横浜市営バス
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横浜市営バス(よこはましえい-)は、横浜市交通局が運行する路線バスであり、横浜市内中心部を中心に路線を伸ばしている。
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[編集] 概要
横浜市営バスの営業エリアは広く、北はたまプラーザ駅、緑山、東は川崎市の川崎駅西口、大黒海づり公園、安善町、西は亀甲山、東戸塚駅、平戸、南は横須賀市の追浜天神橋と、市内の5割程度をカバーしている。緑区、港北区、鶴見区、旭区、金沢区などではほぼ棲み分けができているといえるが、中心部、特に横浜駅においては京浜急行バス(横浜京急バス)、神奈川中央交通(横浜神奈交バス)、相模鉄道、江ノ島電鉄など実に多くの会社が乗り入れている。
なお、路線廃止や移譲の影響などにより、泉区・栄区の全域や、戸塚区・瀬谷区・青葉区の大部分に横浜市営バスが走らない大きな空白地帯ができている(これらは民営バスの路線が運行されている)。
ほとんどの系統が均一料金であり、一部系統のみ区間料金制を採用している。なお、乗降方式はいずれも前乗り後降りであり、区間料金制の系統に乗車する際は乗車時に乗務員に対して行先を告げる必要がある(停留所に運賃表と乗車方法が掲出されている)。なお、109系統については横浜ベイブリッジを渡る場合は割増料金として大人20円・小児10円が料金に加算される(首都高速を通行するため。同じ高速道路(第三京浜国道)を通行する95系統は割増料金を設定していない。)。また、深夜バスは通常料金の2倍となり、定期券や一日乗車券でも乗車可能であるが、通常料金と深夜料金の差額を支払う必要がある。
経営的には、2003年度は黒字を確保したものの、横浜市交通局は地下鉄事業の赤字やモータリゼーションの進行もあり、依然厳しい状況が続いている。最近では、横浜市営交通あり方検討委員会を開き、不採算路線や民間競合路線の移譲(1・3~5・23・88・94・107・115・116・118・304系統。2006年には新たに40・62・136系統が追加された模様。)など、収入確保やコストダウンに意欲的であると同時に、小型バス路線の開設(2006年度は本牧満坂線及び東本郷線を開設予定:10月)など、きめ細やかなバスサービスを実施し、新たな需要確保に邁進している。
このような状況から、2006年2月20日に、一部不採算路線からの撤退のため、神奈川県生活交通確保対策地域協議会に計35区間(関連系統は計39系統)の退出意向を提出した。また、8月31日には、追加して計49区間(計67系統)の退出意向が提出された。これらは地域住民に与える影響が大きいため、地域での説明会などがその後に開催されたが、反発は非常に強いものとなっている。また、横浜市道路局が「横浜市生活交通バス路線維持制度」として一部の廃止予定の路線については補助を行う形で民間に譲渡し運行を行わせる方針を10月16日に発表し、翌11月6日から運行事業者を募っている。但し、運行を実施できる事業者などが現れない路線については、2007年度は暫定的に横浜市営バスが運行する予定である。このことは10月下旬に放送されたフジテレビの情報番組「情報プレゼンター とくダネ!」でも取り上げられている。
なお、退出意向該当系統など路線再編の詳細は、横浜市営バス路線の再編成についてが詳しい。
[編集] 沿革
- 1928年11月10日 横浜市営バスが営業を開始する。
- 1933年2月1日 貸切バスの営業を開始する。
- 1935年12月23日 市内遊覧バスの営業を開始する。
- 1959年7月16日 トロリーバスの運行を開始する。
- 1966年11月1日 横浜市交通局再建計画がスタートする。内容は主に横浜市電の廃止であった。
- 1972年3月31日 横浜市電及びトロリーバスを全廃する。
