フォーミュラ・ニッポン
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フォーミュラ・ニッポン(Formula Nippon)は自動車レースの1カテゴリー。正式なシリーズ名は全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(JAF略称はJAF-F3000)。フォーミュラカー(オープンホイール)を使用した四輪レースであり、日本独自のカテゴリーである。ファンの会話やレース専門誌では「Fポン」もしくは「FN」と略されることが多い。日本一速い男決定戦とも呼ばれる日本最速のレースである。
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[編集] 概要
1996年、JRP(日本レースプロモーション)を運営母体としJAF公認の下全日本F3000選手権を引き継ぐ形で全日本選手権フォーミュラ・ニッポンとしてスタートした。 当時F3000がレギュレーション変更によりワンメイク化されたのに対し、国内レース関係者はこれを良しとせず、新しい国際F3000の安全基準のみを取り入れ、マシンの車両規則は独自のレギュレーションを規定した。
シリーズの運営母体であるJRPはフジテレビが大株主であり、設立以来フジテレビから社長が派遣されシリーズ運営を行ってきたが、2004年7月に大規模な役員の入れ替えがあり、ツインリンクもてぎ取締役の野口幸生が社長、元F1ドライバーの中嶋悟が会長に就任した。
発足当初はローラ、レイナード、Gフォース(現パノス)の3メーカーがシャーシを供給していたが、ローラやGフォースの戦闘力不足もありレイナードのワンメイク状態へと年を経るごとに変化。しかし2002年にレイナードが倒産したため、2003年からローラのワンメイクとなっている。なお2006年は3年に一度のシャーシ更新年に当たり、引き続きローラ製の新型シャーシ(ローラFN06)が使われることが決定した。タイヤは、シリーズ発足当初はブリヂストンと横浜ゴムが供給していたが、1997年よりブリヂストンの独占供給となっている。(現在はレギュレーションでタイヤメーカーは1メーカーのみと定められている)
エンジンは、2005年までは旧全日本F3000の流れを汲む無限(現M-TEC)の3000ccV型8気筒(MF308)のワンメイク状態となっていたが、2006年からトヨタとホンダがIRL用のエンジンをベースとした専用のエンジンを設計(1万300回転でリミッターが作動)、供給することとなった。(ただし、3000ccV型8気筒であることに変わりはない。)
ハードがワンメイク状態の上、レースが開催されるサーキットが限定されているため各ドライバーのタイム差が付きにくく、トップタイムを出すにはシビアなセッテングと繊細なタイヤ使用テクニックが必要とされドライバーが学ぶものが多い。そのため全日本F3000時代から多くのドライバーをトップカテゴリに輩出しているのは特筆すべき点である。
2000年からレース途中のタイヤ4輪交換を義務付ける事で、レース中のエンターテイメント性を高め、チームとドライバーにはレース戦略の構築を求めるようになった。2003年からローラのワンメイクになるにあたり、レース距離は変えずに「再給油」を導入したが、レース途中で再給油せずにレースを走りきってしまう場合があったため、2004年からレース距離をそれまでの200キロから伸ばし、さらに2005年からはF1とほぼ同じ「300キロ」とした。これにより無給油でレースを走りきれないようになったはずだったが、実際には無給油で走りきってしまうチームが続出した。また、ピット作業の人数を制限したこと、およびタイヤ4輪交換の義務が無くなったため、前後いずれかのみ、または左右いずれかのみの2本を交換する事でピットインの時間を短くする戦略も生まれた。
2004年にはマレーシアのセパンで初の海外戦を行ったが、現地のオーガナイズに問題が多く、通常国際格式で行われるはずのレースがなぜか準国際格式で行われたほか、レースの賞金の支払を巡るトラブルも発生した。2005年もセパンでのレース開催を予定していたが、現地オーガナイザーとの交渉が決裂し開催は中止されている。2000年と2001年にはスカラシップとしてアジアのドライバーをシリーズに招き入れるなどの制度を実施していたが、現在その試みは中断している。
[編集] テレビ中継
テレビ中継については、JRPの親会社であるフジテレビが放映権を持ち、1996年のシリーズ発足から2005年まで、フジテレビ系列で全戦について決勝の録画中継が行われていた。しかし視聴率が低迷したことから、フジテレビ及びJRPは地上波での全戦録画中継を2005年限りで打ち切ることで合意。代わりにモータースポーツに関する総合情報番組として『モタ・スポ!』を開始し、その中でフォーミュラ・ニッポンに関する情報を取り扱うこととなった。
