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対戦車砲 - Wikipedia

対戦車砲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

対戦車砲(たいせんしゃほう)とは、歩兵部隊の戦車に対する防御用火砲として特化し、初速・貫徹力を重視し、かつ戦車からの発見・攻撃を防ぐために高さを低くした大砲である。旧日本陸軍では速射砲と呼ばれた。小銃や機関銃と同じ直接照準により射撃する。普通、大砲は砲兵隊の装備であるが、対戦車砲は歩兵砲や迫撃砲同様、歩兵連隊の装備である。また、当初はあらかじめ用意された複数の陣地を人力で移動しながら戦うことを想定され、当時の戦車の装甲の薄さもあって小型の砲が使われたが、やがて火力と装甲のシーソーゲームが始まり恐竜的進化を遂げ、巨大化していった。

目次

[編集] 開発の経緯

 戦車に対抗するには戦車(敵に対応できうる性能をもつことが前提だが)が一番なのだが、戦場の状況によっては不可能なこともある。また、第二次大戦当時のアメリカ軍のように、「戦車に対しては駆逐戦車と対戦車砲で戦う」という古臭いドクトリンに従い、対戦車戦闘能力の高い戦車の配備が遅れた例もある。特に自軍が防御的立場に立たされている場合、低い姿勢で待ち伏せ発見されにくく、砲の性能によっては敵の戦車のアウトレンジ(射程外)から攻撃できるという点で、より効果的な場合もあった。これは第一次世界大戦において、戦車に対抗するため無防備な野砲やカノン砲を用いた時のあまりの損害の多さから出た教訓により生まれた物である。

8.8cm Flak36/37
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8.8cm Flak36/37

[編集] 「88」の活躍

 第二次大戦初期、一部の戦車の装甲防御力は既存の対戦車砲(その当時で37mm級、50mm級)を威力不足にし、これに対し臨時に野戦高射砲で対抗することがあった。高射砲は大口径(75~105mm級)、高初速、発射速度大など、一見対戦車任務に適しているようだが、最初から地上目標を想定した両用砲でなければならない。特に対戦車用の徹甲弾や直接照準器、また水平射撃時の砲架や駐退機の強度など考慮されていなければならず、前線での咄嗟の思いつきで使ったなどということはありえず、あらかじめ対戦車戦闘を想定して設計されていたのである。 有名なのはドイツ軍の「88」(アハト・アハト)として知られる8.8cm砲Flak18またはFlak36/37)である。ドイツ軍は1936年のスペイン内戦におけるコンドル軍団としてFlak18を運用、翌年からは野砲や対戦車砲として地上目標への攻撃に使われることが任務全体の73%にものぼったという。この時の経験により、対戦車戦闘向きな直接照準器や、強力なタングステン芯を用いる特殊徹甲弾が開発された。

後の1940年のフランス侵攻時、ドイツ陸軍はイギリス軍のマチルダII歩兵戦車やフランス軍のルノーB1といった重装甲の戦車に苦戦していた。陸軍第7戦車師団がアラスでこれら連合軍戦車の反撃をうけた際(西方電撃戦アラスの戦いを参照)、師団長ロンメル将軍が空軍の8.8cm Flak18で編成された野戦高射砲隊(一説には陸軍の10.5cm野砲隊)に命じ、これらの戦車を撃退している。

後にそのロンメル率いるアフリカ軍団は、1941年5月の英軍の「ブレヴィテイ作戦」を迎え撃ち、ハルファヤ峠をめぐる戦いではマチルダII歩兵戦車を数十輌撃破している。これは砂漠特有の陽炎のため、遠くで砲身だけを出して構えている敵砲が見えづらいのと同時に、当時のイギリス戦車の搭載砲が対戦車用の徹甲弾しか撃てず、軟目標に対して効果のある榴弾が撃てなかったのも原因だった。また「バトルアクス作戦」においても、一個中隊の88により90輌近い英軍戦車が失われ、以後も全戦域にわたって対戦車戦闘に大活躍している。

