オバケのQ太郎
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『オバケのQ太郎』(オバケのキューたろう)は、藤子不二雄(藤子不二雄A、藤子・F・不二雄)のギャグ漫画作品及びそれを原作としたテレビ・劇場アニメ作品。
目次 |
[編集] 概要
ごく普通の家庭に住み着いた、一匹の間の抜けたオバケがひき起こす騒動を面白おかしく描く。藤子流生活ギャグ漫画の原点にして、初の大ヒット作で代表作。スタジオ・ゼロのメンバーである石ノ森章太郎が手伝った。『オバQ』と省略されて呼ぶことも多い。3度に渡ってアニメ化され、40年以上経った現在も根強い人気がある。また藤子漫画はそれまでシリアス志向の強い作品が多かったが、これを機に『ギャグ漫画の藤子不二雄』として広く認知されるようになってゆく。
『オバケのQ太郎』の5年後に主に藤子・F・不二雄(藤子F)が描いた『新オバケのQ太郎』や、オバケのQ太郎の後日談的な話の『劇画オバQ』という作品もある。
『新オバケのQ太郎』以後は、コンビ解消まで藤子F、藤子Aがそれぞれ個別で描いた作品を藤子不二雄の共同ペンネームで発表する形になっており、本作が藤子不二雄の事実上最後の合作作品である。
[編集] 作品の歴史
藤子Fが怪談やオバケ好き(藤子Fの結婚披露宴におけるつのだじろうの発言によるとされるが、つのだ自身は憶えていないという)と聞いて週刊少年サンデーの編集者がオバケを主人公にした漫画を依頼した。藤子Fと藤子Aは当時作ったアニメスタジオ「スタジオ・ゼロ」へ小田急線で通勤中に小田急→オバQ→「オバケのQ太郎」というタイトルを思いついた。以上は藤子Fの描いたマンガ『スタジオ・ボロ物語』によるものだが、タイトルの由来については、これとは異なる説明もある。それは藤子Fと藤子Aが共同で執筆した自伝『二人で少年漫画ばかり描いてきた』によるもので、まず最初に『オバケの○太郎』というタイトルが決り、○の部分にはめる言葉を探していたとき、小説家の安部公房の本をパラパラとめくっていたら、Qという文字が目に止まり、愛敬のある文字だという理由でQ太郎になったというものである。連載1回目の「忍者ごっこ」のストーリーは、ゼロの事務所の傍で、忍者ごっこをしている子供達を見てそのまま決めた。
無事タイトルも決まり、スタジオ・ゼロの財務を支えるスタジオ・ゼロ雑誌部の仕事として、スタジオ所属のメンバーが手伝い、サンデー誌上で1964年にスタートしたが、読者の反応がまったく無く、当初の連載7回が13回に延長されたものの、このときはいったん終了した。連載中は藤子もスタジオ・ゼロを救うための仕事としてあまり力が入らず、周囲の期待もなかったというが、連載終了後読者から再開を求める手紙が殺到し、3ヵ月後に藤子不二雄の単独名義で連載が再開。翌年になって、連載は小学館のほかの雑誌にも広がり、さらにアニメ化もされ、「オバQブーム」と呼ばれる社会的現象にまでなった。
『鉄腕アトム』以来、それまで主流だったSFヒーローものが飽きられて視聴率が低下した中で生活ギャグアニメ『オバケのQ太郎』は登場。初回から視聴率30%以上の人気を得て、アニメ主題歌の「オバケのQ太郎」は1966年のレコード大賞童謡賞を受賞。また声優の曽我町子が歌う「オバQ音頭」はレコード200万枚、スポンサーの不二家が行なったプレミアムキャンペーンでソノシート400万枚の大ヒットとなり、レコードはジャケットと価格に若干の変更がなされつつ、1980年代まで生産され続けるというロングラン商品となった。そしてアニメソングにおける音頭曲の先駆けとなり、2005年現在でも子供向け音頭曲の定番のひとつとして親しまれている。出版社、スポンサー、おもちゃ会社が一丸となってしかけた『オバケのQ太郎』のマーチャンダイジング戦略はそれまでの最大の成果とも評され、1967年に建築された小学館の本社ビルはオバQビルの異名を取っている。
1966年に連載が終わり1967年にアニメも打ち切られた。放送終了時点で依然30%を超える視聴率を誇っていたものの、円谷プロの『ウルトラQ』『ウルトラマン』による怪獣ブームに食われる形で、オバQ関連のグッズの売れ行きが伸び悩むようになったという理由であった。後番組には、原作者、制作会社ともにそのまま『パーマン』が選ばれた。
1969年、『あれから4年後』と題してビッグコミックに後日談のエピソードが掲載された。
