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オペラ - Wikipedia

オペラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

Disambiguationこの項目では舞台芸術について説明しています。"オペラ" のその他の用法についてはオペラ (曖昧さ回避)をご覧ください。

オペラ歌劇)は演劇音楽によって構成される舞台芸術である。

オペラの一例 ロッシーニのセビリアの理髪師から ロジーナ役のマリア・カラス(ソプラノ)とフィガロ役のティト・ゴッビ(バリトン)
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オペラの一例 ロッシーニセビリアの理髪師から ロジーナ役のマリア・カラス(ソプラノ)とフィガロ役のティト・ゴッビ(バリトン

目次

[編集] 概要

オペラは舞台上で衣装をつけた出演者が演技を行う点で演劇と共通しているが、せりふが語られるのではなく、大半の部分(特に役柄の感情表現)が歌手による歌唱で進められることを特徴とする。歌手は器楽合奏により伴奏されつつ歌い演じる。伴奏は、多くの場合交響楽団規模の編成に及ぶ。

初期のロマン派までのオペラでは、歌唱には二つの様式がある。ひとつはレチタティーヴォ(朗唱)で、会話を表現するものであり、普通の朗読に近い抑揚で歌われる。もうひとつはソロ(独唱)で歌われるアリア(詠唱)や複数の歌手が歌う重唱(アンサンブル)あるいは大勢で歌う合唱で、通常の歌唱である。これらの様式はみな伴奏を伴う。

レチタティーヴォは、古典派の時代まではチェンバロのみで伴奏されるレチタティーヴォ・セッコと、管弦楽伴奏によるレチタティーヴォ・アッコンパニアートがあり、前者は会話的な抑揚で語るように歌う。後者は直後のアリアや重唱の導入として置かれることが多い。ロマン派時代のオペラではレチタティーヴォ・セッコはほとんど見られなくなった。

アリアは主に登場人物の感情を表現するもので、古典的なオペラではアリアを歌う間はドラマの進行が静止することもあるが、時代が下るにつれてアリアでも登場人物の感情の推移を通じてドラマを進めるようになった。アリアはおおむね大規模なもので、主要な登場人物について割り当てられる。より小規模なものをアリオーソ、カンツォネッタ、ロマンツァなどと歌の性格によって呼ぶこともある。

役柄どうしの対話は重唱で行われ、群集などが登場する場面では合唱も加わることがある。特に各幕の終曲(フィナーレ)ではほとんどの登場人物による重唱や合唱で構成される場合がある。

これらの独唱・重唱・合唱について、古典的なオペラでは各々が独立して作曲されており、一連番号が付けられていたことから「ナンバーオペラ」と呼ばれ、各ナンバーの間は前述したレチタティーヴォによってつながれる。各曲が独立しているため、上演時の都合によりナンバー単位で省略されたり、作品の作曲家または別な作曲家により、代替あるいは挿入用のアリアが加えられたりすることもあった。しかしロマン派の半ば以降にはナンバーによる分割が廃され、各幕を通して演奏されるようになった(もっとも上演の際に慣習的なカットを行うことがある)。

ジングシュピール、オペラ・コミック、オペレッタ、サルスエラなどの様式では、レチタティーヴォ・セッコに代わりせりふを用いて劇が進められる。

歌手、および歌手の演ずる役柄はそれぞれの音高(声域)で分類される。男性歌手(男声)は声域が低い順にバスバスバリトンバリトンテノール、アルトまたはカウンターテノールに、女性歌手(女声)は声域が低い順にコントラルトメゾソプラノソプラノに分類される。

また、歌手の声の質も役柄との関係が深く、声質によって歌えたり歌えなかったりする役柄は多い。たとえば、ベルリーニのノルマ、ヴァーグナーのヴォータンやブリュンヒルデ、ヴェルディのオテロやファルスタッフ役の良い歌手を見いだすのはいつでも難しいとされる。

オペラは他の多くの芸術形態から成立している。基本は音楽であるが、対話により演じられることから、演劇の要素を持つ。また、上演する上で重要な要素と考えられる視覚的な舞台効果を得るため、絵画の要素も用いられている。こうした理由で、著名なオペラ作曲家リヒャルト・ヴァーグナーは、このジャンルを「総合芸術」(Gesamtkunstwerk)と呼んだ。

