藤子・F・不二雄
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藤子・F・不二雄（ふじこ・エフ・ふじお、本名：藤本 弘（ふじもと ひろし）、1933年12月1日 - 1996年9月23日）は日本の漫画家。富山県高岡市出身、富山県立高岡工芸高等学校・電気科卒。血液型O型。安孫子素雄（藤子不二雄A）と共に藤子不二雄としてコンビを組み作品を発表した。代表作はドラえもん。
目次 |
[編集] プロフィール
1951年、安孫子と共に毎日小学生新聞に投稿した『天使の玉ちゃん』が見事採用され、共に17歳にして漫画家デビューを果たした。2人は博学博識で、そこから生まれるユニークかつユーモア溢れるアイディアは数知れない。その後、オバケのQ太郎、パーマン、ドラえもん等の大ヒット作にめぐまれる。1987年にコンビを解消し、藤子不二雄Ⓕとして活動を始めたが、約1年後藤子・F・不二雄に改名した。詳しくは藤子不二雄の略歴を参照。
- 1982年：小学館漫画賞児童部門 受賞（『ドラえもん』）
- 1989年：映画特別功労賞、ゴールデングロス賞 受賞
- 1994年：第23回日本漫画家協会賞文部大臣賞受賞
- 1996年9月20日：大長編ドラえもん『のび太のねじ巻き都市冒険記』を執筆中に鉛筆を持ったまま意識を失う。
- 1996年9月23日：肝不全のため62歳で死去。
- 1996年：アニメーション神戸96’ 読売賞 受賞（アニメーションの文化と産業振興への寄与に対して）
- 1997年：第1回手塚治虫文化賞 マンガ大賞 受賞（『ドラえもん』）
- 2006年：川崎市の生田緑地内に「藤子・F・不二雄アートワークス（仮）」という記念館が設立されることが正式に発表される（2011年頃完成予定）。
[編集] 作品
小学館の児童向け学習雑誌やコロコロコミックで児童向け漫画を描く一方、ビッグコミック等で大人向けのSF短篇漫画も描いた。ただ、藤子・F・不二雄のいうSFとは「すこし・不思議」という意味であるが、内容を見てみるとサイエンスフィクションの流れも汲んでおり、少しややこしい。以下の作品は設定された世界がリンクしていることも多々あり、ある作品のキャラクターが越境して他作品に登場したり、後日談や前史が語られることもある。その詳細は作品別のリンク先で記す。
[編集] パーマン
『パーマン』は、運動、勉強ともに苦手だが正義感の強い小学生や猿がスーパーマン（後に著作権の関係（藤本の場合、「スーパーマン」を固有名詞として扱うため敢えて別名を使用）でバードマンと改称）から貰ったマスク、マント、バッチのパーマンセットを装着することでパーマン（＝半人前スーパーマン）になり様々な悪や天災等に立ち向かうSF漫画。ギャグ漫画の要素を基幹にしつつ、悪や災害に複数のパーマンチームで創意工夫しながら立ち向かい、苦境を打破していくカタルシス感と、正体がばれると掟により廃人（後に動物に変更）にされてしまうというスリルを併せ持っている。
- 連載期間：1967年 - 1968年（「週刊少年サンデー」小学館学習雑誌）、1983年 - 1986年（「コロコロコミック」、小学館学習雑誌、「てれびくん」）
- アニメ1967年 - 1968年、1983年 - 1985年、2003年（映画）、2004年（映画）
[編集] 21エモン
『21エモン』は外惑星からの観光客が訪れるようになった21世紀の未来を舞台に、江戸時代から続くホテル・つづれ屋の21代目の跡取り息子である21エモンが、ホテルで働いたり遊んだり、そして宇宙を冒険したりするSF漫画。
[編集] ウメ星デンカ
