高松琴平電気鉄道1060形電車
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高松琴平電気鉄道1060形電車(たかまつことひらでんきてつどう1060がたでんしゃ)は、高松琴平電気鉄道が保有していた通勤型電車である。もと阪神電気鉄道5101形5107・5110で1960年川崎車輌製、1981年に入線した。両運転台の制御電動客車の1061・1062の2両が在籍していたが、2006年10月までに全車廃車となった。
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[編集] 車輌来歴
[編集] 琴電入線前
阪神電気鉄道5101形は普通専用車ジェットカーとして製造された。同時期に製造された5201形が片運転台なのに対し、こちらは両運転台車である。1967年に架線電圧昇圧(直流600V→1500V)に伴う改造を受けている。その後、1970年代後半の冷房化推進に際し、新造車に代替されることになり、そちらに電装品など機器を流用するため、1980年に廃車された。
[編集] 琴電入線後
当時、琴電は老朽化した中・小型の増結車に代わる増結車を探していた。 そのため、大型で両運転台の当車が購入された。琴電には車体のみが譲渡され、以下の改造が行われた。
- 片側3箇所にある客用扉のうち、中央の扉を撤去し窓を設置(同形車の客用扉間の窓を流用)。
- 琴電在来車に合わせ、制御方式はHL、制動方式は電磁SMEを採用した。主電動機および台車は、もと京急230形のものを使用している。
- 連結器をバンドン形から密着自動連結器に変更。
- ATSを阪神形から琴電形に交換。
琴電入線後は、主に朝夕ラッシュ時の増結用として使用。 しかし、冷房化推進の為、2005年に1200形1211-1212、1213-1214が入線し、この代替として、同年6月に定期運用を離脱した。このとき、さよなら運転が行われ、1061は廃車・解体された。その後1062は事業用車となり仏生山工場での入れ替などで使用された後、2006年10月に解体された。
なお、本形式ならびに1053形・1063形の廃車に伴い、琴平線の車両から両開きドアの車両が消滅したことになり、また、全て平行カルダン駆動、冷房装置付きの自動加速制御車になった。
[編集] 参考資料
- 畑下学「私鉄フォーラム第32回 高松琴平電気鉄道」、鉄道ダイヤ情報52号、弘済出版社、1988年8月
- 寺田裕一「動く電車博物館Part3 高松琴平電気鉄道」、RailMagazine33号、ネコ・パブリッシング、1986年9月
- 小笠原裕一「REPORT 琴電琴平線車両の動き」、鉄道ファン244号、交友社、1981年8月
高松琴平電気鉄道の電車 |
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現用車両 |
営業用(カルダン駆動・冷房車):600形・700形・1070形・1080形・1100形・1200形 営業用(釣掛駆動・非冷房車):20形III・30形III・60形・1000形・3000形・5000形 事業用:デカ1形・13000形 |
過去の車両 |
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