- 1998年11月27日 今後の市営バス事業のあり方検討委員会を設置する。
- 1999年12月9日 今後の市営バス事業のあり方検討委員会が答申を行う。
1928年に急拡大した市域の足を確保する目的で横浜市営バスが誕生したが、これ以前にも市内には横浜自動車や相武自動車、東京横浜電鉄、鶴見臨港鉄道などが既に事業を始めていた。間もなく鶴見区潮田地区で運行していた鶴見自動車商会を買収したが、民営会社の買収はこの1件に留まり、他都市のような市当局による統合は行わなかった。これは当時自動車行政を監督していた神奈川県が市営バスよりも民営バスの育成に注力していた事と、戦時統制の進行過程において周囲の事業者のほとんどが東京急行電鉄の支配下に置かれ、整理統合されてしまったことによっている。このことが、現在でもかなりの線区で民営バス路線と競合していることにつながっている。
[編集] 営業所
横浜市営バスでは、以下の営業所体制で営業している。
- 磯子営業所(神奈川県横浜市磯子区森三丁目1-19)
- 所管系統…4系統、8系統、58系統、61系統、63系統、64系統、70系統、85系統、94系統、99系統、110系統、113系統、117系統、215系統
- 港南営業所(神奈川県横浜市港南区日野南三丁目1-1)
- 所管系統…2系統、45系統、51系統、52系統、100系統、107系統、111系統、112系統、130系統、351系統(51系統深夜バス)、367系統(107系統深夜バス)
- 港北営業所(神奈川県横浜市港北区大豆戸町581)
- 所管系統……13系統、14系統、27系統、38系統、41系統、42系統、67系統、72系統、104系統、121系統、129系統、300系統、303系統、308系統、355系統(41系統深夜バス)、356系統(41系統深夜バス)
- 港北ニュータウン営業所(神奈川県横浜市都筑区大丸23-21)※2006年度末で廃止予定。
- 所管系統……3系統、33系統、73系統、74系統、80系統、88系統、90系統、95系統、301系統、302系統、304系統、305系統、306系統、310系統、370系統(301系統深夜バス)、372系統(305系統深夜バス)
- 浅間町営業所(神奈川県横浜市西区浅間町4丁目340-1)
- 所管系統……26系統、31系統、34系統、35系統、36系統、44系統、50系統、53系統、57系統、59系統、82系統、83系統、87系統、96系統、105系統、106系統、114系統、127系統、201系統、202系統、362系統(50系統深夜バス)
- 滝頭営業所(神奈川県横浜市磯子区滝頭三丁目1-33)
- 所管系統……9系統、10系統、11系統、21系統、60系統、68系統、78系統、93系統、102系統、113系統、133系統、135系統、156系統、158系統、162系統(みなとみらい100円バス)、163系統(同)、219系統、361系統(21系統深夜バス)
- 鶴見営業所(神奈川県横浜市鶴見区生麦一丁目3-1)
- 所管系統……7系統、13系統、15系統、16系統、17系統、18系統、19系統、24系統、27系統、29系統、42系統、46系統、48系統、72系統、86系統、109系統、122系統、128系統、213系統、365系統(13系統深夜バス)
- 保土ヶ谷営業所 (神奈川県横浜市保土ヶ谷区川辺町4-2)
- 所管系統……5系統、22系統、25系統、28系統、32系統、34系統、35系統、47系統、50系統、62系統、75系統、79系統、89系統、101系統、115系統、136系統、151系統(定期観光バス)、210系統、211系統、212系統、218系統、270系統(ハマちゃんバス)、358系統(25系統深夜バス)、374系統(210系統深夜バス)
- 本牧営業所(神奈川県横浜市中区本牧元町45-1)
