シャッター通り
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シャッター通り(シャッターどおり)とは、商店や事務所が閉店・閉鎖した結果、シャッターが下りた空き店舗が目立つ、衰退した商店街や街並みのことを指して使われる言葉。中心市街地の空洞化現象を表すキーワードの一つである。特に商店街を指す場合は「シャッター商店街」、街並み全体を指す場合は「シャッター街」と呼ばれることもある。
日本では、モータリゼーションの普及が進展した1970年代以降、地方都市(とりわけ北海道、東北)を中心に自動車で買い物に行く生活スタイルが定着した。さらに2000年、大規模小売店舗法が改正され、郊外に大型ショッピングセンターが矢継ぎ早に建設されるようになると、無料の駐車場を持たず、商品の目新しさや価格競争力に劣っていた既存の商店街が一気に衰退するようになった。
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[編集] 原因・背景
戦後開業した商店主の代替わりの時期に当たっていたが、後継者難から閉店に至る例も少なくなく、衰退傾向に拍車をかけた。商店街は空き店舗の増加により、いったん衰退を始めると、寂れた印象を与えることから客足が遠のき、ますます空き店舗が増えるという悪循環に陥っていく。商店街の店舗の数が減ると、アーケードその他の維持管理費、イベント等の一店舗当たりの負担金が重くなるなど、老朽化した設備の更新が進まなかったり、魅力あるイベントを打てなかったりすることにつながるため、ますます衰退の原因を作ることになる。
背景には商店街の個々の店舗(個店)でおかれた経営状況が異なる上に、個店はあくまでも一国一城の主で、他者からその判断にくちばしを挟むことがはばかられるため、活性化に対して商店街としての意見の一致がなかなか見い出しせず、また土地と店舗建物の権利関係が複雑なことが多く、面的な再開発が進まなかったことがあると言われている。
そして、人通りが少なくなり、開いている店舗が少なくなると、安全性にもお客が不安を抱くことが否めないことから、さらに敬遠されてしまう要因になってしまう。
さらに、最近では古くから続く商店街だけではなく、近年再開発された地区がシャッター通りになる現象も出て来ている。こちらの背景には核になる郊外型大手大型スーパーが出店、周辺にも多数店舗が出店したものの、郊外型大手大型スーパーが不採算を理由に撤退、さらに同業他社が跡地への出店を拒否するなどして人が集まらなくなることがあると言われている。
[編集] 対策
人通りが減少し、スラム化を招く恐れもあることから、ポケットパークなど公共スペースの転用したり、明るさを取り戻すためにシャッターに絵を描き込むなどの努力が行われているが、構造的な変化を止めることは難しい状況である。滋賀県長浜市など、一部では市街地の観光開発を通じて、歯止めに成功した事例は若干あるものの、全ての地域で参考にできるものではない。
[編集] 各都市の例
[編集] シャッター通り化した事例
- 1980年代後半以降、郊外型大手大型スーパーの大量出店から急速に深刻化。このため、中心街のラルズプラザ釧路店、長崎屋釧路店、丸井今井釧路店(及び、その前身である丸三鶴屋百貨店)、協同組合くしろデパートなどの中心街大型店や歴史ある個人商店が閉店に追い込まれた。
- かつて製鉄工業で盛んだった時期があったが、現在では衰退し、北九州市のように人口が激減している。また、室蘭の中心だった室蘭駅前周辺一帯は衰退し、シャッター通り化し、かつての丸井今井室蘭店も郊外の東室蘭に移転してしまい、室蘭の中心街の座を東室蘭に渡してしまった。
- かつて中心街を通っていた国道12号がバイパスとして郊外に移転し、その道路沿いに郊外の路面店が次々と建設され、中心街が空洞化し、岩見沢駅前の店が次々と閉店に追い込まれた。(岩見沢駅前の再開発により中心街が回復することが期待されている)
- かつて市内には奈良屋、緑屋、扇屋などといった百貨店が集まり、活況を呈していたが、今日では東京都心部への利便性が高まったことにより、中心市街地への求心力が大幅に低下。このように大消費地へ商圏がシフトし、吸引力が衰えたケースは、他に岐阜市(名古屋市へシフト)、和歌山市(大阪市へシフト、下述)、佐賀市(福岡市へシフト)などがある。
- 大阪という大消費地に近いこともあって、商圏がシフトしている。また、郊外に大規模なショッピングセンター、GMSが林立したことによって、ぶらくり丁を始め、至る所の商店街が壊滅的状態に陥っている。特に丸正百貨店の倒産、和歌山ビブレの撤退によって深刻化していた事態が浮き彫りとなり、その後は急速に衰退の一途を辿っている。
- 徳島そごうが徳島駅前に開店したのを皮切りに、中心市街地が駅前にシフト。その結果、地元丸新百貨店倒産によって、中心市街地の空き店舗率は上昇した。
[編集] シャッター通り化させない取組みの事例
- 中心街を「シャッター街」化させないよう、さまざまな取り組みを行っている。シャッター通りの無い地方都市のモデルケースとして有名な市。
- 「コンパクトシティ」を目指して、公共施設を中心部に集中させている。駅前再開発で、それまで雑然としていた市場を移転させる際に、市立図書館のあるビル地下にするなどしている。
- 政令市ながら市街化調整区域を制定している。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- シャッターと空き地のワンダーランド 駅前シャッター通り消店街へようこそ!
- シャッター通り2番街
- デフレ時代と中心市街地(シャッター通り化顕著例「刈谷市」と脱却成功例「佐世保市」についての分析・研究論文)
- UR都市機構 (独立行政法人都市再生機構)公式HP
[編集] 脱却例
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