回転寿司
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回転寿司(かいてんずし)は各種の寿司を載せた小皿を、客席沿いに設置されたベルトコンベア上に連続して循環させ、客は寿司を皿ごと自由に取り上げる、半セルフサービス型の寿司店の形態。
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[編集] 概説
精算は通常、皿の柄によって値段が決まり(均一値段の場合もある)、枚数を数えることで行う。一部の寿司や汁物、飲み物は客が店員に直接注文しなければならない場合がある。また、回っている寿司であっても、直接頼んで握ってもらい流してもらうことができるお店もある。
液晶タッチパネルで客が注文すると、注文したものが流れてきて到着を知らせる店や、(その液晶には単に商品名が記載されているものの他、魚が海底で泳ぐ映像が流れ、目当ての魚を選択する事で注文が成立するというものがある)カウンター上部に湯飲みが回っているコンベアがあったり、カウンター内部に皿回収用のコンベアが別途回っている店がある。回収コンベアがある場合は、皿の数は自動で計算され表示されるようになっている。皿の数でもって自動的に福引をする施設の有る店もある。
皿を載せたベルトコンベアは時計回りに回るが、これは箸を持った右利きの人が取りやすいようにとの配慮による(この逆に回るものも存在する)。左右両方からやってくるものもある。内回り外回りの両方からとることができる。ボックス席ではこのような考えはない。
寿司以外には、ケーキなどのデザート、フルーツ、唐揚げ、天ぷら、刺身、フライ、そば、茶碗蒸し、ビール、酒、飲茶などが回っていることがある。客層に児童や高齢者を含んだ家族連れを想定している為か、わさびは控えめに握ってある店舗が多く、追加のわさび(これは無料)が回っていることもある。
また近年は、全品100円の低価格が売りの100円寿司が増えている。その一方で高級回転寿司を売りにした店舗も増えており二極化している、またコンベアには「ネタの写真」が回っているだけの店舗もある。
皿の裏に二次元バーコードやICタグを付けることにより、鮮度管理(コンベア上を一定時間以上流れたままになっている寿司を回収する)、売れ筋分析(どのネタがよく売れているか分析し、欠品や廃棄を少なくする)、会計処理効率化(ICタグリーダーで皿を読み取れば、瞬時に正確に料金が計算できる)を行うなど、IT化も進んでいる。
[編集] 歴史
大阪の立ち喰い寿司店経営者、白石義明が、ビール製造のベルトコンベアをヒントに、多数の客の注文を低コストで効率的にさばくことを目的として「コンベヤ旋廻食事台」を考案し、1958年、大阪府布施市(現:東大阪市)の近鉄布施駅北口に最初の回転寿司店である「元禄寿司」(写真)を開いた。 1962年12月6日、「コンベヤ旋廻食事台」は「コンベヤ附調理食台」として白石義明名義で実用新案登録(登録第579776号)されている。
- 「元禄寿司」(=元禄産業株式会社)は飲食店の名称として「まわる」「廻る」「回転」などを商標登録しており、後発の他店は「回転寿司」の名称を利用できない状況が続いていた。
- 平禄寿司によると、「1968年に東日本では初めての回転寿司店が誕生した」ので仙台に伝わるのに10年を要したことになる。従来の寿司店の高級化傾向に対し、廉価さ、手軽さ、会計の明朗さで大衆客のニーズをとらえ、1970年代以降全国的に広まり、今ではファミリーレストランの競争相手にもなっている。
- 1997年 元禄産業が飲食店における「回転」の使用を解放した。
[編集] 主な回転寿司チェーン
[編集] 日本国内
