方言比較表

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方言比較表（ほうげんひかくひょう）は、日本語の各方言の特徴を比較した表である。 全国の方言を一つの表にまとめると大きくなりすぎるので地域別に分けて示す。

目次 1 関西から関東にかけて（東海道） 2 関西から関東にかけて（中山道） 3 関西から東北にかけて（北陸道・松前道） 4 北海道 5 関東から東北にかけて（奥州道・仙台道） 6 関西から中国にかけて（山陽道） 7 関西から中国にかけて（山陰道） 8 関西から四国にかけて（南海道） 9 九州（西海道） 10 県境・国境と「言境」 11 関連項目

[編集] 関西から関東にかけて（東海道）

大阪弁・伊勢弁・名古屋弁・三河弁・遠州弁・静岡弁・首都圏方言の比較表

		伊勢	尾張	三河	遠江	駿河
	大阪弁	伊勢弁	名古屋弁	三河弁	遠州弁	静岡弁	首都圏方言
アクセント型	京阪式	京阪式	内輪型東京式	中輪型東京式（西三河）外輪型東京式（東三河）	外輪型東京式	中輪型東京式	中輪型東京式
アクセント遅上がり※1	○			×
イントネーション	大きい			やや大きい			小さい
否定助動詞	～ん、～へん	～ん、～へん、～せん	～ん、～せん	～ん、～へん、～せん		～ん、～せん、～にゃあ、～ない	～ない、～ねえ
断定の助動詞	や		だ
断定の助動詞（強調）	～ねん/～のや/～ねや/～んや		～のだ/～んだ	～だ	～のだ/～んだ	～だ/～だや	～のだ/～んだ
念押しの疑問	～やんな		～だよね？/～だわね？	～じゃんね、～じゃあん※2		～じゃんね、～だいね、～だやね？	～だよね？、〜だよな？
推定の助動詞	やん、やろ/やろう		でしょ/でしょう※3	だら/だらあ、ずら/ずらあ			だろ/だろう
疑問の終助詞（疑念）	～かいな		～かしゃん/かいや（あ）※4	～かいや（あ）		～かしゃん/～かしん	～かな、～っけ
軽い命令	連用形（＋や）連用形（＋よ）		連用形＋やあ	連用形＋（り）ん	連用形＋（り）ん、連用形＋ごう※5	連用形＋ごう	連用形＋な（よ）、連用形＋なさい、連用形＋てごらん
形容詞連用形	ウ音便		語幹のみ		～く
写す＋た	うつした		うついた				うつした
会う＋た	おうた		あった
理由	～よって、～さかい※6	～やから、～やさかい、～やもんで	～で、～もんで、～に※7				～から、～ので
行こうか	行こか	行こまいか	行こまいか	行かまいか、行くまいか※8	行かまいか、行じゃまいか、行くけ	行かまいか、行かざあ、行くけ	行こうか
～じゃないか	～やんか、～がな	～やがい	～がや	～じゃんか		～じゃ、～じゃんか	～じゃないか、〜じゃねえか
～(だ)ぞ※9	～で/～やで		～に/～だに			～に/～だに、～で/～だで	～ぞ/〜だぞ/〜よ
辛い、疲れる、大変	しんどい	かいだるい、しんどい	えらい				辛い、疲れる、大変
居る	いてる、いる、おる		おる		いる
投げ捨てる	ほる		ほかる、ほうかる		ほかし投げる	ひっぽかす	捨てる、投げ捨てる
あたたかい	ぬくい	ぬくとい、ぬくたい		ぬくとい			あたたかい、あったかい
馬鹿	あほ（阿呆）	たわけ、あんごう	たわけ、たあけ、とろい、とろくさい※10			ばかっつら	ばか（馬鹿）
麦粒腫※11	めばちこ	めぼ	めんぼ、ものもらい		ものもらい	めこんじき、ものもらい	ものもらい