[編集] 歴史

[編集] オペラの成立

「オペラ」(opera) という単語はイタリア語で「仕事」「作品」を意味し、この語自体は同義のラテン語 opus (単数属格形 operis) の複数形主格 opera に由来する。今日 opera は単独で歌唱によって進行される演劇ないし楽曲作品を意味するが、元来は opera musicale (音楽的作品)と呼んだものの省略から、この語義が生じた。

ルネサンス後期の16世紀末、フォレンツェで古代ギリシャの演劇を復興しようという動きが始まった。ギリシャ悲劇を模範に、歌うようなせりふを用いる劇が考えられた。今日、オペラとみなされる知られる限り最古の作品は、1597年ごろのヤコポ・ペーリによる『ダフネ』 (Dafne) であるが、作品は現存しない。のちのペーリの作品である『エウリディーチェ』は1600年以降に作曲されたもので、今日に残る最初のオペラ作品である。

ペーリはしばしばオペラの発明者であると考えられているが、今日でも上演される最古のオペラは1607年マントヴァで初演されたクラウディオ・モンテヴェルディ作曲の『オルフェオ』である。この作品では先駆者の様式に従いながらも、調性や強弱の変化による緊張感を高めた、より劇的な表現が見られる。モンテヴェルディは後にヴェネツィアサンマルコ聖堂で楽長の地位を得、同地に新設された専用のオペラ劇場のために優れた作品を生み出す。この時期にはイタリア各地でオペラが上演されるようになり、18世紀に掛けてナポリで隆盛を極めた。様式は朗唱だけでなく歌謡的なアリアの比重が高まり、伴奏の規模も拡大して、より充実した音響効果がみられるようになる。衣装や舞台装置も徐々に複雑できらびやかなものとなり、オペラ劇場は王侯貴族や富裕な市民の社交と娯楽の場としても発展した。

[編集] オペラ・セリア

もともとギリシャ悲劇の再来を目指した当時のオペラは後にオペラ・セリア(正歌劇)と呼ばれるようになる(セリアは英語の serious の意)。題材はやはりギリシャ神話に求められることが多いが、ローマ時代などの人物を扱ったものも見られる。

[編集] オペラ・ブッファ

これに対し、もっと世俗的な内容の作品がオペラ・ブッファ(喜劇オペラ)である。もともとは、3幕もののセリアの幕間劇として演じられたコメディが独立し、規模拡大したものである。初期の幕間劇で今日まで残るものとして、ペルゴレージの『奥様女中』がある。18世紀には独立されたジャンルとして発展し、パイジエッロチマローザサリエリなどが多数の作品を残した。中でも、モーツァルトダ・ポンテの台本に作曲した『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『コジ・ファン・トゥッテ』が有名である。

[編集] イタリアオペラとドイツオペラ

何世紀もの間、イタリアオペラが正統派オペラの形式であり、多くのオペラは、作曲者が主に英語やドイツ語を話していたとしても、イタリア語の台本に作曲された。

18世紀においてもなお、イタリア音楽こそが最高のものであるという認識が残っており、どこの宮廷でもイタリア人音楽家をこぞって重用した。その一方で今日名を残す多くのドイツ人作曲家が登場したが、彼らの多く、たとえばグルックやヘンデルはイタリア語オペラのみで、ドイツ語のオペラ作品は書いていない。また、ドイツの宗教的・国民的気風が快楽主義的なオペラという形式自体を嫌った側面もある。

ドイツ語オペラの作曲に意欲を燃やした最初の作曲家はモーツァルトである。なかでも死の年(1791年)に書かれた『魔笛』は優れた作品である。これは当時ジングシュピールと呼ばれたジャンルとして書かれた。本来のジングシュピールがせりふによる劇の進行のところどころに歌を配した文字通りの歌芝居であるのに対し、彼がヴィーン時代の初期に作曲した『後宮からの誘拐』(1782年)は、すでに堂々たるオペラになっている(音楽が主、語りが従)。伝えられる逸話によれば、上演に接したオーストリア皇帝ヨーゼフ2世はモーツァルトに対し「音符が少々多い」と感想を述べたところ、彼は「音符はまさに必要なだけございます」と答えたという。真偽はともかく、このジャンルに対する一般の認識と、作曲者の対抗心が対比されており興味深い。