前作の連載終了後も、「もう一度Qちゃんを見たい」という読者の要望が多く寄せられていた。その声に答える形で、小学館学年誌上で『新オバケのQ太郎(雑誌掲載時は『オバケのQ太郎』)』の連載が1971年~73年まで続けられた。このとき同時にアニメ『新オバケのQ太郎』も放送された。 この頃から日本国内において九官鳥を飼う家庭が一時的に増大した。多くの九官鳥に付けられた名が「キューちゃん」、「太郎」など、飼う家庭で名付け親が子供であったケースが多く、当時人気番組だった本作品にちなむ物が多かった。九官鳥の「九」とQ太郎の「Q」を語呂合わせしたわけである。
1973年、ビッグコミック誌上で、15年振りに人間界にやって来たQ太郎と、大人になった正太のすれ違いの様を描いた異色作『「劇画」オバQ』が掲載された。藤子本人が手がけた「オバQ」は事実上これが最後の作品となった。
1977年、コロコロコミックが創刊。他の藤子作品とともにオバケのQ太郎も掲載される。ただし、新作は描かれず過去の作品の再収録のみだった。1979年には藤子不二雄がネーム、しのだひでお作画による番外編『ドラ・Q・パーマン』も描かれ、翌年には『ドラえもん』の特番でアニメ化される。
1985年から『ドラえもん』以来の藤子アニメブームに乗り、シンエイ動画により3度目のアニメ化がなされる。この際に新作連載の依頼が作者の下に来たが、「もうオバQの様なタイプのギャグ漫画を描くのは難しい」と、この申し出を断っている。結局、作者が示した新設定のキャラクターイラストの描き下ろしと、単行本(てんとう虫コミックスの傑作選全6巻と新オバQ全4巻)のカバーをリニューアルし、コロコロコミック(当時コロコロでの再掲載は終了していたが、再び復活する形で)や学習雑誌に過去の作品を再掲載する形がとられた。
[編集] 絶版問題
本作は人気が高いにもかかわらず、1988年を最後に単行本の増刷が止まっており、全て絶版となっている。『21エモン』や『エスパー魔美』等と違い文庫版や新装版も出版されておらず、2006年現在新作で買えるのはSF短篇集に収録された後日談である『劇画・オバQ』と赤塚不二夫との合作である『オハゲのKK太郎』(竹書房文庫 おそ松くん22巻)、さらに藤子不二雄、赤塚不二夫、つのだじろうの3人の合作『ギャハハ三銃士』(赤塚不二夫漫画大全集 オンデマンド版 1960年代 その2 Web注文のみ)だけである。そのため、古本の価格は高騰し、1冊が数千~数万円で取り引きされることもある。絶版の理由は明確にされておらず、ファンの間ではさまざまな憶測がある。以下、諸説を示す。
[編集] 著作権説
本作は藤子不二雄の二人のほかに、石ノ森章太郎、スタジオ・ゼロが関わっている。藤子不二雄がコンビを解散し、さらに石ノ森、ゼロが関わっているため、四者の間で著作権料の割合で揉めているのではないかという説。
ただし、台湾や香港では1997年頃までは公式に単行本が発売されていたし、CSなどでもコンビ解消以前の「藤子不二雄」とクレジットが入った上で、現在でもアニメ(3作目)が放映されているため、漫画の単行本が出ない理由とするにはこの説は弱い。また、石ノ森・藤子A合作(風田朗とスタジオ・ゼロ名義)の「レインボー戦隊」は、現在石森プロ(石ノ森のプロダクション)に権利があり、「石ノ森章太郎萬画全集」で復刊が決まっている。この場合はメインが石ノ森、藤子Aがアシスタントという立場で、本作の場合はその逆、というような形で捉えることも出来、権利問題が原因ならレインボー戦隊が出版されているのはこれも矛盾するとも言える。
ライターの安藤健二は新潮45(新潮社)2004年11月号でこの問題を取り上げ、追加取材を行なって『封印作品の謎2』として2006年に出版。それによると、スタジオゼロからコンビ解消前の藤子不二雄と藤子スタジオへ著作権は戻され、石森プロも『オバケのQ太郎』の著作権に関して主張したことはないとして、石ノ森やゼロとの著作権問題という説は否定されている。小学館では「作者サイドが表に出さない事にしている」と主張。原作者サイドの藤子スタジオは「藤子プロに任せている」、そして藤子プロは「権利問題ではなく作者の意志を守りファンを優先に活動している」、「遺された作品が膨大なので今はたまたま出していないだけ」という見解であった。
[編集] 遺族の意向説
