相鉄10000系電車
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相鉄10000系電車 | |
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二俣川駅にて2005年2月13日撮影 | |
起動加速度 | 3.0km/h/s |
営業最高速度 | |
設計最高速度 | |
減速度 | 4.0km/h/s(通常) 4.5km/h/s(非常) |
車両定員 | |
編成定員 | |
全長 | |
全幅 | |
全高 | |
車両重量 | |
編成重量 | |
軌間 | 1,067mm |
電気方式 | 直流1,500V |
駆動装置 | |
モーター出力 | |
編成出力 | |
歯車比 | |
制御装置 | VVVFインバータ制御 |
ブレーキ方式 | 回生制動併用電気指令式電磁直通空気制動 |
保安装置 | 相鉄型ATS |
備考 |
相模鉄道の10000系電車(10000けいでんしゃ)は、2002年(平成14年)2月24日に営業運転を開始した相模鉄道の通勤形電車である。
目次 |
[編集] 概要
老朽化した2100系、5000系および新6000系の置き換えのために、東日本旅客鉄道(JR東日本)のE231系をベースに設計・製造された。
1992年以降、8000系(日立製作所製)や9000系(東急車輛製造製)が製造されていたが、製造コストの節減が強く求められたためか、あるいはJR線乗り入れによる東京方面への直通運転構想への布石かは不明であるが、いわゆる大手私鉄では初めて同業他社車両の設計を流用して製造された車両となった。以後、東京急行電鉄の新5000系列や東京都交通局(都営地下鉄)新宿線の10-300形など、E231系の設計を流用した他社局の車両が登場することとなる。
第4編成(10704F)以降は、車両メーカーからの直接購入ではなくJLL(日本型レバレッジドリース)によるリース方式が採用され、車両導入のコストを軽減している(詳細は下記「リース会社」へ)。
製造は東急車輛製造の他、一部はJR東日本の新津車両製作所が担当している。同所としては初の他社向けの車両でもあり、両社の連名の車両もある。
[編集] 構造など
基本的にはE231系通勤タイプの図面や内装、主要な機器類をほとんどそのまま流用しているが、相鉄線の車両限界に合わせ、オリジナルのものより車幅が20mm短くなっている他、連結器が密着自動式のものに変更されている。ロット的には中央・総武緩行線用のものに近い。
- 台車がE231系のボルスタレス台車に、相鉄の「ST」を頭に付けただけの形式であり、駆動装置も長らく使われてきた直角カルダン式から脱却し、TDカルダン式になった。
- 相鉄の特徴であった、車軸外側に露出したディスクブレーキが内側に入り、目立たなくなってしまった。
- 相鉄では初めてのオールステンレス車体になった他、初めて種別・行先表示に英文・ローマ字表記を付加した。カラーは緑やオレンジの新6000系のイメージを引き継いだものである。
- VVVFインバータ装置は、E231系通勤タイプで使われる三菱電機製IPM-IGBT素子のものを採用している。
- ドアエンジンは電気スクリュー軸駆動式を使用している。これも中央・総武緩行線通勤タイプと同じである。
- 10703F以降の編成はドアチャイムの音色が山手線E231系500番台と同じ音になっており、若干音量が小さめになっている。またドアエンジンも山手線タイプになっており、中央・総武緩行線タイプと比べて動作が静かである。
- 集電装置として、シングルアーム式パンタグラフを使用している。
- TIMS(Train Information Management System)と呼ばれる列車情報管理システムを搭載している。
- ドア上部のLED案内表示器は京浜東北線の209系などと同じ1段表示。209系では次駅と行き先の案内のみだが、10000系では乗り換え案内もされる仕様になっている(この機能はE231系同様)。
- 二俣川駅到着前の表示:[次は二俣川]→[Next Futamatagawa]→[急行 海老名行き]→[こちら/反対のドアが開きます]→[いずみ野線は]→[お乗換えです。]
- 10703F以降は乗り換え案内の部分(上記の「いずみ野線は」「お乗換えです」の部分)がスクロール表示する他、乗り換え案内に英語表記が追加されている。
- 二俣川駅到着前の表示:[次は二俣川]→[Next Futamatagawa]→[急行 海老名行き]→[こちら/反対のドアが開きます]→[いずみ野線は]→[お乗換えです。]
- E231系で導入されている自動放送は、本形式には採用されていない。
