イットリウム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
|
|||||||||||||
一般特性 | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称, 記号, 番号 | イットリウム, Y, 39 | ||||||||||||
分類 | 遷移元素 | ||||||||||||
族, 周期, ブロック | 3 (IIIA), 5 , d | ||||||||||||
密度, 硬度 | 4472 kg/m3, __ | ||||||||||||
色 | 銀白色 |
||||||||||||
原子特性 | |||||||||||||
原子量 | 88.90585 amu | ||||||||||||
原子半径 (計測値) | 180 (212) pm | ||||||||||||
共有結合半径 | 162 pm | ||||||||||||
VDW半径 | データなし | ||||||||||||
電子配置 | [Kr]4d15s2 | ||||||||||||
電子殻 | 2, 8, 18, 9, 2 | ||||||||||||
酸化数(酸化物) | 3 (弱塩基性酸化物) | ||||||||||||
結晶構造 | 六方最密構造 | ||||||||||||
物理特性 | |||||||||||||
相 | 固体 (__) | ||||||||||||
融点 | 1799 K (2779 °F) | ||||||||||||
沸点 | 3609 K (6037 °F) | ||||||||||||
モル体積 | 19.88 ×10-3 m3/mol | ||||||||||||
気化熱 | 363 kJ/mol | ||||||||||||
融解熱 | 11.4 kJ/mol | ||||||||||||
蒸気圧 | 5.31 Pa (1799 K) | ||||||||||||
音の伝わる速さ | 3300 m/s (293.15 K) | ||||||||||||
その他 | |||||||||||||
クラーク数 | 0.003 % | ||||||||||||
電気陰性度 | 1.22 (ポーリング) | ||||||||||||
比熱容量 | 300 J/(kg*K) | ||||||||||||
導電率 | 1.66 106/m Ω | ||||||||||||
熱伝導率 | 17.2 W/(m*K) | ||||||||||||
第1イオン化エネルギー | 600 kJ/mol | ||||||||||||
第2イオン化エネルギー | 1180 kJ/mol | ||||||||||||
第3イオン化エネルギー | 1980 kJ/mol | ||||||||||||
第4イオン化エネルギー | 5847 kJ/mol | ||||||||||||
第5イオン化エネルギー | 7430 kJ/mol | ||||||||||||
第6イオン化エネルギー | 8970 kJ/mol | ||||||||||||
第7イオン化エネルギー | 11190 kJ/mol | ||||||||||||
第8イオン化エネルギー | 12450 kJ/mol | ||||||||||||
第9イオン化エネルギー | 14110 kJ/mol | ||||||||||||
第10イオン化エネルギー | 18400 kJ/mol | ||||||||||||
(比較的)安定同位体 | |||||||||||||
|
|||||||||||||
注記がない限り国際単位系使用及び標準状態下。 |
イットリウム (Yttrium):原子番号 39 の元素。元素記号は Y。希土類元素の一つ。スカンジウム族元素の一つでもある(遷移金属にも含まれる場合あり)。灰色の金属。常温、常圧で安定な結晶構造は、六方最密充填構造 (HCP) で、比重は 4.47、融点は摂氏 1520℃、沸点は摂氏 3300℃(融点、沸点とも異なる実験値あり)。空気中で表面は酸化されるが、内部までは侵されない。酸には易溶だが、アルカリには溶けない。熱水と反応する(水とはゆっくり反応)。原子価は +3価。
[編集] 用途
コバルト、鉄との合金は永久磁石として利用される。赤色の蛍光体、高圧水銀灯などに利用される。また、イットリウム-アルミニウム-ガーネット(Y3Al5O12: YAG)はレーザー発振に使われる(→YAGレーザー)。
セラミックスの原料にイットリウムを混ぜると、セラミックスの耐久性が増す場合がある。
イットリウムを含む銅酸化物(YBCO系)は、液体窒素温度(およそ77 K)より高い転移温度を持つ超伝導物質(→高温超伝導)である。
イットリウムを含む酸化物はカラーテレビの赤色蛍光体として利用されている。
[編集] 歴史
1794年にガドリン(J.Gadolin)が新元素として発見。始めはイットルビアと呼ばれた。これは、スウェーデンの小さな町イッテルビーにちなんで名づけられた。イッテルビーからは、イットリウム(Yttrium)の他、イッテルビウム(Ytterbium)、テルビウム(Terbium)、エルビウム(Erbium)、と合計4つの新元素が発見されている。これらの新元素はいずれも、イッテルビー(Ytterby)から名称の一部をとって、命名された。
[編集] イットリウムの化合物
- Y3Fe5O12(YIG:イットリウム-鉄-ガーネット)
- YVO4
- YB66(分光結晶として有用)