藤子Fの遺族(藤本夫人は藤子プロの現会長でもある)は、当時と現在の価値観の違いから作品が誤解されたり非難されたりすることを恐れてか、故人の作品が表に出ることをかなり警戒している(漫画コラムニストの夏目房之介も同様の見解をしている)。その証拠に本作以外でも、藤子F本人が他界してからは、短編集や一部の児童向け作品が出版されたのみであり、全集『藤子不二雄ランド』もAの作品だけを集めた『藤子不二雄Aランド』として復刊され、Fの作品は復刊が見送られた。ファンの間では、藤子F本人が存命であればすぐに復刊、もしくは過去の出版物継続がなされていたという見方が強い。また他にも、藤子両人はコンビ解消後も仲が良かったものの、Fの遺族とAの家族が実は不仲であり、権利の取り分で揉めているという説もある。『封印作品の謎2』の安藤も、封印の理由の一つとして「藤子両人の周囲で起きている感情の問題」ではないかと指摘している。
[編集] 差別描写説
80年代半ばより始まった差別表現への抗議やそれに対しての自主規制が原因だとする説。黒人差別が原因だとする説と差別用語が原因とする説、またはその両方が原因だという説もある。
[編集] 黒人差別説
1980年代に「黒人差別をなくす会」という団体が黒人の描写について差別的だとして多くの漫画や絵本を出版している出版社に抗議をした。
本作については、てんとう虫コミックス第5巻等に収録されていた「国際オバケ連盟」に登場する「バケ食いオバケ」が人食い人種を思わせるとして1989年7月に抗議を受け、同じ作品を掲載したてんとう虫コミックスと藤子不二雄ランドの該当の巻が回収された。これ以降、オバQの増刷は全面的に止まっている。なお同様にして絶版になった藤子作品に『ジャングル黒べえ』がある。きっかけとしてはこの黒人差別をなくす会による抗議が原因と考えられるが、『封印作品の謎2』によると、この時回収されたのは「国際オバケ連合」が収録された巻のみで、作品全てを封印する理由には繋がらないとしている。
[編集] 差別用語説
また本作には、連載当時は普通に使われていた「きちがい」「こじき」などの、現在ではできるだけ使わないよう避ける言葉が多く使われており、中には3コマ連続で気が狂う様子が描写されているシーンもある。これらについて出版社の圧力は避けたいという事なかれ主義で出版をやめているという説がある。だが、同様の表現がされている作品としては『パーマン』や初期の『ドラえもん』もあるものの、それらについては差別表現を修正したり、該当する話を削除した上で単行本が発売されているため、作品の全面封印の理由としては根拠が薄い。
さらには、Q太郎が無芸大食なのが教育上良くないという説もあるが、ギャグ漫画においてこの見解は、流石に信憑性に乏しい。
この様に「FとAの間で起きた権利問題」と、「その周囲の人々で起きている問題」で出版が見送られているとの説が最も有力ではあるが、確証は取れていない。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 主な登場人物
- Q太郎(キューたろう)
- 通称:Qちゃん。竹藪で生まれたオバケ。大原家に居候し、いつも正太と行動を共にしている。正太とは親友の仲。大飯喰らいでお人よし、鈍くさくて頭はあまり良くないが、意外と繊細で落ち込んだり傷ついたりすると、時々家出を企ててはすぐに帰って来る。犬が大の苦手だが、一度だけ好きになった犬がいる。空を飛び力も割と強いが、他のオバケのように化けることが苦手で、消える(=透明になる)事と靴になる事位(原作では苦手な犬に化けた事がある)。他に、四角い容器の中に入っていると体が四角に固まる、眼球を飛び出させることができる(「書類に目を通してくれ」と言われて紙に眼球を通す場面がある)といった「特技」もある。腹の中にはポケットがあり、口からどんな物でも出し入れが出来る。同じ物が何枚もある白い服を頭から被っており、実際に見えているのは服を除くと、3本の毛と、足、目、口だけである。また服の中を見られることを極端に嫌う。作者曰くQ太郎のモデルは、ペンギンとベビー服であるという。週刊少年サンデーで『オバケのQ太郎』の連載が開始した1964年2月28日が誕生日と設定されている。連載当初は毛が10本以上あったが、次第に減って行き連載5回目頃から3本に落ち着いた。これは作画の手間から都合がいいという事である。最初のシリーズ最終回では単身オバケの世界へと帰って行った。『新~』では、弟のO次郎を連れて再び人間界へ帰ってきたが、ドロンパがQ太郎に化けて大原家に悪戯を繰り返していたため、その勘違いで冷遇されたこともあった。絵は藤子Fが担当。
