津川雅彦
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津川 雅彦(つがわ まさひこ、1940年1月2日 - )は、グランパパプロダクションに所属し、同社の代表取締役を務める俳優である。京都市中京区出身。血液型O型。本名は加藤 雅彦(かとう まさひこ)。京都の洛星中学校、早稲田大学高等学院中退。明治大学付属中野高等学校、文化学院短期大学卒業。監督名・マキノ雅彦として「寝ずの番」で映画監督デビュー。
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[編集] 来歴・人物
- 芸能一家に生まれた日本を代表するベテラン俳優の一人で、数多くの映画、テレビに出演。16歳で映画「狂った果実 」(1956年)でデビュー(それ以前に5歳の時に映画に出演した経験はある)、美少年俳優として絶大な人気を誇った。その後、伸び悩んだ時期もあったが、中年以降は映画「マノン」(1981年)などのニヒルな悪役として注目され、老年に入ると円熟味のある存在感で幅広い役柄をこなしている。
- 60歳を超えるにも関わらずファッションセンスはピカイチで、穴の開いたジーンズも颯爽と着こなす。そのため若い女性からも人気があり、自身も合コンが大好き。「合コンしないで何をやる!」が口癖。合コン仲間に奥田瑛二、明石家さんま、高橋克典がいる(高橋はこの面子だとパシリらしい)。趣味はメールで、絵文字が大好き。芸能界きっての食通でもある。
- 一人娘の真由子を溺愛している。そのため、もし彼女に彼氏が出来たとしても、「(娘の彼氏という立場の男を)好きになれるはずがない!」と、断固娘の恋人を拒否し続けている。溺愛の理由には、真由子が1974年に生後5か月で誘拐された経験が一因となっている。
- 政治に関して非常に保守的な見解を持ち、保守的な会合にも参加している。「みんなで靖国神社に参拝する国民の会」、「首相の靖国神社参拝を求める国民の会」の発起人もつとめる。
- おもちゃ・絵本の全国チェーン・グランパパのオーナーでもある。一方で1988年に、廃線となった北海道の旧国鉄広尾線を「幸福鉄道」としてよみがえらせ、北海道広尾町の町営牧場など約500ヘクタールの土地に100億円をかけ、「夢の王国サンタ愛ランド」を作ろうと計画。英国・スコットランドの古城「ロック・ハート城」を解体し、シベリア鉄道経由で運び込み注目された。だが、資金計画をめぐり町側と対立し、1991年に町から計画受け入れ拒否を通告され計画は頓挫。その後、群馬県沼田市の石材会社サンポウの社長が買収し、1993年に同県高山村で復元、「大理石村 ロックハート城」として有料公開され、結婚式場などにも使われている。
- 実兄で演技派俳優の長門裕之とはデビュー以来何かと比較されライバル関係が続いていたが、「マノン」の演技で津川が1982年度のブルーリボン賞最優秀助演男優賞を受賞した際に、長門が津川の実力を認め和解して現在に至る。近年は共演が多く、『八代将軍吉宗』『サラリーマン金太郎』『相棒』『戦国自衛隊 関ヶ原の戦い』などがある。また自身の監督作品『寝ずの番』にも長門が出演している。
- お笑いタレントの松村邦洋には、「サラリーマン金太郎」の大和会長役でモノマネされている。その際松村はよく首を振るのだが、津川本人は実際あまり首を振らないので、その旨を松村に言ったことがある。ところが、やがて津川本人は松村に「松ちゃんが首振るから僕も今度から首を振ることにしたよ」などと語っていて、本家がモノマネ芸人に合わせるという本末転倒なことになった(このエピソードは松村が雑誌のインタビューで答えていた)。『葵徳川三代』で演じた徳川家康の真似もされている。
- 「独眼竜政宗」(1987年 NHK大河ドラマ)、「徳川武芸帳・柳生三代の剣」(1993年 テレビ東京)、「家康が最も恐れた男・真田幸村」(1997年 テレビ東京)、「葵徳川三代」(2000年 NHK大河ドラマ)、「戦国自衛隊 関ヶ原の戦い」(2006年 日本テレビ)と、徳川家康役を五回も演じており、最も家康が似合う俳優となっている(特に老年期の家康)。その他の徳川将軍としては、五代綱吉(「八代将軍吉宗」1995年 NHK大河ドラマ)、十五代慶喜(「勝海舟」1974年(NHK大河ドラマ)・1990年(日本テレビ年末時代劇スペシャル))も演じている。
[編集] 略歴
父は沢村国太郎、母はマキノ智子、実兄に長門裕之を持つ。祖父は牧野省三。叔父に加東大介、叔母に沢村貞子、母方の叔父はマキノ雅弘、叔母は宝塚歌劇団出身の轟夕起子。沖縄アクターズスクール校長マキノ正幸は母方の従弟。妻は、朝丘雪路。娘は真由子(女優)。
- 1954年までは本名である加藤雅彦として活動。
- 石原慎太郎が津川と命名。
- 1964年、松竹から独立。
- 1973年、女優の朝丘雪路(元宝塚歌劇団月組娘役)と結婚。
- 1978年、おもちゃ販売会社グランパパを設立し運営。一号店を青山ツインビルにオープンさせる。
- 初監督寝ずの番
[編集] 主な作品
[編集] 映画
- 狐の呉れた赤ん坊(1945年)
- 日本の夜と霧(1960年)
- 男はつらいよ私の寅さん(1973年)
- お葬式(1984年)
- マルサの女(1987年)
- あげまん(1990年)