『ウメ星デンカ』は、故郷のウメ星が爆発してしまったため地球に逃れてきたウメ星の王室一家が、平凡な地球の庶民の家に居候し、主人公の殿下（デンカ）が超能力と不思議な壺を駆使して様々な騒動を巻き起こす漫画。「超能力を持った主人公が平凡な家に居候する」という藤子作品の王道コンセプトに、「王族が庶民の家に居候する」という階級間ギャップの面白さも加えた意欲作。
- 連載期間：1968年 - 1970年
- アニメ：1969年、1994年(劇場版)
[編集] モジャ公
『モジャ公』は、ある日、家出を考える空夫のもとに、同じくそれぞれの星で家出をしてきた宇宙人のモジャ公とロボットのドンモが宇宙船でやってきて、3人で宇宙に家出をしたことから始まるSF冒険物語。藤子作品としてはシュールでハードな雰囲気が強い。
[編集] ドラえもん
『ドラえもん』は、藤子・F・不二雄の代表作であり未完作品（厳密に言えば3つの最終回用エピソードがある）。全1345作（当初は1344話とされていたが、その後新たに幻の1話が見つかり計1345話となった）。基本的に一話完結の短編作品。1991年に最後の短編が描かれた。1994年に最後の中編『ガラパ星から来た男』が描かれた。詳細はドラえもんの最終回参照。
ウメ星デンカの後継番組として新連載を思いつくも、主人公のアイデアは、締め切り当日まで思い浮かばなかった。どうしようかと右往左往していたその時、娘が起き上がりこぼし人形につまずいたことが、人気キャラクター「ドラえもん」の誕生につながる。
[編集] 大長編ドラえもん
「大長編ドラえもん」は、毎年春に公開される『ドラえもん』の長編アニメ映画の原作漫画である。映画公開に先立って小学館の児童向け漫画雑誌「コロコロコミック」で毎年数ヶ月かけて連載された。映画原作としての性質上、初めから単行本1巻分のページ数（およそ180ｐ前後）で完結することを目処に製作されており、通常雑誌での連載や読切または書き下ろしと言った発表形態が取られる商業マンガ作品の中では珍しい形で製作されたシリーズでもある。
1996年9月から連載していた『のび太のねじ巻き都市冒険記』が藤子・F・不二雄の最後の作品となった。初回カラー・ページの原稿を執筆した後に病床に伏せたため、12月以降は、藤子・F・不二雄のストーリーをもとに藤子プロの手によって翌年の3月まで連載が続いた。藤子・F・不二雄が最後まで完成させた作品は、この前年1995年の『のび太と銀河超特急』である。
1998年以降は、藤子プロによって映画の漫画版が描かれている。 2005年のアニメのリニューアルに伴って次の2006年の映画「のび太の恐竜2006」は、初のリメイクとなった。
- 連載期間：1980年 - 1997年
- アニメ映画：1980年 -1997年、2006年 -
[編集] キテレツ大百科
『キテレツ大百科』は、発明家の先祖が残した、不思議な発明品の製造方法を記載した4冊の書物「奇天烈大百科」を手に入れた小学生・木手英一が、書物の発明品を次々に作り出していくことから始まる冒険や騒動を描いた作品。
[編集] エスパー魔美
『エスパー魔美』は、主人公・中学二年の佐倉魔美が、同級生のボーイフレンドで天才的な頭脳の持ち主、高畑和夫の超能力の実験を手伝っている過程で自分がエスパーであると確信してしまい、彼の協力も得て、数々の事件を解決していく作品。
藤子・F・不二雄の連載作品としては珍しく全話が単行本化された。
- 連載期間：1977年 - 1982年（漫画雑誌「マンガくん」（後の「少年ビッグコミック」）に創刊号から連載。）
- アニメ：1987年 - 1989年（テレビ朝日系）
- ドラマ：2002年（NHK、ドラマ愛の詩シリーズ）
[編集] SF短編