[編集] ドイツオペラの誕生と興隆

このドイツ語オペラの流れは、その後もルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの『フィデリオ』を生むが、真にドイツオペラをオペラ界の主要ジャンルとして確立させたのはヴェーバーの『オベロン』や『魔弾の射手』といった作品で、イタリアのセリアともブッファとも異なるドイツ・ロマン派音楽の特質を表しており、これはヴァーグナーへの道でもある。一方、オペラ・ブッファに対応するドイツオペラも誕生し、オペレッタとして大衆的な支持を得て発展した。一方でワーグナーの登場もあり、ドイツオペラは硬軟両面で急速に興隆していく。

とはいえ、ドイツ・オーストリアにおいてはオペラを全く書かなかった、あるいはめぼしい作品を残さなかった大作曲家としてシューベルト、メンデルスゾーン、シューマン、リスト、ブラームス、ブルックナー、マーラーらがおり、前世紀のバッハを含め、むしろこちらの方が多数派であることがわかる。ベートーヴェンにせよ1曲だけであり、それもさん然たる代表作とは言いがたい。その点、オペラ以外の作品が希少なぐらいなイタリアとは事情が異なる。モーツァルト、ワーグナー、R・シュトラウスの三巨峰がそびえ、魅力的なウィンナオペレッタの数々がふもとを彩るとはいえ、少なくとも作品系譜としてはイタリアオペラに一歩を譲る位置づけといえよう。

ただし、上演は別である。今日ドイツは140もの歌劇場を擁し、イタリアの3倍を超える上演数を誇る(しかもオーストリアとスイスを別勘定として)世界最大のオペラ大国である。

[編集] フランスオペラ

ジャン=バティスト・リュリによりフランス語で歌われる独立したフランスオペラの伝統が創始された。19世紀半ばには、フランス国内で上演されるオペラは一般的にフランスで書かれたものか、フランス語に翻訳されたものであった。フランスオペラの特徴は5幕でバレエを含む大規模な形式で、グランド・オペラ様式といわれた。代表的な作曲家はマイヤベーアである。ヴァーグナーヴェルディもパリで自作を上演する際にはわざわざバレエを追加したくらいである(『タンホイザー』と『ドン・カルロス』)。この様式の大家としてはマイアベーアが人気を博し、『アフリカの女」『ユグノー教徒』など、今日でも上演される作品を残している。

イタリアのオペラ・ブッファに相当するオペラ・コミック(ドイツのジングシュピールオペレッタのようにせりふを用いる)の誕生は18世紀にさかのぼるが、喜劇だけではなくせりふで演ずるオペラとして発展した。特にジャック・オッフェンバックの『地獄のオルフェ』(邦題『天国と地獄』)が国際的に爆発的な成功を納めた。オッフェンバックはヨハン・シュトラウス2世にオペレッタの創作を勧め、ウィンナ・オペレッタ誕生につながっていく。その後フランスではジョルジュ・ビゼーの『カルメン』などが生まれた。

なお、これらのうちマイヤベーアとオッフェンバックは元々ドイツ人であるが、作品はあくまでパリを拠点にフランス語で書かれたためフランスオペラとして扱われる。ただし、オッフェンバック作品は本人の生前からウィーン上演が好評を博したこともあり、死後はドイツ語訳上演のほうが多くなっている。このほかよく上演される作品として、トマ(『ミニヨン』)、グノー(『ファウスト』)、サン=サーンス(『サムソンとデリラ』)、マスネ(『マノン』『ウェルテル』)、シャルパンティエ(『ルイーズ』)、ドビュッシーの『ペレアスとメリザンド』などがある。

[編集] 19世紀前半のイタリアオペラ

19世紀ヨーロッパの音楽界では、ロッシーニが『セビリアの理髪師』『アルジェのイタリア女』『チェネレントラ(シンデレラ)』などのオペラ・ブッファを量産するなど、引き続きイタリアオペラが主流の座を占めた。ヴィーンでもベートーヴェンはロッシーニの人気の足元にも及ばぬ状況であった。またオペラ・セリア様式の作品も、題材はギリシャ古典から中世以降に下った時期になったが悲劇として継続しており、ドニゼッティの『アンナ・ボレーナ』(イングランド国王ヘンリー8世の王妃アン・ブーリン)『マリア・ストゥアルダ』(スコットランド女王メアリー・スチュアート)、『ランメルモールのルチア』などが知られる。ベッリーニもまた『清教徒』『ノルマ』『カプレーティ家とモンテッキ家』(ロメオとジュリエット)などのセリアの作曲で知られる。もっともドニゼッティはブッファの傑作『愛の妙薬』でも有名であり、ロッシーニも『タンクレディ』『オテロ (ロッシーニ)』(シェイクスピア原作)『湖上の美人』(ウォルター・スコットの原作)『セミラーミデ』(ヴォルテールの原作)といったセリア作品や、『泥棒かささぎ』といったセミ・セリア作品及び『グリエルモ・テル』(シラーのヴィルヘルム・テルによるグランドオペラ)でも評価を得ている。