- 大原正太(おおはら しょうた)
- 通称:正ちゃん。大原家の次男。小学生。弱虫で成績も余り良くなく一時はクラスで下から2番目だった。ある日友人達と忍者ごっこをして遊んでいるところ、竹藪の中でQ太郎の卵を偶然見つける(掲載誌によって最初の出会いの設定がやや異なる。アニメ版も同様で下記の『アニメ版』を参照のこと)。卵から孵ったQ太郎に付きまとわれ初めは困惑するが、色々と世話を焼かれ次第に友情を深めていく様になり、いつもQ太郎と行動を共にしている。当初はQ太郎の事を家族に隠して住まわせていたため、何とか家族の一員として認めてもらおうと苦戦するが、やがてQ太郎の誠実さに家族も次第に打ち解けてゆくようになっていった。絵は藤子Aが担当。名前の由来は石ノ森章太郎から。
- 大原伸一(おおはら しんいち)
- 通称:伸ちゃん。中学生で3枚目キャラ。大原家の長男で正太の兄。弟と違って成績はそこそこ良い。当初は猫を連れて来て飼いたいと切り出し、正太の連れて来たQ太郎と猫、どっちが役に立つかを競わせていた。オーディオマニアで、自宅に居る時は大抵音楽を聴いて過ごしている。好きな女の子が出来るとすぐに告白するが、大体振られている。絵は藤子Aが担当。名前の由来は鈴木伸一から。
- 西郷強(さいごう つよし)
- 通称:ゴジラ。学校、町内でのガキ大将。大柄な正太のクラスメート。実家は酒屋を営んでいる。いつもキザオを子分として引き連れている。正太によく意地悪をしているが、基本的には正太とは仲が良い。弟がいる。絵は石ノ森が担当。
- ハカセ
- 正太のクラスメート。発明好きで頭のいい人だと思われているが、実際は間が抜けている。小柄でいつもダブダブの服を着ている。新オバQでは両の眉毛が「ハ」、左目が「カ」、右目が「セ」の字。テレ朝版アニメでは旧作同様に普通の顔立ちになった。若ハゲ。絵は石ノ森が担当。
- 木佐キザオ(きざ きざお)
- 正太のクラスメート。裕福な家庭で、名の通り気障で新しい物を買っては自慢する癖がある。ゴジラを「親分」と呼んでいる。なお、同名のキャラが『怪物くん』にも登場する。絵は藤子Fが担当。
- 小泉美子(こいずみ よしこ)
- 通称:よっちゃん。正太のクラスメートで優等生。アップにした髪のリボンがチャームポイントの優しい美少女。正太やゴジラ達が憧れているが、本人は友達程度としか思っていない節がある。後に正太ら以外の男性(名前、顔ともに不明。)と結婚、2児の母となっている。絵は石ノ森(ときに藤子F)が担当。
- 小池さん(こいけ)
- 近所のおじさん。結婚している。インスタントラーメンが好物で、いつもQ太郎に食事中邪魔されている。職業はアニメーター。絵は藤子Aが担当。他の藤子作品にも多く登場している。連載中に結婚し、子供も2人いる。
- 神成さん(かみなり)
- 大原家の隣に住んでいる老人男性。いわゆる「カミナリ親父」で、短気だが情に厚い。身寄りが無いらしく自宅に一人暮らしで、ドロンパを居候させている。小池さんと同じく、他の藤子作品(特に『ドラえもん』)にもちょくちょく登場している。
- パパ(大原正助)(おおはら しょうすけ)
- 正太、伸一の父親で、少々太り気味の大黒柱。トレードマークは口髭にメガネ。愛飲タバコは「ハイライト」。商事会社に勤務し、テレ朝版アニメでは、正太郎という名で、役職が課長という設定となった。Q太郎を実の子供のように思っている。
- ママ(大原節子)(おおはら せつこ)
- 正太、伸一の母親で、美人かつ優しき専業主婦。Q太郎の大食らいには、いつも頭を抱えている。夫・正助と同様、Q太郎の事を実の子供のように思っている。
- ドロンパ
- アメリカオバケ。神成家に居候している。頭が良くて運動神経がいい上、さまざまな物・人に化けられる。いつも、Q太郎の事をバカにしている。少々ニヒルなひねくれ者だが、実際は寂しがり屋で心優しい。お腹にある赤い星型が能力の源。一度、その星型が危うくなった事があったが、Q太郎によって取り返された。糠味噌が大の苦手。P子に思いを寄せているが、デートの際には、P子の身を案ずるQ太郎に、いつも邪魔立てされている。話のまとめ役が多く演劇や新聞製作など色々と挑戦するが、オバQ達がどこかでズレてしまうため長続きしない事が多い。絵は藤子Fが担当。