この他にも、後退中の空軍地上部隊の高射砲隊に対し陸軍や武装SSの将校が、本来は対空任務であることを主張しその場を去ろうとする空軍将校に銃を突きつけてまで対戦車戦闘を強要、結果かなりの戦果を挙げて戦線崩壊の危機を救ったケースがいくつか記録されている。(中には味方のティーガーまで誤射して撃破しまった例もあるが。)   8.8cm高射砲はその後、より長砲身で高性能の8.8cm Flak41に発展。さらに姿勢の低い全周砲架を持つ対戦車砲型Pak43、野砲から流用した砲架を持つ低コストのPak43/41(71口径8.8cm対戦車砲)が作られた(後述)。しかし巨大なため牽引車輌が無いと移動できず撤退戦で放棄される物も多く、捕獲したソ連軍はこれを用いた部隊まで編成し、ドイツ重戦車に対して使ったのは皮肉である。

[編集] 第二次世界大戦において使用された対戦車砲

(以下に挙げた物は広く使用された物で、試作品の域を出ない物は除く)

※外部リンクについては、なるべく写真を介して実物を知ってもらおうという事で砲自体の写真があるものはその砲の解説ページを載せています。また、その砲に関連の深い車両(なるべくウィキペディアに乗っていないもの)についても載せています。

[編集] ドイツ

3.7cm Pak35/36 L45
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3.7cm Pak35/36 L45
Pak35/36用の成形炸薬弾
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Pak35/36用の成形炸薬弾
5cm Pak38
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5cm Pak38
大戦後期の独軍主力対戦車砲Pak40
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大戦後期の独軍主力対戦車砲Pak40

意外に思われるかも知れないが、ドイツ軍は常に戦車劣勢の立場にあった。大戦前半は質において、後半は量において優勢な敵と戦った。したがって彼らが「戦車なしで敵戦車に立ち向かう手段」を求めたのは当然で、大戦全期を通じ積極的に対戦車砲の開発を行った。

3.7cm Pak35/36 L45 (45口径37㎜対戦車砲)
大戦前半の主力対戦車砲。37㎜級としては威力のある方だったがフランスやイギリス,ソ連の重装甲戦車相手に苦戦し、「ドアノッカー(叩くだけで貫通できない)」の蔑称がつけられた。能力的にはソ連侵攻あたりが限界だったが、砲口に差し込んで発射する専用の成形炸薬弾が開発されたことにより、近距離対戦車兵器としてその後も使われた。車載用としてSd Kfz 250Sd Kfz 250の小隊長車に使われ、戦車砲型が初期の3号戦車に搭載された。
また、本砲は中華民国にも輸出され、日中戦争において日本戦車に対し威力を発揮した。日本側も本砲を多数捕獲し、改修を加えラ式37mm対戦車砲(ラ式とは本砲を生産したラインメタル社を指す)として配備した。
5cm Pak38 L60 (60口径50㎜対戦車砲)
近代兵器の一大実験場となったスペイン内戦におけるPak35/36の交戦結果から、より強力な対戦車砲が必要であると感じた軍によって開発され、1939年より生産が開始された。実戦テスト的な意味合いも込めて1940年4月には早くも実戦配備についている。翌年開始された独ソ戦では、従来のPak35/36がソ連戦車の装甲を貫通できず、「ドアノッカー」との不名誉なあだ名までもらう中、本砲は敵戦車にある程度は効果的であったが、それでもT-34KV-1を相手にしてはまだ威力不足だった。貫徹力はAPC-HE弾を用いた場合で61mm/1000m。最終的に約9500門が生産され、運用は終戦まで続いた。3号戦車に搭載された。

大砲と装甲の研究(Pak38)

7.5cm Pak40 L46 (46口径75㎜対戦車砲)
大戦後半の主力対戦車砲で、Pak38の拡大版。1942年より部隊配備が開始され、終戦まで運用された。ここに来てようやく敵戦車に有効に対応できる兵器となったが、大型化により人力移動は困難となった。自走砲用としてマルダー系の対戦車自走砲に搭載され、Pak40/1はマルダーI用、Pak40/2はマルダーII用である。駆逐戦車に搭載されたのは48口径のPak39系で、別物。貫徹力は60度の角度で89mm/1000m(通常弾)、96mm/1000m(タングステン弾芯弾)。終戦までに約23000門が生産された。

Pak40/2を搭載した対戦車自走砲(2号戦車車台)

Pak40を搭載した対戦車自走砲の例(2)(Sd.Kfz.251車台)