- 天と地と(1990年)武田信玄役
- 墨東綺譚(1992年)永井荷風役
- 忠臣蔵外伝 四谷怪談(1994年)大石内蔵助役
- 必殺! 主水死す(1996年)権の四郎役
- スーパーの女(1996年)
- マルタイの女(1997年)
- プライド・運命の瞬間(1998年)東條英機役
- ガメラ3 邪神覚醒(1999年)
- ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃(2001年)
- ムルデカ 17805(2001年)
- THE 有頂天ホテル(2006年)
- デスノート(2006年6月17日、金子修介監督)
- デスノート the Last name(2006年11月3日、金子修介監督)
[編集] ドラマ
- 息子の縁談(1958年)
- 竜馬がゆく(1968年、NHK大河ドラマ)久坂玄瑞役
- 勝海舟(1974年、NHK大河ドラマ)徳川慶喜役
- 岸辺のアルバム(1977年、TBS)
- 黄金の日日(1978年、NHK大河ドラマ)津田宗及役
- 徳川家康(1983年、NHK大河ドラマ)大久保長安役
- 宮本武蔵(1984年、NHK水曜時代劇)沢庵役
- 必殺橋掛人(1985年、朝日放送「必殺シリーズ」)柳次役
- 独眼竜政宗(1987年、NHK大河ドラマ)徳川家康役
- 五稜郭(1988年、日本テレビ)勝海舟役
- 空と海をこえて(1989年、TBS)桂木誠役
- 奇兵隊(1989年、日本テレビ)
- 勝海舟(1990年、日本テレビ)徳川慶喜役
- 源義経(1990年、TBS)
- 徳川武芸帳 柳生三代の剣(1992年、テレビ東京)
- 本多の狐 徳川家康の秘宝(1992年、朝日放送)
- 伊達政宗(1993年、テレビ朝日)
- 憎しみに微笑んで(1993年、TBS)
- 織田信長(1994年、テレビ東京)
- 大忠臣蔵(1994年、TBS)
- 夢見る頃を過ぎても(1994年、TBS)
- 八代将軍吉宗(1995年、NHK大河ドラマ)徳川綱吉役
- 元禄太平記(1995年、テレビ朝日)
- 炎の奉行 大岡越前守(1996年、テレビ東京)
- 憲法はまだか(1996年、NHK)松本烝治役
- メロディ(1997年、TBS)
- 編笠十兵衛(1997年、テレビ東京)
- 世界で一番パパが好き(1998年、フジテレビ)根岸義彦役
- サラリーマン金太郎(1999年、TBS)
- 古畑任三郎(1999年、フジテレビ)安斎亨役
- 葵徳川三代(2000年、NHK大河ドラマ)徳川家康役
- 合い言葉は勇気(2000年、フジテレビ)網干頼母役
- こちら第三社会部(2001年、TBS)
- 忠臣蔵1/47(2001年、フジテレビ)吉良上野介役
- 壬生義士伝~新撰組で一番強かった男(2002年、テレビ東京)八木源之丞役
- 武蔵 MUSASHI(2003年、NHK大河ドラマ)本阿弥光悦
- 刑事★イチロー(2003年、TBS)
- エ・アロール(2003年、TBS)
- 離婚弁護士(2004年、フジテレビ)井上紀三郎役
- 忠臣蔵(2004年、テレビ朝日)徳川綱吉役
- 最後の忠臣蔵(2004年、NHK)天川屋儀兵衛役
- 世にも奇妙な物語「地獄は満員」(2004年、フジテレビ)
- 古畑任三郎 すべて閣下の仕業(2004年、フジテレビ)若松医師役
- 離婚弁護士II~ハンサムウーマン~(2005年、フジテレビ)井上紀三郎役
- 相棒(2005年、テレビ朝日)瀬戸内米蔵役
- 幸せになりたい!(2005年、TBS)熊野雄太郎役
- 功名が辻~山内一豊の妻~(2006年、NHK大河ドラマ)不破市之丞役
- 戦国自衛隊 関が原の戦い(2006年、中京テレビ) 徳川家康役
- 医龍(2006年、フジテレビ)
- 奇跡の動物園~旭山動物園物語~(2006年、フジテレビ)
- 忠臣蔵 瑤泉院の陰謀(2007年、テレビ東京) 徳川綱吉役
- 華麗なる一族(2007年、TBS) 永田大蔵大臣役
[編集] 監督作品
映画監督マキノ雅弘の甥である津川は、マキノ雅彦名義で映画監督として活動している。
[編集] 必殺シリーズ
一時期、女性問題や所属事務所移籍問題の影響を受けて、仕事の入らない時期があった。そんな中、当時朝日放送でディレクターとして活躍していた親友の松本明からの熱心な誘いを受けて、『必殺仕掛人』に悪役としてゲスト出演する。
それまでの正統派二枚目俳優津川雅彦のイメージからすれば、全く考えられない事であったが、結果、存在感の大きさとコミカルな雰囲気が見事に調和した演技が大きな反響を呼び、以降も度々必殺シリーズ(第2作『必殺仕置人』~第7作『必殺仕業人』)に悪役としてゲスト出演し、好評を博した。この必殺シリーズでの一連の津川の出演作品は、津川シリーズと呼ばれ、一部のマニアからは非常に大きな人気を得ている。
[編集] CM
- 「画王国」の王に扮し「テレビじゃ画王じゃ!!」と叫ぶ、インパクトのあるCMが話題を呼んだ。
[編集] 受賞
- 第24回ブルーリボン賞 最優秀助演男優賞(1982年)
- 日本アカデミー賞 助演男優賞(1988年)
- 日本アカデミー賞 優秀主演男優賞(1999年)
- 日本アカデミー賞 助演男優賞(1995年)
- 日本アカデミー賞 優秀主演男優賞(1993年)