- U子(ユーこ)
- 人間の世界に憧れてやって来た、小泉家に居候している女オバケ。柔道に入れ込んでいるが、がさつで乱暴、家事が一切出来ない。Q太郎が好意を寄せているが、逢うたびにQ太郎を柔道の稽古相手にしたり、家事を任せてしまっている。化けることも出来るが余り上手ではない。一度、河合ユカリに対して、ブチ切れ寸前にまでなった事がある。絵は藤子Fが担当。アニメ版の『新~』では、作画の都合からか原作と口のデザインが異なる。
- P子(ピーこ)
- Q太郎の妹のオバケ。オバケの世界から人間界へ留学しに来ている。河合家に居候している。Q太郎より頭の出来が良く、化けるのも得意。P子とユカリがメインのエピソード『オバケのP子日記』という作品もある。絵は藤子Fが担当。
- O次郎(オーじろう)
- Q太郎、P子の弟。『新オバケのQ太郎』で登場したキャラクターで、オバケの世界へ一度帰っていったQ太郎が、再び人間界へ戻って来た際に連れて来た。まだ赤ん坊のオバケなので、「バケラッタ(この言葉は「オバQ音頭」の歌詞から来ている)」しか言えない(但し、原作では時々「ナニラッタ?」「バカラッタ!」「アホラッタ!」等のバージョンがあった)。アニメの『新~』では、大原家の人々がQ太郎から「バケラッタ」ごとのニュアンスの違いを教わるエピソードがある。また「ボム!」と叫ぶ事で目の前のあらゆる物をパンクさせる特技の持ち主。手先が器用で頭は良く、化けるのも上手で、なかなかの兄思いである。絵は藤子Fが担当。
- ユカリ
- P子が居候している家に住む女子高生。『オバケのP子日記』では正太的な役回り。テレ朝版アニメでは、「河合ユカリ」という名の中学生。伸一の憧れるクラスメートという設定にされている。絵は藤子Aが担当。
- 河合井奈子(かわい いなこ)
- 新オバQのみに登場した伸一のクラスメート。休日のたびに何人もの男子から誘われるほどのモテモテぶりで、伸一も好意を寄せているが本人は友達感覚でしかない。ミミズとオバケが苦手だったがQ太郎とは仲がよい。将来の夢はイラストレーター。
- 先生
- 正太達の通う小学校のクラス担任。容貌がカバそっくりの中年男性教員。「~だっちゅうに」、「~ってな」等が口癖。あだ名は"威張り豚"、"ヒネブタ"。
- X蔵(エックスぞう)
- Q太郎、P子、O次郎の父親。毛が4本で口ひげがある以外はQ太郎にそっくり。Q太郎に似て少々常識外れのオバケ。絵は藤子Fが担当。
- おZ(おゼット)
- Q太郎、P子、O次郎の母親。間の抜けたX蔵を支えるしっかり者の妻。絵は藤子Fが担当。
- 絵の担当は『オバケのQ太郎』についてである。『新オバケのQ太郎』では石ノ森は参加しておらず、藤子不二雄の二人で描かれている。ただし、『新オバケのQ太郎』における絵の分担は明らかにはされていない。正太と伸一以外の大部分が藤子Fと思われる。
[編集] アニメ版
3作とも1回目の放送での内容が異なっている。1作目ではいきなりQ太郎が大原家に既に住んでいるところから始まっている。2作目からはQ太郎誕生から描かれたが、忍者ごっこをしているという部分は省かれ、正太がQ太郎の卵を拾い自宅に持ち帰り孵したという設定になった。3作目では、正太が野球をしている最中にボールを追いかけて転び、Q太郎の卵を偶然割って孵したというもの。又1作目では正太やP子など、キャラクター設定が原作と若干異なっている。3作目は時代に合わせてキャラクター、美術設定などの一部がリニューアルされた。また、劇場用アニメも立体アニメとして2本製作されている。
[編集] オバケのQ太郎
- 放映期間
- 初回視聴率
- 関東地区:31.5%
- 関西地区:34.6%
- 最高視聴率
- 関東地区:36.7%(1966年4月24日放送)
[編集] スタッフ
- 監督:大隅正秋
- 脚本:吉田史郎、田代淳二、岡本欣三、花島邦彦、木下蓮三、吉田進、松元力、おおいひさし、大森施工、吉田秀子、Aプロダクション、辻真先、若林一郎、松岡清治、東京ムービー企画部、中野健次、塩沢朝子、富沢耕己、島修司
- 演出:大隅正秋、長浜忠夫、岡部英二 他
- 作画:楠部大吉郎、芝山努、小林治、富永貞義、中村英一、谷口守泰 他
- 音楽:筒井広志
