新京成電鉄新京成線
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新京成線(しんけいせいせん)は、松戸駅と京成津田沼駅とを結ぶ新京成電鉄が運営する鉄道路線。起点は正式には新津田沼駅であるが、従来から松戸方面行を「上り」、京成津田沼方面を「下り」と称している。2006年12月10日から京成千葉線へ片乗り入れを行っている。乗り入れは800形と8900形以外により行われることになっている(将来は京成車による相互乗り入れや運行時間の拡大、京成千原線への乗り入れ区間拡大も検討している)。
台地の分水嶺にそったルートであるため、河川を渡る橋梁が一つもないという珍しい路線である。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄:新京成電鉄(第一種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):26.5km
- 軌間:1435mm
- 駅数:24駅(起終点駅含む)
- 複線区間:京成津田沼~新津田沼間を除く全線
- 電化区間:全線(直流1500V)
- 閉塞方式:自動閉塞式
- 保安装置:新京成電鉄・京成電鉄・北総鉄道・京浜急行電鉄・芝山鉄道・都営地下鉄浅草線で使用されている1号型ATS。C-ATSに更新予定。
- 車両基地所在駅:くぬぎ山駅
[編集] 運行形態
すべて普通列車(各駅停車)で、京成津田沼~松戸間の全線通し運転を基本とする。朝晩に車両基地(本社)のあるくぬぎ山発着の列車があり、朝ラッシュ時には新津田沼折り返し列車がある。
運転間隔は朝ラッシュ時4分毎(京成津田沼~新津田沼間は単線であるため当該区間に限り8分毎)、日中10分毎、夕ラッシュ時8分毎である。
車両については新京成電鉄を参照のこと。
[編集] 歴史
路線の多くが旧日本陸軍鉄道連隊が演習用に敷設した線路を第二次世界大戦後京成電鉄に払い下げられたものという極めて珍しい歴史を持つ路線で、この演習線は、様々な形の線路を敷く演習をする必要があったことから、極端に曲がりくねった線形となっていた。軌間も762mm(2フィート6インチ)と極端に狭かった。京成の手に入ったときに1067mm(3フィート6インチ)にされたが、これは当時の地方鉄道法が既設線の延伸以外には1372mmによる新規建設を認めていなかった事による。その後も京成にあわせて2度(1067mm→1372mm→1435mm)改軌した。
旅客線として開業する際に直線化できる所は直線化したが、現在でも線形は悪く、移動距離に対する道程が長い。また、鉄道連隊演習線跡地の買収を巡っては西武鉄道も名乗りを上げて争っていたが、京成電鉄に軍配が上がる。
かつては松戸~柴又間の免許も取得していて、松戸市内では路線用地も買収していたが千葉大園芸科や柴又駅周辺の反対にあって計画は頓挫。未成のまま1971年頃に免許失効している。
新津田沼駅は、現在の位置に落ち着くまで、駅舎の位置や路線がかなり変わっている。以前は新津田沼駅と京成津田沼駅へ、2つの路線があったが、現在はかなりの急カーブで1つの線にまとめている。くわしくは新津田沼駅参照。このカーブは通るときにレールと車輪がこすれる音で耳が痛くなるほどのカーブである。 さらに、つり革がかなり揺れる(通称、つり革のダンス)。
なお、この新津田沼駅と京成津田沼駅の区間は、京成電鉄第二工場(現イオン津田沼ショッピングセンターの場所に1982年(昭和57年)頃まで存在した)への引込み線(京成電鉄に所属する構内側線)の扱いで、京成線の改軌期間中は先行して改軌が行われた新京成線の1435mmと京成線の1372mm軌間を、中心をずらして4本のレールを敷設したこともあった。京成線車両の第二工場への出入りは主に深夜に行われていた。京成電鉄の車両工場が宗吾参道に移転した後の1987年(昭和62年)頃に新京成電鉄へ移管された。
なお、新京成線には現在優等列車は走っていないが、かつては京成千葉線方面へ急行「九十九里号」を運行していたことがある(ただし京成青電車両のみ。その他に京成上野始発の同名列車もあり(上野発は赤電も使用))。
- 1947年12月27日 新津田沼(初代)~薬園台間(2.5km)開業(1067mm軌間)
- 1948年8月26日 薬園台~滝不動間(4.1km)開業。
- 1949年1月8日 滝不動~鎌ヶ谷大仏間(3.1km)開業。
- 1949年10月17日 鎌ヶ谷大仏~鎌ヶ谷初富(現:初富)間(2.1km)開業
