バイロイト祝祭劇場
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バイロイト祝祭劇場(Bayreuth Festspielhaus)は、ドイツのバイロイトにある全館が木造のオペラ劇場である。リヒャルト・ワーグナーが自身の作品の上演を目的として計画、設計し、バイエルン王ルートヴィヒ2世の後援を得て1872年に着工、1876年に完成した。最初に上演された作品は『ニーベルングの指輪』。
バイロイト駅をはさんで旧市街と反対の方角に位置し、閑静な住宅街のはずれに位置する。外壁はオレンジ色に塗装されている。周囲は公園として整備され、芝生が静かなたたずまいを見せる。
バイロイト祝祭劇場はワーグナーの楽劇理論の結集であり、その古代ギリシア演劇研究に大きく影響されている。プロセニアム・アーチによって客席と舞台が隔てられることでは従来のオペラ座と同じであるが、観客を音楽に集中させるためオーケストラピットを舞台下に設け、観客席はギリシアの円形劇場を模した高いせり上がりに沿って配される。また19世紀までは普通だった観客席や舞台袖の彫刻やシャンデリア、装飾的な椅子等を廃し、木造の観客席一面を黒く塗っている。椅子は詰め物のない硬い木製で、やはり黒に塗られている。これによって各客席を含めた全体が共鳴版として働き、しばしばバイオリンの胴にたとえられる特異な音響空間を作り出すことができる。
反面、楽劇の楽器部分を演奏するオーケストラや指揮者からは、客席がまったく見えない。現在は映像機器により客席や袖がモニター可能であるが、特異な設計にオーケストラ陣からはしばしば演奏しにくいとの不評が出されている。
毎夏、7月から8月にはバイロイト音楽祭が催され、ワーグナーの歌劇・楽劇が上演される。バイロイト音楽祭の切符の入手は一部の招待客を除き、郵便による抽選による。その人気は年々昂騰し、新規に入手するためには数年の抽選漏れに耐えなければならないほどであるが、普通数年かかると言われる。
バイロイト音楽祭以外には使用されないが、日に数度の見学ツアーが実施され、オーケストラピット、バイロイト音楽祭に使用したセットがおかれたままの舞台などが見学できる。