耳をすませば
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
![]() |
ウィキポータル |
日本の漫画作品 |
日本の漫画家 |
漫画原作者 |
漫画雑誌 |
カテゴリ |
漫画作品 |
漫画 - 漫画家 |
プロジェクト |
漫画作品 - 漫画家 |
『耳をすませば』(みみをすませば)は、柊あおいの漫画作品、およびアニメ映画。アニメ映画版では東京都多摩市と同武蔵野市の一部が出ている。略称は「耳すま」。
目次 |
[編集] 漫画
[編集] 『耳をすませば』
読書が大好きな女子中学生、月島雫(つきしましずく)。雫は愛読書の図書貸し出しカードに天沢聖司(あまさわせいじ)という名が必ずある事に気がつき、知らない彼への思いをめぐらす。そんなある日、電車の車内で出会った猫に導かれ、地球屋という不思議な店に迷い込む。「りぼん」1989年8月号~11月号にて連載。りぼんマスコットコミックスにて単行本化。全1巻。2005年、文庫本(コミック版)にて発売。全一巻。耳をすませば~幸せな時間~同時収録。
[編集] 『耳をすませば 幸せな時間』
中学生最後の夏休み。「受験生」という立場を持て余し気味の雫はちょっと憂鬱。そんな時、空から降ってきた不思議な羽を拾う。その本体である翼について調べる内に「猫の図書館」に行き着く。 「りぼんオリジナル」1995年8月号に掲載。りぼんマスコットコミックスにて単行本化。全1巻。2005年、文庫本(コミック版)で発売。全一巻。耳をすませば~幸せな時間~同時収録。
[編集] アニメ映画
アニメ映画『耳をすませば』は、同名の漫画を原作にスタジオジブリがアニメ映画化した作品(宮崎駿が夏休み休暇を過ごす山小屋に、この原作漫画が置いてあり、興味を持ったからと言われている)。1995年7月15日日本公開(同時上映:『On Your Mark ジブリ実験劇場』)。近藤喜文の最初にして最後の監督作品。また、プロ野球解説者の江川卓がゲスト出演している。
[編集] あらすじ
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
読書好きの中学3年の月島雫は、父の勤める図書館へよく通うが、自分の読む本を全て先に借りて読んでいる「天沢聖司」の名前に気がつく。その天沢聖司が同級生だと知るのに時間はかからなかったが、天沢聖司のことが何かと気になる雫。ある日、図書館への道で変な猫を見つけ、その猫を追いかける。猫は小さなアンティークショップ「地球屋」へ入ってゆき、雫は店で老人・西司朗と出会う。西老人は聖司の祖父で、彼は地下の工房でバイオリンを作っていた。聖司はバイオリン職人になるためにイタリアへ留学したいという夢を持っていた。確固たる目標を持っている聖司に比べて、何をするべきかが分からない雫。雫は自分の夢を求め、小説を書き始める。
[編集] スタッフ
[編集] キャッチコピー
好きなひとが、できました(糸井重里)
[編集] 声の出演
- 月島雫:本名陽子
- 天沢聖司:高橋一生
- 月島靖也(雫の父):立花隆
- 月島朝子(雫の母):室井滋
- 月島汐(雫の姉):山下容莉枝
- バロン:露口茂
- 西司朗(地球屋主人):小林桂樹
- 西の友人:井上直久(※画家、「バロンのくれた物語」美術担当)
- 高坂先生:高山みなみ
- 原田夕子:佳山麻衣子
- 杉村:中島義実
- 原田夕子の父:中村晴彦
- 絹代:飯塚雅弓
- ナオ:千葉舞
- 担任の先生:岸部シロー
- 数学教師:笛吹雅子
- 野球解説者:江川卓(特別出演)
- 野球実況アナウンサー:小川光明(※当時日本テレビアナウンサー)
[編集] テーマ曲
- Take Me Home, Country Roads(故郷に帰りたい) - オリヴィア・ニュートン・ジョン(OP曲・原曲はジョン・デンバー)
- カントリー・ロード - 本名陽子 ※上記の曲に日本語詞をつけたもの。
- 作詞:鈴木麻実子、宮崎駿 / 編曲:野見祐二
[編集] 賞歴
- 第13回ゴールデングロス賞・最優秀金賞、マネーメイキング監督賞
- 日本映画復興賞・日本映画奨励賞
- 全国映連賞・新人監督賞
- 児童福祉文化賞
