ウルトラQ
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『ウルトラQ』(ウルトラキュー) は、ウルトラシリーズ(空想特撮シリーズ)第1作のテレビドラマ。
※作品中に登場する怪獣についてはウルトラQの登場怪獣を参照のこと。
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[編集] 概要
アメリカのTVドラマ『アウターリミッツ』や『トワイライトゾーン』を意識して作られた特撮SFドラマ。主人公は万城目淳(パイロット)、戸川一平(助手)、江戸川由利子(報道カメラマン)の3人で、毎回彼らが遭遇する不可思議な事件を描く。モノクロ作品であった。1966年(昭和41年)1月2日から同年7月3日まで、TBS系で毎週日曜日19:00 - 19:30に放送。放送当時の提供は武田薬品一社。
本作は当初、『UNBALANCE』というタイトルで制作が決定し、1964年9月から撮影が始まった(しかしこの時点では放送スケジュールが未定であったとも言われている)。『ウルトラQ』というタイトルは(東京オリンピックの際に体操競技の難易度を示す言葉から一般的になった)当時の流行語「ウルトラC」からヒントを得たものとされている。円谷英二が特撮技術を監修することが売りであり、国産初の本格的SF怪奇ドラマシリーズとして撮影が進められた『UNBALANCE』だったが、TBSサイドの意向により怪獣路線へと変更をされることになり(円谷=「怪獣」特撮という世間の認知度によるものと考えられる)、同時に番組タイトルも『ウルトラQ』へと変わった。そして放送前に全28話分の撮影を済ませ、放映の順番を決める異例の体制をとり、満を持して、1966年1月2日から放送が開始された(ただし、「あけてくれ!」のみは、TBS側の意向により放送を見送られ、後の再放送で初めて電波に乗った。また、一部のエピソードについては、本放送開始時にはまだ完成には至っておらず、1966年1月半ばまでダビング作業が行われていたことが、近年になって判明した)。制作者側の意図通り、本作は大反響を呼び、ほとんどの放送回で視聴率30%台に乗る大人気番組となった。
TBSは本作の制作途中(放送開始前の段階)で、既にこの大人気を予測し、次の番組企画も円谷プロに依頼していた。円谷プロ側がこれに応え、本作の基本構成に、常時怪獣と戦う組織と、怪獣を退治する巨大ヒーローを付加するという形で具体化させていったのが、結果として本作を上回る大人気番組となった『ウルトラマン』である。
もともとの企画は高価なオプチカル映像合成機を生かす作品の制作ということだった。その機械は、当時まだ世界に二台しかない米・オックスベリー社製のもので、円谷英二が見切り発車で発注したものの(しかも先約があったのだが、円谷の請願と、先約方が「世界のツブラヤ」たっての頼みという事で折れた、という事らしい)、あまりに高額であり、キャンセルしようとしたがすでに船便で向かっていたため、当時TBSのディレクターであった円谷一の口ぞえでTBSが購入を肩代わりする事になり、それを使った特撮ドラマを円谷プロで製作するという契約が結ばれ、本作品の制作が行われた。
平成になってから藤原カムイによって、基本的に原作に忠実な漫画化がされている。
[編集] 出演者
[編集] ゲスト出演
- 青野平義:「バルンガ」奈良丸明彦
- 天本英世:「あけてくれ!」SF作家・友野健二
- 有馬昌彦:「東京氷河期」沢村照夫
- 伊藤久哉:「206便消滅す」飯島機長
- 石川進:「地底超特急西へ」西岡主任
- 岩下浩:「甘い蜜の恐怖」伊丹一郎
- 宇野晃司:「変身」杉本記者、「悪魔ッ子」同前
- 江原達怡:「ゴメスを倒せ!」新田記者
- 大泉滉:「育てよ!カメ」浦島太郎の担任
- 大村千吉:「ゴメスを倒せ!」錯乱した建設作業員
- 奥村公延:「地底超特急西へ」いなづま号・小山運転士
- 加藤春哉:「宇宙からの贈り物」相馬記者、「変身」同前、「悪魔ッ子」同前
- 桐野洋雄:「五郎とゴロー」伊藤記者、「206便消滅す」オリオンの竜
- 工藤堅太郎:「燃えろ栄光」相川(ダイナマイト)ジョー
- 久保明:「南海の怒り」雄三
- 黒部進:「甘い蜜の恐怖」木村重夫
- 小泉博:「206便消滅す」金子主任
- 小杉義男:「悪魔ッ子」赤沼
- 小林昭二:「2020年の挑戦」天野2等空佐
- 堺左千夫:「マンモスフラワー」東京広告支配人、「1/8計画」1/8計画係員
- 沢井桂子:「甘い蜜の恐怖」長谷川愛子
- 清水元:「甘い蜜の恐怖」長谷川場長