[編集] ヴァーグナー

オペラの発展は、ヴァーグナー(ワーグナー)とヴェルディによって、19世紀に最も劇的な段階を迎えた。

ヴァーグナーは、通奏低音で伴奏される比較的小音量のレチタティーヴォに、フルオーケストラ伴奏によるアリアがところどころ挿入され、アリアの終了の度に熱心な聴衆の拍手喝さいにより演奏が中断されるという伝統的なオペラの形式を拒んだ。それに替わりレチタティーヴォとアリアが混然一体となり、また常にオーケストラにより伴奏されるという、通して歌われる様式を導入した先駆者となった(このため拍手は幕間にだけ行われるようになった)。さらにヴァーグナーはライトモティーフを大々的に使用した。ライトモティーフは、かつてカール・マリア・フォン・ヴェーバーの使用例もあるが、物語中の登場する登場人物、道具や概念などを音楽で描こうという音楽的な工夫である。例えばある人物が舞台に登場するときや、舞台にいなくても他の登場人物が彼(彼女)について触れるときに、その人物を表すライトモティーフを奏でることであたかも映像を見ているような描写的効果を得ている。

ヴァーグナーはまた、楽劇とよばれる独特のオペラで作品の大規模化ももたらした。より重厚な響きを求めて大編成化したオーケストラに歌唱が埋没せぬよう、聴衆が舞台のみに集中して鑑賞するように、彼は自分自身の作品を上演する専用の劇場を必要とするに至り、バイエルンのルートヴィッヒ2世からの資金援助を受けて、オーケストラ・ピットを舞台の下に押し込めるという特異な構造の劇場をバイロイトに建設した。そこで上演される『ニーベルングの指輪』は4つの楽劇に分かれた巨大作品で、四夜を費やして演奏される。これを通して観ると約15時間程になり、空前絶後の大規模作品である。(現在はシュトックハウゼンの「光」という一週間を要する作品があり、規模の上ではこれを上回る。後述。)

ヴァーグナーの楽劇の題材は北欧神話や中世の物語を扱っており、その意味ではオペラ・セリアの延長線上にあるともいえる。中世ドイツのマイスター(職人の親方たち)を題材にした『ニュルンベルクのマイスタージンガー』は唯一の喜劇的作品であるが、ロッシーニの喜劇に比べるとはるかに生真面目ともいえる。

[編集] ヴェルディ

ヴェルディはヴァーグナーのような音楽の革命家ではなかったが、オペラ・セリアの伝統的形式を継承発展させる形で作曲した。彼のオペラの登場人物は、まだ市井の一般人ではないが、神話的人物や叙事詩的英雄というわけでもなく、現代的な(彼の同時代という意味で)オペラセリアを再構築したということもできる。彼は初期の作品で、イタリア独立運動を支持する人々の愛国心を高揚させて大いに支持を受けた。ついで、登場人物の人間性に鋭く迫って劇的に表現する作風を確立し、音楽としてもドラマとしても完成度の高い中期の傑作群を創作した。グランドオペラ風の『アイーダ』と(オペラではないが)死者のためのミサ曲『レクイエム』を最後にいったんリタイアしたあと、作曲家ボーイトらのすすめで再度筆をとり『オテロ』『ファルスタッフ』をのこした。

[編集] ヴェリズモ・オペラ

ヴェリズモ・オペラは、イタリアで発生したヴェリズモ文芸運動がオペラに波及したものとみることも、自然主義文学のオペラへの影響とみることもできる。そこでは市井の人々の生活が、病苦・暴力といった暗部をも含む形で描写される。マスカーニの『カヴァレリア・ルスティカーナ』(田舎騎士)は、シチリアの小村における悲劇であり、ヴェリズモ・オペラの初期の傑作である。またレオンカヴァルロの『道化師』では、現実と仮想世界との区別の付かなくなった道化師カニオが舞台上で妻を殺してしまう。この傾向のオペラは1890年代から20世紀初頭にかけて多くの模倣・追随者を生んだ。

