棚倉藩

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棚倉藩（たなぐらはん）は、陸奥国白河郡・菊多郡・磐前郡・磐城郡などを支配した藩。藩庁は棚倉城（福島県東白川郡棚倉町）。

[編集] 藩史

戦国時代は、天正18年（1590年）以降、棚倉を支配していた石川昭光（伊達晴宗の子）が、常陸国佐竹氏の支配下にあった。拠点としては、標高345mに山城（やまじろ）の赤館があった。慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いで石田三成と懇意だった佐竹義宣は西軍につくも東西中立の態度を示したため、戦後に出羽国秋田藩へ減移封となったあとは棚倉一帯は天領となった。

慶長8年（1603年）に立花宗茂が棚倉に1万石で入部したことから、棚倉藩が立藩した。（宗茂は関ヶ原で西軍に与して大津城攻撃などで活躍した。9月15日の関ヶ原本戦に間に合わず、大坂城に撤退して徳川家康との徹底抗戦を主張したが、西軍総大将の毛利輝元に聞き入られず、本国である筑後国柳河に戻ってなおも抵抗姿勢を示すなど、東軍に与した加藤清正に攻められて降伏したあとは所領を没収されて浪人の身となっていた。宗茂はその人となりから、その武勇が本多忠勝に劣らぬと言われたほどの武将で、浪人となったあと清正や前田利長をはじめ、多くの大名からその存在を惜しまれて仕官に誘われている。家康もそのうちの一人で、宗茂を再び大名として取り立てたといわれる。）
宗茂は入部した翌年、1万石から2万5500石、3万5000石に加増された。大坂の陣に従軍後、元和6年（1620年）、幕府の計らいもあって、宗茂は棚倉から旧領の筑後柳河藩への復帰の申し出が受け入れられ、国替えとなった。

元和8年（1622年）、丹羽長重が常陸古渡藩から5万石で入部する。築城の幕命を受けた長重は寛永2年（1625年）、平地をえらび棚倉城の築城を開始した。さらに上方から積極的に商人を招き入れ、城下町の建設に尽力した。また、海からによる輸送業などに力を注いで藩財政の基盤を敷いた。寛永4年（1627年）に陸奥国白河藩へ加増移封された。
平城（ひらじろ）の棚倉城が完成するのは長重の移封と同じ年の寛永4年（1627年）。

長重の後には、譜代大名である内藤信照が5万石で入り、藩領の検地をおこない支配体制を固めた。その後を継いだ内藤信良も検地をおこなった。また、弟の内藤信全に常陸多賀郡の内で5000石を分与している。内藤弌信の頃から、藩財政は窮乏化が始まっている。弌信は松波勘十郎を登用して藩政改革を目指したが、あまりに領民から搾りあげる改革を行なったため、領民から松波の解任を求める声があがり、改革は挫折し、宝永2年（1705年）に弌信は駿河国田中藩へ移封された。

その後の棚倉藩へは、
太田資晴が5万石。資晴は若年寄にまで栄進し、享保13年（1728年）に上野国館林藩へ移封される。
松平武元が5万石。延享3年（1746年）に館林にもどされる。
遠江国掛川藩から小笠原長恭が6万石。第3代藩主・小笠原長昌の時代である文化14年（1817年）、肥前国唐津藩へ移封。
遠州浜松藩から井上正甫が5万石。その子・井上正春の代である天保7年（1836年）に館林へ移封。
石見国浜田藩から松平康爵が6万石。松平氏は康爵の後、松平康圭・松平康泰・松平康英と続いたが、康英が老中に昇進して2万石を加増されたため、慶応2年（1866年）に武蔵国川越藩へ移封。
白河藩より阿部正静が慶応2年（1866年）10万石で入った。

戊辰戦争では、阿部正静が藩兵を率い奥羽越列藩同盟に参加して白河口において新政府軍と対峙戦うが、慶応4年（1868年）6月24日に棚倉城は攻撃され同日落城し、正静は降伏した。維新後棚倉藩は4万石が減封され、阿部正功の代のとき、明治4年（1871年）の廃藩置県を迎え廃藩となった。
城趾には現在、公園と町の公民館がある。水堀のまわりには桜の木が立ち並び、毎年春には町民の花見場所となっている。

棚倉藩は、江戸時代においてはしばしば懲罰的な目的での転封の対象地になり、又、長期における藩主家の定着が無く、藩の支配体制は不完全を経てきた。石高は、表高より内高（実際に藩の収入になる石高）は少ない藩であった。
　