- 城所英夫:「虹の卵」糸魚川博士
- 鈴木和夫:「五郎とゴロー」五郎
- 高田稔:「マンモスフラワー」源田博士
- 高橋紀子:「南海の怒り」アニタ
- 滝田裕介:「クモ男爵」葉山
- 田崎潤:「宇宙からの贈り物」宇宙開発局・坂本長官
- 田原久子:「ゴーガの像」アリーン(リャン・ミン)
- 田村奈己:「ペギラが来た!」久原羊子
- 塚本信夫:「地底超特急西へ」相川教授
- 津沢彰秀:「鳥を見た」三郎少年
- 土屋嘉男:「五郎とゴロー」野猿研究所所員・小野
- 富田仲次郎:「ゴメスを倒せ!」中村作業係長
- 中真千子:「変身」あや子
- 二瓶正也:「五郎とゴロー」牛乳運搬トラック運転手、「育てよ! カメ」強盗、「カネゴンの繭」中松工事監督の助手
- 沼田曜一:「ガラモンの逆襲」トラック運転手・牛山
- 野村昭子:「カネゴンの繭」金男の母
- 野村浩三:「変身」浩二(巨人)
- 浜田寅彦:「カネゴンの繭」金男の父
- 晴乃チック・タック:「SOS富士山」岩石処理作業員
- 平田昭彦:「ガラモンの逆襲」花沢主任
- 福田豊土:「ガラダマ」大木先生
- 藤田進:「宇宙指令M774」松田船長
- 古谷敏:「マンモスフラワー」野次馬の男、「ゴーガの像」岩倉の部下
- 穂積隆信:「燃えろ栄光」ビル大山
- 松本克平:「ペギラが来た!」天田隊長
- 水木恵子:「宇宙指令M774」一条貴世美(ゼミ)
- 向井淳一郎:「マンモスフラワー」警察幹部
- 武藤栄治:「燃えろ栄光」奥井林太郎プロモーター
- 村上冬樹:「1/8計画」S13地区区長
- 森山周一郎:「ペギラが来た!」池田隊員
- 山本廉:「ゴメスを倒せ!」東海弾丸道路建設作業員
- 柳谷寛:「2020年の挑戦」宇田川刑事、「あけてくれ!」沢村正吉
- 義那道夫:「ガラモンの逆襲」セミ人間(遊星人Q)
- 若林映子:「クモ男爵」今日子
- 渡辺文雄:「カネゴンの繭」中松工事監督(ヒゲおやじ)
[編集] 登場兵器
- 炭酸ガス固定剤
- 源田博士が開発した薬剤。ジュラン枯死作戦に使用される。
- ペギミンH
- 南極大陸に生息する架空のコケから抽出した成分で、怪獣ペギラが苦手とするため、これを退治するために用いられた。コケは遭難した犬を越冬させるほどの滋養に富むが、アザラシに対しては毒物として働く。
- ハニーゼリオン
- 木村重夫が開発した高性能肥料。副作用により生物を巨大化させるため、モングラーを誕生させることになる。
- ネオニュートロンミサイル
- 糸魚川博士が開発した薬剤・ネオニュートロン液を弾頭に搭載したミサイル。パゴス攻撃に使用される。
- Kミニオード
- 神田博士が発明製作した電子部品。Xチャンネル光波を発生させる主要部品となる。ケムール人攻撃に使用される。
- 青葉くるみ
- 旧日本軍が衰弱した兵士に服用した栄養剤。大量に摂取すると甲状腺ホルモンに異常をきたす。
[編集] スタッフ
[編集] 放送リスト
放送日 | 話数 | 製作N0. | サブタイトル | 登場怪獣・宇宙人 | スタッフ |
---|---|---|---|---|---|
1966/1/2 | 1 | 12 | ゴメスを倒せ! | 古代怪獣ゴメス 原始怪鳥リトラ |
監督-円谷一 特技監督-小泉一 脚本-千束北男 |
1966/1/9 | 2 | 11 | 五郎とゴロー | 巨大猿ゴロー | 監督-円谷一 特技監督-有川貞昌 脚本-金城哲夫 |
1966/1/16 | 3 | 5 | 宇宙からの贈りもの | 火星怪獣ナメゴン | 監督-円谷一 特技監督-川上景司 脚本-金城哲夫 |
1966/1/23 | 4 | 1 | マンモスフラワー | 巨大植物ジュラン | 監督-梶田興治 特技監督-川上景司 脚本-金城哲夫、梶田興治 |
1966/1/30 | 5 | 15 | ペギラが来た! | 冷凍怪獣ペギラ | 監督-野長瀬三摩地 特技監督-川上景司 脚本-山田正弘 |
1966/2/6 | 6 | 8 | 育てよ! カメ | 大亀ガメロン 怪竜 乙姫 |
監督-中川晴之助 特技監督-小泉一 脚本-山田正弘 |
1966/2/13 | 7 | 20 | SOS富士山 | 岩石怪獣ゴルゴス | 監督-飯島敏宏 特技監督-的場徹 脚本-金城哲夫、千束北男 |
1966/2/20 | 8 | 10 | 甘い蜜の恐怖 | モグラ怪獣モングラー | 監督-梶田興治 特技監督-川上景司 脚本-金城哲夫 |
1966/2/27 | 9 | 13 | クモ男爵 | 大蜘蛛タランチュラ | 監督-円谷一 特技監督-小泉一 脚本-金城哲夫 |
