魔女の宅急便
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『魔女の宅急便』(まじょのたっきゅうびん)は
目次 |
[編集] 児童文学
角野栄子『魔女の宅急便』シリーズの1作目。主人公のキキが親元を離れ、知らない町で魔女として一人立ちする姿を描く。シリーズ化されており、現在4冊まで福音館書店から刊行されている。 2005年2月に、ディズニー社が実写映画化を計画していると報道があった。
- 魔女の宅急便 ISBN 4834018121
- 魔女の宅急便その2 キキと新しい魔法 ISBN 4834006212
- 魔女の宅急便その3 キキともうひとりの魔女 ISBN 4834017044
- 魔女の宅急便その4 キキの恋 ISBN 4834005860
[編集] アニメ映画
宮崎駿によって映画化された。1989年7月29日公開。原作をかなり自由に脚色し、背景にはアイルランドやスウェーデン、ポルトガルなどで取材してきた町の風景を使い、若者を中心に人気を集めた。また、フォルクスワーゲン・ビートルが多数登場している事から、ドイツも多少モチーフにされていると思われる。白黒テレビが普及している一方で、ボンネットバスや大きな飛行船が使われているなど、現代ではなく過去の時代を舞台にしていると思われる(宮崎監督によれば「第二次世界大戦を経験しなかったヨーロッパ」という設定)。
主な舞台になった町は、スウェーデンのゴトランド島にあるヴィスビューおよび首都ストックホルムの町とその近郊がモデルになっている。映画の主題歌には、ユーミンこと荒井由実が歌う既存の楽曲「ルージュの伝言」(オープニング、アルバム「COBALT HOUR」に収録)と「やさしさに包まれたなら」(エンディング)が採用され、映画公開当時リバイバルヒットとなった。尚、「やさしさに包まれたなら」はシングルとアルバムでアレンジが異なり、本作で使用されたバージョンは荒井由実のセカンドアルバムである「MISSLIM」、近年のバラードベストアルバム「sweet,bitter sweet~YUMING BALLAD BEST」に収録されている。
また、1978年公開の『さらば宇宙戦艦ヤマト-愛の戦士達』の記録を抜いて日本の劇場用アニメ映画の興行記録を更新した。英語版作品名は "Kiki's Delivery Service"。主題歌は日本版と異なり、別の英語の歌が用いられている。
ほかに、日本テレビで2年に1回ほどの割合で金曜ロードショーで放送されている。
[編集] あらすじ
魔女の娘は、13歳になると修行のために家を出て独立するという掟があった。そんな女の子のひとりキキは、黒猫ジジと共に港町コリコに降り立った。パン屋の女主人に気に入られ、店先を借りて宅急便を開業することとした彼女。そこには新しい生活と喜び、失敗と挫折、人力飛行機に熱中する少年トンボ(映画では、コポリという本名が紹介されている)との出会いが待っていた。
[編集] キャッチコピー
『おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。』(糸井重里)
[編集] スタッフ
- 原作:角野栄子
- 監督、脚本、プロデューサー:宮崎駿
- 作画監督:大塚伸治 近藤勝也 近藤喜文
- 美術監督:大野広司
- キャラクター・デザイン:近藤勝也
- 音楽:久石譲
- 主題歌:荒井由実「ルージュの伝言」「やさしさに包まれたなら」
[編集] 声の出演
- キキ、ウルスラ:高山みなみ(二役)
- ジジ:佐久間レイ
- おソノ:戸田恵子
- トンボ:山口勝平
- コキリ:信沢三恵子
- 老婦人:加藤治子 ※アメリカ版:デビー・レイノルズ
- バーサ:関弘子
- オキノ:三浦浩一
- おソノの夫、警官、アナウンサー:山寺宏一
- マキ:井上喜久子
- ケット:渕崎ゆり子
- ケットの母:土井美加
- ケットの父:土師孝也
- ケットの祖母:浅井淑子
- ドーラ婆さん:斎藤昌
- 時計塔の番人:西村知道
- 先輩魔女:小林優子
- ホテルのフロント係:辻親八
- 飛行船船長:大塚明夫
- 赤ん坊:坂本千夏
- ケーキの少女:鍵本景子
- デッキブラシを持っていたおじさん:田口昴
※英語版でのキキの声はキルスティン・ダンスト
[編集] 賞歴
- 第13回日本アカデミー賞・話題賞
- 第44回毎日映画コンクール・アニメーション映画賞
- 第7回ゴールデングロス賞・マネーメイキング監督賞・予告編コンクール賞
- エランドール賞特別賞
- キネマ旬報・読者選出日本映画1位・読者選出日本映画監督賞
- 全国映連賞・作品賞・日本映画監督賞
- 文化庁優秀映画製作奨励金交付作品
- 米国のENTERTAINMENT・WEEKLY誌の1998年度ベストビデオ部門第1位に選出。
[編集] 協賛
