗殺を試みて失敗して殺され、宗広は北畠親子に従い、親朝は常陸（茨城県）へ渡り関東地方における南朝勢力を確保しようとした親房が救援を求めるが距離をおき、1342年に足利方に従う。以降の白河結城氏については白河結城氏の項目を参照。
[編集] 室町時代・戦国時代・安土桃山時代
[編集] 結城合戦と家名再興
室町時代前期には、結城氏の本家筋であった小山氏が小山義政の乱により衰退し、結城基光の子の泰朝が小山氏を継ぐなど、関東の有力守護大名として最盛期を迎えた。結城氏は宇都宮氏や小山氏、佐竹氏、小田氏、那須氏、千葉氏、長沼氏と並んで「関東八家」の一つに数えられ、鎌倉府には「結城の間」なる部屋が創られ、一族の栄誉となっているという。しかし、永享の乱により鎌倉公方が衰退すると結城氏の命運も暗転し、結城氏朝・結城持朝は永享の乱の後に将軍・足利義教に追われた鎌倉公方の足利持氏の遺児たちを匿って幕府軍と結城合戦を行い一時滅亡する。その後、持氏の遺児の足利成氏が鎌倉公方に復帰すると、結城氏も再興を許されたものの、家臣筋の多賀谷氏、山川氏、水谷氏等が独立色を強めしばしば反抗的な態度をとったため、衰退の一途をたどる。戦国時代に入り、享徳の乱が勃発し、結城氏は古河公方を支持して山内上杉氏と抗争を続けるなど悪条件が重なったが、名君と呼ばれた15代当主・結城政朝が登場し、彼の治世のとき、結城氏は、多賀谷氏や山川氏を屈服させ、さらに周辺勢力との抗争に勝ち抜くことにより、戦国大名としての飛躍を遂げ、その子・結城政勝の時代には分国法の「結城氏新法度」を制定して勢威を常陸や下野にまで伸ばして、再びの最盛期を築き上げた。
[編集] 戦国時代の終了と結城氏の滅亡
しかし政勝の後を継いだ結城晴朝の時代から北条氏康や上杉謙信の侵攻を受けて、結城氏は北条・上杉の間を転々としながら1590年、豊臣秀吉の小田原征伐に参陣して、近世大名として生き残ることに成功した。この際、戦功によって改易された旧小山氏の所領と旧小田氏の所領の一部（土浦城一帯）が結城氏に与えられている。
晴朝には嗣子が無く、初めは宇都宮広綱の次男で佐竹義重の甥に当たる結城朝勝を養子に迎えていた。だが、小田原征伐後に結城氏の所領が大大名である徳川氏の所領と隣接するようになる。このため朝勝を廃して、徳川家康の次男で秀吉の養子になっていた結城秀康を養子に迎えて家督を譲ることで豊臣・徳川両氏の信頼を得て結城氏の存続を図ったが、関ケ原の戦いの後に秀康は越前に移封されて1604年には松平姓に改めた為、結城姓は五男結城直基が継ぐ。しかし、直基も後に松平姓に復帰し（越前松平家）下総結城家嫡流の家名は絶えた。なお、下総結城氏の祭祀は代々の越前松平家当主が代行している。
[編集] 結城氏の末裔
別系統に白河結城氏の末裔たる結城氏のうち一部は、水戸藩士として1000石、家老の家格を有した。小山氏、宇都宮氏と並び水戸藩御三家として尊ばれ代々家老を務め叙爵（従五位下と官職を受けること）を受ける家柄であった。しかし、結城寅寿の代に藩主毒殺を図ったとして、反逆の罪で絶家とされた。寅寿の子 結城種徳は牢死し、結城家は大森家から養子を迎え入れて存続した。なお、水戸藩の結城氏は庶流であり、白河結城氏の末裔は秋田藩士、仙台藩士として存続している。
その他、常陸国伊奈に名主の結城氏が存続。結城300石といわれる石高を有した。
[編集] 下総結城氏歴代当主
- 結城朝光
- 結城朝広
- 結城広綱
- 結城時広
- 結城貞広
- 結城朝祐
- 結城直朝
- 結城直光
- 結城基光
- 結城満広
- 結城氏朝
- 結城持朝
- 結城成朝
- 結城氏広
- 結城政朝
- 結城政直
- 結城政勝（16代当主）
- 結城晴朝（17代当主）
- 結城秀康（18代当主）
- 結城直基（19代当主）
（ただし、結城氏の家系図では政直の家督相続の事が記載されておらず、政勝が16代目当主とされて以下1代ずつ繰り上がって記載されている）
[編集] 系譜
凡例 太線は実子。二重線は養子。
藤原秀郷 ┃ 千常 ┃ 文脩 ┃ 兼光 ┃ 頼行 ┃ 宗行 ┃ 行政 ┃ 小山政光 ┣━━━━━┓ 小山朝政 結城朝光
結城朝光 ┃ 朝広 ┣━━━┓ 広綱 祐広 ┃ ┃ 時広 宗広 ┃ ┃ 貞広 親朝 ┃ 朝祐 ┣━━━┓ 直朝 直光 ┏━━━┫ 基光 秀光 ┣━━━━━┓ 満広 小山泰朝 ┃ ┃ 多賀谷光義 結城氏朝 ┏━━━┳━━━┫ 持朝 長朝 成朝 ┃ 氏広 ┃ 政朝 ┏━━━╋━━━━━┓ 政直 政勝 小山高朝 ┃ ┣━━━━━┓ 明朝 小山秀綱 晴朝 ┃ ∥ 小山政広 秀康
[編集] 関連氏族・関連人物
水谷氏
岩上氏（小山氏庶流）
- 岩上朝堅
- 岩上朝吉
山川氏
- 山川重光（結城朝光の子）
- 山川景貞
- 山川政貞
- 山川直貞
- 山川晴重
- 山川朝貞
玉岡氏
- 玉岡政広
片見氏
- 片見政行
その他一族
- 結城基景
- 結城朝勝
[編集] 参考文献
- 府馬 清『結城一族の興亡』（地方・小出版流通センター、1983年） ISBN 4870150972
- 七宮涬三『下野 小山・結城一族』（新人物往来社、2005年） ISBN 4404032706