SKY PerfecTV!では、2006年現在J SPORTSで決勝の生中継が行われている。2005年まではフジテレビの地上波テレビ中継用の実況音声が用いられていたほか予選も中継されていたが、フジテレビの地上波中継打ち切りに伴い、2006年からはサーキットの場内FM放送「Pit-FM」の実況音声を用いる形に変更され、予選の中継も廃止された。このほか、フジテレビ739では2004年から専門情報番組『フォーミュラ・ニッポンTV』が放送されている。
[編集] 歴代チャンピオン
年 | チャンピオン | 国籍 |
---|---|---|
1996年 | ラルフ・シューマッハ | ドイツ |
1997年 | ペドロ・デ・ラ・ロサ | スペイン |
1998年 | 本山哲 | 日本 |
1999年 | トム・コロネル | オランダ |
2000年 | 高木虎之介 | 日本 |
2001年 | 本山哲 | 日本 |
2002年 | ラルフ・ファーマン | アイルランド |
2003年 | 本山哲 | 日本 |
2004年 | リチャード・ライアン | 北アイルランド |
2005年 | 本山哲 | 日本 |
2006年 | ブノワ・トレルイエ | フランス |
参考:フォーミュラ・ニッポン以前の国内トップフォーミュラのチャンピオン
年 | チャンピオン | 国籍 |
---|---|---|
1973年 | 黒澤元治 | 日本 |
1974年 | 高原敬武 | 日本 |
1975年 | 星野一義 | 日本 |
1976年 | 高原敬武 | 日本 |
1977年 | 星野一義 | 日本 |
年 | チャンピオン | 国籍 |
---|---|---|
1978年 | 星野一義 | 日本 |
1979年 | 松本恵二 | 日本 |
1980年 | 長谷見昌弘 | 日本 |
1981年 | 中嶋悟 | 日本 |
1982年 | 中嶋悟 | 日本 |
1983年 | ジェフ・リース | イギリス |
1984年 | 中嶋悟 | 日本 |
1985年 | 中嶋悟 | 日本 |
1986年 | 中嶋悟 | 日本 |
年 | チャンピオン | 国籍 |
---|---|---|
1987年 | 星野一義 | 日本 |
1988年 | 鈴木亜久里 | 日本 |
1989年 | 小河等 | 日本 |
1990年 | 星野一義 | 日本 |
1991年 | 片山右京 | 日本 |
1992年 | マウロ・マルティニ | イタリア |
1993年 | 星野一義 | 日本 |
1994年 | マルコ・アピチェラ | イタリア |
1995年 | 鈴木利男 | 日本 |
[編集] フォーミュラ・ニッポン(旧全日本F3000選手権含む)出身の主なドライバー
- ジャン・アレジ(F1→DTM)
- ミハエル・シューマッハ(F1) ※1991年に1戦だけ参戦
- ジョニー・ハーバート(F1)
- エディ・アーバイン(F1)
- ハインツ=ハラルト・フレンツェン(F1→DTM)
- ミカ・サロ(F1)
- ラルフ・シューマッハ(F1)(1996年チャンピオン)
- ペドロ・デ・ラ・ロサ(F1)(1997年チャンピオン)
- ナレイン・カーティケヤン(WSBN→F1)
- ラルフ・ファーマン(F1→Super GT→A1GP)(2001年チャンピオン)
- アレックス・ユーン(F1→CCWS→A1GP)
- 高木虎之介(F1→FN→CART→IRL→FN)(2000年チャンピオン)
- マルコ・アピチェラ(F1)(1994年全日本F3000チャンピオン)
- トム・コロネル(ルマン24時間)(1999年チャンピオン)
- 中野信治(F1→CART→IRL→JGTC→ルマン24時間)
[編集] 2007年シリーズ
[編集] スケジュール(暫定)
開催日 | サーキット | 勝者 | |
---|---|---|---|
1 | 3月31日 - 4月1日 | 富士スピードウェイ | |
2 | 4月14日 - 4月15日 | 鈴鹿サーキット | |
3 | 5月19日 - 5月20日 | ツインリンクもてぎ | |
4 | 6月16日 - 6月17日(注) | 岡山国際サーキット | |
5 | 7月7日 - 7月8日 | 鈴鹿サーキット | |
6 | 8月4日 - 8月5日 | オートポリス | |
7 | 8月25日 - 8月26日 | 富士スピードウェイ | |
8 | 9月15日 - 9月16日 | スポーツランドSUGO | |
9 | 10月20日 - 10月21日 | ツインリンクもてぎ | |
10 | 11月17日 - 11月18日 | 鈴鹿サーキット |
(注)ルマン24時間レースの日程と重複する事情により、オーガナイザーとプロモーター間で日程調整中。
[編集] 2006年シリーズ
[編集] ドライバー
- 1 本山哲 (arting RACING TEAM with IMPUL)
- 2 星野一樹 (arting RACING TEAM with IMPUL)
- 3 山本左近 (KONDO Racing)
- 荒聖治 (KONDO Racing)(山本左近のF1参戦により第4戦から起用)
- 4 柳田真孝 (KONDO Racing)
- 5 道上龍 (TEAM 5ZIGEN)
- 6 折目遼 (M&O with TEAM 5ZIGEN)
- ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(M&O with TEAM 5ZIGEN)(第9戦のみ起用)
- 7 片岡龍也 (Team LeMans)
- 8 高木虎之介 (Team LeMans)
- 11 立川祐路 (TEAM RECKLESS CERUMO)
- 19 ブノワ・トレルイエ (mobilecast TEAM IMPUL)
- 20 松田次生 (mobilecast TEAM IMPUL)
- 27 密山祥吾 (DPR Direxiv)(第5戦から参戦中止)
- 31 ロイック・デュバル (PIAA NAKAJIMA)
- 32 武藤英紀 (PIAA NAKAJIMA)
- 33 ロニー・クインタレッリ (Team BOSS・INGING Formula Nippon)
- 34 横溝直輝 (Team BOSS・INGING Formula Nippon)
- 36 アンドレ・ロッテラー (DHG TOM'S RACING)
- 37 土屋武士 (DHG TOM'S RACING)
- 40 ビヨン・ビルドハイム (DoCoMo DANDELION)
- 41 平中克幸 (DoCoMo DANDELION)(第5戦より新規チームNo.17EMSRacingより参戦)
- 井出有治 (DoCoMo DANDELION)(第4戦より参戦)
- 55 金石年弘 (AUTOBACS RACING TEAM AGURI)
- 56 小暮卓史 (AUTOBACS RACING TEAM AGURI)
[編集] 2006年スケジュール及び勝者
開催日 | サーキット | 勝者 | |
---|---|---|---|
1 | 4月1日 - 4月2日 | 富士スピードウェイ | ブノワ・トレルイエ(注1) |
2 | 4月15日 - 4月16日 | 鈴鹿サーキット | ロイック・デュバル |
3 | 5月27日 - 5月28日 | ツインリンクもてぎ | アンドレ・ロッテラー |
4 | 7月8日 - 7月9日 | 鈴鹿サーキット | ブノワ・トレルイエ |
5 | 8月5日 - 8月6日 | オートポリス | 松田次生 |
6 | 8月26日 - 8月27日 | 富士スピードウェイ | ブノワ・トレルイエ |
7 | 9月16日 - 9月17日 | スポーツランドSUGO | ロイック・デュバル |
8 | 10月20日 - 10月21日 | ツインリンクもてぎ | ブノワ・トレルイエ |
9 | 11月18日 - 11月19日 | 鈴鹿サーキット | アンドレ・ロッテラー |
(注1)大雨によりセーフティーカー先導走行のまま、2周終了時点でレース打ち切り。この為ポイントは規定の半分が(結果的に)予選上位6名に与えられた。
[編集] 2005年シリーズ
[編集] ドライバー
- 1 リチャード・ライアン (DoCoMo TEAM DANDELION RACING)
- 2 服部尚貴 (DoCoMo TEAM DANDELION RACING)
- 3 山本左近 (KONDO Racing)
- 4 ヤレック・ヤニス (KONDO Racing)
- ロニー・クインタレッリ (KONDO Racing)(第4戦からヤニスの代役として参戦)
- 5 松田次生 (TEAM 5ZIGEN)
- 7 片岡龍也 (Forum Engineering Team LeMans)
- 8 土屋武士 (Forum Engineering Team LeMans)
- 11 平中克幸 (TEAM CERUMO)
- 12 高木虎之介 (TAKAGI PLANNING with CERUMO)
- 19 ブノワ・トレルイエ (mobilecast TEAM IMPUL)
- 20 井出有治 (mobilecast TEAM IMPUL)
- 23 本山哲 (Arting RACING TEAM with IMPUL)
- 27 加藤正将 (CARROZZERIA Team MOHN)(第1戦のみ)
- 28 野田英樹 (CARROZZERIA Team MOHN)
- 31 アンドレ・ロッテラー (PIAA NAKAJIMA RACING)
- 32 小暮卓史 (PIAA NAKAJIMA RACING)
[編集] 2005年スケジュール及び勝者
開催日 | サーキット | 勝者 | |
---|---|---|---|
1 | 4月2日-4月3日 | ツインリンクもてぎ | リチャード・ライアン |
2 | 4月16日-4月17日 | 鈴鹿サーキット | 井出有治 |
3 | 5月14日-5月15日 | スポーツランドSUGO | 本山哲 |
4 | 6月4日-6月5日 | 富士スピードウェイ | ブノワ・トレルイエ |
5 | 7月2日-7月3日 | 鈴鹿サーキット | 本山哲 |
6 | 7月30日-7月31日 | MINEサーキット | 井出有治 |
7 | 8月27日-8月28日 | 富士スピードウェイ | アンドレ・ロッテラー |
8 | 10月22日-10月23日 | ツインリンクもてぎ | 本山哲 |
9 | 11月26日-11月27日 | 鈴鹿サーキット | アンドレ・ロッテラー |