- 所管系統……8系統、20系統、26系統、54系統、57系統、58系統、91系統、97系統、101系統、103系統、105系統、106系統、126系統、127系統、134系統、148系統、271系統(あかいくつ)、363系統(8系統深夜バス)、364系統(105系統深夜バス)、366系統(103系統深夜バス)
- 緑営業所(神奈川県横浜市緑区白山一丁目10-1)
- 所管系統……1系統、12系統、23系統、36系統、39系統、41系統、56系統、65系統、81系統、82系統、92系統、96系統、119系統、120系統、124系統、353系統(56系統深夜バス)、354系統(119系統深夜バス)、373系統(中距離深夜バス)
- 若葉台営業所(神奈川県横浜市旭区若葉台二丁目15-1)
- 5系統、23系統、40系統、55系統、65系統、115系統、116系統、118系統、136系統、350系統(65系統深夜バス)、360系統(118系統深夜バス)
[編集] 廃止された営業所・派出所
- 磯子営業所金沢派出所
- 1991年5月10日廃止。
- 港南営業所芹ヶ谷派出所(神奈川県横浜市港南区芹が谷3-33-3)
- 1974年12月23日廃止。2006年3月27日まで野庭営業所芹ヶ谷詰所。野庭営業所廃止と共に神奈川中央交通に移譲。
- 浅間町営業所中山出張所
- 1964年12月19日廃止。
- (初代)鶴見営業所(神奈川県横浜市鶴見区生麦4丁目)
- 1981年5月5日廃止。現・港北営業所。
- 西営業所 (神奈川県横浜市西区)
- 1965年7月11日廃止。現・保土ヶ谷営業所。
- 野庭営業所(神奈川県横浜市港南区野庭町637-2)
- 2006年4月1日廃止。
- 緑営業所川和派出所(神奈川県横浜市都筑区川和町2469)
- 1991年6月28日廃止。現・港北ニュータウン営業所川和詰所。
[編集] 市内遊覧バス(定期観光バス「ベイサイドライン」)
横浜市内の名所を巡る市内遊覧バス(定期観光バス)の運行を手掛けている。かつては滝頭営業所が、現在は保土ケ谷営業所が担当しており、書類上の系統は151系統である。
通年設定されているコースは一日コースと半日コース(午前・午後)の3種類があり、いずれも横浜駅東口から出発する。車両は通常の観光バスを使用していたが、近年は観光路線ブルーラインで使われていた2階建てバス(ヨンケーレ)を専用車に充てている。
2005年から夏期限定ではとバスとの共同運行による夜のコースが設定されている。
- 主な見学地(2006年11月現在)
- 過去に設定された見学地
[編集] 臨時営業路線
- 37系統:横浜駅西口~三ツ沢グランド前/東神奈川駅西口~三ツ沢グランド前
かつては市民運動会の開催日に運行されていたが、Jリーグ発足以後は三ツ沢球技場でサッカーの試合が行われる際などに運行されている。運行に際しては全営業所から車両が充当される。
行先表示は「三ツ沢グランド」となっているが、実際は直行便のため途中停留所はすべて通過し、三ツ沢総合グランド入口まで運転する。横浜駅西口発着便については原則として北軽井沢を通るが、横浜駅西口行については翠嵐高校前を通る場合がある。
- 49系統:横浜駅前~大桟橋/桜木町駅前~大桟橋(共に急行運転)
かつては花月園競輪場への送迎バスにこの番号が付されていたが、現在は大桟橋への送迎バスに番号が付されており、横浜港国際客船ターミナルに大型客船が入港した際に運行されることがある。浅間町・本牧営業所が担当。
- 花月園競輪場シャトルバス:鶴見駅西口~花月園競輪場/東神奈川駅前~花月園競輪場/花月園競輪場→東神奈川駅西口→横浜駅西口
花月園競輪場で競輪が開催される日に運行される無料送迎バス。鶴見駅西口発着は港北・鶴見両営業所と臨港バスが運行。東神奈川駅・横浜駅西口方面は鶴見営業所が担当する。横浜駅西口行は花月園競輪場発のみの運行で、途中東神奈川駅西口に停車する。
[編集] 車両
[編集] カラーリング
- 路線バス(大型・中型車)
