宇都宮都市圏
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宇都宮都市圏(うつのみやとしけん)とは、栃木県宇都宮市を中心とする都市圏である。北関東の東西軸・国道50号ベルト地帯の北に隣接して存在し、南北軸の旧日光街道沿い幹線(東北自動車道・日光宇都宮道路・国道119号・宇都宮線・日光線)が貫き、最北部には国際観光都市の日光が位置する。宇都宮からは旧奥州街道(国道4号)が分岐する。また、将来的には北関東を横断する北関東自動車道が群馬県前橋市からこの地域を経て茨城県水戸市まで開通する予定である。当地域は重要幹線や高速交通インフラが集中する交通の要衝の都市圏である。
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[編集] 定義
[編集] 相対都市圏
- 人口 88万8005人(2000年)
2000年国勢調査に基づく宇都宮市の10%通勤圏(都市雇用圏-相対都市圏)を構成している市町は以下の通り(市町名は2000年時点のもの)。
- 河内郡地域の全域(宇都宮市、上三川町、河内町、上河内町)
- 上都賀郡地域のほぼ全域(鹿沼市、日光市、今市市、粟野町)
- 下都賀郡地域の一部(石橋町、壬生町)
- 芳賀郡地域の一部(芳賀町、市貝町)
- 塩谷郡地域の一部(高根沢町、塩谷町、氏家町、藤原町)
- 那須郡地域の一部(南那須町)
[編集] 絶対都市圏
- 人口 100万7415人(2000年)
2000年国勢調査に基づく10%通勤・通学圏(絶対都市圏)の人口は約100万人。相対都市圏における小山市を中心市とした小山都市圏を包括する。
[編集] 地勢
- 宇都宮は鬼怒川沿いに発展した古代・毛野国の歴史を受け継いでおり、当時の毛野川とともに発展してきた地域である。従って、宇都宮都市圏は主に鬼怒川流域地域を中心とする都市域である。
- 大部分が関東平野に属し、都市圏の東側をほぼ貫く形で鬼怒川が流れる。都市圏の北西部の縁は日光連山・足尾山地などの山々が広がる。このため中心都市・宇都宮は西を山・東を川に囲まれた天然の要害として発展してきた。
- 夏暑く、冬寒い内陸性気候である。真冬の最低気温は氷点下になることがしばしばある。また夏には雷の通り道となる。
[編集] 交通
[編集] 方面別
[編集] 東京方面
- 一般道(新4号国道経由)では、約105km。
- 高速道路経由では、約130km、4100円(ETC割引で2000円弱)、約2時間
- 東北新幹線では、109.5km、片道4800円(通常期の座席指定)、50分程度。毎時3本。
- 宇都宮線(東北線)+京浜東北線では、大宮駅・赤羽駅・上野駅等での乗換が必要で1時間45分(快速利用)~2時間(普通利用)程度(朝の通勤時間帯上りは2時間10分程度)、1890円。毎時4本程度。
- 東武宇都宮線+東武日光線+東京地下鉄半蔵門線もしくは東京地下鉄千代田線では、栃木駅・南栗橋駅・北千住駅等での乗り換えが必要で、東京駅最寄りの大手町駅まで1350円、2時間25~45分程度(快速・急行利用)。毎時2本程度。
- 宇都宮駅~新宿駅
- 湘南新宿ラインでは、1時間35分(快速利用)~2時間程度(普通利用)、1890円。
- 高速バス(マロニエ新宿号)では、2時間30分(下り)~2時間55分(上り)、2000円(回数券で約1667円)
- 自家用車では、東京駅行きとほぼ同等な時間と費用
- 東武鉄道+東京メトロでは2時間45分~3時間程度、1390円(都営地下鉄利用では1420~1490円)
東京方面に行く場合には多様な選択肢があるが、車社会が浸透している宇都宮都市圏では、自家用車で東京に行く者も多く見られる。これは、東京まで約100kmという近さに加え、新4号国道が立体交差が多いために準高速移動が出来ること、また、複数乗車すれば高速道路経由でも電車と比べて充分にコストパフォーマンスがいいことが挙げられる。