- 中央児童福祉審議会特別推薦文化財
[編集] 豆知識
- 作中の、バロンが登場する雫の小説のなかの世界のデザイン(背景)は井上直久が担当している。雫の小説のストーリーは井上直久によるものではないが、この世界の設定は彼が描く「イバラード」の世界観にほぼ準じている。
- 作中に「ムタ」「サスケ」という名前が出てくる。前者はブタ猫ムーンの別称、後者は学校での生徒の「昨日のサスケ見たか、俺感動した!」という発言であり、この意味は何かという議論が揚がることが度々あったが、「ムタ」はプロレスラーの「グレート・ムタ」、「サスケ」は同じくプロレスラーの「ザ・グレート・サスケ」であると推測される。このことから制作スタッフにプロレスファンないしプロレスの知識がある人物がいると思われる。
- また「ムタ」は続編とされる「猫の恩返し」で「ルナルド・ムーン」の本名として使われている。
- 映画の最後のスタッフロールの際の映像をよく見ると、杉村と原田がその後どうなるかを知ることができる。
- ラストシーンの舞台のモデルとなった場所は、ファンにとってはある意味聖地とも言える場所で、その場所に集まった耳をすませばファンが、耳をすませばへの想いをつづるために、その場所にいつしか「耳ノート」というノートが設置された。「耳ノート」はたちまち映画を見たファンの寄せ書きでいっぱいになり、何冊にも増えていったが、心ない人間により、ノートが盗まれるという事態も何度も発生したという。現在でも「耳ノート」がその場所に設置されているかは不明である。また、近くの壁面に落書きしたりゴミを散らかしたりなど訪れる者のマナーが悪かったため、付近はフェンスに閉ざされ、立ち入り禁止の紙が貼ってある。
- フジテレビで以前放送されていた視聴者参加オークション番組「ハンマープライス」で、「耳をすませば」の声優としての参加権が出品されたことがあった。オークションが開始されると同時に異常なほど高値が付き、落札価格は50万円を超えるまでに至った。落札者の男性は雫の友達の夕子の父親役が与えられることになったが、50万円以上という高値で購入したにもかかわらず、与えられた台詞は夕子が自宅に帰った際、声をかけた「おかえり」の一言だけであった。一応彼の名前はスタッフロールに残されてはいるが、作品に名前が残るという事では50万円以上の価値はあると言えよう(キャストの項目参照)。
- 作中、雫が学校で無理を言って図書室を開けてもらい本を借りるシーンがある。この際手にした本は「フェアリーテイル」という題名の本で、実在する作品(モニカ・クリング著「フェアリーテイル」)であるが、この本を作中で雫に選ばせたことに特に意味はなく、単に原作で、同名の本を雫が借りたものをそのまま転用しているだけであり、スタジオジブリとしては「フェアリーテール」あるいは「フェアリーテイル」という作品名自体には特別想い入れや意味はないものとしている。
- 雫役の本名陽子は後に文化放送で「本名陽子 Yoko de Paradise」というラジオ番組のパーソナリティを務め、シングルCDやオリジナルのアルバムもリリースした。アルバムFRIENDSは久石譲がプロデュースを務め、ジャケットは故近藤喜文監督によって描かれた本名陽子自身の絵であった。
- 「耳をすませば」のサウンドトラックには、通常市販されているものの他に、CDの表面が金色であったり、微妙にジャケットの異なるバージョンが存在する。
- 雫が専ら利用する最寄駅の名称は「向原駅」(読みはむかいはら駅)だが、これは原作者・柊あおいの母校、栃木県壬生町立南犬飼中学校の所在地が壬生町大字北小林字向原(最寄り駅は東武宇都宮線おもちゃのまち駅)に在ることから名付けられたものであると推測される。しかし、実際に東京都豊島区には都電荒川線の向原電停(読みはむこうはら電停)があり、且、JR西日本芸備線(広島県)に向原駅(読みはむかいはら駅)が存在する為、真偽のほどは判らないが、いずれにしても舞台背景の場所が離れていることから、駅名の由来は前者に記した母校の所在地名に因んだものだと考えて良い。