- 元禄寿司(元禄産業株式会社 本社・大阪府東大阪市):直営店11店。
- あきんどスシロー(株式会社あきんどスシロー 本社・大阪府吹田市):東証2部2781、156店舗(2005年4月6日現在)
- アトムボーイ・海鮮アトムボーイ・にぎりの徳兵衛(株式会社アトム 本社・福井市):東証2部7412、アトムボーイ46店、海鮮22店、徳兵衛49店(2005年6月現在)
- うまい鮨勘(株式会社アミノ 本社・仙台市):直営21店、FC3店、海外2店(2006年4月現在)
- かっぱ寿司(カッパ・クリエイト株式会社 本社・さいたま市):東証1部7421、297店・寿司事業売上605億47百万円(共に2006年5月末現在)
- 元気寿司・すしおんど・千両(元気寿司株式会社 本社・宇都宮市):東証1部9828。国内194店舗、海外44店舗(直営・FC合計/2005年1月1日現在)
- 業界で最初に郊外型(ロードサイド)店舗を出店、皿の色で価格を変える方式を考案した。
- すし銚子丸(株式会社銚子丸 本社・千葉市):42店舗(2005年10月現在)
- なごやか亭(株式会社三ツ星レストランシステム 本社・釧路市):直営10店(2005年12月3日現在)
- にぎり長次郎(株式会社フーズネット 本社・京都市)(関西にてアトムボーイを運営していたが倒産し、再建中):16店(2005年6月現在)
- 函館市場(「ベーカリーレストランチェーンサンマルク(東証1部7479)」の経営およびFC、本社・岡山市):高級回転寿司を標榜。51店舗(2005年3月末現在)
- 平禄寿司(株式会社ジー・テイスト 本社・仙台市):直営90店(2005年10月現在)
- かつては元禄産業との契約で「元禄寿司」の営業名称を利用していた。2005年に学習塾及び外食のFCを展開する株式会社ジー・コミュニケーション(名古屋)へ身売りし、社名変更。
- 祭り・海鮮金太郎(株式会社ふじや 本社・徳島県):徳島・兵庫で約30店舗を運営
- マリンポリス(株式会社マリンポリス 本社・岡山市):ジャスダック3339、直営94店、FC45店、海外6店(2004年現在)
- 無添くら寿司(株式会社くらコーポレーション 本社・大阪府堺市):東証1部・ヘラクレス2695、155店舗(2006年4月末現在)・売上344億75百万円(2005年10月末現在)
[編集] 海外
[編集] イギリス
1990年代末、英国ロンドンで回転寿司に人気が集まった。人気に拍車をかけたのは Yo! Sushi というチェーン店で、1997年にソーホーで開業し、その後英国内に次々と開店。1999年、パディントン駅構内のプラットホーム上に回転寿司屋を出店したことで注目を浴びた。コンベアに並ぶのは寿司のほか、刺身、鶏の唐揚げ、餃子、日本酒など日本食を取り揃え、また紅茶、パン、ケーキ、フルーツ、あるいは唐辛子入り鶏ラーメンや焼きうどん、天ぷらまで揃えてメニューを工夫。商品の値段を皿の色で区別する、日本と同様のシステムを採用している[1]。1999年ごろロンドンを中心に人気を呼び、創業者のサイモン・ウッドロフ (Simon Woodroffe) は英国の外食産業で大きな地歩を獲得したと報道されている[2]。寿司について、週刊サンデータイムスが「ロンドンで最高」との折り紙を付けたこともある。ロンドン市内に20ヶ所以上の店舗を展開し、すでにフランスや中東のドバイにも進出したほか、2006年にも新店舗を開くと発表、米国進出を狙っているとする指摘も少なくない。
[編集] 主な寿司ネタ
各店舗により名称の違い等があるとは思われるが、ここでは代表的なものを挙げる。 また品名の頭に#印が付いたものは100円均一店ではなかなか見られないネタである(但し通常一貫を一皿にするところを1皿半貫にするという事で100円を実現しているものも有るが、その類はここでは除外する)