電車の場合、新幹線はコスト高だが、最速で都心に到達できる。その他の電車の場合は、2000円以下でかつ定時制があるため、目的地によって90分~2時間程度の時間は必要だが、コストと時間の両立が可能。東武鉄道では、直通列車は少なく宇都宮方面からの列車は地下鉄に乗り入れず、所要時間もJRよりかかるものの、東武宇都宮駅~浅草駅では1160円、北千住や浅草、押上から東京メトロや都営地下鉄に乗り継いでも最高で1560円に収まる。また、JR宇都宮線と湘南新宿ライン(池袋・新宿方面)にグリーン車が新設になり、快適性を選ぶことも出来る。
高速バスは、自家用車や電車よりも所要時間がかかるのに、電車とほぼ同じ価格帯である。ただし、車社会を意識して、佐野プレミアム・アウトレット、鹿沼バスターミナル(鹿沼IC)、渡良瀬公園前の3ヶ所に無料駐車場を整備し、パーク & バスライドを進めている。その他の東京行き路線は、真岡・茂木発が少ない便数で細々と運行されている程度である。
[編集] 空港行き
高速バス路線は、羽田・成田の両空港行きが便数も多く発達している。便数・路線数伴に限られている福島空港へのバス路線は、不振のため短期間に終わっている。電車の場合は主に都内での乗り継ぎが必要となる。
- JR宇都宮駅~成田国際空港
- マロニエ号:東北自動車道~首都高速道路~東関東自動車道経由で約195km、約3時間。4070円。
- 自家用車:マロニエ号と同一ルートか国道408号線経由で約4時間。(高速道路利用時は通行料5050円)
- 鉄道:東北新幹線~東京駅~成田エクスプレス利用で2時間30分弱。東武鉄道~京成電鉄利用で約3時間。
- JR宇都宮駅~東京国際空港(羽田)
- マロニエ号:東北自動車道~首都高速道路経由で約150km、約3時間。3500円。
- 自家用車:東北自動車道~首都高速経由で約2時間。(高速道路利用時は通行料3400円)
- 鉄道:東北新幹線~京浜東北線~東京モノレール利用で1時間30分、新幹線自由席特急料金込み4760円。東武鉄道~都営地下鉄浅草線~京浜急行電鉄利用で約3時間(毎時1本)、1800円。
- JR宇都宮駅~福島空港
- 高速バス:なし
- 自家用車:宇都宮ICから東北自動車道~矢吹IC~あぶくま高原道路経由で約2時間、2600円。
- 鉄道:東北新幹線で郡山へ行き、郡山から空港連絡バス利用、約1時間30分、新幹線自由席特急料金込み5210円。
[編集] 北関東・東西方向
東西方向には、本都市圏に南接する小山都市圏を通る国道50号と両毛線・水戸線がある。将来的には、本都市圏を横断する北関東自動車道が開通する予定。
[編集] 東北地方方面
宇都宮都市圏と東北地方の間では、現時点で移動の鉄道需要は極めて低い(→東北新幹線#概要参照)。一方、自家用車による隣県間の流動は盛んである。また、那須温泉郷のレジャー施設や温泉宿は、東北地方でテレビCMを行ったり、タウン情報誌に広告を出したりしており、日光も含めて自家用車やバスツアーでの利用客がいる。
[編集] 交通機関別
[編集] 鉄道
南北方向の路線としては、都市圏の中央部に東北新幹線・宇都宮線(東北線)が通り、宇都宮市から南西方向に東武宇都宮線が、さらにその西側には東武日光線が通っている。これらの路線は本数も多く、住民の生活の足として利用されているが、これらの鉄道路線はむしろ東京圏間あるいは他の都市圏間の移動手段として機能しており、路線の敷設状況を見れば分かるとおり、宇都宮都市圏内の移動を目的とする運営形態とはなっていない。
東西方向の路線は、宇都宮・鹿沼・日光各市の連絡路線としてJR日光線、宇都宮市と那須南地域との連絡路線としてJR烏山線があるが、両線とも運行本数は少ない。現在、宇都宮市内と芳賀・清原工業団地を結ぶライトレールの計画が持ち上がっているが、宇都宮都市圏人口の過半数は宇都宮市中心部に密集しており、利用見込みが少なく、近年ではバス路線でさえ廃止・便数減の方向性にある市東部交通の鉄道ファシリティーを市民の税金を投入して整備する意義には多くの疑問が寄せられている。