Pak40/3を搭載した対戦車自走砲(LT-38車台)

大砲と装甲の研究(Pak40)

既成の砲架を組み合わせたPak43/41
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既成の砲架を組み合わせたPak43/41
8.8cm Pak43 L71 (71口径88㎜対戦車砲)
対戦車兵器として威力を発揮した「88」だったが、高射砲のままでは姿勢が高く発見されやすいため、対戦車砲として改良されたのが本砲である。全周射撃可能なまま姿勢は低くなったが、重すぎた(Pak43は砲車無しで3.6トン、砲車付きで5トン、Pak43/41は4.4トン)ため、人力での迅速な陣地転換が不可能だった。なお砲車が付けられたままでの緊急射撃時には、左右30度ずつの限定旋回となる。閉鎖器は戦車砲のように縦型で、野戦火砲にしては珍しく電気式の発砲機構を持つ。これをもとにした戦車砲型が6号戦車B型(ケーニヒスティーガー)、ティーガー(P)駆逐戦車(フェルディナント/エレファント)やヤクトパンターナースホルンといった駆逐戦車、対戦車自走砲に搭載された。
8.8cm Pak43/41 L71 (71口径88㎜対戦車砲)
Pak43の全周旋回可能なクロイツラフェッテ(十字型砲架)の生産が遅延したため、クルップ社は右上の画像のような、砲身はPak43、砲架と脚は10.5cm leFH18軽榴弾砲、車輪は15cm sFH18重榴弾砲という、既存の部品を寄せ集めた8.8cm Pak43/41対戦車砲を作りあげた。また、閉鎖器は以前の8.8cm砲同様に水平スライド式に戻されてる。性能的にはPak43と同等だが、砲架の関係で左右28度ずつの限定旋回となった。対戦車砲としてはあまりにも巨大になってしまい、これを使う兵からは「ショイネトア」=(敵から見て)撃ち損じ無しの標的などと呼ばれたが威力は素晴らしく、あらゆる敵戦車を敵の有効射程外から撃破できた。位置づけとしてはPak43の廉価版と言える。

大砲と装甲の研究(Pak43/41)

7.5cm Pak41 (75㎜ゲルリッヒ砲)
ゲルリッヒ理論に基づき開発されたゲルリッヒ砲である。これは砲が先に行くにしたがって細くなっており、高初速で砲弾を打ち出せるものだった。また砲弾も弾芯にタングステンを用いており、貫徹力は非常に強かった。が、砲の特性上砲身の寿命が短く、また砲弾もドイツ国内でタングステンが産出されなかったこともあり大量生産できる状態になかった。故に、わずかに150門が生産されたにとどまった。

[編集] ソビエト

ソ連軍も列強各国と同様対戦車砲の開発に努め、その開発した砲はその当時で威力のある部類に入るものであった。ただ、彼らにとって幸いなことに野砲として配備された76.2mm F-22等に対戦車砲としての威力があったため、他の国々が37~50mm級の対戦車砲しか持っていなかった時期に既に75mm級の砲を持つことを可能にした。そしてより量産向けである後継のZIS-3が、独ソ戦中期以降のソ連軍の主力対戦車砲として使用された。ちなみにソ連の大砲は、それが口径152mmの重砲であっても全て直接照準器が装備され、対戦車戦闘を行えるようになっていた。

45㎜対戦車砲
Pak35/36を基にしたことがよく分かる45mm対戦車砲M1932
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Pak35/36を基にしたことがよく分かる45mm対戦車砲M1932
ソ連に於いてこう呼ばれる砲は3種ある。それらは開発年で区別され、それぞれM1932(19K)、M1937(20K)、M1942と呼ばれる。32年型は46口径、42年型は60口径であり、より貫徹力を増した。BT戦車やT-26軽戦車の主砲としても採用されている。独ソ戦中期以降はドイツ軍の戦車の装甲が厚みを増したため次第に2戦級兵器となるが、終戦直前の対日参戦時には装甲の薄い日本軍戦車相手に依然として威力を発揮した。
ちなみにソ連製の45mm対戦車砲は、ラインメタル社製の3.7cm Pak35/36に先んじてライセンス生産された37mm対戦車砲B-3(5K)の口径を拡大したもので構造的に同一で、ドイツ製と比べると車輪がスポーク式なのが識別点である。 