1969年（昭和44年）から青年誌等に多くのSF短編を発表した。着眼点の面白さや強烈なアイロニー、或いは環境警告的な作品も多く、どれも非常に高いSF性を持つ。本格的なSF作家としての藤子・F・不二雄の名を高める要因となった。いくつかの作品は「藤子・F・不二雄SF（すこし・ふしぎ）短編シアター」のタイトルでアニメ化された他、藤子アニメの吹き替えでお馴染みの肝付兼太率いる「劇団21世紀FOX」によって舞台化されている。全作を収録した全集が2000年 - 2001年に小学館より刊行された（各作品内には現在では不適切とされる表現も少なからずあり、全集発刊にあたってそれらは無難な代替語に改変された）。これらの作品には「地球最後の男」（リチャード・マシスン）や「闘技場」（フレドリック・ブラウン）等のアイデアをそのまま流用したものが目立ち、氏の映画や海外SFへの傾倒ぶりを垣間見せている点も興味深い。
[編集] ミノタウロスの皿
『ミノタウロスの皿』は、藤子・F・不二雄の最初の大人向けSF短編。この頃、少年向けの連載作品が次々に終わっていきビッグコミックから執筆依頼が来たのが彼の大人向け漫画の始まりであった。
[編集] その他の主な作品
- ドジ田ドジ郎の幸運（1970年）
- ヒョンヒョロ（1971年）
- 自分会議（1972年）
- 気楽に殺ろうよ（1972年）
- 換身（1972年）
- ミラクルマン（1973年）
- 定年退食（1973年）
- 休日のガンマン（1973年）
- 権敷無妾付き（1973年）
- ノスタル爺（1974年）
- 間引き（1974年）
- 赤毛のアン子（1974年、エスパー魔美の原型）
- ひとりぼっちの宇宙戦争（1975年）
- ポストの中の明日（1975年）
- 三万三千平米（1975年）
- 分岐点（1975年）
- ウルトラ・スーパー・デラックスマン（1976年）
- おれ、夕子（1976年）
- みどりの守り神（1976年）
- 幸運児（1976年）
- 一千年後の再会（1976年）
- 大予言（1976年）
- 老雄大いに語る（1976年）
- カンビュセスの籤（1977年）
- 未来ドロボウ（1977年）
- オヤジロック（1977年）
- ぼくは神様（1977年）
- 考える足（1977年）
- 宇宙人（1978年）
- 並平家の一日（1978年）
- 流血鬼（1978年）
- 老年期の終わり（1978年）
- 宇宙船製造法（1979年）
- 恋人製造法（1979年）
- 山寺グラフィティ（1979年）
- 創世日記（1979年）
- 四畳半SL旅行（1979年）
- あいつのタイムマシン（1979年）
- メフィスト惨歌（1979年）
- 影男（1979年）
- マイロボット（1979年）
- 神様ごっこ（1979年）
- パラレル同窓会（1979年）
- 絶滅の島（1980年）
- 征地球論（1980年）
- いけにえ（1980年）
- テレパ椎（1980年）
- コマーさる（1980年）
- クレオパトラだぞ（1980年）
- 超兵器ガ壱号（1980年）
- ニューイヤー星調査行（1981年）
- 旅人還る（1981年）
- 白亜荘二泊三日（1981年）
- タイムカメラ（1981年）
- 同録スチール（1981年）
- ミニチュア製造カメラ（1981年）
- 値ぶみカメラ（1981年）
- コラージュカメラ（1982年）
- 求む!求める人（1982年）
- 夢カメラ（1982年）
- 懐古の客（1982年）
- ある日…（1982年）
- 四海鏡（1982年）
- 侵略者（1982年）
- 倍速（1982年）
- タイムマシンを作ろう（1982年）
- 殺され屋（1983年）
- 鉄人をひろったよ（1983年）
- マイシェルター（1983年）
- 異人アンドロ氏（1995年、SF短編最終作）
