ノーベル文学賞
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ノーベル文学賞はノーベル賞六部門のうちの一つ。定数一。
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[編集] 概要
ノーベルの遺言によれば、この賞は文学を好み、自らも筆を執った事のある彼が「文学の分野においても1つの理念をもって創作してきたものの中で、最も傑出した作品を創作した」人に与える事を目的として制定したものである。当初から、他の科学賞、平和賞の趣旨と歩調をあわせて人類の進歩、発展に寄与する理想主義的、人道主義的な文学者に授与される事が多かったが、回数を増すごとに内容とは関係なく優秀な作家に対して贈呈される場合が多くなった。現在でもこの(1)人道主義・進歩主義的な作家、と、(2)純粋に文学的にすぐれた成果を収めた作家、という二つの基準が混在しており、近年の各国持回り的傾向とともにしばしばその問題点が指摘される。
ちなみに、第一回の際にはトルストイが現存しており、有力候補とされていたが、『復活』などによるモルモン教徒への支持表明が、近代国家の基盤となる徴兵制を危うくするものであり、その社会主義的傾向はノーベル賞の掲げる「人類の進歩、発展、人道主義」とは相容れないという理由から落選してしまった。
授与は、その作家の作品、活動の全体に対して与えられるものであって、1つの作品に対して与えられるものではないというのが建前であるが、場合によっては特に代表的な作品や選考の上で評価された作品などの名前が賞記に記される事もある。原則として選考の時点で生存している作家が対象であり、追贈は行わない事になっている。基本的には各地のペン・クラブから候補が推薦され(必ずしも自国の作家である必要はない)、これをスウェーデン学士院が選考する。
ノーベル賞各部門の中では、これまでに2人の辞退者(ボリス・パステルナーク、サルトル)を持つ特異な分野である。又、近年はそうした例が廃されたようであるが、いわゆる文芸作品の他にも歴史書(モムゼン)、哲学書(ベルグソン、ラッセル)、回想録(チャーチル)などが受賞した事もある。
日本人では、過去に谷崎潤一郎、西脇順三郎、三島由紀夫、安部公房、遠藤周作、村上春樹などが候補に挙ったが、実際に受賞したのは川端康成と大江健三郎の二人である。詩人、劇作家による日本人の受賞はまだない。(2006年時点)
[編集] 歴代受賞者
- 1901年 シュリ・プリュドム ☆
- 1902年 テオドール・モムゼン ★
- 1903年 ビョルンスティエルネ・ビョルンソン ★
- 1904年 フレデリック・ミストラル ☆
- 1904年 ホセ・エチェガライ・イ・アイサギレ
- 1905年 ヘンリク・シェンキェヴィチ ★
- 1906年 ジョズエ・カルドゥッチ
- 1907年 ラドヤード・キップリング ★
- 1908年 ルドルフ・クリストフ・オイケン
- 1909年 セルマ・ラーゲルレーヴ ★
- 1910年 パウル・フォン・ハイゼ ★
- 1911年 モーリス・メーテルリンク ★
- 1912年 ゲアハルト・ハウプトマン ★
- 1913年 ラビンドラナート・タゴール ★
- 1915年 ロマン・ロラン ★
- 1916年 V・フォン・ヘイデンスタム ☆
- 1917年 H・ポントピダン
- 1917年 K・ギェレループ ☆
- 1919年 C・シュピッテラー
- 1920年 クヌート・ハムスン ★
- 1921年 アナトール・フランス ★
- 1922年 J・ベナヴェンテ
- 1923年 ウィリアム・バトラー・イェイツ ★
- 1924年 W・S・レイモント
- 1925年 ジョージ・バーナード・ショー ★
- 1926年 G・デレッダ
- 1927年 H・L・ベルグソン ★
- 1928年 シグリ・ウンセット
- 1929年 トーマス・マン ☆
- 1930年 シンクレア・ルイス ★
- 1931年 E・A・カールフェルト
- 1932年 ジョン・ゴールズワージー ★
- 1933年 I・A・ブーニン
- 1934年 ルイジ・ピランデルロ ☆
- 1936年 ユージン・オニール ★
- 1937年 ロジェ・マルタン・デュ・ガール
- 1938年 パール・S・バック
- 1939年 F・E・シッランパー
- 1944年 J・V・イェンセン
- 1945年 ガブリエラ・ミストラル
- 1946年 ヘルマン・ヘッセ ★
- 1947年 アンドレ・ジッド ☆
- 1948年 T・S・エリオット
- 1949年 ウィリアム・フォークナー
- 1950年 バートランド・ラッセル ★
- 1951年 P・F・ラーゲルクヴィスト
- 1952年 フランソワ・モーリアック
- 1953年 ウィンストン・チャーチル ★
- 1954年 アーネスト・ヘミングウェイ
- 1955年 H・K・ラクスネス
- 1956年 ホセ・ラモン・ヒメネス
- 1957年 アルベール・カミュ
- 1958年 ボリス・L・パステルナーク(一度受諾後、ソ連政府の意向により辞退させられたが、委員会側が一方的に賞を贈り、後に遺族がこれを受取った)
- 1959年 サルヴァトーレ・クァジモド
- 1960年 サン=ジョン・ペルス
- 1961年 イヴォ・アンドリッチ
- 1962年 ジョン・スタインベック
- 1963年 G・セフェリス
- 1964年 ジャン=ポール・サルトル(辞退)
- 1965年 M・A・ショーロホフ
- 1966年 S・Y・H・アグノン
- 1966年 ネリー・ザックス
- 1967年 ミゲル・アンヘル・アストゥリアス
- 1968年 川端康成
- 1969年 サミュエル・ベケット
- 1970年 アレクサンドル・ソルジェニーツィン
- 1971年 パブロ・ネルーダ
- 1972年 ハインリヒ・ベル
- 1973年 パトリック・ホワイト
- 1974年 E・ユーンソン
- 1974年 H・マルティンソン
- 1975年 E・モンターレ
- 1976年 ソール・ベロー
- 1977年 V・アレイクサンドレ
- 1978年 アイザック・バシェヴィス・シンガー
- 1979年 オデッセアス・エリティス
- 1980年 C・ミウォシュ
- 1981年 エリアス・カネッティ
- 1982年 ガブリエル・ガルシア=マルケス
- 1983年 ウィリアム・ゴールディング
- 1984年 J・サイフェルト
- 1985年 クロード・シモン
- 1986年 ウォーレ・ショインカ
- 1987年 ヨシフ・ブロツキー
- 1988年 N・マハフーズ
- 1989年 カミーロ・ホセ・セラ
- 1990年 オクタビオ・パス
- 1991年 ナディン・ゴーディマー
- 1992年 デレック・ウォルコット
- 1993年 トニ・モリソン
- 1994年 大江健三郎
- 1995年 シェイマス・ヒーニー
- 1996年 ヴィスワバ・シンボルスカ
- 1997年 ダリオ・フォ
- 1998年 ジョゼ・サラマーゴ
- 1999年 ギュンター・グラス
- 2000年 高行健
- 2001年 V・S・ナイポール
- 2002年 ケルテース・イムレ
- 2003年 ジョン・クッツェー
- 2004年 エルフリーデ・イェリネク
- 2005年 ハロルド・ピンター
- 2006年 オルハン・パムク
☆はPrject Gutenbergにその作者の作品が提供されているもの。 ★は☆のなかで特に英語で書かれたものが掲載されているもの。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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