- 肌色ベースの車体に青色のラインが引いてある。最近はラッピングバスが多くなったが、視覚障害者団体からの要請により、正面はこの塗り分けのまま残してある。(よこはま動物園ズーラシアラッピングバスと横浜国立大学デザイン(元は2002年FIFAワールドカップ決勝PRデザイン)、滝頭・港北営業所CNGノンステップバスのラッピングバスを除く)なお、95年式まで旧塗装、96年式以降は新塗装である。
- 路線バス(小型車)
- オフホワイトに青・緑・橙の3色のラインが引いてあり、遠くから見ても小型車と判るようになっている。
- 2階建てバス
- 白をベースに後ろのエンジン部分に青で横浜の名所が描かれ、横浜ベイブリッジ・日本丸・横浜開港記念館の3種がある。先代のスペースドリームは白をベースに赤と青の帯が斜めに入っていた。
- 観光バス
- クリーム色にピンクと緑の帯を巻き、バンパーより下はダークグレー。現在は1両存在している。
- 1998年の横浜ベイスターズ優勝時には、廃車予定の路線バス1台を20万円かけてオープンバスに改造して、優勝パレードに使用された。当時は仮ナンバー登録だったが、後に補強工事を施した上で正式にナンバーを登録した。各種イベント用に用いられたが、2003年の首都圏排ガス規制により、函館の民間会社に移籍した。
[編集] 車両番号
車両には1~4桁の番号が付けられている。この番号は以下の法則に基づいている。
- 上1桁目は導入された年度を示す(なお、その車両が購入された予算年度に基づいている。つまり、1994年度に導入されたものでも1993年度の予算で購入されれば、3の数字が与えられる。)。
- 下4桁は1桁目がエンジンメーカー、2桁目が用途、残りの2桁が車両番号となる。
[編集] 一般車両を使ったバスツアー
2006年7月22日と23日の2日間、鶴見営業所所属の109系統専用車いすゞ・富士重工7E・KC-LV280Qを使用した「いすゞKC-LV280Qで行くバス好き集まれ!バスツアー」が横浜市交通局協力会(交通局の関連団体)主催で行われた。交通局主催のバスツアーに一般車両が使用されるのは交通局創立以来初めてのことであった。
コースは、桜木町駅を午前9時と午後2時に出発し、前半は横浜の中心部や鶴見営業所の路線をつなぎ合わせてスカイウォークへ向かい、その後車両の公開と撮影会が行われた。後半は、ベイブリッジの下の国道357号線を渡り、山下公園・中華街・港の見える丘公園を抜け、根岸台で折り返しの後、桜木町駅へ戻る約4時間のコースだった。
鶴見営業所所管の路線走行時は、音声合成装置で、実際に停留所の放送が流れたり、また、交通局のイメージキャラクター「はまりん」が桜木町駅での見送りと出迎えの他、途中の停留所で突如出現し乗車するも途中で降りるなど様々なシチュエーションが用意された。
また、2006年11月11日には第2弾として本牧営業所所属の三菱ふそうの超低床型バス(MBMエアロスターK・U-MP628M)を使ったツアーが行われた。この車両は1週間弱で廃車となった。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 横浜市交通局(公式)
- 横浜市営バスの時刻表と所要時間表のページ(非公式)
- ブルーライン(非公式)
大手私鉄 | 東京急行電鉄・小田急電鉄・京王電鉄・京成電鉄・京浜急行電鉄・相模鉄道・西武鉄道・東武鉄道・東京地下鉄 |
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中小私鉄・第三セクター等 | 新京成電鉄・北総鉄道・箱根登山鉄道・埼玉高速鉄道・東葉高速鉄道・横浜高速鉄道・首都圏新都市鉄道・伊豆箱根鉄道・関東鉄道・江ノ島電鉄 |
公営事業者 | 東京都交通局・川崎市交通局・横浜市交通局 |
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