森健兒

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森健兒（もりけんじ、1937年 8月13日 - ）は、広島県福山市生まれ、広島市育ちの元サッカー選手。Jリーグ創設へ大きな舵取り役を果たしたサッカー指導者。前Jリーグ専務理事、前日本サッカー協会専務理事、前日本体育協会理事。現日本サッカー協会名誉副会長。森孝慈は実弟。

[編集] 経歴

両親とも教師で父親も日本体育協会の仕事もしていた。1945年、父親は単身広島市へ転勤となったが、原爆投下の直前更に東京へ転勤となりこのため被爆を免れた。父親はこれを「自分は生かされた」運命と信じ、終戦後広島市の原爆孤児施設・似島学園での福祉活動に従事した。森兄弟もこれに伴い広島市国泰寺町で育った。兄弟で子供の頃からサッカーに熱中。健兒は1953年、広島修道高校1年の時、国体で韮崎高校を自身の決勝ゴールで降し優勝。翌年1954年、同大会準優勝。1956年、慶應義塾大学経済学部進学。1年時に天皇杯優勝、2年時準優勝に貢献。

1960年卒業後、日本サッカーリーグ(JSL)三菱重工業サッカー部（現浦和レッドダイヤモンズ）入部。当時の三菱サッカー部は社員の同好会だった。社業の営業をしながらサッカー部の発展に尽力。1967年、現役引退後は三菱重工業の社業と並行し、二宮寛監督を支えるサッカー部コーチと自らマネージャーを買って出て、他チームに先んじて練習環境の改善、練習時間の確保、後援会作りなどに尽力。その成果は弟・孝慈、杉山隆一、横山謙三、片山洋、落合弘らを擁し1971年天皇杯初優勝、1973年JSL・天皇杯二冠獲得で結実した。

1974年、三菱養和会の総合スポーツクラブ(巣鴨)建設にも大きく関与。当時としては先駆的な施設で、ここで第1回全日本女子サッカー選手権が開催された他、多くのサッカー大会が開催され、またここから多くのJリーガーを生んだ。三菱重工に勤務する傍ら同年、JSLの実質運営団体の常任運営委員。トップの総務主事（現在のJリーグチェアマンにあたる）は日立（現柏レイソル）の名将として知られた高橋英辰だったが、当時、三菱重工の広報課課長で、運営に精通した森がリーダー格となり改革を進めた。1983年、JSLの活性化には、どうしてもプロ化が必要と提唱。この頃、日本サッカー協会の事務局内にあったJSL事務所を強引に引っ越す。同部屋だと何かと都合の悪い事が多かった。この後この場所でプロ化に向けての活発な議論が度々行われたため、結果的に大きな出来事だったと言われている。同年12月、当時、古河電工（現ジェフ千葉）のJSL運営委員だった木之本興三を事務所に専従の事務局長に抜擢。これはJSL発足に尽力した長沼健や平木隆三、西村章一の強い推薦によるものだった。1985年、総務主事となり日本サッカー協会にプロ化の案件を提出。この頃、アマチェア規定で、スポーツを職業とする事は禁じられていたが、外国人選手を含め実際はプロプレーヤーがおり大きな問題となっていた。1982年スペシャル・ライセンス・プレーヤー制度の導入を申請し、日本体育協会を説いてプロプレーヤーを認知させた。以来、アマ規定がスポーツ憲章となり、競技団体によってはアマチェアリズムが崩れる先鞭となったので、これも大きな業績だったといえる。

1986年、社業で名古屋に転勤。総務主事には留まったが、森に次ぐNo2的な石井義信が日本代表監督に抜擢されたことで、木之本がリーダー格となる。1988年 3月17日、JSL内で活性化委員会（プロリーグ化検討委員会）が開催される。メンバー9名は森と木之本の二人で決めたもの。二人と石井、森孝慈、小倉純二、村田忠男、浅野誠也、杉山隆一、佐々木一樹だった。委員長にはバランスを重視して小倉を指名した。この後このメンバーと後に加わった4人の計13人で討議を重ね細部を決定。森は社業の激務と連携の不便さから同年7月、4年間サッカーを離れ、サラリーマン生活を送っていた旧知の川淵三郎を後任の総務主事に抜擢。師弟関係にある木之本は、やり難さがあったようだが、その後この二人のバイタリティが主な力となってJリーグを実現させることとなった。

1991年、Jリーグ専務理事に就任。川淵を補佐する管理本部の統括者となり、Jリーグホームタウン委員長、資格委員会（選手契約担当）委員長などの役職を兼ね、Jリーグ胎動期の実務の多くを取り仕切った。特筆すべきは、映像及び著作権ビジネスに精通し、NHKをパートナーとして取り込んだ点。またNHKと民放各社と共同で「Jリーグ映像」を設立。これにより試合中継映像の品質を確保し放映権販売に寄与。また公式スポンサーの獲得や広告の質の向上などをもたらした。この頃本業は三菱重工の子会社で、宇宙ロケットの燃料を扱う日本液体水素会社の社長だった。1998年、日本サッカー協会専務理事、1999年、日本体育協会理事などの要職を務め、現在は日本サッカー協会名誉副会長。