- 雫が利用している駅名は上述の通り、広島のものを使用しているが、実際の町並みなどは主に東京都を走る京王線沿線の聖蹟桜ヶ丘駅周辺をモチーフとしている。作中に登場する町並みや、二人がラストシーンで日の出を見た高台、自転車に二人乗りで上った坂、雫が告白を受けた神社も実際に聖蹟桜ヶ丘駅周辺に存在しており、それを求めて訪れる人も多い。ちなみに雫が利用している向原駅は、同じく京王線の中河原駅だと思われるが、現在の同駅は作品中と違い高架駅である。ただし、公開時に販売されたパンフレットの中では百草園駅・高幡不動駅方面に向原駅が描かれており、さらに電車の進行方向の右に京王百貨店の建物が見えること、多摩川を通過した形跡が作品中から見られないことから中河原駅とは逆方向ではないかという指摘もある。ちなみに、百草園駅・高幡不動駅とも地上駅である。(ただし、高幡不動駅は高架駅になる予定)
- 作中には京王電鉄(作品内で駅の看板には京玉線と表記されているが、車体側面のロゴは「Keio」となっている)の5000系をモデルにした電車が登場する。しかし実際には5000系は片開き式の扉であるが、両開き式となっていたり、一部には6000系と5000系が混ざったような電車(前面は5000系、側面6000系)が出てくる。また側面のみで前面は出ないが前述の混合した6000系ではなく純粋な6000系も登場する。ちなみに作中の電車は全てアイボリーに赤いラインの塗装であるが、2002年より現在の新塗装に変更され、旧塗装であるアイボリーに赤いラインの電車は既に見られなくなっている。
- 背景キャラ(いわゆるガヤ・モブシーン)を担当している声優の中に俳優の久我未来がいる。久我は天沢聖司役の高橋一生と同い年(1980年生まれ)で、映画が公開された1995年は高橋と共に実際に中学3年生であり、公開開始から約3ヵ月後の10月より「3年B組金八先生」(第四期)で高畑優役を演じている。また、絹代役の飯塚雅弓も嘗て「3年B組金八先生」(こちらは第三期と第四期の間に製作された、スペシャルの一作品)に出演していることから「中学」を舞台にした作品としての繋がりから派生したのではないかとの見方ができる。
- テーマ曲の「カントリーロード」は、ベガルタ仙台のサポーターが選手入場時のチャントとして歌われている。
- 1995年当時、人名用漢字に「雫」が含まれていなかったため、名前に「雫」を使うことはできなかった。使用が可能になったのは9年後の2004年9月27日からである。ちなみに姉の「汐」も人名用漢字に追加されたのは1981年なので、名前に使うことはできない。(汐は大学生と設定されているため、最低でも18歳以上である。)
[編集] 関連項目
スタジオジブリ |
---|
長編作品 |
天空の城ラピュタ | となりのトトロ | 火垂るの墓 | 魔女の宅急便 | おもひでぽろぽろ | 紅の豚 | 海がきこえる | 平成狸合戦ぽんぽこ | 耳をすませば | もののけ姫 | ホーホケキョ となりの山田くん | 千と千尋の神隠し | 猫の恩返し | ハウルの動く城 | ゲド戦記 |
短編作品 |
On Your Mark | ギブリーズ | フィルムぐるぐる | くじらとり | コロの大さんぽ | めいとこねこバス | 空想の空飛ぶ機械達 | ギブリーズ episode2 | ポータブル空港 | space station No.9 | 空飛ぶ都市計画 | 水グモもんもん | 星をかった日 | やどさがし |
宮崎駿 監督作品 |
長編作品 |
ルパン三世 カリオストロの城 | 風の谷のナウシカ |
テレビアニメーション |
ルパン三世 (TV第1シリーズ) (一部) | 未来少年コナン | ルパン三世 (TV第2シリーズ) (145・155話) | 名探偵ホームズ(3~5・9~11話) |
宮崎駿 主要参加作品 |
劇場用アニメーション映画 |
ガリバーの宇宙旅行 | 太陽の王子 ホルスの大冒険 | 長靴をはいた猫 | 空飛ぶゆうれい船 | どうぶつ宝島 | パンダコパンダ | パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻 | 草原の子テングリ |
テレビアニメーション |
アルプスの少女ハイジ | 母をたずねて三千里 | 赤毛のアン(1~15話) |
その他 |
三鷹の森ジブリ美術館 |