新京成電鉄N800形電車
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N800形電車(N800がたでんしゃ)は、 新京成電鉄の通勤形電車。
最初の編成は2005年(平成17年)4月に竣工した。同年5月28日に試乗会を開催し、翌29日より営業運転を開始した。
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[編集] 概要
2006年(平成18年)12月10日に開始された京成電鉄千葉線への片乗り入れに伴い、その対応車両として、また同社の800形が登場から30年以上を経過し老朽取り替えの時期を迎えており、後継車両として製造された。そのためか、仮称であった「新800形」と呼ばれることもある。N800形のNはNewを意味する。
製造コストの低減のため、車体構造や基本的な性能などは京成新3000形をベースに、帯を新京成電鉄のラインカラーのひとつとされるマルーン(上)と白色(下)としている。車体側面の4本のマルーン帯は、新京成線沿線の4つの自治体(松戸市・鎌ヶ谷市・船橋市・習志野市)をイメージしたものである。
[編集] 京成3000形との相違点
- 帯の色(3000形は赤と青、N800形はマルーンと白)
- 車体外部窓枠の色(3000形はアルミ地無塗装、N800形は黒色処理)
- 貫通扉の色(3000形は化粧板、N800形はステンレス地無塗装)
- 車両番号標記プレートの位置(3000形は側面戸袋部分に赤地のプレート、N800形は腰板にステンレス地とマルーン文字)
- 弱冷房車マーク(3000形は東日本旅客鉄道(JR東日本)や東京急行電鉄と共通、N800形は新京成オリジナルデザイン)
- 吊り革(3000形は丸型(京成の車両は全車丸型)、N800形は三角型)
- 車内設備(3000形は座席表地が紫色・ベージュ系化粧板、N800形は座席表地が赤色・ピンク系化粧板で客用扉脇には鏡を設置(8800形・8900形のカラースキームに京成3000形のレイアウトを使用))
- 電気警笛・ドアチャイムの音色
[編集] スペック
- 製造初年:2005年(平成17年)
- 製造・保有車両数:6両編成1本(6両)
- 車体:軽量ステンレス製18m級・両開き3ドア
- 制御方式:IGBT素子によるVVVFインバータ制御1C4M×2群(東洋電機製造製)
- 電動機:かご形三相誘導電動機(1基あたりの出力125kW)
- ブレーキ方式:回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ
- 編成中の電動車(M)と付随車(T)の構成(MT比):4M2T
- 保安装置:新京成電鉄・京成電鉄・北総鉄道・京浜急行電鉄・芝山鉄道・都営地下鉄浅草線で使用されている1号型ATS及びC-ATS。
- 冷房装置:集中式
[編集] 特色
- 列車無線は新京成線用のSR方式の他、京成線乗り入れに対応するためIR方式も搭載している。このため京成線以外にも北総鉄道北総線・東京都交通局(都営地下鉄)浅草線・京浜急行電鉄各線などでも走行は可能である。
- 乗務員室の遮光幕(カーテン)は京成3000形では助士席側には設置されていないが、新京成の従来形式で助士側に遮光幕が設けられているのに合わせて、このN800形にも設置された。乗務員室の運転士側と中央はスモークガラスとされたのも従来形式と同一である。
- 先頭車が制御電動車(Mc)となっている。
- 8900形と同様にドア上部のLED式車内案内表示器を設置する。当形式では千鳥配置とされているが、京成3000形と同一仕様であり、8900形に存在したデジタル時計は未設置である。表示内容は8900形と同じである。
- ドアが閉まる時は、一旦わずかな隙間(幅1mm程度)がある状態でドアが閉まり、6秒後にドアを閉める圧力が上がって完全に閉まるようになっている(戸閉弱め機能)。ドアに人や物が挟まれて引き摺られたりする事故を防ぐための仕組みである。しかし、不具合が発生したときのために乗務員室内には戸閉弱め開放スイッチがあり、これを投入すると働かない。
- 起動加速度などは京成の仕様に合わせているため、従来車両より若干加速力が高くなっている。
- 新京成では初めて乗降促進放送を装備した。乗務する車掌によっては発車ベルの代わりに使っていることもある。
[編集] 搬入経路
愛知県豊川市の日本車輌製造豊川製作所で落成後、飯田線・東海道本線・武蔵野線・京葉線経由で千葉県千葉市中央区の蘇我駅まで甲種車両輸送された。蘇我駅からはトレーラーで印旛郡印旛村にある北総鉄道印旛車両基地へ搬入された。ここで本来の標準軌台車を装着した上で、北総9000形編成に2両ずつ挟み込んだ形で、3日に分けて北総線・京成本線経由で鎌ヶ谷市のくぬぎ山車両基地へ搬入された。
[編集] 外部リンク
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