総武快速線
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総武快速線(そうぶかいそくせん)とは、東日本旅客鉄道(JR東日本)総武本線の東京都墨田区の錦糸町駅から千葉県千葉市中央区の千葉駅間のうち快速線を指す。また、一般的にはそれに加え東京都千代田区の東京駅から東京都墨田区の錦糸町駅間を単独、及びこの区間を合わせて指す路線である。
運転される列車は快速列車が主であり、通勤快速や成田エクスプレスをはじめとした特急列車もこの路線で運行されている。
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[編集] 運転状況
[編集] 快速
総武快速線で主に運転されている種別である。東京~千葉間で運転され、千葉駅以東で引き続き総武本線・内房線・外房線と、また東京駅からは横須賀線と相互直通運転している。千葉駅以東の乗入区間として、総武本線成東駅(通勤時間帯のみ)、外房線上総一ノ宮駅(外房快速:一部時間帯を除き毎時1往復程度)、内房線君津駅(内房快速:毎時1往復)、成田線成田空港駅(エアポート成田:毎時1往復)、そして成田線香取駅経由で鹿島線鹿島神宮駅(通勤時間帯のみ)まで、概ね総武・内房・外房方面へ各毎時1本ずつ程度が乗り入れる。成田空港駅まで行く列車は特にエアポート成田と呼ばれるが、停車駅などは他の快速と同じである。逆に成田空港発の電車については、エアポート成田の案内を行なわず、単に快速と案内している。このように直通路線が多岐にわたっているが、駅構内の方面案内や電車内の停車駅案内などでは成田空港駅とを結ぶものをメインとし、「内房快速」や「外房快速」はやや控えめの案内となっている(基本的には京葉線へ誘導する政策が取られている)。方面案内では直通路線先の駅としては成田空港がまず最初に記載(発車案内の電光表示などで飛行機のロゴも一緒に描かれることが多い)され、また停車駅案内では成田空港とを結ぶ帯が太くなっている。
[編集] 通勤快速
1994年12月3日運転開始。平日のラッシュ時に運転される。上りは朝に2本(2本とも成田発横須賀線直通逗子行)、下りは夜に1本(東京発成田行)が運転されている。
[編集] ホームライナー
平日には東京駅から3本、新宿駅から1本、ホームライナー千葉が千葉駅まで運転される。土・休日にはホームライナー津田沼が新宿駅から津田沼駅まで1本、夜にホームライナーとして運行される。座席定員制で乗車にはライナー券が必要である。
[編集] 特急
総武快速線を走行する2005年3月現在の定期の特急列車は以下のとおり。詳細は各列車記事参照。
[編集] 沿革
- 総武本線の歴史も参照されたい。
[編集] 複々線化前の「快速」
房総方面の国鉄の鉄道路線は、1968年までは総武本線の御茶ノ水駅~千葉駅までのみが電化されているに過ぎず、他の路線は非電化の状況であった。千葉・房総方面において機関車牽引でない“電車”は中央緩行線に直通する総武線国電(御茶ノ水から千葉までの各駅に停車)のみで、それ以外はSLやディーゼル機関車が走る関東でも電化整備の遅れた地域であった。
1968年3月28日に総武本線・成田線の千葉~佐倉~成田間の電化が完成、同年7月13日に千葉~木更津間の電化が完成し、同区間に電車が走れるようになり、同年10月1日より中央線の中野駅始発で成田駅・木更津駅へ毎日1時間に1~2本程度、総武線の快速電車が走り始めた。国電区間内の停車駅は中野~(中央緩行線内各駅停車)~御茶ノ水・秋葉原・両国・新小岩・市川・船橋・津田沼・千葉(~成田・木更津)で、車両は各駅停車と同じくカナリアイエロー色の101系電車を使用していた。この頃は複々線化される前であり、この快速は現在の総武快速線とは本質的には異なるものといえるが、停車駅など後の総武快速線に踏襲されている部分もある。
[編集] 通勤五方面作戦
また高度経済成長を迎えた頃、総武線も朝のラッシュ時を中心に他の東京近郊の主要路線同様、混雑を極めていた。そのため「通勤五方面作戦」と称する都市近郊各線輸送力増強計画の一環として、総武本線では快速線と緩行線を分ける複々線化を計画した。快速線新設に関する計画は以下の通り。
- 横須賀線品川駅~東京駅~錦糸町駅を地下トンネルで新設。
- 錦糸町駅~千葉駅間を複々線化。前述の東京駅~錦糸町駅間とあわせ、快速電車などを運行する。
- 総武快速線及び房総ローカル線運用の113系、房総特急の183系、房総急行の153系、165系を収容する幕張電車区を津田沼駅-幕張駅間に新設。
