天空の城ラピュタ
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『天空の城ラピュタ』(てんくうのしろらぴゅた、英語表記:LAPUTA: Castle in the Sky)は、スタジオジブリの劇場用アニメ作品である。1986年7月26日公開、監督は宮崎駿。カラー作品で上映時間は124分。ディズニー翻訳版のタイトルは「Castle in the Sky」。由来については後述。
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[編集] 概略
題材をスウィフトの『ガリヴァー旅行記』に出てくるエピソードからとっているが、自由な脚色と創作によって、全く独自な物語となっている。
19世紀後半、産業革命期のヨーロッパを元にした架空世界における戦争と平和、科学と自然という対立する要素を背景として、少年と少女の友情・冒険を描いたテンポの速い活劇である。 また、物語は幅広い年齢層に支持されており、興行的には振るわなかったものの、ビデオ販売は好調であった。
この作品は、元々宮崎駿が未来少年コナン2としてNHKに提案したが採用されなかった企画を、発展させて映画化したものである。元の企画はNHKに残され、後に『ふしぎの海のナディア』という形で作品化された。このため、両者には似通った設定が見られる。
なお、2003年にリリースされたディズニー翻訳版では「Castle in the Sky」というタイトルで公開されている。 ラピュタの命名の元となった『ガリヴァー旅行記』第三章の飛行島ラピュータ(Laputa、正確にはスペイン語でLa puta)は、「売春婦」という意味を兼ねてスウィフトが悪意を持って命名したものであり、スペイン語圏およびヒスパニックの多いアメリカ合衆国では不適切であるためである。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
時は19世紀のヨーロッパ、ただし飛行機械がわれわれの歴史よりもすすんだ世界。鉱山町で働く少年パズーは、飛行石の力でゆっくりと落ちてくる少女シータを助け、自宅にかくまう。一夜明けパズーは、シータの行方を追う空賊や政府からシータを守り逃げるうちに、シータが、かつて冒険家の父親が見た空中に浮かぶ城ラピュタに住むというラピュタ人の子孫であると知り、ラピュタの存在を確信する。しかし、二人は政府に捕らわれてしまい、ティディス要塞に監禁されてしまう。
シータを捕らえた政府側の張本人・ムスカ大佐はティディス要塞にて、シータに空から落ちてきた壊れたロボットを見せ、さらにシータがラピュタ王家の末裔である事を伝え、パズーの命と引き換えに協力を迫る。解放されたパズーは自宅で待ち受けていた空賊ドーラ一家と共に飛行機械・フラップターでシータ奪還に向かう。
ティディス要塞では、シータが祖母から教わった「秘密の言葉」を口にしたとたん、飛行石が光を発し、ラピュタの方角を指示。同時に壊れていたはずのロボットが目覚めて暴れだし、要塞を壊滅させる。騒ぎの中、パズー達は強行突入でシータを奪還するが、要塞からの砲撃の衝撃で、シータは飛行石を落としてしまう。
空中戦艦ゴリアテの砲撃によりロボットを破壊したムスカ達は、要塞の瓦礫の中から飛行石を見つけ出し、モウロ将軍の指揮の元、ゴリアテに乗って飛行石の示すラピュタを目指す。
パズー、シータを加えたドーラ一家は、シータが覚えていた飛行石の光の方角をたよりに飛行船タイガーモス号でラピュタへ向かう。やがて巨大な嵐雲「竜の巣」に行く手を阻まれ、「父は『竜の巣』の中でラピュタを見て帰ってきた」というパズーの言葉にドーラは突入を決意するが、遭遇したゴリアテの攻撃を受け、見張り用の凧に乗っていたシータとパズーはドーラ達とはぐれてしまう。