- 製作:東京ムービー
- 製作協力:Aプロダクション(現・シンエイ動画)
[編集] キャスト
- Q太郎:曽我町子
- 大原正太(正ちゃん):田上和枝
- 大原伸一(伸ちゃん):野沢雅子
- ドロンパ:喜多道枝
- P子:水垣洋子
- パパ:松岡文雄
- ママ:北浜晴子
- 小池さん:大竹宏
- 神成さん:野本礼三
- 百栗三太夫:関敬六
[編集] 主題歌
- 前期オープニング(以下OP):『オバケのQ太郎』(作詞:東京ムービー企画部/作曲:広瀬健次郎/歌:石川進)
- 後期OP:『オバQ音頭』(作詞:藤子不二雄/作曲:広瀬健次郎/歌:石川進&曽我町子)
- 開始直後エンディング(以下ED):『オバケのQ太郎』(作詞:東京ムービー企画部/作曲:広瀬健次郎/歌:石川進)
- 前期ED:『ぼくとQちゃん』(作詞:遠藤隆智/作曲:広瀬健次郎/歌:吉田亜矢)
- 後期ED:『オバQ音頭』(作詞:藤子不二雄/作曲:広瀬健次郎/歌:石川進&曽我町子)
[編集] 新オバケのQ太郎
- 放映期間
- 最高視聴率
- 関東地区:25.8%(1972年3月1日放送)
[編集] スタッフ
- 脚本:山崎晴哉、伊東恒久、松元力、竹内泰之、金子裕、鈴木良武、吉田秀子、辻真先、柴山達雄、小川洋三、高際和雄、城山昇、井上和士、長浜忠夫、吉田喜昭、小田健也、奥村武弘
- 作画監督:椛島義夫
- 作画監督補佐:中村英一、北原健雄、須田紋太
- 美術監督:小林七郎
- 撮影監督:三沢勝治
- 録音監督:山崎あきら
- 録音技術:三浦千治
- 編集:越野寛子
- 音楽:山本直純
- 効果:片岡陽三
- 演出:長浜忠夫
- プロデューサー:川口晴年、藤井賢祐(日本テレビ)
- 製作:東京ムービー、日本テレビ
[編集] キャスト
- Q太郎:堀絢子
- 大原正太:太田淑子
- 大原伸一:白川澄子
- O次郎:高坂真琴→桂玲子
- P子:沢田和子
- ドロンパ:山本嘉子
- U子:丸山裕子
- ゴジラ:肝付兼太
- ハカセ:白川澄子
- 木佐:沢田和子
- よっちゃん:野村道子
- パパ:永井一郎
- ママ:北浜晴子
- 小池さん:島田彰
- 神成さん:野本礼三
[編集] 主題歌
- OP:『オバケのQ太郎』(作詞:東京ムービー企画部/作曲、編曲:山本直純/歌:堀絢子&ニューロイヤル)
- ED:『オバQえかきうた』(作詞:東京ムービー企画部/作曲、編曲:山本直純/歌:ザ・グリンピース)
[編集] オバケのQ太郎(新)
- 放映期間
[編集] スタッフ
- 総監督:笹川ひろし
- 監修:鈴木伸一
- 監督:原田益次
- 総作画監督:富永貞義、森下圭介
- 美術設定:河野次郎
- 美術監督:徳重賢→沼井信明、今林美紀→増田直子
- 撮影監督:斎藤秋男、角原幸枝
- 録音監督:浦上靖夫、大熊昭
- 効果:松田昭彦
- 編集:岡安プロモーション
- 整音:中戸川次男、大城久典
- 音楽:菊池俊輔
- プロデューサー:木村純一、小泉美明(テレビ朝日)、加藤良雄、児玉征太郎(シンエイ動画)
- 製作:シンエイ動画、テレビ朝日
[編集] キャスト
- Q太郎:天地総子
- 大原正太:三輪勝恵
- 大原伸一:水島裕允
- 西郷強:竹村拓
- ハカセ:肝付兼太
- 木佐キザオ:龍田直樹
- 小泉美子:深雪さなえ
- 小池さん:広森信吾
- 神成さん:兼本新吾
- 大原正助:大山高男
- 大原節子:塚田恵美子
- 正太の担任:島香裕
- ユカリ:麻上洋子
- ドロンパ:白石冬美
- U子:増山江威子
- P子:三田ゆう子
- O次郎:よこざわけい子
[編集] 主題歌
- 前期OP:『大人になんかならないよ』(作詞:阿木燿子/作曲:宇崎竜童/編曲:青木望/歌:天地総子)
- 後期OP:『ぼくはオバQノンキなオバケ』(作詞:藤子不二雄/作曲:菊池俊輔/編曲:菊池俊輔/歌:天地総子)
- 前期ED:『BELIEVE ME』(作詞:阿木燿子/作曲:宇崎竜童/編曲:青木望/歌:浜田良美)
- 後期ED:『あいうえオバQ』(作詞:麻尾るみこ/作曲、編曲:菊池俊輔/歌:天地総子)
[編集] 劇場版
1985年からのテレビシリーズ放送中に作られた、15分程の短編映画。3次元映像で、赤と青のメガネを着用するアナグラフ方式の作品。入場特典として、この作品の視聴用のメガネが配布された。
- オバケのQ太郎 とびだせ!バケバケ大作戦(1986年)