- ヤマト運輸(旧会社。現ヤマトホールディングス)
- エピソードとして「宅急便」がヤマト運輸の登録商標であることを、原作者も映画制作者も当初は知らなかったことは有名である。だが、映画化にあたり『魔女の宅急便』という題名が「『宅急便』の商標権侵害で問題になった」という話は誤解である。ヤマトの取得している商標は宅配便サービスに関するもので、スタジオジブリが競合する宅配便を始めようとしたわけではない。また「著作物(本や映画)の題名」自体には商標権を設定できないので、映画名という商標がヤマト側に存在するはずもなく、侵害に当たらないからである。著作権法の面からいっても「著作物の題名」に商標を入れることは裁判の判例からも問題はない。しかもこのタイトルは新しいものではなく、出版され広く知られた原作童話名そのままであり、映画化でヤマト運輸の権利侵害になるとはいいがたい。ただし全く無断で公開した場合には、道義的に問題となったろう。
映画公開に先立って「宅急便」が登録商標であることに初めて気づき、あわてた宮崎駿らスタジオジブリがヤマト運輸へ「問題がないかどうか」相談したところ、同社の商標と映画に登場する「ジジ」がともに黒猫のキャラクターであるということを理由に、制作側の焦りとは裏腹に、同社の粋な計らい(ヤマトにとっては大きな宣伝効果もあった)でこの協賛が実現した。ヤマト運輸のロゴである黒猫と「ジジ」との直接の関係はない。
[編集] 補足
- もともと宮崎監督は若い頃に荒井由実の楽曲を聴いており、それがこの時の採用につながった。当初は、同じ荒井由実でも「ルージュの伝言」ではなく「中央フリーウェイ」を使うことを検討したが、東京都下の具体的な地名が歌詞に入っているために取りやめたという。
- ウルスラの描く絵に、八戸市立湊中学校養護学級の共同作品「虹の上をとぶ船」が使われている。
- キキを演じた高山みなみは、元々はウルスラ役のみ演じる予定だったが、キキ役に適任者がいなかった為、オーデションを受けた上でキキ役に選ばれたが、今度はウルスラ役に適任者がいなくなり、キキとウルスラの一人二役を演じる事になった。
[編集] 登録商標
スタジオジブリが劇場映画をもとに『魔女の宅急便』の商標[1]を取得しているが、主にキャラクタービジネスを意図して、刊行物や様々な商品につけられる商標である。これは完成した映画名がもとになって登録が認められたもので、日本では「映画の題名」自体には商標権を設定できない。もちろんヤマト運輸の宅急便とは、指定商品又は指定役務(サービス)の範囲が異なる。
[編集] ミュージカル
- 1993年:横内謙介脚本、蜷川幸雄演出、宇崎竜童音楽によるミュージカル作品が上演された。キキ役は工藤夕貴、トンボ役は赤坂晃が演じている。トンボ役は森且行で年内続演された。
- 1995年:キキ役を小高恵美、入絵加奈子、トンボ役は遠藤直人、坂本昌行のダブルキャストで再演。
- 1996年:キキ役は持田真樹、トンボ役は坂本昌行、長野博、原知宏で再々演がなされている。
- 演出:蜷川幸雄
- 脚本:横内謙介
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
スタジオジブリ |
---|
長編作品 |
天空の城ラピュタ | となりのトトロ | 火垂るの墓 | 魔女の宅急便 | おもひでぽろぽろ | 紅の豚 | 海がきこえる | 平成狸合戦ぽんぽこ | 耳をすませば | もののけ姫 | ホーホケキョ となりの山田くん | 千と千尋の神隠し | 猫の恩返し | ハウルの動く城 | ゲド戦記 |
短編作品 |
On Your Mark | ギブリーズ | フィルムぐるぐる | くじらとり | コロの大さんぽ | めいとこねこバス | 空想の空飛ぶ機械達 | ギブリーズ episode2 | ポータブル空港 | space station No.9 | 空飛ぶ都市計画 | 水グモもんもん | 星をかった日 | やどさがし |
宮崎駿 監督作品 |
長編作品 |
ルパン三世 カリオストロの城 | 風の谷のナウシカ |
テレビアニメーション |
ルパン三世 (TV第1シリーズ) (一部) | 未来少年コナン | ルパン三世 (TV第2シリーズ) (145・155話) | 名探偵ホームズ(3~5・9~11話) |
宮崎駿 主要参加作品 |
劇場用アニメーション映画 |
ガリバーの宇宙旅行 | 太陽の王子 ホルスの大冒険 | 長靴をはいた猫 | 空飛ぶゆうれい船 | どうぶつ宝島 | パンダコパンダ | パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻 | 草原の子テングリ |
テレビアニメーション |
アルプスの少女ハイジ | 母をたずねて三千里 | 赤毛のアン(1~15話) |
その他 |
三鷹の森ジブリ美術館 |