※1 低高高高のようなアクセント型が低低高高または低低低高のように実現される現象。

※2 「じゃあん」のときには必ず文が続く。

※3 「だろう」は極めて粗野な言葉とされており、敬語を使っていない文脈でも「だろう」の使用を避けて「でしょう」と言う。

※4 使い分けがある。「かしゃん」が答えを期待しない独り言であるのに対し、「かいや」は相手の答えを期待している。

※5 静岡県西部地方の西側は連用形＋（り）んで、静岡県西部地方の東側は連用形＋ごうを使う。

※6 近年ではいずれも使用頻度が低く、標準語・共通語由来の「から」がむしろ通常多く使用される。

※7 三河弁では「～もんだ(い)」の語も使われる。

※8 「行くまい」は三河弁の典型的な言い方である。

※9 相手が知らなかったことを教えてやるというような感じのときに使う。

※10 遠州弁では「あんも」の語も使われる。

※11 まぶたのふちや内側に黄色葡萄球菌等の細菌が感染して起こるもの。

[編集] 関西から関東にかけて（中山道）

大阪弁・近江弁・美濃弁・飛騨弁・長野弁・甲州弁・群馬弁・共通語の比較表

		近江	美濃	飛騨	信濃				甲州・上州
	大阪弁	近江弁	美濃弁	飛騨弁	長野弁	中信	東信	南信	甲州弁	群馬弁	首都圏方言
アクセント型	京阪式				東京式						中輪型東京式
アクセント遅上がり	○							×			×
イントネーション	大きい							やや大きい			小さい
否定助動詞	～ん、～へん				～ね、～ねえ	～ね、～ん	～ね、～ねえ	～ん			～ない、～ねえ
断定の助動詞	や										だ
念押しの疑問	～やんな										～だよね？、〜だよな？
推定の助動詞	やん、やろ/やろう				だらず	ら、ずら	べー	ら、ずら			だろ/だろう
疑問の終助詞（疑念）	～かいな				～かや			～かな			～かな、～っけ
軽い命令	連用形（＋や）連用形（＋よ）					連用形+ましょ					連用形＋な（よ）、連用形＋なさい、連用形＋てごらん
形容詞連用形	ウ音便				～く						～く
会う＋た	おうた							あった			あった
理由	～よって、～さかい							～で、～だで、～だもんで			～から、～ので
行こうか	行こか							行かまいか			行こうか
～じゃないか	～やんか、～がな							～じゃんか			～じゃないか、〜じゃねえか
～(だ)ぞ	～で/～やで							～に、～だに			～ぞ/〜だぞ/〜よ
辛い、疲れる、大変	しんどい							ごしたい※1、えらい			辛い、疲れる、大変
居る	いてる、いる、おる							おる			いる
捨てる	ほる							びちゃる			捨てる、投げ捨てる
あたたかい	ぬくい							ぬくとい			あたたかい、あったかい
馬鹿	あほ（阿呆）										ばか（馬鹿）
麦粒腫	めばちこ							めこじき、めこんじき			ものもらい
否定過去								動詞の未然形+～なんだ			動詞の未然形+～なかった

※1 主に上伊那地方

（執筆希望）

[編集] 関西から東北にかけて（北陸道・松前道）

若狭（舞鶴）弁・福井弁・金沢弁・富山弁・越後弁・庄内弁・秋田弁・津軽弁・下北弁の比較表

	若狭	越州				羽州		奥州
	若狭弁 舞鶴弁	福井弁	金沢弁 (加賀能登)	富山弁	越後弁	庄内弁	秋田弁	津軽弁	下北弁
アクセント型	京阪式		京阪式と東京式の中間
アクセント遅上がり			○
イントネーション			文末になるに従い大きくなる
否定助動詞	～ん、～へん		～ん
断定の助動詞	や、じゃ		や、やちゃ
断定の助動詞（強調）	～んや		～がや/～げん、～ねん	～がいちゃ
念押しの疑問			～やないけ
推定の助動詞			がい、がいろ、やろ
疑問の終助詞（疑念）			～け
軽い命令			連用形＋まっし	連用形＋られま、連用形＋ま
形容詞連用形			語幹＋なる
写す＋た			うついた、うつした
会う＋た	おうた
理由			～さけ、～さかい、～やし	～さかい
行こうか			行こまいけ	行こまいけ、行かんまいけ
～じゃないか			～やないけ
示唆			～がに	～がいぜ
辛い、疲れる、大変			だええ、だやい/えれえ、えらい
居る	おる
投げ捨てる			ほっかる
あたたかい	ぬくい		ぬくい
馬鹿	あほ		だら※1、だらぼ、だらけ	だら、だらぶち
麦粒腫			めもらい