[編集] 複々線化後
- 錦糸町駅~津田沼駅間複々線化完成に伴い総武快速線運行開始。総武快速線用車両として国鉄113系電車を投入した。快速線には上記の快速電車の停車駅であった新小岩駅・市川駅・船橋駅・津田沼駅と、東京方面と御茶ノ水方面の分岐駅となった錦糸町駅にホームを設置した。西船橋駅は営団地下鉄東西線(当時)への乗客の逸走を防ぐため、増築は見送られた。
- また、従来両国駅および中央本線新宿駅より運転されていた急行列車を振り分け、格上げする形で特急列車「さざなみ」・「わかしお」が新設された。
- 津田沼駅までの複々線化であったので、津田沼~千葉間は各駅停車と快速・特急などが同じ線路を利用した。なお快速は津田沼~千葉間はノンストップであった。
- なおこれにより、快速列車の停車駅からは、それまで秋葉原駅で乗り換える必要があった東京駅へ直通で行く事ができるようになったため、沿線住民からは絶賛の声で迎えられ、並行して走る京成電鉄から大量に乗客を奪った。同じ通勤五方面作戦による複々線化でも、対策の甘さから「迷惑乗り入れ」と呼ばれる事になってしまった常磐線のそれとは対照的である。
- 東京駅の混雑緩和のため、暫定的に既成線である東京駅~品川駅までの地下線を使用し、朝夕のラッシュ時に品川駅乗り入れを開始。後に朝夕ラッシュ時以外の時間帯にも乗入れを実施。
- 1980年(昭和55年)10月1日
- 津田沼駅~千葉駅間の複々線化工事が終了。複々線化以前は快速通過駅であった稲毛駅にホームを建設。10月1日のダイヤ改正より稲毛駅に快速電車が停車することとなった。
- 1991年(平成3年)
- 京葉線の東京駅乗り入れおよび「成田エクスプレス」の運行開始。総武快速線を走行する特急については「しおさい」および成田線を経由する系統についてのみの運行となり、内房線・外房線のものは新宿駅および、中央本線方面からの臨時列車のみとなる。成田空港へは成田エクスプレス(1時間に1~2本)と快速電車(1時間に1本)が乗り入れるようになった。
- 1999年(平成11年)
- (横須賀線)品川~錦糸町間、ATCからATS-Pに変更。ATCの設備老朽化に伴うもので、ATS-PがATC並みの性能を持つ事が実証された上に、既に横須賀線や総武快速線の残りの区間でATS-Pが導入されていた事から、それに統一する事になった為である。
[編集] 停車駅
駅名 | 快速 | 通勤快速 | ホ|ムライナ| | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|
横須賀線直通運転 | ||||||
東京駅 | ● | ● | ● | 東海旅客鉄道:東海道新幹線 東日本旅客鉄道:東北新幹線、上越新幹線、長野新幹線、中央線(快速)、山手線、京浜東北線、東海道線、横須賀線(直通運転)、京葉線 東京地下鉄:○丸ノ内線(M-17)、○東西線(大手町駅:T-09) |
東京都 | 千代田区 |
新日本橋駅 | ● | ● | | | 東京地下鉄:○銀座線(三越前駅:G-12)、○半蔵門線(三越前駅:Z-09) | 中央区 | |
馬喰町駅 | ● | ● | | | 都営地下鉄:○浅草線(東日本橋駅:A-15)、○新宿線(馬喰横山駅:S-09) | ||
錦糸町駅 | ● | ● | | | 東日本旅客鉄道:中央・総武線(各駅停車)(秋葉原・新宿方面) 東京地下鉄:○半蔵門線(Z-13) |
墨田区 | |
新小岩駅 | ● | | | | | 葛飾区 | ||
市川駅 | ● | | | | | 千葉県 | 市川市 | |
船橋駅 | ● | ● | | | 東武鉄道:野田線 京成電鉄:本線(京成船橋駅) |
船橋市 | |
津田沼駅 | ● | | | ● | 新京成電鉄:新京成線(新津田沼駅) | 習志野市 | |
稲毛駅 | ● | | | ● | 千葉市稲毛区 | ||
(黒砂信号場) | | | | | | | |||
千葉駅 | ● | ● | ● | 東日本旅客鉄道:総武本線(成東方面)(直通運転)、成田線(成田・成田空港・佐原方面)(直通運転)、内房線(直通運転)、外房線(直通運転) 京成電鉄:千葉線(京成千葉駅) 千葉都市モノレール:1号線、2号線 |
千葉市中央区 | |
総武本線成東駅・外房線上総一ノ宮駅・内房線君津駅・成田線成田空港駅・鹿島線鹿島神宮駅まで直通運転 |
- この書体の駅は中央・総武線(各駅停車)に連絡。