大さん橋
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大さん橋(おおさんばし、大桟橋)は、神奈川県横浜市にある、横浜港大さん橋ふ頭及び横浜港大さん橋国際客船ターミナルの通称。横浜港における客船の発着場であるとともに、横浜港のシンボル的な存在として、観光地としても知られている。
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[編集] 大さん橋ふ頭
横浜港開港後、本格的な港湾施設として、1889年から1894年にかけて作られた。これは460mほどの鉄製の桟橋で、イギリス人技師パーマーの設計による。横浜では「メリケン波止場」(*注)とも呼ばれ、長い間横浜港の中心的な設備として活躍した。
その後、関東大震災による被害に伴う改修や、第二次世界大戦後の連合国軍による接収などを経て、1964年の東京オリンピックにあわせ、客船専用埠頭として改修が行なわれ、船客ターミナルが建設された。その後、船客ターミナルの老朽化に伴い1987年に先代の国際客船ターミナルが建設された。FIFAワールドカップ日韓大会開催で国内外から訪れる観光客に誇れる立派な国際客船ターミナルが必要とされて2002年に現在の施設が建設された。
[編集] 国際客船ターミナル
大型客船が着岸できるターミナルとして作られ、クィーン・エリザベス2世号クラスの客船が2隻着岸できる。建物は、内部に柱・梁がなく、また階段が無くスロープ・エレベータで昇り降りする非常にユニークな構造となっている。また、屋上はウッドデッキ及び芝生広場となっており、24時間自由に出入りできる、公園のような場所となっている。
大桟橋は船客出入国の場であり、横浜港や横浜税関を経由する旅客や移民の出入国の場であった。現在でも外国航路にでるクルーズ客船に乗船する際は、ここで通関や出入国手続きや手荷物検査を行う。
大桟橋は伊豆諸島に向かう東海汽船の定期航路の発着場としても利用されている。
全国的に貨客船定期航路の衰退した1960年代末以降、横浜港も定期客船航路が少なくなり、一方では東京港の客船埠頭整備が進んだ為、東京港や川崎港がフェリー港としての役割を担ったことから、主要旅客港ではなくなった。クルーズ客船の寄港数も神戸港・東京港・大阪港より少なかった。市内からこの現状を憂う声があがり、この現状を打開すべく横浜市は、新しい国際客船ターミナルの竣工にあわせてクルーズ客船の寄港誘致に積極的に乗りだした。その結果、2003年度の横浜港のクルーズ客船の寄港数は、初めて国内第1位になった。
大桟橋は国際船客ターミナルとしての機能を果たしているが、嘗ては日本籍の客船は新港埠頭の4号上屋にあった旅客ターミナルから乗下船していた。昭和初期の日本郵船を筆頭とする欧州航路や北米航路の客船は殆どが新港埠頭の4号上屋から出港しており、出港時は東京から専用臨時列車が横浜港駅まで出ていた。これは戦後も氷川丸引退まで存続した。大桟橋は主に外国籍の客船に利用され、横浜港は上手く機能を使い分けていた。
[編集] 呼称について
現在は「おおさんばし」と読むのが一般的であるが、古くから横浜に住み、あるいは親しんでいる人のうちには、これを「だいさんばし」と読む例がある。この呼称についての歴史や事情は興味深い。
[編集] 新しい愛称「くじらのせなか」
大桟橋屋上のフリースペースは、大型客船の入出港時等は多くの見物客で賑わい、今や横浜の一大観光スポットとなっているが、このスペースをより親しみやすい場所に育てるべく、2006年に横浜市港湾局が愛称を一般から公募した。その結果、桟橋全体を大きなクジラに見立てる形での「くじらのせなか」という物が選定され、同年12月4日、公式な愛称として同港湾局より発表された。
[編集] 関連項目
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