大砲と装甲の研究(45mm対戦車砲M1942)  

45mm対戦車砲を搭載した対戦車自走砲の例

ZIS-2 57㎜対戦車砲
超長砲身を採用し、貫徹能力は高かったがコストに泣いたZis-2
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超長砲身を採用し、貫徹能力は高かったがコストに泣いたZis-2
ドイツ軍が重戦車を開発することを見越して開発されたもの。72.9口径という非常に長い砲身のため、高初速の弾丸を発射できた。ただし工作技術の低いソ連において長い砲身を削りだすのは非常に困難で、価格はZIS-3をはるかに上回った。そのためソ連軍対戦車砲の主力とはなりえなかった。少数のみ生産され、モスクワ攻防戦に投入されている。

大砲と装甲の研究(ZIS-2)

ZIS-2を搭載した対戦車自走砲の例

ZIS-2を改良したZIS-4を搭載した戦車

ZIS-3 76.2mm野戦砲
大戦中ソ連の主力野砲で、世界で最も多く(約48000門)生産された砲。独ソ戦初期に大量に失われたF-22野砲(後にドイツ軍に7.62cm Pak36(r)に改造される)などの後継として大量生産され、直接照準器を備え対戦車砲としても威力を発揮し、自国のみならずこの砲を捕獲した枢軸国側でも使われた。ドイツ戦車兵からは「ラッチュ・バム」(ドイツ語の着弾音と砲声の擬音。高初速(超音速)なので射撃音が着弾よりも後に聞こえる、という事から。)と呼ばれた。対戦車用としては末期のドイツ戦車に対応できなくなり、より強力な口径100mmのBS-3野砲(やはり対戦車砲を兼ねる)が配備され、戦後には滑腔砲であるT-12やM87が開発されている。

大砲と装甲の研究(ZIS-3)

F-22を改造したPak36(r)を搭載した対戦車自走砲の例(1)(ドイツ軍)

ZIS-3を搭載した対戦車自走砲の例(2)(ソ連軍)

ZIS-3を搭載した対戦車自走砲の例(3)(ルーマニア軍)

[編集] 日本

戦前日本には「戦車には戦車で対応する」という考えは少数であり、必然的に対戦車戦に於ける速射砲(旧軍の対戦車砲の呼称)の役割は大きかったが、日華事変において中国側が当初機甲戦力をあまり有効活用しなかった事、後の戦車の恐竜的進化を予見できなかったことから、帝国陸軍は強力な対戦車砲の開発を積極的には行わず、必要とされた時に間に合わなかった。また、旧軍の徹甲弾の品質は悪く、結果として旧軍は対戦車戦において非常に苦労することとなった。(費用と資材の制約から被帽子付徹甲弾(APC)を使用できなかった点もそれに拍車をかけた。)

九四式37mm速射砲
1934(皇紀2594、昭和以降旧軍の兵器は皇紀の下2桁をとって呼ぶ)年採用。日本初の対戦車砲で、ノモンハン事変太平洋戦争初期に使用されたが、他国の同クラスの砲に比べ装薬量が少なく、弾頭の冶金技術に劣り貫徹力不足で、ノモンハンで弱装甲のソ連のBT戦車は撃破できたものの、アメリカのM3軽戦車相手では苦戦した。九四式軽装甲車の一部改造型、九五式軽戦車九七式軽装甲車の一部(主に小隊長車)に搭載した物は、同系列ではあるがより威力が小さい別物である。
一式機動47mm速射砲
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一式機動47mm速射砲
一式機動47mm速射砲
1941(皇紀2601)年採用。「機動」とは自動車牽引を前提としたゴムタイヤを付けた砲である事を表す。ノモンハンで戦ったソ連の45mm砲の影響で作られ、高初速でこのクラスの砲としては威力のある方だった。が、本砲もやはり徹甲弾の貫徹力不足という問題を抱えていた。開戦当初より対応に苦慮していたM3軽戦車や発展型のM5軽戦車には対応できたが、登場時期が遅れたため、アメリカの新型M4中戦車を相手に苦戦した。ただし待ち伏せで側面を狙うことで意外に戦果を挙げているが、最終的に撃破されていった。アメリカ軍も本砲の近接攻撃には脅威を感じていたようで増加装甲を施すなどの対応に迫られたりもした。