1966/3/6 | 10 | 5 | 地底超特急西へ | 人工生命M1号 | 監督-飯島敏宏 特技監督-的場徹 脚本-山浦弘靖、千束北男 |
1966/3/13 | 11 | 17 | バルンガ | 風船怪獣バルンガ | 監督-野長瀬三摩地 特技監督-川上景司 脚本-虎見邦男 |
1966/3/20 | 12 | 7 | 鳥を見た | 古代怪鳥ラルゲユウス | 監督-中川晴之助 特技監督-川上景司 脚本-山田正弘 |
1966/3/27 | 13 | 27 | ガラダマ | 隕石怪獣ガラモン | 監督-円谷一 特技監督-的場徹 脚本-金城哲夫 |
1966/4/3 | 14 | 16 | 東京氷河期 | 冷凍怪獣ペギラ | 監督-野長瀬三摩地 特技監督-川上景司 脚本-山田正弘 |
1966/4/10 | 15 | 21 | カネゴンの繭 | コイン怪獣カネゴン | 監督-中川晴之助 特技監督-的場徹 脚本-山田正弘 |
1966/4/17 | 16 | 28 | ガラモンの逆襲 | 隕石怪獣ガラモン 宇宙怪人セミ人間 |
監督-野長瀬三摩地 特技監督-的場徹 脚本-金城哲夫 |
1966/4/24/ | 17 | 9 | 1/8計画 | 1/8縮小人間 | 監督-円谷一 特技監督-有川貞昌 脚本-金城哲夫 |
1966/5/1 | 18 | 24 | 虹の卵 | 地底怪獣パゴス | 監督-飯島敏宏 特技監督-有川貞昌 脚本-山田正弘 |
1966/5/8 | 19 | 23 | 2020年の挑戦 | 誘拐怪人ケムール人 | 監督-飯島敏宏 特技監督-有川貞昌 脚本-金城哲夫、千束北男 |
1966/5/15 | 20 | 26 | 海底原人ラゴン | 海底原人ラゴン | 監督-野長瀬三摩地 特技監督-的場徹 脚本-山浦弘靖、大伴昌司、野長瀬三摩地 |
1966/5/22 | 21 | 18 | 宇宙指令M774 | キール星人 ルパーツ星人 宇宙エイ ボスタング |
監督-満田かずほ 特技監督-的場徹 脚本-上原正三 |
1966/5/29 | 22 | 2 | 変身 | 巨人 巨蝶モルフォ蝶 |
監督-梶田興治 特技監督-川上景司 脚本-北沢杏子 |
1966/6/5 | 23 | 14 | 南海の怒り | 大ダコ スダール | 監督-野長瀬三摩地 特技監督-的場徹 脚本-金城哲夫 |
1966/6/12 | 24 | 22 | ゴーガの像 | 貝獣ゴーガ | 監督-野長瀬三摩地 特技監督-的場徹 脚本-上原正三 |
1966/6/19 | 25 | 3 | 悪魔ッ子 | 悪魔っ子(幽体リリー) | 監督-梶田興治 特技監督-川上景司 脚本-北沢杏子 |
1966/6/26 | 26 | 19 | 燃えろ栄光 | 深海生物ピーター(アリゲトータス) | 監督-満田かずほ 特技監督-的場徹 脚本-千束北男 |
1966/7/3 | 27 | 4 | 206便消滅す | 四次元怪獣トドラ | 監督-梶田興治 特技監督-川上景司 脚本-山浦弘靖、金城哲夫 原案-熊谷健 |
1967/12/14 | 28 | 6 | あけてくれ! | 異次元列車 | 監督-円谷一 特技監督-川上景司 脚本-小山内美江子 |
注:28話「あけてくれ!」は、製作は行われたが本放送時には「難解だ」などの理由から放送されず、再放送時(1967年12月14日)に初めて放送され、この時には24話として放送がなされたため、新24話とも呼ばれている。なお本放送では空いた7月10日に、放送前日に杉並公会堂で収録されたウルトラマン前夜祭 ウルトラマン誕生が放送された。
- 本作品は海外で放送することも前提に制作され、本編のタイトル・スタッフを表示するタイトルテロップが別に制作されていた。そのため、1980年代の再放送や、東映からの最初のビデオの発売時では、タイトルテロップが殆ど存在しておらず、東映や各放送局は独自のテロップを本編に挿入していた。このせいで、1984年の朝日放送での再放送時は25話「悪魔ッ子」は「悪魔っ子」と誤表記で放送された。
- 尚上記の怪獣名は本編内では語られず、後に後付で設定されたものも少なくない。
[編集] 未使用シナリオ
[編集] 視聴率(本放送時)
- 初回視聴率:32.2%
- 平均視聴率:32.4%
- 最高視聴率:36.8%(1966年3月27日放送、1966年4月3日放送)
- 最低視聴率:26.9%(1966年年5月22日放送)
視聴率はニールセン調べ、関東地区。
[編集] 関連項目
TBS系 タケダアワー | ||
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