[編集] ロマン派オペラの終焉

リヒャルト・シュトラウスは、『サロメ』、『エレクトラ』で大きな反響を得た。前者の官能を刺激する色彩的な音楽は賛否両論を生み、後者の大胆な和声は伝統的な響きに慣れ、それらを好む聴衆からは猛反発を受けた。しかし、R.シュトラウスのオペラ作家としての地位は固まり、詩人ホフマンスタールとともに様々な新機軸を出した。後年、円熟した擬古的な作風の『ばらの騎士』『アラベラ』『ナクソス島のアリアドネ』などで音楽的完成度と大衆的な人気をともに確保して、モーツァルト・ヴァーグナーと並ぶ「ドイツの3大オペラ作曲家」と呼ばれるようになった。しかし、晩年の作品はロマン派の最盛期を過ぎた残照のような位置づけであることは否めない。

ジャコモ・プッチーニは、ヴェリズモオペラの影響を受けつつも、イタリアオペラの伝統に沿った作品を書いた。彼は庶民的な題材と美しいメロディをほどよくバランスさせ、親しみやすいなかにも完成度の高い作品群を作って人気を博した。出世作『マノン・レスコー』と引き続く『ラ・ボエーム』は好評を持って迎えられ、彼の地位を確立した。『蝶々夫人』では歴史的な失敗を喫したが、今日ではあらゆるオペラのなかでも人気の高い作品として知られるようになった。

R.シュトラウスとプッチーニは、ロマン派のオペラの幕を引いたといってよい。これ以降は、演劇と音楽が協調してできたオペラの役割は、映画あるいは今日ではテレビが担うことになる。

[編集] 諸国の国民的オペラ

ロシアの国民主義のオペラはグリンカにより創始され、ロシア5人組によって継承発展された。ムソルグスキーの『ボリス・ゴドゥノフ』は名高い。また、リムスキー=コルサコフは『金鶏』『サドコ』など多数の作品を残した。チャイコフスキーは『エフゲニー・オネーギン』や『スペードの女王』で知られるが、彼のバレエ音楽とともにむしろ西欧風の作品といえる。20世紀に入ると、ショスタコーヴィチが『ムツェンスク郡のマクベス夫人』という近代オペラの傑作に数えられる作品を生んだ。

またスペインではサルスエラとして知られる、民族音楽風味を取り入れた独自様式のオペラが作られた。これはフランスのオペラ・コミックやドイツ・オーストリアのオペレッタに近い位置づけである。

[編集] 戦後オペラ史

第二次大戦後、前衛の世代は何がざん新かということを問い詰めるために、極度に禁欲的な姿勢で創造に臨むことになる。規模も大きく、経済的事情と手間暇のかかるオペラという存在は、早くも前衛作曲家の目の敵とみなされた。だいたい、声楽家が現代音楽にかかわるというキャシー・バーベリアンのようなケースがまれで、声域にあわせて移調が可能なジャンル、つまり声域が合わなければ役を降りられるという過剰な演奏家擁護の姿勢は現代化に最も不利な属性である。

そのような中、オペラ創作にハンス・ヴェルナー・ヘンツェが先頭を切ってきた。しかし、現時点では彼のオペラ創作は必ずしも前衛イディオムをフル活用したとは言えず、疑問の残る出来である。前衛の時代に書かれた最も素晴らしいオペラは、前衛イディオムを批判的に使うことが可能だったベルント・アロイス・ツィンマーマンの「兵士達」であることに異論はなかろう。

そして前衛の時代が終わり、前衛の世代が金銭的に潤ったことを背景にオペラという概念を「音楽劇」という側面から、作曲家一人一人が個別に考える時代に入った。

  • ルイージ・ノーノのようにいくつかの試行を経て「耳で聞く悲劇」という様式へ収斂させた「プロメテオ」。
  • 数々の演奏家が別々に個別の音楽を奏でる「ミュジ・サーカス」というアイデアが存分に生かされたジョン・ケージの「ユーロペア1~5」。
  • 「オペラはストラヴィンスキーで終わった。これからは音楽が劇を操作する“音楽劇”でなくてはならない」という欲望を実らせたルチアーノ・ベリオの「オウティス」。
  • 人造言語に基づき、原言語の意味を過激なパフォーマンスで問うハンス・ヨアヒム・ヘスポスの「イオパル」。彼の器楽作品は音を出さない行為も音楽として扱うが、この考え方はジョン・ケージ4分33秒に近い領域に属する。これをマウリッシオ・カーゲルの諸器楽作品と同じくムジーク・テアターとして扱う音楽学者もいる。(出典:dtv-Atlas zur Musik、Deutscher Taschenbuch Verlag、日本語訳は白水社から出ている)

