荷物車
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荷物車(にもつしゃ)とは、新聞など鉄道小荷物運送を積むための鉄道車両の一つ。車両称号は「荷物」の「ニ」とされる。
その多くが旅客用車両から改造されたものであり、中にはスニ41形やマニ44形のように一見したところ本物の「車掌室付き有蓋車」のように見えるものも存在したが、扱い上はあくまでも客車の一つとされている。
鉄道小荷物運送自体は現在でもブルートレインをつかった「ブルートレイン便」や新幹線を使用した「レールゴーサービス」があるが、本来は旅客列車にこれを連結して運行されていた。また、利用者が多い路線ではこれのみで編成された荷物列車も存在した。なお、郵便のみを扱うものは郵便車という。
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[編集] 荷物電車
かつて、国鉄・JRの一部・私鉄の一部には荷物電車が存在した。荷物専用車、荷物・郵便車、あるいは客室と荷物室の合造車であった。JRになってから作られた281系の荷物室付き車両(京都シティエアターミナルでチェックインを受けた航空旅客の荷物輸送用)が最後に新規製造された荷物合造電車で、そして223系0番台の荷物室(大阪シティエアターミナルでチェックインを受けた航空旅客の荷物輸送用)付き車輌が最後に改造された荷物合造電車であったが、この荷物車は1999年に廃止され、全室客室になった。281系も後に廃止されたがこちらは荷物室の構造を現在も残している。ただし「業務用室」という名目での設置なので、「ニ」の記号を付けた車両は登場していない。
荷物電車は運用上、近郊形、急行形の電車と併結して運転されることも多く、歯車比の異なる電車とも協調運転できる構造になっていた。但し、運転最高速度は性能の劣るほうに合わせることになる。
中央東線の塩尻駅と辰野駅(いわゆる大八回りの一部)間その他で用いられる123系電車は、電車で荷物車を入れる編成だと「編成の一番前もしくは一番後ろに連結することになる」という構造上から、「両端に運転台を有しているために最低1両編成で動ける」という利点を生かして、国鉄末期に余剰になった荷物電車・あるいは荷物郵便電車・事業用電車から改造されたものである。
[編集] 主な荷物車
- 電車
- 気動車
- 客車(旧型)
- スニ30
- マニ31
- マニ32
- マニ33
- マニ34(マニ30)
- マニ35
- マニ36
- マニ37
- マニ60
- マニ61
- カニ37(カニ29)
- カニ38
- スユニ60(荷物郵便合造車)
- 客車(新系列)
- 貨車
- ワキ8000
- ワサフ8000
- ※分類上は貨車であるが、小口混載貨物便と共用する目的で造られ、客車の荷物車と同様に運用された。