大砲と装甲の研究(一式47mm速射砲)

(機動)九○式野砲(対戦車砲として集中配備されたので記載)
フランスのシュナイダー社に設計を依頼した1930(皇紀2590)年採用の75mm野砲。野砲であるが初速と貫徹力が高く、後期型はパンクレスタイヤを装備していたことから陣地移動が容易なため、機甲師団に集中的に配備されルソン島の戦い硫黄島の戦いで対戦車戦闘に多用されている。一式砲戦車では、爆風を後方に拡散させ、オープントップ車輌に搭載した場合に乗員に悪影響を与えるマズルブレーキを廃し、閉鎖機を小型化する改造を加えた程度でそのまま搭載、また三式中戦車と三式砲戦車では、より対戦車戦闘向けに直接照準器を追加、戦闘室が密閉型になったことでマズルブレーキを復活させるなどした「三式戦車砲」として搭載された。ちなみに各国の75mmクラスの野砲はフランスの傑作・シュナイダーM1897からの発展型が多い。日本版「ラッチュ・バム」と成り得た砲だが生産数の少なさがネックだった。
因みに本砲が機甲師団に集中配備された背景には本来この砲を装備すべき砲兵部隊が九○式野砲を嫌っていたからだと言われる。威力、射程距離に文句はなかったが重く、また技術の未熟さ故に砲身の寿命が短いからだった。正し対戦車砲や戦車砲として使う分には一会戦あたりの発射数は少なくて済むので砲身寿命の短さは問題とならず、また威力のある砲が求められたので機甲部隊は比較的容易に本砲を配備できた。

戦史 昭和20年4月17日 沖縄戦に於ける嘉数の戦い 

独立速射砲第22大隊はこの日、対戦車戦としては異例の方法で米軍M4中戦車5両を撃破している。同月5-7日にかけて同隊は八五高地付近で真正面から米軍戦車を迎え撃った結果、戦車5両を破壊するも12門中10門の速射砲(旧軍での対戦車砲の呼称)を失ってしまった。そのため同隊隊長武田少尉は残存2門を道路を挟んで配置し、砲口を嘉数に向けた。これは嘉数へ向かう戦車を後ろから撃つためであり、速射砲の貫徹力不足から来る苦肉の策であった。また戦車が近づくと恐怖のため早撃ちする傾向にあるため2つの陣地を有線電話で結び、隊長の指示で発砲することにした。この策は見事あたり、後方から射撃された戦車は何処から撃たれているかわからず、結果として5両を失った。またこの日、日本側は歩兵の肉薄攻撃、野砲山砲地雷などにより米軍戦車22両を撃破している。

[編集] イギリス

イギリス軍は火砲を口径ではなく砲弾の重量で呼称する伝統があり、第2次大戦中の対戦車砲もその伝統に従って名称がつけられた。戦車の装甲を貫通させることを最優先としたために当初徹甲弾しか供給されておらず、支援砲撃用に転用できないなど英国的な頑迷さが見られる。あまりに不評だったため、大戦後半には榴弾も開発され供給された。

2ポンド対戦車砲と砲兵
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2ポンド対戦車砲と砲兵

2ポンド対戦車砲

大戦初期のイギリス軍主力対戦車砲で、わかりやすく言い換えると「52口径40㎜対戦車砲」。ダンケルクで装備を大量喪失したため6ポンド砲への更新が遅れ引き続き量産、アフリカにおいてドイツ戦車の表面硬化装甲に対し弾頭が砕けるなど、威力不足が露呈した。被帽付き徹甲弾の開発などで対処したが、戦争が進むにつれ次第により強力な砲に置き換えられていった。全周射撃が可能な凝った砲架を持つ。

6ポンド対戦車砲

WW2時の英軍主力対戦車砲としての役割を担った6ポンド対戦車砲
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WW2時の英軍主力対戦車砲としての役割を担った6ポンド対戦車砲
前述の2ポンド砲の後継として、1941年に北アフリカにおいて最初の実戦配備に就いた。これもわかりやすく言い換えると「52口径57㎜対戦車砲」。アメリカは同砲を57㎜対戦車砲M1としてライセンス生産していたため、両砲は互換性を持ち、事実同じ砲弾を使用したが、品質面でアメリカ製のものが求められた。後期にはタングステン芯を用いたAPDS弾の配備により、近距離では侮れない貫通力を発揮する。