- 1953年10月21日 全線1372mmに改軌。
- 1953年11月1日 京成津田沼~新津田沼(二代目)~前原間(2.3km)開業。新津田沼(初代)~前原間(1.2km)廃止。
- 京成電鉄第二工場への構内側線の扱い
- 1955年4月21日 鎌ヶ谷初富~松戸間(13.3km)開業、新京成線全線(単線)開業。
- 1959年8月18日 全線1435mmに改軌。
- 1961年8月23日 新津田沼(三代目)~前原間(1.1km:現新津田沼駅より前原寄り300m)開業。新津田沼駅(二代目)は藤崎台駅に改称。
- 1961年11月25日 八柱~松戸間複線化。
- 1962年8月21日 五香~八柱間複線化。
- 1963年10月26日 前原~高根公団間複線化。
- 1964年8月12日 高根公団~鎌ヶ谷大仏間複線化。
- 1965年6月29日 くぬぎ山~五香間複線化。
- 1968年5月14日 新津田沼駅(四代目)現在地に移転。京成津田沼~新津田沼(四代目)間(移転分を含め1.5km)開業。京成津田沼~藤崎台~前原間(2.3km)廃止。
- 1968年5月15日 新津田沼~前原間 複線化。
- 1975年2月7日 鎌ヶ谷大仏~くぬぎ山間複線化され、新津田沼~松戸間複線化。
- 1979年3月9日 北総開発鉄道線(当時)と相互直通運転開始。
- 1984年3月19日 住宅・都市整備公団線(当時)と相互直通運転開始。
- 1992年7月8日 新鎌ヶ谷駅開業。北総・公団線(当時)との相互直通運転廃止。
- 2004年2月22日 鎌ヶ谷市内連続立体交差事業のため一部(北初富~初富駅間)仮線に切り替え。
- 2006年12月10日 京成千葉線への片乗り入れ実施。これによって千葉方面と新鎌ヶ谷・松戸方面が乗り換えることなく結ばれる。
- 2010年 北初富~初富駅間の高架線が完成する予定。
[編集] 駅一覧
駅名 | 駅間 キロ |
累計 キロ |
接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|
松戸駅 | - | 0.0 | 東日本旅客鉄道:常磐線 | 千葉県 | 松戸市 |
上本郷駅 | 1.7 | 1.7 | |||
松戸新田駅 | 0.7 | 2.4 | |||
みのり台駅 | 0.6 | 3.0 | |||
八柱駅 | 0.8 | 3.8 | 東日本旅客鉄道:武蔵野線(新八柱駅) | ||
常盤平駅 | 1.8 | 5.6 | |||
五香駅 | 1.8 | 7.4 | |||
元山駅 | 1.3 | 8.7 | |||
くぬぎ山駅 | 0.9 | 9.6 | 鎌ケ谷市 | ||
北初富駅 | 1.7 | 11.3 | |||
新鎌ヶ谷駅 | 0.8 | 12.1 | 北総鉄道:北総線 東武鉄道:野田線 |
||
初富駅 | 1.2 | 13.3 | |||
鎌ヶ谷大仏駅 | 2.1 | 15.4 | |||
二和向台駅 | 0.9 | 16.3 | 船橋市 | ||
三咲駅 | 0.8 | 17.1 | |||
滝不動駅 | 1.4 | 18.5 | |||
高根公団駅 | 1.0 | 19.5 | |||
高根木戸駅 | 0.6 | 20.1 | |||
北習志野駅 | 0.9 | 21.0 | 東葉高速鉄道:東葉高速線 | ||
習志野駅 | 0.7 | 21.7 | |||
薬園台駅 | 0.8 | 22.5 | |||
前原駅 | 1.4 | 23.9 | |||
新津田沼駅 | 1.4 | 25.3 | 東日本旅客鉄道:総武本線(津田沼駅) | 習志野市 | |
京成津田沼駅 | 1.2 | 26.5 | 京成電鉄:京成本線・千葉線 | ||
京成千葉線千葉中央駅まで直通運転 |
[編集] かつて存在していた駅
- 藤崎台駅(前原~京成津田沼間 1953年11月1日開業、1968年5月14日廃止)
[編集] 利用状況
[編集] 輸送実績
新京成線の近年の輸送実績を下表に記す。 表中、輸送人員の単位は万人。輸送人員は年度での値。表中、最高値を赤色の枠で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色の枠で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色の枠で囲んで表記している。
年 度 | 輸送実績(乗車人員):万人/年度 | 特 記 事 項 | |||
通勤定期 | 通学定期 | 定期外 | 合計 | ||