- まぐろ(#上トロ、#炙り上トロ、#中トロ、#トロ、ビントロ、赤身、づけ、#かじき、中落ち、ねぎとろ、鮪山掛け)
- さけ(焼サーモン、サーモン、サーモンマヨネーズ、とろサーモン、#マスノスケ{アボカド和えのサーモンもある})
- えび(ボイルえび、生えび、甘えび、#ぼたんえび、くるまえび、サイマキ、炙り生えび、えびマヨ)
- いか(いか、やりいか、紋ごういか、あおりいか、すみいか、ほたるいか、げそ)
- ぶり類(ぶり、はまち、かんぱち、ひらまさ)
- たい類(真鯛、#金目、#甘鯛、#黒鯛、#いしだい、#すずめ鯛)
- 光り物(#とろかつお、かつお、〆さば、炙りさば、あじ、あじたたき(房総では”なめろう”の場合も)、いわし、このしろ、こはだ、しまあじ、さより、さわら)
- 白身(#ふぐ、かれい、ひらめ、えんがわ)
- 長物(うなぎ、あなご)
- 貝類(#はまぐり、#みる貝、とこぶし、ほたて、さざえ、かき、小柱、赤貝、つぶ貝、とり貝、ほっき貝、あかにし貝、青柳、貝ひも{あわびは100円均一の場合”ロコアワビ”という名前のもので登場する})
- 魚卵その他の魚介(#かに、かに足、かにみそ、#すじこ、いくら、#子持昆布、とびっ子(とびうおの卵)又はエビ子、うに、数の子、#からすみ、#キャビア、明太子、生たこ、たこ、しゃこ、玉子、塩辛、いか黄金、いか明太、たこわさび、キムチ、なす浅漬、サラダ、山芋、かいわれ、月見山掛け、アボカド、蒟蒻)
- 季節もの(#はも、#あんきも、白魚、ほっけ、#はっかく、さんま、にしん、たら白子、たちうお)
- 巻物(かんぴょう、かっぱ、たくあん、べったら、しば漬、田舎漬、山ごぼう、梅しそ、納豆、ツナ、鉄火、穴キュウ(穴子+きゅうり)、カツ、エビフライ)
- 肉・揚物(牛カルビ、チャーシュ、ハンバーグ、ベーコン、チキン照焼、えび天、いか天、ししゃも天)
- 太巻{伊達巻、かにマヨ、カリフォルニア}巾着、いなり、ばってら、押し寿司、バラ寿司、五目寿司
- その他副食(唐揚げ、フライ、煮物、お新香、そば、うどん、ラーメン、ゼリー、プリン、ケーキ、スィートポテト、ジュース)
[編集] 上場回転寿司、店舗数
店名 | 本社 | 店舗数 | 上場 |
---|---|---|---|
かっぱ | 埼玉 | 293 (2005/8) | 東京1 |
元気 | 栃木 | 238 (2005/1) | 東京1 |
あきんどスシロー | 大阪 | 156 (2005/4) | 東京2 |
くら | 大阪 | 150 (2005/10) | 東京1・ヘラクレス |
マリンポリス | 岡山 | 145 (2004-2005) | ジャスダック |
アトム | 福井 | 117 (2005/6) | 東京2 |
ジー・テイスト | 宮城 | _90 (2005/10) | ジャスダック |
函館市場 | 岡山 | _51 (2005/3) | 東京1 |
[編集] コンベア
回転寿司店で寿司を回転させるコンベアのシェアは、、石川県白山市横江町の日本クレセントが製造・販売するものと石川県金沢市の石野製作所が製造し北日本カコーが販売するものとの二強体制である。さらに、両社のシェアを、富山県のメーカーが追い上げており、北陸地方に生産拠点が集中している。
[編集] その他
最近の回転寿司のチェーン店では、ネタ切れのないように店舗画像の抜き打ちチェックをしているところもある。これにはプライバシーの侵害との声もある。
また、従来型の(ベルトコンベアを使わない)寿司店を、俗に「固定寿司」・「回らない寿司屋」という。