6ポンド対戦車砲を搭載した対戦車自走砲の例

17ポンド対戦車砲

英軍最優秀対戦車砲の名も高い17ポンド対戦車砲
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英軍最優秀対戦車砲の名も高い17ポンド対戦車砲
第二次世界大戦中、イギリスが開発した中で最も威力のある対戦車砲である。これまたわかりやすく言い換えると「58口径76.2㎜対戦車砲」。かなり大型で、イギリス軍はこの砲を自国の戦車に搭載することを望んだが、イギリス軍待望の新型巡航戦車Mk.IX クロムウェルは車幅が足りなかったため搭載できず、結局、同砲をそのまま旋回砲塔に収められるのはアメリカ製M4中戦車とM10駆逐戦車だけという、皮肉な選定結果に終わった。この砲を載せたシャーマンVC、およびIC”ファイアフライ ”、そしてアキリーズ駆逐戦車はドイツ重戦車を仕留める威力を見せたが、装甲はもとのままであり、他の戦車の後方から支援したり、待ち伏せ等駆逐戦車的に用いられた。
同砲を装備したイギリス戦車には、クロムウェルから発展したチャレンジャー巡航戦車(A30)、鉄道輸送のための車幅制限を無くし、大型砲塔を載せたセンチュリオン巡航戦車(A41)、ブラック・プリンス歩兵戦車(A43)があり、対戦車自走砲には他にアーチャー17ポンド対戦車自走砲、戦後のアヴェンジャー17ポンド対戦車自走砲(A30)がある。

17ポンド対戦車砲を搭載した対戦車自走砲の例(1)

17ポンド対戦車砲を搭載した対戦車自走砲の例(2)

[編集] アメリカ

敵戦車に対しては味方の戦車ではなく、機動力のある戦車駆逐部隊(タンクデストロイヤー)が駆けつけて迎え撃つ方針であった米軍の場合、牽引式対戦車砲より駆逐戦車が充実していた。また戦争後半にはかの有名なバズーカが大量配備され、歩兵の自衛用対戦車火器の主力となっていった。

M3 37mm対戦車砲

大戦全期間に渡って使用されたM3 37mm対戦車砲
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大戦全期間に渡って使用されたM3 37mm対戦車砲
アメリカに於ける37mmクラスの対戦車砲である。やはり(コピーというほどではないが)ドイツのPak36/37が参考になっており、貫徹力は900mで45mmと、同クラスの砲としては威力が大きい。ヨーロッパではすぐに威力不足とされたが、太平洋戦域では装甲の薄い日本戦車相手に効果があり広く使われた。また榴散弾を用いた巨大なショットガンのような使い方で、日本兵の突撃を阻止した。アメリカ軍のほか、英印軍や中華民国にも供与された。

M1 57mm対戦車砲

イギリスの6ポンド対戦車砲を自国規格に改修したもの。やはり戦争後半、新型ドイツ戦車に対しては威力不足だった。太平洋戦域ではこれまた装甲の薄い日本戦車相手に十分すぎる威力のはずだが、こちらの戦線ではあまり見られない。


M5 76.2mm対戦車砲

3インチ(76.2mm)高射砲の砲身と、これに105mm榴弾砲の砲架、閉鎖機、駐退機構を組み合わせた砲。ゆえに対戦車砲としては背が高いが、距離900mで96mmの装甲を貫通と、ドイツの7.5cm Pak40に近い性能を発揮する。2500門が生産されたが、米軍の場合、同じ威力の砲を搭載したM10・M18といった駆逐戦車の方が何倍も多く生産・配備されている。

[編集] イタリア

47mm32口径砲35型

対戦車砲としてのみならず軽歩兵砲としても使われた47mm32口径砲35型
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対戦車砲としてのみならず軽歩兵砲としても使われた47mm32口径砲35型

