速射砲
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速射砲（そくしゃほう）とは通常のものに比べて発射速度の早い砲のこと。はっきりした定義はないが、毎分10～40発以上発射可能なもののことを指すことが多い。それよりも小口径になると速射砲とは呼ばれず機関砲と呼ばれる。陸上部隊の対戦車砲のほか、艦載砲でも指す。
[編集] 対戦車砲
対戦車ミサイルの登場以前は、戦車を撃破する方法の一つとして、対戦車砲が用いられていた。旧日本陸軍では、対戦車砲のことを速射砲と呼称していた。この理由は、砲弾初速の速いこと、即ち口径と砲身長の比が著しく大きい砲を、貫徹力が大きいゆえに装甲の厚い戦車攻撃に有効であるからである。即ち、旧日本陸軍では「発射速度」を、連発の能力ではなく、砲弾初速を指していた。但し戦後の自衛隊はここに説明された連発能力のことを速射性と称している可能性はある。 対戦車砲が活躍した戦は、ノモンハン事件である。当時外蒙軍の戦車攻勢に手を焼いた関東軍は「全満の速射砲をノモンハンに集結する」と息巻いた経緯が、五味川純平著の「ノモンハン」に描かれている。
[編集] 艦載砲
艦砲における速射砲は現在のところ口径40mm以上で毎分30～40発以上発射可能なものを指すことが多い。対空目標への使用も可能で、今ではミサイルに次ぐ水上艦の主武装となっている。速射砲の中でもっとも普及しているものの一つがイタリアのオットー・メララ(OTO Melara)社製の127mm54口径砲(マウント重量約37トン)と76mmコンパクト砲／スーパーラピッド砲(マウント重量8トン)で、アメリカ海軍を除く西側諸国で多く使用されている。
アメリカ海軍は自国で開発したMk42 5インチ速射砲が信頼性が低くその割に重かったことをうけ、現在、対空射撃能力を削り信頼性の向上や軽量化を図ったMk45 5インチ54口径砲を主に使用している。Mk45はオットー・メララ127mm砲に比べると軽量である(約22トン)代わりに発射速度が毎分20発程度に抑えられ、旋回速度も他国の速射砲に比べると低くなっている。2005年現在アメリカ軍の艦船で速射砲を装備しているのはO.H.ペリー級のみである。アメリカ海軍では今後、沿海域戦闘艦（LCS）及びズムウォルト級ミサイル駆逐艦にユナイテッド・ディフェンス社製57mm砲を採用する予定である。
海上自衛隊でははつゆき型からむらさめ型までがオットー・メララ社製76mm砲を採用し、たかなみ型とこんごう型でオットー・メララ127mm54口径砲を採用した。2005年現在現役のDDGとすべてのDDHはMk42を採用している。新型のミサイル護衛艦あたご型では速射砲を採用せずアメリカのMk45Mod4 62口径5インチ砲を採用した。
