大井川鐵道
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大井川鐵道株式会社(おおいがわてつどう)は、静岡県に路線を有する名鉄グループの中小私鉄である。略称は大鐵(だいてつ)。
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[編集] 概要
鉄道路線は大井川本線と中部電力から運営受託している井川線(南アルプスあぷとライン)を有し、大井川本線は蒸気機関車の動態保存、井川線は日本唯一のアプト式鉄道で有名である。 ローコスト運営の名鉄グループの中でも際立つ低コスト運営と中部電力からの運営受託収益で、地方のローカル鉄道でありながら経営基盤を確立しているのは特筆に価する。
他に寸又峡線の路線バス事業を手がけている。
元々は大井川鉄道という会社名だったが、2000年10月1日に子会社の大鉄技術サービスと合併し(存続会社は大鉄技術サービス)、その翌日、大井川鐵道と商号を改称した。「鉄」を旧字体の「鐵」にしたのは、「鉄は『金』を『失』うと書き縁起が悪いから」だといわれている(わたらせ渓谷鐵道、真岡鐵道などと同様。また、鉄道会社は株券上では旧字体をよく使う)。しかし、地元の静岡新聞など一部マスメディアにおいては現在でも『大井川鉄道』表記を続けている。
蒸気機関車の保存運転を行っている縁から、1977年12月19日にスイスのブリエンツ・ロートホルン鉄道と姉妹鉄道提携を結んでいる(また、それが縁で1996年8月10日にブリエンツ村と金谷町(現島田市)が姉妹都市提携を結んでいる)。1986年1月25日に台湾の阿里山森林鉄道とも姉妹鉄道提携を結んでいる。
運行に旧型客車を使用していることや沿線の風景から、戦前・戦時中に時代設定されているドラマや映画のロケでよく使用される(但しストーリー上の舞台は必ずしも静岡県内とは限らない)。
[編集] 鉄道事業
[編集] 鉄道路線
大井川本線と井川線は極端に建築限界が異なり、共通するのは軌間だけである。
[編集] 車両
[編集] 電車
現在在籍している電車は、全車両が関西に本社を置く大手私鉄からの譲渡車である。運用は大井川本線のみ。
電化後間もない頃は国電の払下げ車両と、西武鉄道からの譲受車両のみで構成されていた。しかし、次第に様々な鉄道から車両を譲受していくようになる。以前はクリームと赤(一部車両は青)の独自の車体色を有していたが、最近では譲受車両に動態保存の意味も込めているため、オリジナルの車体色のまま運用されている。現在の在籍車両は以下の通り。
- 16000系 - 元近鉄南大阪線・吉野線の特急車。3編成在籍する。
- 3000系(2代) - 元京阪京阪本線の特急車。京阪時代「テレビカー」という愛称が付けられていたが、入線時にテレビが撤去されている。軌間の違いにより京阪より譲り受けたのは車体のみで、台車は元営団地下鉄(現・東京メトロ)5000系のものである。
- 421系 - 元近鉄名古屋線の特急車。片側3ヶ所のドアのうち中間のドアが両開、その両端のドアが片開である。名古屋線近鉄名古屋駅~伊勢中川駅間の改軌後、急行用に格下げ使用されていたが、のちに狭軌に戻され養老線に移籍して使用されていた。
- 21001系 - 元南海高野線の急行用車両。通称「ズームカー」。扉間転換クロスシートの残っていた第1・第2編成の先頭車を譲受けた。
[編集] 過去の車両
- 311系 - 元西武鉄道311系。
- 312系 - 元西武鉄道351系。
- 3000形(初代) - 元小田急電鉄の特急車。
- 1900形 - 元小田急電鉄1900形。6000系の電動車として先頭車両が1両のみ譲渡された。
- 3800系 - 元名古屋鉄道3800系。
- 6010系 - 元北陸鉄道加南線6010系「しらさぎ」。2005年にゆかりの地である山中温泉の「道の駅山中温泉 ゆけむり健康村」で保存されている。
- 6050系 - 元北陸鉄道加南線6000系「くたに」。大井川鉄道での愛称は「あかいし」。
- 1100形 - 元岳南鉄道1100形。
- 1000系 - 元伊豆箱根鉄道1000系。
[編集] 電気機関車・ディーゼル機関車
[編集] 動態保存されている蒸気機関車
- 大井川本線用
[編集] 客車
- 大井川本線用
- 井川線用
[編集] 貨車
- 大井川本線用
- 井川線用
形式称号の最初につく「c」は中部電力所有車を意味する。
[編集] バス事業
[編集] バス路線
- 千頭駅~寸又峡温泉
[編集] 関連企業
- 大鉄観光バス
- 南アルプス産業
- 大鉄タクシー
- 大鉄観光サービス
[編集] 外部リンク
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