※1 だらの語源は「足らず」が転訛したものと言われている。北陸から山陰にかけて広く頒布した表現。

[編集] 北海道

	浜言葉	内陸方言

（執筆希望）

[編集] 関東から東北にかけて（奥州道・仙台道）

共通語・房州弁・茨城弁・栃木弁・会津弁・福島弁・仙台弁・盛岡弁・南部弁の比較表

		総州・常陸			野州	奥州
	首都圏方言	房州弁		茨城弁	栃木弁	会津弁	福島弁	仙台弁			盛岡弁	南部弁
		内房	外房					南部	仙台都市圏	北部
アクセント	中輪型東京式		曖昧型東京式	崩壊アクセント					東京式	外輪型東京式
イントネーション	小さい	やや小さい		語尾が尻上がりになる
否定助動詞	～ない、～ねぇ	～ねぇ									～ね	～ねぇ
断定助動詞	～だ
推定の助動詞	～だろう							～だっちゃ			～でがんすえん

[編集] 関西から中国にかけて（山陽道）

大阪弁・神戸弁・播州弁・岡山弁・備後弁・広島弁・山口弁の比較表

		摂津	播磨	備州		安芸	周防・長門
	大阪弁	神戸弁	播州弁	岡山弁	備後弁	広島弁	山口弁
アクセント	京阪式		京阪式（南部、西部）垂井式（北西部）	内輪型東京式 京阪式（単語レベル）		内輪型東京式	中輪型東京式
アクセント遅上がり	○						×
イントネーション	大きい		文末に従い大きくなる				やや小さい
否定助動詞	～ん、～へん			～ん、～せん、～れん		～ん、～せん
断定の助動詞	～や			～じゃ			～じゃ、～や、～ちゃ
～だから	～やから、～よって、～さかい		～さかい	～けん、～じゃけん、～じゃけえ		～けん、～きん、～じゃけん、～じゃけえ、～じゃきん	～けん、～きん、～やけん、～じゃけん、～やきん、～じゃきん
断定の助動詞（強調）	～ねん、～んや、～のや、～ねや			～んじゃ、～のじゃ			～んじゃ、～のじゃ、～んや、～のや
軽い命令形	～せい、～しとってや			（備前）～せられえ（美作）～しんさい、～しんちゃい（備中、備後）～しねぇ	～しんさい、～しんちゃい

[編集] 関西から中国にかけて（山陰道）

大阪弁・丹波弁・但馬弁・鳥取弁・雲伯方言・石見弁の比較表

		丹州		因幡	伯耆・出雲	石見
	大阪弁	丹波弁	但馬弁	鳥取弁	雲伯方言	石見弁
アクセント型	京阪式	京阪式、東京式	東京式、京阪式
アクセント遅上がり	○
イントネーション	大きい	やや小さい
否定助動詞	～ん、～へん		～ん、～せん
断定の助動詞	や	や、じゃ	だ、じゃ
断定の助動詞（強調）	～ねん/～のや/～ねや/～んや	～んや、～んじゃ	～だ（わいや）
念押しの疑問	～やんね	～やんな
推定の助動詞	やん、やろ/やろう	やろ/やろう、やろかいな	だろ/だろう
疑問の終助詞（疑念）	～かいな	～かいな（あ）、～かしゃん
軽い命令	連用形（＋や）	連用形＋な（いな/あよ）	連用形＋いな/いよ
形容詞連用形	～う、～し
写す＋た	うつした	うつした、うついた
会う＋た	おうた
理由	～よって、～さかい	～やで、～さかい	～だで、～さけえ/～しけえ
行こうか	行こか	行こか（いな）	行こか（いな）、行かあ
～じゃないか	～やんか、～がな	～やんか、～やがな
示唆	～で/～やで	～で（よ）/～やで（よ）/～やじょ
辛い、疲れる、大変	しんどい	しんどい、えらい	しんどい、えらい/えれえ
居る	いてる、いる、おる	おる
投げ捨てる	ほかす	ほかす、ほる
あたたかい	あったかい	あったかい、ぬくい	あったけえ、ぬきい
～なさった	～しやった/～しはった	～しちゃった	～しなった/～しんさった
馬鹿	あほ	あほ（う）	あほ（う）/あはあ、だらず
麦粒腫	めばちこ	めぼ

