土屋嘉男
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土屋 嘉男(つちや よしお、本名同じ、1927年5月18日 - )は、日本の俳優。A型、身長173cm 体重72kg。
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[編集] 来歴・人物
山梨県甲府盆地の北東で大菩薩峠の登山口の七里村(旧塩山町、現甲州市)出身。山梨医学専門学校(現・山梨医科大学)卒業。
俳優座養成所に2期生として入り、1952年に映画デビュー。その後、俳優座のトイレで映画『七人の侍』のオーディションのために来ていた黒澤明に、土屋自身はオーディションに参加していなかったにもかかわらず目をつけられた。養成所卒業後、俳優座の正劇団員に昇進することが決定していたが、その卒業式の日に黒澤明に呼ばれてテストを受け、『七人の侍』の利吉役に起用される。これを機に俳優座を退座し、東宝へ入社。また『七人の侍』撮影中は黒澤明の家に下宿し、その後も公私共に交流を深め、以降、『赤ひげ』までの黒澤作品の殆どに出演している。
東宝特撮にも欠かせない存在で、『七人の侍』と同時期に撮影所では『ゴジラ (1954)』の撮影が行われていたが、土屋はそれに興味を持ち、黒澤の目を盗んでは特撮セットの見学に行ったという。
1957年の『地球防衛軍』では、当初主役級で配役されていたが、自ら「顔が見えなくてもいいから宇宙人をやりたい」と本多猪四郎監督に直訴し、地球を侵略する宇宙人・ミステリアンの総統役に回った。日本人俳優として初めて宇宙人を演じた土屋の熱演もあって、現在でもこの作品の評価は高い。他に特撮作品では『怪獣大戦争』のX星人統制官、『ガス人間第一号』のガス人間水野役が有名。
東宝退社後は主にテレビドラマで活躍。趣味は登山、フラメンコギター、釣りなど多岐に渡り、サンテレビ制作の釣り番組『ビッグフィッシング』では司会を務めた。また、かつては『徹子の部屋』の常連ゲスト出演者でもあった。
[編集] 主な出演作品
[編集] 映画
- 殺人容疑者(1952年)
- 七人の侍(1954年)
- ゴジラの逆襲(1955年)
- 地球防衛軍(1957年)
- 美女と液体人間(1958年)
- 大怪獣バラン(1958年)
- 隠し砦の三悪人(1958年)
- 潜水艦イ-57降伏せず(1959年)
- 宇宙大戦争(1959年)
- 電送人間(1960年)
- ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐(1960年)
- ガス人間第一号(1960年)
- 用心棒(1961年)
- 大学の若大将(1961年)
- 黒い画集 ある遭難(1961年)
- 椿三十郎(1962年)
- 天国と地獄(1963年)
- マタンゴ(1963年)
- 赤ひげ(1965年)
- 太平洋奇跡の作戦 キスカ(1965年)
- フランケンシュタイン対地底怪獣(1965年)
- 怪獣大戦争(1965年)
- フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ(1966年)
- 日本のいちばん長い日(1967年)
- 国際秘密警察 絶体絶命(1967年)
- 怪獣島の決戦 ゴジラの息子(1967年)
- 薔薇の葬列(1968年)
- 怪獣総進撃(1968年)
- 風林火山(1969年)
- ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣(1970年)
- 軽井沢夫人(1982年]]
- 小説吉田学校 (1983年)…林譲治
- 帝都大戦(1989年)
- ゴジラvsキングギドラ (1991年)
- 奇談(2005年)
etc.
[編集] テレビドラマ
- 新選組始末記(1961年)…山南敬助
- 青春とはなんだ(1965年)…清三
- 太閤記(1965年)…宗湛
- 源義経(1966年)…兵衛介義行
- ウルトラQ 第2話「五郎とゴロー」(1966年)
- ウルトラマン 第18話「遊星から来た兄弟」(1966年)
- ウルトラセブン 第14,15話「ウルトラ警備隊西へ(前・後編)」(1968年)
- 竜馬がゆく(1968年)…大久保利通
- 無用ノ介 第17話「おいらの好きな無用ノ介」(1969年)
- 東京バイパス指令 第32話「一匹おおかみ」(1969年)
- 大江戸捜査網 第10話「天狗に踊る黒い影」(1970年)、第67話「三匹の用心棒」(1972年)他
- 春の坂道(1971年)…大谷刑部
- 徳川おんな絵巻 第40話「女相続人の恐怖」・第41話「闇に光る眼」(1971年)
- 木枯し紋次郎 第8話「一里塚に風を断つ」(1972年)
- 荒野の素浪人 第5話「獄門関所破り」(1972年)
- 太陽にほえろ! 第75話「仕掛けられた銃声」(1973年)
- 勝海舟(1974年)…木村兵庫頭
- 傷だらけの天使 第12話「非情の街に狼の歌を」(1974年)
- 俺たちの勲章 第9話「重い拳銃」(1975年)
- 鬼平犯科帳 第14話「高杉道場・三羽烏」(1975年) ※丹波哲郎版
- 渚より愛をこめて(1976年)
- 非情のライセンス 第2シリーズ 第117話「正餐」(1977年)
- 大都会 PARTII 第29話「17番ホールの標的」(1977年)
- 新・木枯し紋次郎 第7話「四度渡った泪橋」(1977年) ※フラメンコギターによる劇伴も担当
- 水戸黄門 第8部 第19話「人情灘の生一本・兵庫」(1978年)
- 江戸の渦潮 第6話「春風にのった母子」(1978年)
- 西遊記 第6話「悟空破門!三妖怪の罠」(1978年)
- 大空港 第46話「古傷・バクダン刑事に火がついた!」(1979年)
- 大激闘マッドポリス'80 第1話「マフィアからの挑戦」(1980年)
- ザ・ハングマン 燃える事件簿 第32話「死人を愛した女スパイ」、第51話「死人たちは二度死なない」(1981年)
- 西部警察 PART-III 第27話「銃撃」(1983年)
- 金曜日の妻たちへII 男たちよ、元気かい?(1984年)
- 特捜最前線 第400話「父と子のエレジー!」(1985年)
- 春の波涛(1985年)…井上馨
- ザ・ハングマンV(1986年)…前尾大輔
- 江戸を斬るVII 第10話「瞼の父は大泥棒」(1987年)
- 鬼平犯科帳 第7話「明神の次郎吉」(1989年)
- 東芝日曜劇場 もう一度春(1992年)
- ニュー・三匹が斬る! 第6話「葵の御紋の印籠で関所破りの大盗賊!」(1994年)
- STATION 第4話「ポーダー激怒!盲目の恋」(1995年)
- 大岡越前 第15部 第5話「奥医師の娘」(1998年)
- 大江戸を駈ける!(2000年)
etc.
[編集] 著作
- 思い出株式会社(1993年、清水書院) ISBN 4389500155
- クロサワさーん!―黒沢明との素晴らしき日々(1999年、新潮社) ISBN 410432101X
- 魚はゆらゆらと空を見る―釣りバカ放浪記(2002年、新潮社) ISBN 4104321028