[編集] 台本と持続

モートン・フェルドマンが1977年に書いたサミュエル・ベケットの台本にもかかわらず完全なアンチ・オペラに仕立てたNeitherから始まり、1980年代後半から1990年代にかけて初演された、アドリアーナ・ヘルツキーの「ブレーメンの自由」やヘルムート・ラッヘンマンマッチ売りの少女は電子音を含むすべての現代作曲技法の使用や筋書きなしの台本の使用、従来のイディオムの徹底的な不使用など21世紀のオペラのあり方を先取りするようになった。

しかしながら、台本ありのオペラに固執する作曲家の層も厚く、両者の拮抗が21世紀に入っても続くと見られている。近年でも暗譜不可能な場合はボーカルスコアを読みながら舞台に立つ歌手も多く、この点に関しても賛否両論が割れている。近年のシュトックハウゼンは厳格に「暗譜強制」を指示しているが、これは視覚的にも大きな効果を上げる一方、演奏の為に大量の練習時間を必要とし肉体的疲労も大きい。この問題の解決の為、高橋悠治は「泥の海」をプロンプターを用いて上演したが、助演時間が経つにつれただのプロンプターが邪魔に思える歌手も多い。

オペラ創造をライフワークにするといったカールハインツ・シュトックハウゼン松平頼暁のような存在も、世界中にちらほら見られる。この場合、作品全体を上演することではなく常に部分上演といった形で演奏されるために、未完の作品を毎回提示するといったことは、本来は異常な事態である。

オペラ創造はドビュッシーメシアンベルント・アロイス・ツィンマーマンヘルムート・ラッヘンマンのような作曲家人生を賭けた一代イベントであり、かつ長大な密度で勝負するという常識の中、ダリウス・ミヨーやエルヴィン・シュルホッフ、菅野茂フェルナンド・メンケリーニのような存在は15分以内で終わるオペラの創造を試みた。これらの企画は1990年代にヨーロッパ各国が争って若い作曲家達に募集したミニチュア作品の音楽祭のために書かせた作品が圧倒的に多い。

[編集] 日本での歴史

日本のオペラの歴史を記すにあたっては、もともと日本に起源を持たないオペラがどのようにして受容されようになったか、から始める必要がある。

明治時代に入り、1894年11月24日に東京音楽学校(現在の東京芸術大学)奏楽堂で、オーストリア大使館職員により『ファウスト』第1幕が上演され、これが現在日本で行われているオペラの原点となった。

さらに、1903年東京音楽学校・東京帝国大学の教師らの指導の下にグルックの『オルフェウス』が上演された。

そして1911年に創設された帝国劇場に歌劇部(のちに洋劇部)が併設され、ここでオペラの小規模な上演が行われるようになった。注目すべきことにこの時代すでに日本人による創作オペラの作曲と上演が行われていた。

帝劇オペラは、しかし財政難から上演の継続が困難となり1916年帝劇洋劇部は解散となる。この時期に来日して洋劇部の指揮者を務めていたジョセフ・ローシーは自腹を切ってオペレッタ劇場「ローヤル館」を開設・運営するも1年と持たず、ローシーは日本を去る。

その後、大正期から当時随一の歓楽街であった東京浅草浅草オペラとして知られる公演が行われるようになり、様々なオペラ劇団による公演が行われてオペラの大衆化に貢献した。この浅草オペラも1923年関東大震災による劇場の焼失とともに衰退し、1925年には消滅した。

余談ではあるが、著名な喜劇人の榎本健一(エノケン)は浅草オペラにおいて活躍しており、彼のその後の音楽性にあふれた軽妙かつ活動的な芸風は浅草オペラの経験によるものと評されている。

ミラノ スカラ座(夜間)
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ミラノ スカラ座(夜間)

[編集] 著名な歌劇場

[編集] 関連項目

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