第二次大戦時のイタリア陸軍の多目的砲である。といっても本砲の開発はイタリアが手がけたものではなく、ベーラー社が開発したものをイタリア軍が輸入、生産したものである。したがってこれと同じ砲はほかにも数カ国で使用されている。 本砲の最大の特徴はその軽量さにある。全備重量で約280kgであり、同クラスの砲で日本の一式47㎜速射砲が800kg、ドイツのPak38 L60が1000kgであることを考えると際立っているのがわかる。したがって本砲は対戦車砲としてのみならず、歩兵砲的な使われ方もした。特に空挺部隊ではその軽さから重宝された。ただし軽い分対戦車砲としての威力は同クラスの砲に劣るため、戦争が進むにつれ歩兵砲としての役割が増大した。

大砲と装甲の研究(47mm32口径砲35型)

47mm32口径砲35型を搭載した対戦車自走砲の例

[編集] スウェーデン

ボフォース 37mm対戦車砲

ボフォース37mm対戦車砲
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ボフォース37mm対戦車砲
オチキス47mm対戦車砲
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オチキス47mm対戦車砲
シュコダ37mm対戦車砲1937年型
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シュコダ37mm対戦車砲1937年型

北欧の国スウェーデンのボフォース(ブーフォス:BOFORS)社と言えば戦前から名の通った兵器メーカーである。第二次大戦中はボフォース40mm対空機関砲がよく知られるが、本砲も戦前に各国に輸出された優秀な砲である。独特の形をした防盾、砲口に取り付けられた多孔式マズルブレーキ(砲口制御器)が特徴である。いくつかバリエーションがあり、m/34(1934年型)、m/38(1938年型)がある。両者の違いは防盾の形状にあり、m/38は背景に溶け込ませるため防盾外周が波型をしている。その他、ポーランドでライセンス生産されたm/34がwz36(防盾上部が波型、タイヤの変更)、同じくm/34フィンランドでライセンス生産されたものがm/36(防盾上部が波型)と呼ばれる。

大砲と装甲の研究(ボフォース37mm対戦車砲)

[編集] フランス

オチキス 25mm対戦車砲

オチキス(HOTCHKISS)社はフランスの兵器メーカーで、創業者の兄弟が作った文房具(ステープラー)は「ホッチキス」として日本で知られる。重量310kgで兵員一名で操作できる軽対戦車砲として、フランス軍に採用された。これはタングステン芯を持つ初速950m/secの徹甲弾により60度の傾斜装甲に対し距離100mで30mm装甲を貫通と、大型の対戦車ライフル程度の性能であった。ドイツ軍のフランス侵攻時に派遣された英軍でも使用されたが、あまり評判は良くなかった。冬戦争に際し、約40門がフィンランドに送られた。

オチキス 47mm対戦車砲

フランス軍の標準対戦車砲。

[編集] チェコスロバキア

シュコダ 37mm対戦車砲

シュコダ(スコダ:SKODA)社は戦前から当時のチェコスロバキア、現在のチェコにある自動車メーカであると共に、スコダ戦車などで知られる兵器メーカーである。その同社が戦前製造したのが本砲である。砲口に多孔式マズルブレーキが装着されている。

[編集] 大戦後の対戦車砲

第ニ次世界大戦における戦車と対戦車砲の関係はまさに「盾と矛」の関係であった。開戦当初は37~47mm程の口径が標準であったものが中期には50~57mm級、75~76.2mm級と大型化し、大戦末期には88~100mm(多くは野砲や高射砲兼用で、歩兵ではなく砲兵隊の装備)以上の物も量産されていた。口径が88mmを超える砲になると大きさ、重量もかなりのものになり、人力で移動可能で待ち伏せのため隠蔽するという従来の対戦車砲の運用法から完全に逸脱してしまった。また、大戦末期からはバズーカパンツァーファウスト に代表される成形炸薬弾を使用した携帯式ロケットランチャーや無反動砲が急速に発達し、牽引式対戦車砲がなくても歩兵が戦車を破壊できるようになった。さらに小型の対戦車ミサイルが実用化されると、遠距離からでも戦車を破壊できるようになり、対戦車砲の存在意義は薄れ急速に姿を消していき、現在では中国とロシア等旧共産圏に一部の野砲兼用型が残されているのみである。

[編集] その他

[編集] 外部リンク

執筆の途中です この「対戦車砲」は、武器兵器に関連した書きかけ項目です。この記事を加筆・訂正などして下さる協力者を求めています。
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