どうにかラピュタの空中庭園に到着したシータとパズーは、同じくラピュタに到着しつつも軍に捕らわれたドーラ一家を助けようと試みるが、途中でムスカと遭遇し、シータは捕らえられてしまう。ムスカはシータとともにラピュタ中枢部に姿を消し、パズーはドーラ一家の縄を解き、シータを助けに向かう。ラピュタの力の根源である巨大な飛行石に到達したムスカはシータに、自分もラピュタ王家の末裔だと明かす。
ムスカはモウロ将軍らをラピュタ最下部の展望室に招きいれ、ラピュタ帝国の復活を宣言。「旧約聖書」でソドムとゴモラを滅ぼしたとも、「ラーマーヤナ」でインドラの矢とも伝えられる最終兵器「ラピュタの雷」の威力を見せつけた後、落とし穴を使ってモウロたちを空中へと放り出し、大量のロボット兵によって空中戦艦ゴリアテも破壊する。
ムスカの狂気を目の当たりにしたシータはムスカから飛行石を奪い取り逃走。ムスカに追いつかれるも、合流したパズーと共に、祖母から教わった「滅びの呪文」を叫ぶ。飛行石のペンダントは激しい光を放ち、ラピュタは崩壊。ムスカは瓦礫に飲み込まれる。飛行石を根の中に抱く巨大樹と化したラピュタは、わずかに空中庭園を残したまま、天高く昇っていく。
樹の根に守られて助かったシータとパズーは、来る時に用いた凧でラピュタから脱出。同じくフラップターで脱出していたドーラ一家と再会の後、天空へと消えていくラピュタを見届けると、ドーラ一家に別れを告げ、故郷を目指して舵を切る。
[編集] スタッフ
- 原作・脚本・監督:宮崎駿
- プロデューサー :高畑勲
- 作画監督:丹内司
- 原画頭:金田伊功
- 美術監督:野崎俊郎、山本二三
- 音楽 :久石譲
- 主題歌 :『君をのせて』(作詞:宮崎駿 作曲:久石譲 歌:井上あずみ) この主題歌は、現在では合唱曲としても有名である。卒業式の定番曲の一つとして知られる。
- イメージソング:『もしも空を飛べたら』作詞:松本隆 作曲:筒美京平 歌:小幡洋子
- 配給:東映
[編集] キャスト
- パズー:田中真弓
- スラッグ渓谷の炭坑で働く少年。両親とは死別している。父が生前発見したラピュタを再発見することを夢見ている。シータと出会うことで、ラピュタを巡る冒険の旅へと出かけることになる。
- シータ:横沢啓子
- ゴンドアの谷に住む少女。飛行石のペンダントを首から下げている。軍隊に拉致され、飛行船から転落したところをパズーに助けられ、親友となる。実は、ラピュタ王家の末裔であり、本名は「リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ」という。
- ムスカ大佐:寺田農
- ラピュタ探索の特務機関の指揮官。彼もまたラピュタ王家の末裔であり、本名は「ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ」という。数々の名台詞を残した人物。
- (声優に対する補足)当初ムスカ役の声は根津甚八へ依頼していたが断られて、丁度同時期にTV放映された『ブレードランナー』において、ロイ・バッティ(ルトガー・ハウアー)の吹替えで好演していた寺田農に頼んだ経緯がある。但しこのエピソードが元で根津はパトレイバーTHE Movie2に出たとされる説もある)その異色なキャラは放映から20年たった今でも高い人気を持つ。
- ドーラ:初井言榮
- ラピュタを狙う空賊で、タイガー・モス号の女船長。飛行石目当てにシータを追い回すが、後にシータやパズーと手を組み、よき理解者となる。若い頃は絶世の美女だったという。
- シャルル(ドーラの長男):神山卓三
- ルイ(ドーラの次男):安原義人
- アンリ(ドーラの三男):亀山助清
- じっちゃん(飛行船の老技師。本名ハラ・モトロ):槐柳二
- モウロ将軍:永井一郎
- 親方(ダッフィ):糸博‐シータたちを守るために奮闘した。
- おかみさん:鷲尾真知子
- マッジ:TARAKO ‐親方の家の幼い娘。
- ポムじいさん:常田富士男
- 軽便鉄道の機関士:西村知道
- 黒眼鏡(ムスカの部下):大塚芳忠、菅原正志
- 子分カ(ドーラの子分、ポルトガル人):?