1975年(昭和50年) | 4397.7 | 1391.5 | 1816.5 | 7605.7 | |
1976年(昭和51年) | |||||
1977年(昭和52年) | |||||
1978年(昭和53年) | 4660.2 | 1458.2 | 2190.9 | 8309.4 | 北総鉄道北総線(当時)と相互直通運転開始 |
1979年(昭和54年) | 4897.3 | 1467.5 | 2277.7 | 8642.6 | |
1980年(昭和55年) | 5083.3 | 1548.2 | 2360.4 | 8992.0 | |
1981年(昭和56年) | |||||
1982年(昭和57年) | |||||
1983年(昭和58年) | 住宅・都市整備公団線(当時)と相互直通運転開始 | ||||
1984年(昭和59年) | |||||
1985年(昭和60年) | 5409.5 | 1716.8 | 2508.3 | 9634.6 | |
1986年(昭和61年) | 5535.5 | 1794.9 | 2591.2 | 9921.6 | |
1987年(昭和62年) | 5693.6 | 1894.3 | 2647.4 | 10235.3 | |
1988年(昭和63年) | 5987.7 | 1981.7 | 2791.8 | 10761.2 | |
1989年(平成元年) | 6123.6 | 2014.4 | 2901.6 | 11039.6 | |
1990年(平成2年) | 6324.5 | 2140.1 | 3050.7 | 11515.3 | |
1991年(平成3年) | 6087.5 | 2059.1 | 3158.2 | 11304.8 | |
1992年(平成4年) | 6116.9 | 2086.7 | 3265.4 | 11469.0 | 新鎌ヶ谷駅開業 北総公団線(当時)との相互運転廃止 |
1993年(平成5年) | 6125.7 | 2065.2 | 3411.7 | 11602.6 | |
1994年(平成6年) | 6097.2 | 2025.4 | 3661.4 | 11784.0 | |
1995年(平成7年) | 6087.9 | 2001.3 | 3651.5 | 11740.7 | |
1996年(平成8年) | 5753.3 | 1780.0 | 3578.6 | 11111.9 | |
1997年(平成9年) | 5589.7 | 1626.6 | 3472.5 | 10688.8 | |
1998年(平成10年) | 5450.9 | 1540.3 | 3420.5 | 10411.7 | |
1999年(平成11年) | 5319.8 | 1485.9 | 3427.2 | 10232.9 | |
2000年(平成12年) | 5210.9 | 1412.4 | 3430.9 | 10054.2 | |
2001年(平成13年) | 5124.7 | 1355.4 | 3479.5 | 9959.6 | |
2002年(平成14年) | 4990.4 | 1327.2 | 3507.3 | 9824.9 | |
2003年(平成15年) | 4971.8 | 1318.1 | 3603.1 | 9893.0 | |
2004年(平成16年) | |||||
2005年(平成17年) | |||||
2006年(平成18年) |
[編集] 収入実績
新京成線の近年の収入実績を下表に記す。表中、収入の単位は千円。数値は年度での値。表中、最高値を赤色の枠で、最低値を青色の枠で囲んで表記している。
年 度 | 旅客運賃収入:千円/年度 | 運輸雑収 千円/年度 |
総合計 千円/年度 |
||||
通勤定期 | 通学定期 | 定期外 | 手小荷物 | 合 計 | |||
1975年(昭和50年) | 1,820,606 | ←←←← | 1,190,971 | 0 | 3,011,577 | 131,734 | 3,143,311 |
1976年(昭和51年) | ←←←← | ||||||
1977年(昭和52年) | ←←←← | ||||||
1978年(昭和53年) | 2,638,668 | ←←←← | 1,839,039 | 0 | 4,477,708 | 171,262 | 4,648,970 |
1979年(昭和54年) | 3,030,630 | ←←←← | 2,088,927 | 0 | 5,119,558 | 204,226 | 5,323,784 |