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[編集] 関西から四国にかけて（南海道）

大阪弁・泉州弁・和歌山弁・讃岐弁・徳島弁・伊予弁・土佐弁の比較表

		和泉	紀州	四国
	大阪弁	泉州弁	和歌山弁	讃岐弁	徳島弁	伊予弁	土佐弁
理由	～やから、～さかい			～やけん	～じゃけん		～やき
だから・・・	そやから、せやから、 やから			やけん	ほだけん、ほやけん		やき、ほやき
叫ぶ	叫ぶ			おらぶ	いがる		おらぶ、ひせる
私の家	＜一人称＞＋んち （うちんち、俺んちetc.）			＜一人称＞＋んく （うちんくetc.）			＜一人称＞＋んく
～している	～やっとる（進行） ～やっとった（完了）			～やりよる（進行） ～やりよった（完了）			～しゆう(進行) ～しちゅう(完了)
疲れた	しんどい			えらい	えらい、せこい		だれた
面白い	おもろい			おもっしょい	おもっしょい
たくさん	ようけ			よっけ			よけ
出来ない	出来へん			出来ん			出来ん、ええせん、ようせん
駄目だ	あかん			あかん、いかん	あかん、いかん		いかん
～じゃない？	～ちゃう？ ～ちゃうん？			～ちゃん？			～やない？ ～やないが？

（執筆希望）

[編集] 九州（西海道）

肥筑方言・豊日方言・薩隅方言の比較表

	肥筑							豊日				薩隅
	博多弁	長崎弁	佐賀弁	柳川弁	筑後弁	大牟田弁	熊本弁	北九州弁	筑豊弁	大分弁	宮崎弁	諸県弁	鹿児島弁
アクセント型	曖昧型東京式	特殊	無アクセント					中輪型東京式	曖昧型東京式	中輪型東京式	無アクセント	一型式アクセント・無アクセント	二型式アクセント
よい	よか							ええ	よか	ええ		よか
アクセント遅上がり	×
イントネーション	やや大きい
否定助動詞	～ん
断定の助動詞	や。 但し、「～ね」「～もん」「～けん」「～し」を伴う。					だ。またはや。 但し、「～ね」「～もん」「～けん」「～し」を伴う。	だ。 但し、「～ね」「～もん」「～けん」「～し」を伴う。	や。 但し、「～ね」「～もん」「～けー」（または「～けん」）「～し」を伴う。		や。
上二段活用動詞の活用	上一段。 但し、未然形と命令形は五段活用		上一段。 但し「できる」は未然形で下一段に活用する。
下二段活用動詞の活用	下二段。 但し、未然形と命令形は五段活用。		下二段。 但し、未然形と命令形は五段活用。
ナ行変格活用動詞の活用	五段活用
カ行変格活用動詞の活用	カ変。 但し、「せる」がつくとき未然形「こ」のあとに「ら」を挿入する。
強調	体言＋ぞ！、たい！、ばい！、くさ！ 但し、「くさ」を除くと、用言の連体形には「と」を挟む		体言+ぞ、たい、ばい、くさい 但し、「くさい」を除くと、用言の連体形には「と」を挟む								体言+ど
念押しの疑問	やね？、やろう？、ばいな？		やね？、やろう？、ばいな？								～どが？
推定の助動詞	やろう					やろう、だろう	だろう	やろう
疑問の終助詞（疑念）	～かいな
軽い命令	連用形＋やい。または、五段サ変カ変の連用形の長音化したもの/上一段、下二段の連用形+りー										連用形＋ない
形容詞連用形	ウ音便
会う＋た	おうた（ウ音便）
理由	～けん/けんが、～やけん/～やけんが		～けん/～けんが、～やけん/～やけんが			～けん/けんが、～やけん/～やけんが、～だけん/～だけんが、	～けん/けんが、～だけん/～だけんが	～けー、やけー	～きー、やきー	～けー、やきー
行こう	行こう										いくどー	いっどー
行きたい	いこごたー					いくごたる、いきたかー							いこもんがー/いくがー
行かなければならない	いかないかん	行かんばならん				いかなん、いかやん	いかにゃいかん	いかないかん		いかないけん		いかにゃならん
行けばよい	いきゃよか					いけばよか
～じゃないか	～やないか/～やんか					～じゃなかか	～じゃなっか	～やないか/～やんか
つらい	きつい										よだきい	よだき
大変だ	やおいかん					やおいかん
頑張る	頑張る					がまだす
暖かい	ぬくい										ぬきー		ぬきか
ばか	ばかちん						ばかたん
否定過去	動詞の未然形+～んやった	動詞の未然形+～んだった	動詞の未然形+～んやった			動詞の未然形+～んやった、～んかった	動詞の未然形+～んかった	動詞の未然形+～んやった	動詞の未然形+～んかった			動詞の未然形+～んじゃった
サ行変格活用「する」の命令形	せれ	せろ						せれ		せい
上一段、上二段、下一段、下二段動詞の命令形語尾（寝ろの「ろ」）	れ	ろ						れ
上二段、下二段動詞の未然形（「みない」、「みよう」の「み」）	みら、みろ							みれ
見える	見える					みゆる		みえる		みえる	みゆる、みゆっ、みゆぅ
カ変動詞の命令形「こい」	こい							こい		こい		けー	けー
受け身、尊敬、自発、可能の助動詞「れる」「られる」。「笑われる」の「れる」	るう、らるう					るっ、らるっ
このように、そのように、あのように、どのように	こげん、そげん、あげん、どげん		こがん、そがん、あがん、どがん		こげん、そげん、あげん、どげん		こぎゃん、そぎゃん、あぎゃん、どぎゃん	こげん、そげん、あげん、どげん			こんげ、そんげ、あんげ、どんげ
否定推量	動詞の未然形+めえ、動詞の未然形+ん+やろう
準体言助詞「見るのです」の「の」	と							の、ん	と	の、ん	と、つ（形容詞の後のみ）
「～だよ」	～たい							～なんよ	～たい	～なんよ	～じゃが、～やが
「～なんだよ」	～ばい、～っちゃん										～なっちゃが、～やっちゃが
見てもしょうがない	見てんしょんない、見たっちゃしょんない										見てんてにゃわん
どうか？	どげんや？										どんげか？
おる	おる										おる、おっ
～なさった	動詞の連用形+んしゃった		動詞の連用形+んさった		動詞の未然形+っしゃった	動詞の連用形+なはった					動詞の連用形+や（ゃ）った、なった
小さい	こまい、ちんこい		こまか			こんちょか		ちっこい			こめー