- 8000系や9000系の一部車両にあったドア間のボックスシートは取りやめられ、すべてE231系通勤タイプの壁で支えるバケット式ロングシートになった。2-3-2の仕切り兼用の握り棒もあり、E231系図面をそのまま流用している。
- 窓もE231系図面が流用され、通勤タイプと同じ巻き上げカーテンを廃した、濃色のUV(紫外線)カットガラスによる、2/3が開閉できるもの。8000系や9000系までの1枚窓に採用されていた、押しボタン操作によるパワーウィンドウも取りやめた。
- 電動車と付随車の比率は1:1に強化(E231系では2:3)して加速力を高め、従来の9000系などと同様の3.0km/h/sを確保している。このため、10両編成には、E231系には見られない単独電動車(1M車)が存在する(5号車)。
- 2004年度に製造された10705F以降の編成は、火災対策強化のため、天井の冷房吹き出し口をアルミに変更したり、全連結部にドアチェック付の貫通扉を設置するなど、一部が変更された。
[編集] 基本性能
- M:T比 5M5T(10両)、4M4T(8両)
- 起動加速度 3.0km/h/s
- 減速度 4km/h/s(常用最大)4.5km/h/s(非常)
- 主電動機 ST-MT73、出力95kW
- 制御方式 IPM-IGBT素子によるVVVFインバータ制御
- 制動方式 回生制動併用電気指令式電磁直通空気制動(滑走再粘着付き)・直通予備ブレーキ・耐雪ブレーキ
- 設計最高速度 120km/h
- 保安装置 相鉄形ATS、誘導無線装置、EB装置、TE装置
使用電力量は、7000系の約半分とアナウンスしている。
[編集] 編成
←横浜 海老名・湘南台→
- 10両編成(10701F・10702F)
- クハ10700(Tc2)-モハ10200(M2)-モハ10100(M1)-サハ10600(T1)-モハ10300(M3)-サハ10600(T2)-サハ10600(T1)-モハ10200(M2)-モハ10100(M1)-クハ10500(Tc1)
- 8両編成(10703F~10707F)
- クハ10700(Tc2)-モハ10200(M2)-モハ10100(M1)-サハ10600(T2)-サハ10600(T1)-モハ10200(M2)-モハ10100(M1)-クハ10500(Tc1)
[編集] 在籍数
2002年度より2004年度まで毎年増備が続けられ、2006年8月現在、10両編成2本(20両)と8両編成5本(40両)の計60両が在籍する。2005年度は増備がなかったが、2006年度は8両編成1本(8両)が新製される。
構想が発表されている、JR線乗り入れによる東京方面への直通運転が具体化した場合の新製動向が注目される。
[編集] 運用
他の形式と共通の運用に就いている。8両編成(10703F~10707F)は主に運行番号が10番台の運用に充てられている。8両編成を使用する列車はその旨が駅の時刻表でも記されており、各停には本系式が多く使われている。10両編成(10701F・10702F)は主に運行番号が60番台の運用に充てられ、急行・快速を中心に使用されているが、2編成のみの存在である上に運行範囲も広く、乗車機会は少ない。
[編集] リース会社
- 10701F~10703F:車両メーカーより直接購入
- 10704F:エスエムエルシー・エリダヌス有限会社
- 10705F:エスエムエルシー・パヴォ有限会社
- 10706F・10707F:エスエムエルシー・グルス有限会社
[編集] その他
- 車体広告車に起用されることがあり、これまでにボーダフォン日本法人、日立グループ、横浜ケーブルビジョンの広告がラッピングされた。
- 2006年5月に横浜開港150周年記念事業の一環として10702Fが「横濱はじめて物語号」のラッピング車となった。上記の車体広告車とは異なり扉間全体にラッピングが施されている他、車内も網棚上の広告枠などに横浜開港記念のポスターが掲示されている。2007年3月31日までの運行を予定と発表されている。
- 趣味者の間では、相模鉄道のこれまでの車両における技術的な特徴などがなくなってしまったことについての意見もあるが、逆に相模鉄道の車両限界は私鉄では最も広い(車体幅2,930mmに合わせたものとなっていた)からこそ、E231系をそのままベースにした車両が導入できたので、これもまた相鉄ならでは、という意見もある。
- 先頭車の前面と側面の運転台側には、「SOTETSU 10000」というエンブレムが表記されていたが、2006年秋から順次相鉄グループの新ロゴに書き換えられている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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