[編集] 未来の想い出
『未来の想い出』は、藤子・F・不二雄最後の大人向け雑誌連載作品。『ビッグコミック』に連載され、1992年に映画化もされた。
- 連載期間：1991年
[編集] その他の主な作品
- てぶくろてっちゃん（1960年 - 1963年、1966年）
- 進めロボケット（1962年 - 1965年）
- ポコニャン（1970 - 1974年、1975 - 1978年）
- ジャングル黒べえ（1973年）
- ぞうくんとりすちゃん（絵本作品・1974年）
- みきおとミキオ（1974年 - 1975年）
- バケルくん (1974 - 1976年、1984年)
- T. P.ぼん（タイムパトロールぼん）（1978年 - 1979年、1980年 - 1983年、1984年 - 1986年）
- チンプイ（1985 - 1991年）
- 中年スーパーマン佐江内氏（1977 - 1978年）
など多数
[編集] 豆知識
- 近鉄バファローズファン。「小学四年生」1971年1月号で読者の質問に回答。
- 鉄道ファン。鉄道模型が趣味の一つ。1983年にはテレビ番組『ドラえもんヨーロッパ鉄道の旅』にキャラクターと共演している。鉄道、鉄道模型、SL等を題材にした作品も多数。（SF短編「四畳半ＳＬ旅行」、ドラえもん「SLえんとつ」「のび太の模型鉄道」「天の川鉄道乗車券」、ポコニャン「ダイナミックもけい鉄道」等）
- 大の恐竜好きで知られ、仕事机にも始祖鳥の化石のレプリカやティラノサウルスのプラモ、果てには本物のディプロドクスの尾の骨まで手に入れた。
- 編集部がドラえもんの登場人物の一人であるジャイ子の本名を募集しようという話を持ち込んだところ、暫く考えた後に、本名を決めると同じ名前の子どもがいじめられるといけないから、との理由で結局決めなかった。その後藤子・F・不二雄は死去したので、ジャイ子の名前はいまだに公式に「不明」である。作者の子どもに対する気遣いが伺えるエピソードである。
- 初の専属アシスタントに『まいっちんぐマチコ先生』で知られるえびはら武司がいた。むぎわらしんたろうもアシスタントとして晩年の藤本を支え、一緒に劇を見たり途中で蕎麦を食べるなどとかなり親密な関係だった。またむぎわらが描いた漫画に細かい部分まで指導したり、『ドラえもん』単行本の表紙を任せるなど、後進としても目をかけていた。
- ドラえもんの道具を将来誰かが発明しても、その発明した人物には特許は得られない。その理由は原作者の『藤子・F・不二雄』がアイデアとされているため。現在、ドラえもんの道具について知的財産権で大きく取り入れている。しかしそれに伴う新技術の特許などは得られると思われる。
- 追悼番組（NHK教育テレビにて放送）で、フェミニストで知られる福島瑞穂（現・参議院議員）が、藤子不二雄Aの前で「しずかちゃんのキャラクターは男社会の理想の女性像だ。その辺が藤子先生の限界だ」と発言した。しかし、藤子作品にはエリ（チンプイ）や魔美（エスパー魔美）など必ずしもそうでないキャラクターもおり、しずか自身も原作の方がアニメ版と比べドライな性格である。
[編集] 1996年9月23日逝去
- 藤子不二雄Ａのコメント「気持ちは混乱していまして、正直言って今朝からずっと足ががたがた震えてて、すごく残念でしょうがないんです。
彼はたいへんな天才だったと思うんですね、僕なんか彼がいたから漫画家になれたようなものでね。すごくピュアな気持ちの男だったですね。」（仮通夜にて）
- 大山のぶ代のコメント「本当のお葬式の日、ドラえもん、のび太くん、しずかちゃん、ジャイアン、スネオ、ママ、パパみんなで先生を送りたいと思います。」と涙をこぼしながら語っていた。