- 子分キ(ドーラの子分、エジプト人):大滝進矢
- 子分ク(ドーラの子分、中国人):平井隆博
- 子分ケ(ドーラの子分、日本人):峰恵研
- 子分コ(ドーラの子分、セネガル人):菅原正志
- 青い服の婦人(役名表記なし、夜食を買いに来たパズーに「まだ仕事?」と尋ねた。):林原めぐみ
[編集] 賞歴
- 文化庁優秀映画
- 第41回毎日映画コンクール・大藤信郎賞
- おおさか映画祭・日本映画ベストテン第1位
- 日本映画復興特別賞(高畑勲・宮崎駿)
- 映画芸術・日本映画第1位
- 中央児童福祉審議会特別推薦
[編集] 補足
- この作品に登場するロボット兵は、「ルパン三世」の第二シリーズ最終話「さらば愛しきルパンよ」に登場した「ラムダ」というロボットと良く似たデザインである。「ラムダ」の登場はこの「ラピュタ」の製作よりも前で、登場した作品は宮崎駿(照樹務という名前を使っていた)が脚本を担当していた。
- この作品には、風の谷のナウシカのキツネリスが4匹登場するシーンがある。
- 味の素から映画『天空の城ラピュタ』のタイアップ商品として「ライトフルーツソーダ ラピュタ」という清涼飲料水が発売されており、そのCMソングとして上記のイメージソングが使用された。
- 「テレビで放送された際、ラストに、パズーがシータの住む谷を訪れるシーンがあった」など、エンディングに複数パターンがあるという都市伝説があるが、これは事実無根である。スタジオジブリも日記で否定している。なおノベライズ版にはそのようなシーンがある。検証を行ったWebページ検証を行ったWebページその2
- なお参考までに有力な説の一つとして、問題のシーンがあったとされるテレビ放映時に「君を乗せて」のスタッフロールをカットして、替わりにアニメ雑誌アニメージュに掲載されたパズーとシータのお別れシーンに見える絵コンテをスポンサー紹介の所で使ったらしいのが誤解の発端という説あり。
- パズーの父親が撮ったラピュタの写真には、「1868.7」の日付がある。この事から、本作品の年代は1870年代~1880年代辺りと推定される。
- ドーラとシータが、タイガーモス号のドーラの部屋にやってきて服を選んでるシーンで(ドーラが「そのなりじゃなんにもできやしない」といってる)部屋の壁の掲げてる若い頃のドーラの絵はシータに似ている。
- 最後のラピュタ崩壊時、瓦礫に混じって落下していくムスカの姿が(ごく小さいながらも)確認できる。
- 2002年に三鷹の森ジブリ美術館で「天空の城ラピュタと空想科学の機械達展」が開かれた。
- 「Castle in the Sky」には久石譲の意向により日本語版と異なる音楽が使用されている。基本となるメロディの大部分はは同じだが、ハリウッド向けに久石が大幅にアレンジを行った。(エンディング曲に変更やアレンジはない。)CDは徳間ジャパンより発売されている。
[編集] 関連項目
- 飛行石
- フラップター
- ゴリアテ(巨大飛行船)
- ドーラ
- ロボット
- 超古代文明
- レトロフューチャー
- スチームパンク
- 装甲列車
- ラピュタ
- 宮崎駿
- 空想の空飛ぶ機械達
- ラーマーヤナ
- マハーバーラタ
- ラピュタパン
スタジオジブリ |
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テレビアニメーション |
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テレビアニメーション |
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その他 |
三鷹の森ジブリ美術館 |