ポロニウム
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一般特性 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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名称, 記号, 番号 | ポロニウム, Po, 84 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | 半金属 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
族, 周期, ブロック | 16(VIB), 6 , p | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
密度, 硬度 | 9196 kg/m3, no data | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
色 | 銀色![]() |
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地殻含有量 | no data | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
原子特性 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
原子量 | [208.9824] amu | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
原子半径 (計測値) | 190(135) pm | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
共有結合半径 | no data | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
VDW半径 | no data | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
電子配置 | [Xe]4f14 5d10 6s2 6p4 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
電子殻 | 2, 8, 18, 32, 18, 6 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
酸化数(酸化物) | 4, 2(両性酸化物) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
結晶構造 | 単斜晶系 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
物理特性 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
相 | 固体 (非磁性体) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
融点 | 527 K (254 ℃) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
沸点 | 1235 K (962 ℃) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
モル体積 | 22.97 ×10-3 m3/mol | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
気化熱 | no data | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
融解熱 | 60.1 kJ/mol | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
蒸気圧 | 0.0176 Pa(527 K) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
音の伝わる速さ | no data | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
その他 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
電気陰性度 | 2.0(ポーリング) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
比熱容量 | no data | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
導電率 | 2.19 106/m Ω | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
熱伝導率 | 20 W/(m*K) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
第1イオン化エネルギー | 812.1 kJ/mol | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(比較的)安定同位体 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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注記がない限り国際単位系使用及び標準状態下。 |
ポロニウム(Polonium):原子番号84の元素。元素記号は Po。漢字では釙。安定同位体は存在しない。酸素族元素の一つ。銀白色の金属(半金属)。常温、常圧で安定な結晶構造は、単純立方晶(α-Po)。摂氏36℃以上で立方晶から菱面体晶(β-Po)に構造相転移する。比重は、9.3(α-Po)、9.5(β-Po)、融点は摂氏254℃(255℃)、沸点は摂氏962℃。
