Microsoft Windows 2000
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Windows 2000(ウィンドウズ にせん)はマイクロソフトがWindows NT 4.0の後継バージョンとして2000年に発表したWindows NT系のOS。2000年2月17日に日米欧同時発売された。略称はWin2000、Win2k、W2K。内部バージョンはWindows NT 5.0。
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[編集] 概要
安定性・堅牢性に優れたNTカーネルをベースにし(その為内部バージョンはWindows NT 5.0)、主に業務用として位置付けられている。しかし、当初からWindows NT系のWindows 9x系(Windows 95~Windows 98~Windows Me)との統合も主な目的として開発されたため、一般の利用者の利用にも十分に期待に応えられるようになっている。しかし、Microsoftは発売直前に時期尚早と判断し、統合は次期バージョンとなるWindows XPを待つこととなる。一般ユーザー向けとして機能を充実したWindows XPよりもWindows 2000の方が軽快に動作し、数度のサービスパックの適用による安定性もより向上し、Windowsシリーズの中で高く評価されているオペレーティングシステムである。事実、WindowsXP発売後もあえて2000を使い続けるヘビーユーザーも少なからず存在する。
また、Windows NT系は移植性を高める設計が行われており前バージョンのWindows NT 4.0では複数のプラットフォームに向けて販売されていたが、IA-32以外のプラットフォームは事実上消滅してしまったことで結局Windows 2000では開発段階までは複数存在していたもののIA-32以外の発売はとりやめとなった。
[編集] Windows 9x系統からの機能
- USBやプラグアンドプレイによる容易な周辺機器の増設
- ACPIによる電源管理機能
- Windows 98と似た外観(操作性は改良されており、利便性はかなり向上している)
- DirectXやOpenGLといったマルチメディア及びゲーム環境への対応または強化
- DVD-ROM等の大容量ディスクへの対応 など
[編集] Windows 2000での新機能
- NTFS5 (NTFS2000)
Windows NTで採用されているNTFSにさらなる改良を加えたファイルシステム。主に各ユーザーアカウントごとに使用できるディスク容量を制限できる「ディスククォーター」が装備された。また、ファイルシステムそのものを暗号化する機能も搭載され、一層セキュリティ保護に関連する機能が強化された。
- Windows/Win32 Driver Model (WDM)
通常、デバイスドライバはWindows 95とWindows NTでは違うものを使う必要があった。しかし、この問題を解決させたのがWindows Driver Modelであり、これに従って開発されたドライバはWindows 98/MeでもWindows2000でも同じものが使えるというものである(Windows 95とWindows NTもしくはそれ以前は未対応)。
しかしながら、結果的に目論見は失敗し、Win32 Driver Modelへとスケールダウンすることになる。Windows Driver ModelとWin32 Driver Modelの違いは、ドライバのバイナリ互換(Windows Driver Model)であるか、ソース互換(Win32 Driver Model)であるかの違いである。
- 再起動回数の減少
WindowsNT 4.0よりは再起動の回数が減少したと公言されてはいるが、システムの重要な箇所(レジストリの変更やシステムそのものを大きく変更するアプリケーションソフトウェアの導入または削除、及びユーザーによる操作)の変更には再起動が必要である。ただ、サービスの切り替えに再起動が求められることやハードウェアの追加または削除の際の再起動が少ないことを考慮すれば以前よりは進化したと思われる。
- 自動インストーラへの対応
自動でアプリケーションを修復できるプログラムがある場合、備え付けのWindowsインストーラサービスによって自動的に修復される。また、Windows 98にもあったシステムまたはレジストリの自動修復機能も対応強化され、再セットアップ操作を極力排除している機能が実装されていることが伺える。
- 他国言語への対応
- グループポリシーによるユーザー管理の一元化
- Microsoft管理コンソールによる一部アプリケーションの統一された操作環境 など
[編集] Windows2000の種類
Windows 2000では、ビジネスの規模や用途に応じて以下の4種類に分かれている。
- Windows 2000 Professional(クライアント PC向け)
- Windows 2000 Server(小規模サーバ向け)
- Windows 2000 Advanced Server(中規模サーバ向け)
- Windows 2000 Datacenter Server(大規模サーバ向け)
なお、当初はこのOSでWindows NT系と9x系を統合する予定であったが、開発の遅れなどから断念された。そのため9x系にはWindows Meが投入され、OSの一本化はWindows XPへ先送りとなった。 また、サーバー用途向けの後継商品としては Windows Server 2003が発売された。
[編集] サービスパックに関して
Windows 2000のサービスパックに関してはWindows XPに比べて新機能の追加よりもシステムの不具合修正に重点を置いているのが特徴といえる。なお、Windows 2000のサービスパックに関しては2005年に公開されたService Pack 4アップデートロールアップ1でサービスパックのリリースを終了するという([1])。但し、Service Pack 4アップデートロールアップ1を導入すると環境によってはシステムが不安定になる場合があるので注意が必要である。
[編集] Service Pack 1
Outlook Express5.5を搭載した以外、不具合の修正が主で特に新機能はない。2002年8月1日にサポートが終了した。
[編集] Service Pack 2
自動的に128ビット暗号機能がインストールされる。また、隠れた機能ではあるが互換性のないアプリケーションを仮想的に実行する互換性機能が導入される(別途使用可能にするための操作が必要になる)。2004年6月30日にサポートが終了した。
[編集] Service Pack 3
プログラムの追加と削除内にInternet ExplorerやOutlook Express等の特定のアプリケーションを別のサードパーティ製アプリケーションに差し替える(デフォルトに使用するように設定)「プログラムのアクセスと既定の設定」が付け加えられている。このうち、プログラムのアクセスと既定の設定に関しては反トラスト訴訟に基づくものである。同一の機能がWindows XP Service Pack 1でも実装されている。また、別途レジストリの操作が必要だが、137GB以上のハードディスク(BigDrive)に対応した。2005年6月30日にサポートが終了した。
[編集] Service Pack 4
Service Pack 4には新デバイス規格であるUSB 2.0や無線LANなどで多く採用されているIEEE802.11に対応しており、現在多くの周辺機器で採用されているUSB 2.0規格を特別なドライバ無しで使用することが可能になった。
[編集] システム要件
(Professional版)
- Pentium 133MHz以上のマイクロプロセッサ (または互換プロセッサ)
- メモリ 32MB 以上のRAM(64MB以上を推奨、最大4GB) ※Server版は64MB以上のRAM (128MB以上を推奨、最大4GB)
- ハードディスク 850 MB以上の空き容量(全体として2GB以上のハードディスク容量を推奨)※Windows2000からFAT32としてフォーマットできるのは32GBまで(他のWindowsや別途のソフトウェアでフォーマットした場合は認識可能)。それ以上はNTFSでフォーマットされる。
- ディスク装置 CD-ROMまたはDVD-ROMドライブ
- ディスプレイ VGA以上の解像度を備えたディスプレイアダプタ
- 入力装置 Microsoft Mouse、もしくは互換ポインティングデバイス
[編集] 対応機種
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[編集] 外部リンク