フライトシミュレーション
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フライトシミュレーションとは、航空機などの飛行の操縦訓練、搭乗体験をするために飛行状況を模擬することであり、模擬機器をフライトシミュレータ(模擬飛行装置)あるいは、フライトトレーナ(飛行訓練装置)という。フライトシミュレータはビジュアル装置及びモーション装置を有しているが、フライトトレーナは必ずしも有してはいない。
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[編集] フライトシミュレータ
航空機乗組員の訓練、試験などに使用される装置であり、通常の操縦訓練とともに事故など考えられる事象での乗組員の対応を疑似訓練などに使用される。特定の型式の航空機の操縦室を模擬したものとなっている。また、現在では航空機の開発段階においても想定される機体の数式モデルを構築し、風洞試験データ等を反映させたフライトシミュレータを用いてパイロットシミュレーション試験を実施し、開発の効率化に貢献している。フライトシミュレータは操縦装置の操作信号を元に機体の反応をコンピュータで計算し、結果を操作パネル表示、視界画像、動揺装置による動き、音響などで出力するようになっている。
[編集] フライトトレーナ
フライトシミュレータ以外の航空機乗組員の訓練、試験などに使用される装置であり、航空機の操縦室の一部を模擬したものとなっている。
[編集] 歴史
- 1940年代より計器飛行訓練用として使われ始める。(リンクトレーナ)
- 第二次世界大戦中にアメリカ海軍が汎用性の高いフライトシミュレータの開発をMITに打診。ジェイ・フォレスターらがWhirlwindコンピュータの開発に取り組む。しかし、フライトシミュレータには使われず、SAGEで使われることになった。
- 1960年に入り航空機の大型化が進み、訓練費用の低減のため広く使われ、機能・性能が向上。
- 1970,80年代に動揺装置、コンピュータによる視覚映像などが開発される。
[編集] 体験できる施設
- 石川県立航空プラザ(石川県):YS-11A(実際に訓練に使用されていた物)
- 陸上自衛隊広報センター(東京都):AH-1S コブラ(対戦車ヘリコプター)
- 航空自衛隊浜松広報館(静岡県):簡易シミュレータ
- かかみがはら航空宇宙科学博物館(岐阜県):単発レシプロエンジン 飛行機シミュレータなど6種
- 電車とバスの博物館(神奈川県):YS-11A(カットボディ)
- 航空科学博物館(千葉県):DC-8
- 青森県立三沢航空科学館(青森県):セスナ機(動揺装置付・10分間・2台)、 ヘリコプターなど
[編集] ゲーム
フライトシミュレーションゲーム (flight simulation game)とは、航空機の操縦を再現した実機シミュレータの一種。プラットフォームは、PCや家庭用ゲーム機、アーケードゲームの他、稀にゲームブック型式の物も存在する。 また、航空機の操縦を主題としていても、(敵機の撃墜を得点とするような)ゲーム要素が強い場合には別ジャンルであるフライトシューティングとされる。
リアルさを追求するため、アーケードゲームでは主に大型筐体によりコクピットが再現されている。PCや家庭用ゲーム機では、ジョイスティック、ラダーペダル、スロットルの俗に3点セットと呼ばれる入力機器や、単体である程度のボタン操作が可能な多機能ジョイスティック(マイクロソフトのサイドワインダー等)が用意されている。また、フライトスーツの入手や実在する航空機のコクピットを自宅に再現する等、他のジャンルとも関わる多額の投資をする熱心なユーザーもいる。
[編集] フライトシミュレーションゲームにまつわる事件、問題点
- 1999年7月におきた全日空61便ハイジャック事件では、犯人はフライトシミュレーションゲームのマニアであり「レインボーブリッジの下をくぐってみたかった」と自供していた。自宅でパソコンのフライトシミュレーションゲームに興じていたと供述している。
- アメリカ同時多発テロ事件で犯人グループが機体操作の訓練で使用したと言われているが、真相は不明。
- 上記のような多数の民間航空機を対象としたハイジャックやテロ事件を機に、コックピットを公開することでテロリストが航空機の操縦を習得するための教材として転用される恐れがある、という理由から民間人(部外者)へのコックピットの見学や、フライトシミュレータの公開、使用を全面的に禁止する動きが世界的に強まるようになった。
- ユーザーの平均年齢層が高い事や、PCや周辺機器に多額の投資を必要とするソフトが多い(ソフト自体は海外からの輸入である為低価格)、高いレベルでの専門知識を必要とする事を起因とするユーザーの原理主義者化
- 名作と言われるソフトの多くが日本語化されない事による狭い入り口があり、英文の読み書きができるだけでなく多数の専門用語にも長けていなければならないため、入り口の狭さに拍車をかけている。
[編集] 作品
[編集] PC用ソフト
軍用機系
- Falcon 4.0
- Falcon 4.0 :ALLIED FORCE(Falcon4.0のリニューアルバージョン)
- FLANKER2.0
- Jane's シリーズ
- Microsoft Combat Flight Simulatorシリーズ
- Lock On: Modern Air Combat(FLANKER2.0の後継)
- IL-2 Sturmovik シリーズ
- Fighter Ace (MMO型オンラインゲーム)
- Aces High (MMO型オンラインゲーム)
- Warbirds (MMO型オンラインゲーム)
民間機系
- Fly!シリーズ (w:Fly!)
- Microsoft Flight Simulatorシリーズ (w:Microsoft Flight Simulator)
- FlightGear Flight Simulator(オープンソース)
- X-plane (w:X-Plane)(フリーウェア)
- 銀翼
軍用機・民間機強共用
- YS FLIGHT SIMULATION SYSTEM 2000(フリーウェア)
RC練習用
- REAL FLIGHT
- REFLEX
- REVO
[編集] アーケード
民間機系
- エアラインパイロッツ:日本航空(JAL)の協力により、1999年にセガからリリースされたフライトシミュレーション。ボーイング777-246(JA8981)と同機の操縦をモデルとしている。
軍用機系
- ウィングウォー:セガよりリリースされた対戦型フライトシミュレーション。使用可能機体は、フォッカー,零戦,P-38ライトニング,P-51マスタング,アパッチ,ハインド,ハリヤー,Yak-144フリースタイル。
[編集] PC/コンシューマ機兼用
[編集] コンシューマ機
軍用機系
- エナジーエアフォースシリーズ
民間機系
- パイロットウイングスシリーズ
- JETでGO!シリーズ
その他
- パイロットになろう!シリーズ
[編集] ゲームブック
軍用機系
- F-4JファントムIIラインバッカー作戦
[編集] 外部リンク
- Claustrophilic News:海外メーカーのフライトシミュレーション関連ニュースの和訳
- www.aerosim.net:ゲーミングフライトシミュレーションの日本語ポータルサイト
- Flightsim.com:英語のゲーミングポータル
- www.mpcnet.co.jp:三菱プレシジョン株式会社
[編集] 関連項目
カテゴリ: シミュレーションゲーム | 航空スタブ | ゲーム関連のスタブ記事