- 総監督:笹川ひろし
- 監督:原田益次
- 脚本:桜井正明
- 作画監督:森下圭介
- 美術:宮野隆
- 撮影:三沢勝治
- 編集:岡安肇
- 音楽:菊池俊輔
- 同時上映:『ドラえもん のび太と鉄人兵団』、『プロゴルファー猿 スーパーGOLFワールドへの挑戦!!』
- 同時上映:『ドラえもん のび太と竜の騎士』、『プロゴルファー猿 甲賀秘境!影の忍法ゴルファー参上!』
[編集] ゲーム
-
- オバケのQ太郎 ワンワンパニック
- 1985年12月16日、バンダイより発売。ファミリーコンピュータ用ソフト。アクションゲーム。
- 犬をよけて様々な冒険するゲームだが、初期のファミリーコンピュータ用ゲームの中でも、特に高い難易度のゲームとして一部で有名である。敵キャラである犬に脅されてダウンすることよりも、空腹によりダウンすることのほうが多い。
詳細はオバケのQ太郎 ワンワンパニックを参照。
[編集] 『オバQ』にまつわるエピソード、こぼれ話
[編集] アニメ関連
- 1作目のパイロットフィルムの内容は、放送局側が海外輸出を目論んでいたために『鉄腕アトム』風の未来的な街に住んでいるという設定にされた。その映像を見た藤子両人は内容の改変に猛反対し、本放送では原作通りのイメージに戻された。本作はその舞台の身近さに視聴者から大いに支持された。
- 1作目の放送後半からスタジオ・ゼロがアニメ制作協力として関わっているとされている事があるが、鈴木伸一によると制作したのはオバQのパイロットフィルムのみ(前述と同じパイロットかどうかは不明)で、現場では能力不足といわれ関われなかったという事である。
- 『ウルトラQ』は本作品の前の枠で放映されていた。その時期は「Q」絡みの番組で1時間を占めていたことになる。
- アニメ第1作の最終回には、次の新番組である『パーマン』の宣伝としてパーマン1号がゲスト出演をしている。Q太郎と正太がギャング団に誘拐され、Q太郎が助けを求めると、パーマンが駆けつけて2人が助け出されるという内容。この時のQ太郎とパーマンの会話は「君は来週からじゃないか」「僕、あわてんぼうだから1週早く出てきちゃった」というものである。
- 『新~』のQ太郎役は当初、初代の曽我町子に演じてもらう予定であったが、曽我が多忙であったこと、TBS系であった初代との差別化(『新~』は日本テレビ系)などで堀絢子に決まったという。
- 劇場短編アニメ『パンダコパンダ』のラスト近くのモブシーンで、Q太郎が出て来る。
- シンエイ版では1980年に『ドラ・Q・パーマン』で共演の他、特番などで他の藤子キャラクターとしばしば共演を果たしている。
[編集] 歌・レコード
- 初代Q太郎の声を演じた曽我町子は、コロムビアのスタジオで『オバQ音頭』のレコーディングの際、風邪をこじらせていたのでスケジュールの延期を申し出ていた。しかしデュオ相手の歌手、石川進のスケジュールの都合と、当時のコロムビアの社員がストライキを起こしていたために、立ち会ったスタッフのほとんどが管理職であったという。しかしスタッフはやる気満々で、その熱意に押され曽我は渋々歌ったという。また、これら主題歌、挿入歌はコロムビア盤と朝日ソノラマ等のソノシート盤でカバーやテイク違いが数多く存在しており、この『オバQ音頭』も例外ではない。
- 1966年暮れには『オバQクリスマス』というレコードが発売された(P子や正太も登場するコロムビア盤と、Q太郎のみが歌う勁文社盤がある)。これは当時のアニメ版のスポンサーが不二家であったため、オバQを通じて自社のケーキを買ってもらおうというタイアップ企画でもあった。ペコちゃんとQ太郎がクリスマスソングを歌う、景品のソノシートも制作された。このクリスマス企画は同時間帯の次々作である『怪物くん』でも行われた。
- ファンの間では有名な「新オバケのQ太郎」のえかきうたは、口を葉っぱに見立てて書き始めて、途中で上下をひっくり返すという、型破りな絵描き唄だった。2番のO次郎まではEDとして放映された。レコードバージョンの3,4番はP子とドロンパであるが、いずれも途中の同じフレーズで紙をひっくり返す必要があった。これに対し3作目のオバQでは、体全体をロケットにみたて、腕を羽として書き足すという着想で新たに絵描き唄が作られた。
- モダンチョキチョキズのメジャーデビュー曲は、「新オバケのQ太郎」の主題歌のカバーだった。この曲のミュージック・ビデオには犬の着ぐるみが登場して踊っている。