1980年(昭和55年) | 3,256,123 | ←←←← | 2,286,686 | 0 | 5,542,809 | 240,599 | 5,783,407 |
1981年(昭和56年) | ←←←← | ||||||
1982年(昭和57年) | ←←←← | ||||||
1983年(昭和58年) | ←←←← | ||||||
1984年(昭和59年) | ←←←← | ||||||
1985年(昭和60年) | 4,585,066 | ←←←← | 3,144,182 | 0 | 7,729,248 | 302,645 | 8,031,893 |
1986年(昭和61年) | ←←←← | ||||||
1987年(昭和62年) | |||||||
1988年(昭和63年) | |||||||
1989年(平成元年) | |||||||
1990年(平成2年) | 4,912,010 | 958,377 | 4,180,930 | 0 | 10,051,317 | 442,598 | 10,493,915 |
1991年(平成3年) | |||||||
1992年(平成4年) | |||||||
1993年(平成5年) | 4,724,949 | 929,296 | 4,602,878 | 0 | 10,257,123 | 380,808 | 10,637,931 |
1994年(平成6年) | 4,723,490 | 917,052 | 4,765,521 | 0 | 10,406,063 | 392,940 | 10,799,003 |
1995年(平成7年) | 4,981,672 | 943,989 | 5,105,802 | 0 | 11,031,463 | 399,431 | 11,430,894 |
1996年(平成8年) | 5,124,301 | 927,040 | 5,360,423 | 0 | 11,411,764 | 431,883 | 11,843,647 |
1997年(平成9年) | 4,958,606 | 840,738 | 5,277,437 | 0 | 11,076,781 | 395,802 | 11,472,583 |
1998年(平成10年) | 4,841,544 | 797,483 | 5,210,264 | 0 | 10,849,291 | 451,101 | 11,300,392 |
1999年(平成11年) | 4,730,600 | 770,182 | 5,219,053 | 0 | 10,719,835 | 385,456 | 11,105,291 |
2000年(平成12年) | 4,635,149 | 730,045 | 5,218,532 | 0 | 10,583,726 | 410,653 | 10,994,379 |
2001年(平成13年) | 4,547,525 | 700,352 | 5,307,957 | 0 | 10,55,834 | 385,681 | 10,941,515 |
2002年(平成14年) | 4,429,873 | 685,067 | 5,366,980 | 0 | 10,481,920 | 338,704 | 10,820,624 |
2003年(平成15年) | 4,416,424 | 679,571 | 5,528,151 | 0 | 10,624,146 | 1,449,882 | 12,691,838 |
2004年(平成16年) | |||||||
2005年(平成17年) | |||||||
2006年(平成18年) |
[編集] その他
- 海側と山側
- 多くの鉄道会社で、「海側」「山側」という呼称で方向を表しているが、新京成社内においてもそう呼び分けている。
- 松戸から京成津田沼方向を見て、右側が海側、左側は山側と呼ぶ。(そのまま京成千葉線に進んでいくと、右が海であり、左が陸地となる)
- 社内で使われる用語であり、旅客案内では用いられていない。
- 運行システム
- 2004年頃から運行システムが更新され、発車案内がほぼ全駅設置化・京成線で採用されているタイプに似たものに更新され、駅の自動放送も更新の担当は男性不明、女性は萩原えみこが担当するようになりこのタイプは京成線の一部を除いた主要駅以外の駅や芝山千代田駅にも採用されている。またこのタイプは「京成型」などと呼ばれ、北総線でも従来の京成標準タイプが採用されたがこのタイプに2006年より京成高砂方から順次置き換えられている。