家族
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家族(かぞく)
- 血縁集団を基礎とした小規模な共同体。本項で後述
- 日本国憲法施行前の民法及び戸籍法下における「家」の構成員のうち、戸主を除いたもの。→ 「家制度」を参照。
- 1970年に公開された山田洋次監督の映画。→「家族 (映画)」を参照。
- テレビ朝日・ABC金曜9時枠の連続ドラマで2006年10月20日から放送される竹野内豊と渡哲也主演のテレビドラマ。→「家族~妻の不在・夫の存在~」を参照。
家族(かぞく)とは、一般的にはある単家族を中心にまとまった血縁集団を基礎とした小規模な共同体のことである。同じ家屋に居住する血縁集団に限定して使う場合もあり、現代日本では直系親族を中心とする単家族のことを指す場合もある。英語では"family"と表記する。
目次 |
[編集] 日本の家族形態の変化の特徴
[編集] 戦前から終戦までの歴史と変容
戦前の日本の家族は、家制度に基盤をおき、地域社会はもとより、国家とつながる「イエ」を形作っていた。「家制度」は「家」と「家父長制」の二つを大きな要素としていた。「イエ」という親族集団の一体的結合と継続的発展を重視し、家族の人々を「イエ」に従属する存在とみなした。家父長権の相続(家督相続)、本家・分家などの階層性、それらを対外部的にひとまとまり(ウチ)としてとらえる心性・制度であった。
[編集] 終戦から1950年代まで
太平洋戦争の終戦を機に、民法の改正により家制度は廃止された。経済復興と給与労働者の増加により、家庭は家内労働の場という側面が薄まり、家庭の教育的役割が強調されていく。
[編集] 現代の家族
1950年代以降の家族変動の最も顕著なものは単身世帯の増大である。つまり、現代の家族には、同居親族数が減少し核家族化が進んだこと、共同体の力の減退に伴って家族の基盤に変容が生じたこと、の二つの特徴があげられる。
合わせて、夫婦の共働きも一般化しつつある。それによって、育児や子育てが保育園や学童クラブ、地域の野球やサッカー、スイミングスクールなどのスポーツクラブ、学習塾などに一時的に委託されることも増えてきた。また、共働きに伴う性別役割分業の問題、老親の扶養の問題も表面化してきた。
[編集] 家族に関するメディア・リテラシー
家族が機能不全状態にあるという意識の広まりと共に、家庭でのドメスティックバイオレンス、児童虐待など事件が新聞の社会面を賑わすことが日常化してきた。これらの問題はどの時代にもあり、件数的には現代ではむしろ減少しているが、報道は増加している。近年は家庭内の暴力を人権問題として社会問題ととらえる傾向がある。増加する高齢者人口と在宅での高齢者看護などと共に、家族をめぐる社会問題が報道されている。明治期の離婚は現代の1.5倍であったが、離婚件数が昔より増加したかのような言論も見られる(参考文献:湯沢雍彦著『明治の結婚 明治の離婚―家庭内ジェンダーの原点』)。
[編集] 家族の類型
[編集] 形態によるもの
- 単一家族 - ひとつの世帯家族だけのもの。
- 複合家族 - 複数の世帯からなる家族。
[編集] 家族のメンバーによる分類
- 核家族 - 夫婦+その子供
- 直系家族 - 長男など家系を継ぐ子供の家族に親が同居
- 複合家族 - 親戚や子供の配偶者とその子供と同居
[編集] リヒターによる病的な家族
- 劇場家族 - よい家族をお芝居のように演じている家族
- 要塞家族 - 自分たち以外はすべて敵とみなし、対抗することで絆を確認する家族
- サナトリウム家族 - 互いに傷を舐めあうような家族
[編集] 小此木啓吾による家族
- コンテナ家族 - 容量が大きく、社会のストレス、不満を持ち帰っても、それを受容し、癒してくれるような家族。
- ホテル家族- みんながそれぞれにお客のつもりで、サービスされることだけを求め、他人のために汗を流そうとしない家族。
[編集] その他の家族分類概念
- 生殖家族 (family of procreation) - 人間が選択(配偶者や子供数の)によって構成した家族
- 定位家族 (family of orientation) - 子供を社会に送り出す側面に注目した家族概念
[編集] 家族をテーマにした作品
[編集] TVドラマ
- 『ファミリータイズ』全176話(1982-1989)主演のマイケル・J・フォックスはこのシリーズでエミー賞のコメディー部門主演男優賞を1986年から3年連続受賞した。
[編集] 漫画
- 長谷川町子『サザエさん』(漫画:1946年~1974年、TV放映:フジテレビにて1969年から現在まで)
- 深見じゅん『ぽっかぽか』集英社 1995年8月 ISBN 4087850013
- 柴門ふみ『家族の食卓』
[編集] 映画
家族を描いた作品は数多く存在する。その中でも映画史に残る名作や問題作として以下の4作がある。
題名 | 制作年 | 内容 |
---|---|---|
東京物語 | 1953 | 独立した子供とその親の絆の喪失 |
ゴッドファーザー | 1972 | 強い父とその家督を継ぐ三男 |
クレイマー、クレイマー | 1979 | 離婚した男女とその一人息子 |
アメリカン・ビューティー | 1999 | 娘の友人に恋する無様な父 |
[編集] 関連項目
[編集] 家族に関連する名詞
- 家族法 - 家制度 - 家父長制 - 家系 - 親族 - 戸籍 - 親権 - 世帯 - 嫡出 - 出産 - 避妊 - 配偶者 - 結婚 - 夫婦 - 婚姻 - 離婚
- 共働き - 主婦 - 専業主婦 -M字型曲線、M字型カーブ - 家事
- 育児 - 教育 - 家庭教育 - 子育て - 母性 - 父性 - 保育所 - しつけ
- 学校 - いじめ - 不登校 - 学級崩壊 - 校内暴力 - PTA
- その他 - 結婚式 - 同棲 - 家庭 - 家計
[編集] 家族をとりまく問題
- 家庭内暴力 - ドメスティックバイオレンス - 児童虐待
- ジェンダー - 性別役割分業 - 夫婦別姓 - フェミニズム - セックスレス夫婦
- 三歳児神話 - 母性愛神話 - 公園デビュー - お受験 - 育児不安
- 非行 - 少年犯罪
- 少子化 - 学歴 - 晩婚化
- 核家族 - 高齢者介護 - 単身赴任 - シングルマザー
- 不倫
- 近親相姦