首都圏方言
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首都圏方言(しゅとけんほうげん)とは現代の東京とそのベッドタウンを中心とした関東(首都圏)で広く使われている言葉である。
東京では下町で江戸言葉、山の手で東京方言が使われてきたが、関東大震災の後、下町の住民が郊外に大量に流出し、東京市街がかつての「下町」「山の手」の範囲を超えて大きく拡大した。また、第二次世界大戦後は地方出身者が東京の郊外に大量に流入した。山の手出身者は東京方言、下町出身者は江戸言葉を使い続けたが、地方出身者は上京すると学校で教わった(あるいはマスコミで使われている)標準日本語を使おうとした。これらの人々が時代を下るにつれ融合し、世代が替わるにつれて郊外のベッドタウンで生まれ育った人々が増えていった。彼らは自分の住んでいる地元の西関東方言・東関東方言とも、東京方言とも異質な標準語をベースにした言葉を使うようになった。これを新方言の一種として首都圏方言または新東京方言と言う。
現在では、テレビの影響などにより、東日本を中心に首都圏方言の勢力が圧倒的であり、首都圏方言の干渉を受けて日本各地の方言の特徴が薄れつつある。それと同時に各地の方言が首都圏方言に取り込まれて新しい表現を生み出し、首都圏方言は若者世代の共通語の役割をはたしている。伝統的な東京方言を話すのは戦前生まれが中心で、もはや風前の灯火であり、かつての下町でも古くからの住人が減るにつれ江戸言葉は失われ、首都圏方言にとって替わられつつある。