[編集] 県境・国境と「言境」

江戸時代には藩を越えた人の行き来に制限があったため、藩ごとに特徴のある方言が形成された。その後廃藩置県を経ても方言の特徴は保存されたので、似通った方言の集団の境界と県境は必ずしも一致しない。また、旧国名の国境（くにざかい）とも必ずしも一致していない。

例えば、三河弁と尾張弁は同じ愛知県内でも大きく異なるが、三河弁と静岡県西部の遠州弁、名古屋弁と岐阜県美濃地方の美濃弁は県境・国境を挟んでいるにも関わらず似通っている。

但し、人が「居る」の「いる」と「おる」の境は、太平洋側ではほぼ静岡と愛知の県境、日本海側では新潟と富山の県境にあったりして、偶然、言境と県境・国境がほぼ一致することもある。 ほぼ一致すると言っても、新潟県の西側や静岡県の西側でも「おる」は使うので、完全には一致しない。

三重県桑名市旧長島町は、三重県（伊勢国）なのに名古屋系（尾張国）の言葉が話されていたり、静岡県旧湖西市や新居町は、静岡県（遠江国）なのに三河系の言葉が話されているので、言境が県境・国境に近くても、完全には一致しない。

県境・国境と「言境」

県	岐阜県	愛知県		静岡県
似通った方言	美濃・名古屋弁		三河・遠州弁
居る	おる			いる

このように方言は現在の県名よりも旧国名に準じて分類したほうが実態に近いので、一般にそのように分類される。しかし、この分類も、県名によるよりは実態に近いとはいえ、多少の問題がある。

例えば、西三河の方言と東三河の方言は一般に三河弁で一つにくくられる。三河国全域で使われる言葉も多い。西三河に関しては名古屋弁と明瞭な対比を見せるので問題ない。ところが、東三河の方言は、同じ三河弁でくくられる西三河の方言よりもむしろ遠州弁に近いのである。西三河弁使用地域では、じゃん・だら・りんを多用する。東三河弁の、のん・ほい、だに（い）（遠州弁と共通）は全く使用しない。東三河弁使用地域では、のん・ほい、だに（い）（遠州弁と共通）という特有の言い回しを使用。西三河では全く使用しない。遠州弁地域では、だに（い）、という特有の言い回しを使用。西三河では全く使用しない。

また、知多半島は、旧尾張藩でありながら西三河弁的な特徴も見られる。これは、尾張地方の言語が名古屋城下で生まれた狭義の名古屋弁の強い影響を受ける中、知多半島では幾分影響が弱かったためと思われる。名古屋開闢以前は尾張地方でも三河弁に近い方言が話されていたようである。

[編集] 関連項目

• 日本語の方言