関東局

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

関東局（かんとうきょく）とは、日本の、中国における租借地である関東州の行政を管轄するために在満州国日本大使館に設けられた部局である。当初は関東都督府と呼称し旅順に置かれたが、関東庁を経て1934年に関東局と再編された。実際の統治は関東州庁が担当した。その後、1945年の日本の敗戦により業務を終了した。

目次 1 ロシア租借地時代 2 関東都督府成立から関東局滅亡まで 3 関東局の組織機構 4 関東局発行の郵便切手

[編集] ロシア租借地時代

日清戦争で日本が清朝から割譲を受けた領土のうち、遼東半島についてはロシア・ドイツ・フランスによる三国干渉で日本は返還した。

1898年にロシアは遼東半島の一部を25年の期限で清朝から租借した。ロシアはここに旅順軍港を築港し、日露戦争には遼東半島は日本とロシアの激戦地となった。

[編集] 関東都督府成立から関東局滅亡まで

戦後のロシア帝国との講和条約であるポーツマス条約で、清朝からの租借地の権利を日本が引き継ぐことになった。ロシア時代のダルニーは大連と改称された。この租借地の名称は関東州であり、当初は軍政が布かれていたが、1906年9月1日に民政に移管され、関東都督府が旅順に設置された。

この関東都督府は関東州の行政だけでなく南満州鉄道の鉄道附属地（鉄道施設および駅周辺に加え炭鉱なども含まれる）の行政も管轄しており、中国大陸における日本の権益確保の役割を担っていた。

その後、関東都督府は1919年9月1日に本庁を大連に移転し、1934年12月26日に関東局と改称した。

なお、関東州の租借地であるが、1915年に中華民国との条約により租借期限を1997年までの99年間に延長された。また、1932年には、関東州が新たに独立した満州国の一部であるとして、租借権の設定を満州国から受けている形式に改定した。更に1937年には、満鉄附属地の行政権を満州国に返還した。

関東局は、最終的には日本のポツダム宣言受諾により、中華民国に返還され瓦解した。

[編集] 関東局の組織機構

• 官房
• 司政部
• 警務部
• 監理部

[編集] 関東局発行の郵便切手

郵便事業は日本郵政当局である逓信省下の関東逓信局が担当していた。

この関東州管内のみで発売された記念切手が発行された事が2度あった。最初は1936年9月1日に発行された関東州始政30周年（3種）であり、2度目は1944年10月1日に発行された関東神宮鎮座記念（2種）である。

関東州始政30周年の図案

• 1銭5厘　関東州の地図と旭光とハト　（刷色　紫色）
• 3銭　　旅順港にある日露戦争戦没兵士の納骨祠と表忠塔　（刷色　焦茶色）
• 10銭　関東庁の建物　　（刷色　暗緑色）

切手画像（外部リンク）

関東神宮鎮座記念

• 3銭、7銭共通　関東神宮の本殿と関東州の地図

切手画像（外部リンク）

なお、この記念切手が日本が戦争中に発行した最後の記念切手となった。

いずれも、日本郵便表記であるが関東州のみの発売であり、内地では切手収集家向けに通信販売されたが、発行数が大変少なく特に関東州始政30周年の最高額であった10銭切手は5万枚しか製造されなかったため、当時からプレミアがついており現在でも日本切手では高価である。