昇華性があり、化学的性質は、テルルやビスマスに類似する。水に溶けない。塩酸にはゆっくり溶ける。硫酸、硝酸には易溶、アルカリにはわずかに溶ける。酸化数は、-2,+2,+4,+6価を取り得る(+4価が安定)。
ラドンが崩壊することによってポロニウム218が生じ、更にこれが崩壊していく過程でポロニウム214、ポロニウム210が生じる。自然界に存在するポロニウムでは、ポロニウム210の半減期が138.4日と一番長い。人工的に作られるポロニウム209の半減期は102年である。
目次 |
[編集] 特徴
計算上わずか47ng(1億分の4.7グラム)で50%致死線量(4 Sv)の被曝を受けることになる。最大許容身体負荷量は6.8 pg(1兆分の6.8グラム)とされている。また、同位体もすべて強力な放射能を持っている。
なお、マリ・キュリーがポロニウムの存在を示唆した際に、ポロニウムを含む精製物がウランの300倍の放射活性を持つと記した表現[1]が一人歩きして、ウランの300から330倍の強さの放射能を持つという表現がされることが多いが、実際にはウランの100億倍の比放射能(単位質量当りの放射能の強さ(Bq/mol, Bq/g))を有し、ごく微量でも強い放射能を持つ。このため、昇華性のあるポロニウムは厳重な管理の下で取り扱われなければならないが、ポロニウムが発するアルファー線自体は皮膚の角質層を透過出来ないため、ポロニウムを体内に取り込まない限りは被曝の危険性は少ないともいえる。(言い換えれば、外部被曝の場合の危険は低いが、内部被曝の場合には、その致死量からも判るとおり容易に致命的となりうる。)
汚染物質として見つかったり、タバコの煙にも極微量に含まれている。出所はタバコ栽培に多用される化学肥料(リン酸肥料)の材料であるリンに不純物として含まれるウランだと考えられるため、当然野菜などにも微量ながら含まれている。喫煙者の被曝量が、非喫煙者よりも多いため、肺がんの原因のひとつともいわれている。
[編集] 歴史
1869年、周期表を発表したドミトリ・メンデレーエフは未発見の第84番元素が存在すると予言、テルルの一つ下に位置する元素であることから、サンスクリット語で「1」を意味する「エカ」をテルルにかぶせエカテルルと仮に名付けた。原子量を約122と予測している。
1898年7月、マリ・キュリーが夫のピエール・キュリーとともにウラン鉱石から発見。発見者の祖国ポーランドのラテン語形「Polonia」が語源。1896年にアンリ・ベクレルによる放射能の発見を受け、まず放射能を測定する機器を開発する。ピエール・キュリーの考案したピエゾ電気計を改良し、ウランを中心に放射能を測定する。ウラン鉱石(ピッチブレンド)を測定したところ、ピッチブレンドに含まれるウランの濃度から計算した放射線より少なくとも4倍の線量を検出した。このため、ウランとは異なる未知の放射性元素が含まれているのではないかと推論した。しかしながら、ピッチブレンドは高価であり、新元素を単離するだけの分量が入手できなかった。オーストリア政府に頼み込んだ結果、ヨアヒムスタール鉱山から採掘したウラン鉱の残りかすを数トン入手できた。ポロニウムの分離には数ヶ月を要したという。12月にはラジウムも発見した。
ポロニウムは強いアルファ線を放出するため発熱する。1gのポロニウム塊はアルファ崩壊熱により500℃に達し、520 kJの熱を放出する。この特性から、人工衛星用原子力電池の熱源として利用された[2]。 (実際のところは、発熱体としては238Puの優秀性が際立っている) 英語版Wikipedia アイソトープ電池参照のこと
[編集] 近年の事件
2006年11月にイギリスで発生した元ロシア連邦保安庁(FSB)情報部員アレクサンドル・リトビネンコ氏の不審死事件で、ポロニウム210が被害者の尿から検出されたことが明らかになった(死因は体内被曝による多臓器不全と推測され、暗殺その他の謀略死の可能性が広く指摘されている。なお、事件の詳細は同氏の項参照)。
また、ロシア運輸省は航空機から基準値を超える放射線を検出したと発表したが、その後の調査で基準値範囲内であると判明した。
ポロニウム210はアルファ崩壊のみで崩壊し、崩壊過程でガンマ線の照射を殆ど伴わない(殆どのアルファ崩壊は同時にガンマ線の放射を伴う)。一方、アルファ線は紙一枚で遮断される。このため、容器に入ったポロニウム210を、容器ごと放射線を測定することにより検出することは不可能である。この点でポロニウム210はアルファ崩壊元素の中でも特徴的であり、今回の事件に利用された背景にあると考えられよう。
[編集] 同位体
ポロニウムには安定同位体が存在せず、すべてが放射性である。ポロニウム194からポロニウム218までの質量範囲がある。
主な同位体は、サイクロトロンで生成されるポロニウム208(半減期2.898年)、ポロニウム209(半減期102年)、自然界に存在するポロニウム210(半減期138.376日)がある。
- ポロニウム210
ポロニウム210は自然界に存在する一番長い半減期(138.376日)を持つ同位体である。1mgにつき5gのラジウムとほぼ同数のアルファ粒子を放射する。1gのポロニウム210のアルファ線は、熱エネルギーを140ワット生成する。
[編集] 発生
自然界ではウラン鉱に極微量に存在するだけの非常に稀な元素であり、ラドン222から崩壊するポロニウム218などがある。1934年に実験が行われ、天然のビスマス209に中性子を照射することでビスマス210が生成し、そのビスマス210が崩壊しポロニウムが発生することが判明した。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- ↑ Nanny Fröman, Marie and Pierre Curie and the Discovery of Polonium and Radium, Nobelprize.org, December 1, 1996.
- ↑ John Emsley (2001),"Nature's Building Blocks", Oxford University Press, p.331 ISBN 0198503407