[編集] パロディ作品・客演
- フジテレビのバラエティ番組『ダウンタウンのごっつええ感じ』で1994年から1995年にかけて、本作のパロディーアニメ「きょうふのキョーちゃん」というアニメが放送された。
- かつて、観光バスで前面がQ太郎に似ている理由で「オバQ」の愛称が付いた車がある。(「いすゞバス製造」の項参照)
- 映画『喜劇 駅前漫画(1966年、東京映画作品)』では、Q太郎とP子らがアニメと着ぐるみで登場。劇中に登場する玩具工場では当時のオバQグッズが作られている。その工場の社長の息子は久太郎という名で、いつもオバQの「Q」の字と唇をモチーフにした白いトレーナーを着ている。ちなみに、この作品に登場する漫画工房で描かれている漫画は『おそ松くん』である。
- 赤塚不二夫のおそ松くんでは度々登場してきたが、22巻で「オバケのKK(ケケ)太郎」という題でチビ太と共演をし、言葉を喋った。
- 『ドラえもん』の『なんでも空港』(てんとう虫コミックス32巻)の回にQ太郎が登場している。ジャイアンとスネ夫はQ太郎のことを知っているようで、「オバケなんかに用はないんだ」と語っている。
- 香港方面でも人気は高いようで、チャウ・シンチー主演の映画『魔界ドラゴンファイター』では着ぐるみで登場している。
[編集] 人物
- マラソン走者の高橋尚子は、「Qちゃん」のあだ名で呼ばれているが、その由来は仮装パーティーでQ太郎のコスプレをした、カラオケで「新~」の主題歌を歌ったなど、諸説がある。
- 大洋ホエールズの中心打者だった田代富雄(現・湘南シーレックス(横浜ベイスターズ2軍の名称)監督)もその風貌からか現役時代「オバQ」と呼ばれ、打席に立つ時にアニメのテーマ曲がエレクトーンで演奏された時期もあった。
- 『オレたちひょうきん族』の中の西川のりおのにらめっこネタは、顔にペイントしてQ太郎に扮したもので、本家顔負けの人気を得ていた時期があった。
[編集] その他
- 藤子不二雄Aは犬好きで、昔飼っていた秋田犬の名を「Q太郎」と名づけた事もある。
- TVアニメ版HAPPY★LESSONに登場する八桜はづきは大食い道の最高級を持っているが、その最高級は「オバ級」である。
[編集] 書籍情報
- オバケのQ太郎 虫プロ商事 虫コミックス 全12巻
- オバケのQ太郎(傑作選) 小学館 全6巻
- オバケのQ太郎 (藤子不二雄自選集)小学館 全2巻(1巻は旧、2巻は新より収録)
- 新編集オバケのQ太郎 中央公論社 藤子不二雄ランド 全20巻
- 新オバケのQ太郎 小学館 全4巻
- 新オバケのQ太郎 中央公論社 藤子不二雄ランド 全7巻
※以上の単行本シリーズは2006年現在、全て絶版。
[編集] 関連書籍
- 藤子不二雄『二人で少年漫画ばかり描いてきた -戦後児童漫画私史』(文藝春秋社、1980年)
- 月刊「創」編集部編『音羽vs一ツ橋』(創出版、1983年) - 小学館本社ビルがオバQビルと呼ばれているとの記述。
- 中野晴行編『鉄腕アトムワールド』(ぴあ、1993年) - マーチャンダイジングの歴史。オバQブームと怪獣ブーム。
- 安藤健二『封印作品の謎2』(太田出版、2006年) ISBN 4778310063 - 絶版の真相について関係者の取材を行っている。
[編集] 関連項目
[編集] 前後番組の変遷
TBS系 日曜日19:30枠・不二家の時間 | ||
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前番組 | オバケのQ太郎(第1作) (1965.8.29 - 1967.3.26) |
次番組 |
漫画劇場・ポパイ | パーマン | |
TBS系 水曜日18:00枠 | ||
ゴリラのゴンちゃん | オバケのQ太郎(第1作・再放送含む) (1967.4.5 - 1969.3) |
パーマン(第1作・再放送) |
日本テレビ系 水曜日19:30枠 | ||
いじわるばあさん(アニメ第1作) (土曜19:30枠から移動) |
新オバケのQ太郎 | ゲンコツの海 |
テレビ朝日系 日曜日9:30枠 | ||
パーマン(新) 〈→藤子不二雄ワイドに編入〉 |
オバケのQ太郎(新) (単独番組として) |
藤子不二雄劇場 〈→コンプレックス枠化〉 |