東西交通の充実化を図るべきという声の要因として、鬼怒川両岸を結ぶ道路網の通勤時間帯における慢性渋滞が挙げられていたが、パークアンドライドの充実化により既に解消されている。
[編集] 道路
中心都市・宇都宮の市街地外郭に沿うように、西側に東北自動車道、南側に北関東自動車道、東側に新国道4号が通っている。北関東自動車道はさらに茨城県側への延伸が計画されており、重要港湾常陸那珂港と結ばれることによる物流効率の改善が期待されている。
さらに市郊外には40万都市の環状道路としては全国屈指の宇都宮環状道路があり、市街地域内を通過するだけの車両の進入を減らし、市街地域の無用な交通渋滞の解消に大きく寄与している。この東側区間は新4号国道に繋がるもので、拡幅・立体工事によって東京圏への所要時間短縮が実現している。
日本でも屈指のモーターリゼーションが発達した地域であり、自家用車の保有率は全国でもトップ10に入る。このため公共交通機関(特にバス)の経営悪化が懸念されており、最大手バス会社の関東自動車が産業再生機構による経営再建に迫られている。再建には、人口過疎地域のバス路線廃止・減便と、人口密集地域内バス路線の充実化が求められるところであるが、元来公共交通網が交通弱者への交通サービス提供を主眼とすることもあり、他地域と同様、路線バス問題は難しい課題であることに間違いない。
[編集] 高速バス
[編集] 空港
当都市圏居住者は、高速交通を利用しても3時間はかかる、最寄の羽田空港と成田空港を利用する。 一方、観光においては、日光・那須温泉郷などに直線距離としては近い、福島空港からの出入りもある。ペ・ヨンジュンもこのルートを利用した。しかし、当該都市圏に関して言えば、アクセス時間は羽田や成田とほぼ同じであり、路線数・便数ともに極めて低い福島空港の利用頻度は極めて低い。
[編集] 産業
[編集] 農業
[編集] 工業
- 都市圏の東部には、鬼怒川の水を利用して、宇都宮(平出)・清原・芳賀・真岡など大規模工業団地が非常に発達しており、大手企業の進出も数多い。中でも芳賀町のホンダ、上三川町の日産自動車の両工場は地域経済を支える存在となっている。
- 西部地域には鹿沼市の「木工団地」、壬生町の「おもちゃのまち」など、特徴を持った中小企業中心の工業団地が多い。
[編集] 商業
- 宇都宮市の東武宇都宮駅周辺にはオリオン通りと呼ばれるアーケード街があり、栃木県内最大の繁華街を形成し、多くの飲食店等小売店舗が立地している。
- 宇都宮市の郊外には福田屋百貨店(FKD)ショッピングプラザ宇都宮店、イトーヨーカドー系のベルモール、アピタ宇都宮店など大規模な駐車場を備えた大型ショッピングセンターが数多く出店し、商業激戦区となっている。中でもFKD宇都宮インターパーク店とジョイフル本田が核店舗となっている地区「インターパーク宇都宮南」には数多くの店舗が林立し、北関東のみならず全国でも屈指の郊外型商業集積地区となっている。
- 宇都宮環状道路の西側区間には専門店のロードサイドショップが多く出店している(西松屋、あかちゃん本舗、ユニクロ、コジマ電器など)。
- 宇都宮市内以外では、鹿沼市中心部、真岡市中心部、高根沢町県道10号沿い、壬生町おもちゃのまち駅周辺、日光市国道461号沿い等に小規模な商業集積が見られる。
[編集] 域内に本社を構える主な企業
[編集] 域内に工場を構える主な企業
[編集] 他の地域・都市圏との関係
- 近接する栃木都市圏(栃木市など)、小山都市圏(小山市・茨城県結城市・筑西市など)、黒磯都市圏(大田原市・那須塩原市など)との交流は日常的に盛んである。
- 県内以外で最も人的交流が盛んなのは東京である。平日は工業団地に関連したビジネスニーズによる移動、休日は買い物を中心にしたレジャー面での移動が多い。
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